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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
というわけで番外編になります。
珍しいネタではないですが、ちょこちょこ実験しています。
その関係でいつも以上に粗が多くなっているかもしれませんが、寛大な気分で読んでいただけますと幸いです。

そして次話ですが、一応最終調整中です。
今のところ特に大きなやらかしは見当たらないので、そこまで時間はかからないと思います。
私生活で先週からの懸念事項が残りっぱなしなので、次回更新とは言えないのですが(汗)
毎度遅筆ですが、気長にお読みいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。



 番外編


 唐突だが、シリル・メルティは美少女である。
 年齢的には美女という言葉が適切だが、外見は美少女、なんだったら美幼女だ。

 日々の手入れによって、黄金色の滝の如く美しい金髪。
 可愛らしく整いながらも、どこか凛々しさ漂う顔立ち。
 鍛え抜かれていながら、柔らかさも十分に残ったスタイル。
 加えて言えば姿勢も美しく、礼儀作法もしっかり身に着けているので品格も漂う。
 黙って座っていれば、深窓の御令嬢としても通じる女性だ。

 ゆえに、割と不本意なトラブルに縁がある。

「へっへ、嬢ちゃん。怪我したくなきゃあ、大人しくついてきな」

「そうそう。どこのお嬢様か素直に教えてくれりゃ、何も怖い事はねぇ。
ち~っと、あんたのパパから金貰いてぇだけさ」

「……素晴らしいですわね」

 いかにもな言葉をぶつけてきた二人の男を見て、シリルは思わずそんな言葉を漏らした。

「おっ? 俺の顔に見惚れたか? なかなかお目が高いね」

「いやいや俺様の筋肉だろ。良い趣味してるじゃねえか」

「…………ますます素晴らしいですわね」

 何やら自己完結した男達に、シリルは呟く。
 そしてその言葉に男達が反応しようとした瞬間、言葉を続けた。

「ここまで典型的な三下クズ馬鹿言行、そうそう見られませんもの。
魔物図鑑に新種の魔物として載せるべきかもしれませんわね」

 言いながら、うんうんと頷くシリル。

 シリルにとって、この手の揉め事はさして珍しくない。
 店に一人で入って紅茶を飲んだりした後は、たまにこの手の馬鹿に絡まれる。
 容姿と立ち居振る舞いから、護衛もつけない世間知らずな貴族令嬢のお忍びと勘違いした馬鹿に。 

 が、ここまで言葉から行動まで安っぽい連中は珍しい。
 普通はもう少し誘拐狙いを隠そうとする程度には知能がある。

 これはかなりの珍獣、と感心するシリルに対し、男達は揃って眉を吊り上げた。 

「あぁん? 貴族のお嬢ちゃんがなめた事言ってくれんじゃねぇか」

「女、それもガキの分際でよぉ? ナイフって知ってかぁ?」

 男の片割れがシリルの胸倉を掴み、もう片方が彼女の頬にナイフの腹をピタピタと触れさせる。
 世間知らずの御嬢様なら恐怖を覚えるかもしれないそれに対し、シリルは溜息と共に口を開いた。

「間違いが二つありますわね」

「ほ~う? どんな間違いだ? ああん?」

「一つ目。私は貴族ではありません。ただの傭兵ですわ」

『ぷっ……! わははははははっ!』

 シリルの言葉に、男二人は思わず爆笑した。

「世間知らずのお嬢ちゃんは馬鹿だねぇ~? 武器持ってりゃ傭兵に見えると思ったんでちゅか~?」

「ましてそんな馬鹿デカい弓、ハッタリにも使えないんでちゅよ~?」

 腹を抱えて笑いながら、シリルにおちょくるような言葉をぶつける男二人。

 滑稽としか言いようがなかった。
 腰の剣も、背負った弓と矢筒も、幼い容姿ではまるで迫力がない。
 そもそも、この体格ではこんな大きな弓をまともに扱えるはずがない。
 脅し用の装備なのだろうが、脅しにすらならないのだ。
 
 そう馬鹿にしてくる二人に対し、シリルは眉一つ動かさぬままさらに言葉を続けた。

「二つ目。これでも私、二十歳ですわ」

『ぶははははははっ!! く、苦しい~、笑い死ぬぅ~っ!』

「信じてほしいとは思っていませんので結構。そろそろ失せなさいゴミ虫共。
私は、害虫と対話し続けられる程寛容ではありませんわよ?」

 ふん、と鼻を鳴らし、シリルは男二人に冷たい視線を向ける。
 そこにはおよそ人に向けているとは思えない程、無機質な侮蔑が宿っていた。

 それを受けた男達は、少し痛い目を見せてやろうとして、

『ぎあっ……!?』
 
 直後、苦悶の声を上げながら二人揃って蹲った。

 シリルの胸倉を掴んでいた男の手は、握り潰されている。
 それも痣ができるなどというレベルではなく、骨ごと粉々に。
 シリルはただ握り潰しただけだが、愛用の大弓を無造作に連射可能な彼女の握力は尋常ではないのだ。
 
 一方、シリルの顔にナイフを当てていた男は自らの肩を刺していた。
 反応する間も与えぬ早業で、相手の緩い握りを固めた上で腕を折り畳んだのだ。
 特別力を込めたわけではないが、油断しきって肉体強化していなかった間抜けの身体には深々と刺さった。
 
 そしてシリルは苦悶する男達を一瞥すると、二発の蹴りを放つ。

『がああああっ……!? あ、足がぁぁぁぁぁっ!?』

「あら、随分と痛みに耐性がありませんのね? でしたら、これなどいかがですの?」

 痛みに悶え転がる二人に溜息を吐くと、シリルは笑顔で再び足を振りかぶった。
 そして男達が反応する間もなく、その爪先を狙い通りの場所に叩き込む。

『……っ!? っっっ!?』

「ふふ、潰してはいませんので御安心を――――さて、そろそろ身の程は理解できたでしょう?
ならばそれ相応の態度がありますわよねぇ?」

 言いながらシリルは自分の財布を二人の前に見せつけ、軽く振った。
 つい先程入った喫茶店で紙幣を使い切り、すっかり侘しくなったそれを。

 すっかり怯えきった男二人は、痛みに苦悶しながら自分の財布を取り出し、シリルに差し出した。
 
「よろしい。ま、これに懲りたら真っ当に働く事ですわね。
私のような優しい人間ばかりではありませんわよ?」 

 豊かさを取り戻した自身の財布をしまいながらシリルは踵を返し、すぐに足を止めた。
 シリルの進路を塞ぐように立っていた、咥え煙草の偉丈夫の姿に。

「随分とうちのモンを可愛がってくれたようだなぁ、嬢ちゃん?」

「躾け料まではいただきませんので御安心なさいませ。無論、これ以上は追加料金をいただきますが」

「へっ、随分余裕だが――――ん?」

 にっこり笑うシリルに男が凄もうとして、止まった。

 見た目とは裏腹に、貴族の御嬢様ではない。それは分かる。
 彼女が倒した男二人は新入りの部下だが、それなりに見所はある連中。
 お貴族様の道楽武術で一方的に倒せるほど弱くはない。

 なので油断はしていないのだが――――どうも嫌な予感がする。

 まるで大昔、いつのまにか中位ドラゴンが背後にいた時のように。
 具体的に何が危険とは分からないのに、逃げろと何かが警鐘を鳴らしている。
 
 そして、改めて男は目の前の女を観察する。

 美しくも幼い容姿、身の丈に似合わぬ大弓。
 立ち姿に一切の隙は見当たらず、相当な武の練度が窺える。
 体格で勝る相手に対してさえ過度な緊張はなく、実戦経験も豊富そうだ。
 それもおそらくは、魔物よりも人間を多く相手にしている。

 そこまで考え、ようやく目の前の怪物の正体に気付いた。
 
「あ、あ、あんたまさか……エアウォリアーズの≪弓姫≫か!?」

「あら、御存知でしたの。では、どいてくださいませ」

「いや待った待った。改めてちっとだけ話聞いてくんねぇか?」

「生憎、犯罪に関わる気は毛頭ありませんわ」

「……は? いや、色々とヤバい話ではあるが、犯罪じゃねえぞ? あんたなら尚の事」

 にべもないシリルの言葉に、咥え煙草の男はきょとんとした顔になる。
 そんな彼に怪訝そうな視線を向けつつも、シリルはきっぱりと言い放つ。 

「誘拐して身代金を取るのは立派な犯罪ですわ。
もっとも、貴方方に私の誘拐など不可能ですし、うちの団も身代金なぞまず出しませんけれど」

「――――おう、馬鹿共。てめぇら何企んでやがった?」

 シリルの言葉に、咥え煙草の男は据わった目を転がる男達に向けた。
 殺気混じりの威圧を受けた彼らは、怯えつつも言い返した。

「いやいや、ゴバリオンさんが貴族風のガキ見繕って連れてこいって言ったんじゃないっすか!」

「そうっすよ! 気の強い生意気そうなのがいれば言う事はねぇって……!」

「馬鹿野郎! 条件に合うガキ見つけたら紹介しろっつったんだ!
うちはガキには手を出さねえっていつも言ってんだろうが!」

 ちっ、と舌打ちし、咥えていた煙草を握り潰す男――ゴバリオン・バラディカ。
 完全に火の消えたそれをポケットにねじ込む彼に、シリルが訊ねる。
  
「えーっと……どういう事ですの?」

「ああ。すまねぇな。うちの新入りが勘違いで迷惑かけた。とりあえず、迷惑料だ」

 ゴバリオンは自分の懐を探ると分厚い札束を取り出し、シリルに放り投げた。
 シリルはそれを掴むと、警戒は怠らぬまま中身を確認する。
 すると全てこの国の高額紙幣で、偽札は一枚もなかった。 

「随分気前のよろしい事ですわね。それで、一体どういう事ですの?」

「うちの稼ぎのメインは荒事じゃなく娼館なんだが――――ちょいと要求がアレなお客がいてな」

「子供に相手をさせるのも立派に犯罪――――ああ、そういえばこの国では年齢制限ないんでしたか?」

「いや、去年十五未満は一律禁止になった。なんで、それだったらきっぱり断れたんだが……」

「だが、なんですの?」

 言い淀むゴバリオンに対し、逃げを許さず問い質すシリル。
 そんな彼女に対し、ゴバリオンは視線を逸らしながら、観念したように言葉を続けた。 

「……単に、気品があって気の強そうなガキに色々踏んでもらったり叩かれたりしたいだけって要望でな。
しかも見られながらがお好きなもんで、そのついでに監視してくれて構わねえとまで言われちゃ、断るに断れなかったんだよ」

「どんなド変態ですの!?」

「そいつぁ守秘義務ってやつだ。で、どうだい? 
ガキンチョならちっとヤバいかもしれんが、あんたなら完全合法。
すげえ金払い良い客なんで、二時間やってくれりゃさっき渡した額の五倍出せるんだが」

「救いようがないレベルのド変態ですわねぇ!?」

 ゴバリオンの提案に、シリルは思わず叫んでいた。
 
 シリルに渡す金額が先程の五倍となれば、当然ゴバリオンに支払う金はそれ以上。
 それを拘束時間二時間で、となると最高レベルの娼婦でもそうそう要求できる金額ではあるまい。
 恐ろしい気前の良さだが、同時にそこまでして欲求を満たしたいという狂気をより強く感じる。
 控えめに言っても、関わりたい相手ではない。 

「なまじ金があるせいで性癖歪んだんだろうなぁ……で、返事はどうだい?」

「お・こ・と・わ・り・ですわっ!」

「そりゃ残念。っと、ついでと言っちゃなんだが、こいつも持ってってくれ」

 自分を押しのけて表通りに向かおうとするシリルに、ゴバリオンは再び懐から取り出した紙束を投げ渡す。

「……なんですのこれ?」

「うちの娼館の割引券だ。あんたの部下にでもやってくれ。
上手くすりゃお得意様になってくれるかもしれんからな」

「なかなか商魂逞しい方ですわねぇ……」

 部下の男二人を担ぐゴバリオンに呆れつつも、シリルは後ろ手を振ってその場を後にした。
  
コメント

前半のチンピラ二人組まではよくある事なんだろうなってw
その後の親分まではあるんでしょうが、娼館のスカウトと割引券を渡されるのは初でしょうねw

追伸
この世界のペット事情(割合とか)ネタはいかがでしょうか?
[2024/02/26 04:57] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


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