ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
白衣の英雄第一話前半 改訂版
 人里離れた郊外の大きな屋敷、その地下研究室で若い男がパソコンでプログラムを組んでいる。

 男の髪は連日の徹夜ですっかり乱れ、やや目つきが鋭いながら端整な顔も目の下にできた隈で崩れていた。髭だけは毎朝かかさず剃っているが、それでも少々不潔っぽく見える。
 その高い身長も長い脚も、パソコンの前に座りっぱなしの状態では邪魔にはなっても利点はない。
 身に纏った白衣やその他の衣服も薄汚れていた。

 この男――天地 海人――は自身の恵まれた容姿を思いっきり無駄にしていた。

「う~む……どうにもこのままでは上手くいきそうにないな」

 しばらく作業を続けていたが、唐突に手を止めてそう呟くと、今まで作成していたプログラムのファイルを保存し、パソコンの電源を切った。


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白衣の英雄第一話 後半 改訂版
「う……う~ん……っは……!?」

 ガバッ、と布団を剥いで勢いよく起き上がる。
 辺りを見回すと、見覚えのない木造家屋。しかもところどころ壁の木材が剥がれ落ち、耳を澄ますまでもなくギシギシと不穏な音がしていて、それが不安を煽る。

「……ここは」

 未だに目覚めきらない頭を動かして現状を把握しようとしていると、ガチャッという音と共にドアが開けられ、トレイを持った女性が入ってきた。

「あ、気がついたの? お茶淹れたんだけどよかったら飲む?」

 入ってきた女性はそう言ってティーカップを差し出してきた。
 色からすると中身は紅茶のようだ。

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白衣の英雄2
 適度に身を引き締める冷たい隙間風が海人の部屋の中に静かに進入する。

 元々の建物の造りが悪いというわけではなく、老朽化によって風が若干入るようになっているだけではあるが、
それでも海人が眠っている部屋は外の気温によっては寒くて眠れない事も多い。
 
 昨夜は特に風が入ることも無く気持ちよく眠れたようだが、
今部屋に入ってきた風はたまたま彼の顔に当たって絶妙なモーニングコールとなった。

「ふぁ~~あ……ん、ここは……? あ~……夢ではなかった、か」

 部屋を見回して軽い溜息をついた後う~ん、と思いっきり伸びをする。
 軽く首を回し、頬を2、3回はたいて完全に意識を覚醒させる。

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白衣の英雄3
 寒々しく空が曇り、朝だというのに部屋に日差しも差し込んでいなかった。
 普段なら外から微妙にうるさい鳥の声が聞こえてくるのだが、今日は聞こえてこない。
 なんとも寂しい風景ではあるが、ある意味静寂に守られた安らかな朝ともいえる。

「おっはよ~っ!!」

 そんな静寂などお構い無しとばかりに、バタンと大きな音を立てて、ルミナスは海人の部屋に乱入した。
 時刻はまだ早朝だったが、彼女は気持ち良さそうに寝ていた海人を激しく揺り起こす。

「んむ……もう朝か……おはよう」

 海人はムクリと起き上がって欠伸をこらえながら返事を返す。
 まだ眠気が覚めきってはいないのか目をゴシゴシと擦っている。

 彼は寝巻きが無かったためシャツを着たまま眠っていたのだが、服に見苦しい皺ができていない。
 アイロンをかけたばかりの如くパリッと、とまではいかないものの、着たまま寝たとはとても思えない。

 このシャツも彼の発明品で、以前徹夜明けに人前に出なければならなくなった時に思いついて開発した物だ。
 よほどグッチャグチャに折り畳みでもしない限りは皺が残らないトンデモ発明品である。

「ほらほら早く起きなさいって。今日は魔力判別所行くんでしょ?」
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白衣の英雄4
 現在海人は魔力判別所からルミナスに抱えられ本日二度目の空の旅の最中だった。
 流石に二回目ともなると多少の余裕は出てきたようで、海人は朝貰ったサンドイッチを食べている。

 パンがいささか固くなっているが、良質な小麦を使ったパンのほのかな甘みと、満遍なく塗られたマヨネーズの酸味、良い肉質のハムの旨味、そしてアクセント代わりなのか少し癖があるチーズの個性が見事に調和している。作った人間のこだわりを感じさせる逸品だ。

「作ってから時間が経っているからどうかと思ったが、美味いな」

「そう? ありがと。でもそれだけじゃ足りないんじゃない?」

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