ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編セット5
 番外編21


 海人の屋敷の厨房に、なんとも形容しがたい良い香りが漂っていた。

 発生源は、刹那が振るうフライパンに乗った厚切りのベーコン。
 染み出た肉汁と油はなんとも言えぬ照りを肉に与え、ジュウジュウとなる焼き音はそれだけで食欲をそそり、
それらが厨房中に広がる香ばしい香りと相まって、フライパンを見ているだけで涎が出そうになる。

「うう~~~美味しそうだなぁ……早く食べたい」

 じゅるり、と口からこぼれかけた涎を飲みこみ、雫が呟く。

 ただでさえ鍛錬を終えたばかりで空腹だというのに、目の前の光景は耐え難い。
 はしたないと言われようが、危ないと言われようがフライパンに手を突っ込んで熱々のベーコンをつまみ食いしたい衝動に駆られる。
 空気中には隅のオーブンで焼かれているパンのほのかに甘い香りも混ざっているので、この場にいるだけで拷問のようだ。
 
「もう少し我慢しててね、シズクちゃん」

 苦笑しながら、ルミナスがふらふらとフライパンに伸びていた雫の手を優しく払う。
 
 気持ちは分からなくもないが、今回料理しているのは刹那。
 下手に手を出されてしまうと彼女の感覚が狂って、何が起こるか分からない。
 熱々の油ごとベーコンが降りかかってくる程度なら用意したボウルで受け止めればいいが、
火力調節を誤って大火事になる可能性も零ではない。
 普通ならありえないと言える可能性だが、料理中の刹那なら冗談ではすまない可能性が高いのだ。

 雫も己の行為の危険性は分かっているのか、悲しそうに手を引っ込めた。

「付け合せの温野菜は出来上がりましたから、少しつまんではいかが?」

 はい、とシリルが付け合せの温野菜が盛りつけられた皿を差し出す。

 ニンジン、アスパラ、ブロッコリー等々多種多様な野菜が揃っている。
 どれも良い物で、特にニンジンは噛みしめると甘い汁が出て思わず顔がほころぶ美味さだ。
 今は出来たてでほのかな温かさがある為、一層美味いだろう。

 が、雫は涙を流しながら力説する。


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