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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編セット39



 番外編191



 シリルは、淹れたばかりの紅茶を一口含んだ。

 茶葉の良さを引き出しきれているとは言い難いが、それでも味わいは鮮烈。
 爽やかでほのかに甘い香気が鼻の奥に広がり、熱が口内に広がっていく。
 それを追いかけるようにじんわりと広がる味わいも、なんとも心地よい。
 
 緊張を適度にほぐすには、妥当な味わいであった。

「さて、次の手はまだですの?」

「もーちょっと待ってください。えーっと、こう動けば多分こう来るから……」

 シリルの催促を軽く流し、雫は思考を続ける。

 雫が今やっているディルステインは、シリルがいる時の遊びとしてすっかり定着していた。
 雫が一番好んでいるのは地下室でやる海人の世界のゲームだが、これもこれで気に入っている。
 ルールはそう複雑ではないが、戦略の幅広さはまさに無限大。
 相手の思考を読み、戦略的な罠を仕掛けていくのはなかなか楽しいものがある。   
 
 なにより、雫にとってはシリルが相手というのが良かった。
 未だ全敗街道を突き進んではいるが、それでも上達の実感が得られる。
 敗北を重ねるたび、僅かずつではあるがシリルに近づいている実感があるのだ。
 地下でやるゲームよりも地味だが、長期間にわたって楽しみ続けられる。
 
 とはいえ敗北は嫌なので、雫は必死で知恵を絞っていた。

 シリルの悪辣な罠を見切って逃れ、その先に罠を仕掛ける。
 それすら見切って逆用される事も考え、さらに対策を練っていく。
 始めたばかりの時期なら考えすぎと笑い飛ばしただろうが、今は違う。
 自分のお粗末な戦略は全て読まれている、その前提で挑むべき相手だと認識していた。

「……よしっ! これでどうだ!」

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