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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
白衣の英雄45
 リトルハピネス。老若男女を問わない客層がごった返すカナールの人気料理店。
 
 だが、現在は昼食のピークを過ぎたばかりという絶妙な時間帯であるためか、客はまばらである。
 時折主婦達の笑い声が響いたりする程度で、なかなか長閑な風情を醸し出している。

 そんな店内の一角で、海人達はアイスを頬張っている少女――ファニル・リベスティアの顔を眺めていた。

「美味しいか、ファニル嬢?」

「うん! ここのミルクアイス大好物だもん!」

 輝かんばかりに眩い満面の笑顔で答える。
 その表情には全く陰りが無く、不機嫌さなど欠片も見当たらない。
 海人の人間離れした観察力を持ってしても純粋に楽しんでいるようにしか見えないため、演技の可能性は極めて低い。
 
 話で聞いていたより随分と穏やかな様子の少女に、海人達は若干の戸惑いを覚えていた。

 思えば家から連れ出す際も、ハロルドの代わりに海人達がと言っただけで満面の笑みに変わって容易に連れ出せた。
 それを見たハロルドが頼んで正解だった、と思わず頬を緩めてしまう程に。

 その後買物の前に軽く昼食を、と言ってもむしろ嬉々として付いてきたし、食事中も子供らしく色々な話題を投げかけてきた。
 特に刹那と雫の出身国であるヒノクニについての話が気に入ったらしく、二人の服の構造などにもかなりの興味を示していた。

 それ自体は海人達にとって非常に好都合な話ではあるのだが――――やはり釈然としなかった。

 いくら良い子で礼儀も仕込まれているとしても、ファニルはまだ九歳だ。
 感情の制御が利きにくい年頃の彼女が、祖父への怒りを全く引き摺らず気分を切り替えられるとは考えにくい。

 どういう事なのだろうか、と三人揃って思考の片隅で考えていると、 

「うみゅ? どうかしたの?」

「いや、ハロルド老の話からして君はかなり不機嫌なんだろうと思っていたんでな」

「ほえ? どうして? ようやくおじいちゃんが私のために無理しなくなってくれた上に、
これだけ楽しいお話ししてもらえるんだから、嬉しくないはずないと思うんだけど」

 スプーンをくわえながら、首を傾げる。
 同時に少しだけ長めに伸ばされた赤毛が揺れる様が、何とも可愛らしい。
 
 が、海人達はそれよりも発言内容の方が気にかかった。

「……待て、ファニル嬢。君はハロルド老に約束を破られ続けた事を怒っているんじゃなかったのか?」

「むうぅ……私そんなわがままじゃないよ。
それにおじいちゃんは色んな人の生活を守るためにがんばって働いてるんだって知ってるもん。
そりゃ、少しは怒ってるけど……そんな事でいちいち怒んないもん」

 むすっとした顔で、ミルクアイスにかぶりつく。

 大口で食べたため、あっという間に残っていたアイスが無くなってしまう。
 満足感が足りない事に気付くも、後の祭り。

 小さく唇を尖らせるファニルに、海人は苦笑しながら自分のアイスを進呈した。
 
 良いの? と目線で尋ねられるが、元々海人は甘い物に執着があるわけではない。
 小さく頷き、今度は反応が返ってくる前に空になったファニルの器を自分の方へ引き寄せた。

 心底嬉しそうな顔でアイスを頬張り始めたファニルの顔を見ながら、海人は穏やかに質問を重ねた。  
 
「となると、君がハロルド老と口をきかなくなったというのは……」

「だって、おじいちゃん最近お話しするといつも次の約束の話するんだもん。
いつでもいいよって言っても聞いてくれないし、私との約束の為に無理なんてしてほしくないから、しばらくお話しない事にしたの」

 えっへん、と胸を張る。

 ファニルとしては、しばらく祖父を仕事だけに集中させてあげたかったために考え抜いた作戦であった。
 次の約束を交わす間もなく会話を打ち切って逃げれば、約束の為に無理をする事は無くなるだろうと考えたのだ。
 大好きな祖父からひたすら逃げ回るのは大変だったが、結果としては上々だった。
 十回ほど逃げたあたりで、無駄を悟った祖父が追うのを諦めてくれたのだから。

 今日また会いに来たのは予想外だったが、結果としては最善の方向に話が進んだ。

 約束の代理という事だから当面は祖父が無理な約束を交わしに来る可能性は無くなり、
しかもその代理は他ならぬ以前自分と母を助けてくれた男。
 ほのかに憧れを抱いている人物がわざわざ買物に付き合ってくれる上、一緒にやってきた二人も非常に話が弾んで楽しい。 
 
 これ以上は望むべくもない結果に、ファニルは非常に満足していた。

 ――が、祖父と孫娘の認識の齟齬を悟った三人はそうもいかなかった。

 ファニルのやった事は最善とは言えないが、とても責められる事ではない。
 言っても無駄どころか悪循環を作り出すのなら、いっそ話をしないというのは決しておかしな選択ではない。
 むしろ、まだ幼いにもかかわらずよくそこまで考えたと感心してしまう。
 
 問題なのは、その結果である。

 おそらくファニル本人はすぐさま逃げていたため気付かなかったのだろうが、
海人達が見た限りではハロルドの落ち込みはかなり深刻であった。
 一流の商人らしく気分の切り替えをきっちり行って仕事に支障は出していないのかもしれないが、
あのままでは徐々に影響が出始めていただろう。
 つまり、約束の為に仕事で無理を重ねるよりも、悪い結果になっていた可能性が高い。

 九歳という年齢にもかかわらず、五回立て続けに約束を破られてなお祖父の体を案じた少女の善意によって、である。

 人間関係の難しさの一端を、これでもかと感じさせられ、三人は揃って溜息を吐いた。

 そんな三人の反応の理由が分からないファニルが首を傾げていると、雫が気を取り直して口を開いた。

「ん~、でもファニルちゃんは偉いねぇ~。あたしがファニルちゃんぐらいの時には色々やんちゃやってたけどなぁ……」

「そうだな。昼寝している父上の顔に落書きしたり、拙者の焼き魚の中に分からぬようたっぷり塩をすり込んだり、
母上がこっそり買っていたプリンを盗み食いしたり、色々やらかしていたな」

 やれやれ、と息を吐く。

 今でも決して大人しいとは言えない雫だが、十になるまではもっとお転婆であった。
 刹那がやや生真面目すぎる性格に育ってしまった事を反省した両親が伸び伸びと育てすぎてしまったため、
今度は開放感溢れすぎた娘に育ってしまったのである。

 成長につれて今程度に落ち着きはしたものの、当時の苦労を思い返すと刹那は頭痛を堪えずにはいられなかった。  

「あっはっは、書いた後でお父さんに捕まって髭書かれたり、寸前でお姉ちゃんにバレてこっそり皿すり替えられたり、
何故かお小遣い貯めて買ったお菓子が食べる前に無くなってたりとかしてたけどねー」

 けらけらと笑う雫。

 昔の雫は確かに色々と悪戯を繰り返してはいたが、それが露見しなかった例はなかった。
 そして、その度にやった悪戯以上の反撃を返されていたのである。

 結局、因果応報という言葉を徹底的に叩き込まれた雫は今程度には大人しくなったのである。  
 
「あははっ、セツナお姉ちゃんもシズクお姉ちゃんも仲良いねー」

「いつも喧嘩ばっかしてるけどねー。そういえばファニルちゃん、買物は何買うか候補とかあるの?
ハロルドさんからかなりのお金預かってるし、いっその事髪飾り、帽子、靴なんかも一通り揃えちゃったらどうかな?」

「ん~……お母さんからお買い物する時は一つにしなさいって言われてるの。
悩んで悩んで悩みぬいて、最後に一つ泣きながら選ぶぐらいじゃないと、お買い物は楽しくないのよって」

 雫の言葉を、やんわりと断る。

 昔はあまり信じていなかった母の言葉だが、
実際前に何度か母に内緒で祖父に好き放題買ってもらった時は、買物がさして楽しくなかった。
 そしてその時買ってもらった物は飽きが早く、早々に使わなくなってしまった。
 お小遣いを頑張って貯めて一生懸命選ぶ時は買い物も楽しく、
五歳から今に至るまで使っている物も多いというのに。 
 
 なので、最近のファニルは祖父に買ってもらう時でも一つを厳選する事にしている。
 それならば買い物も楽しく、なおかつ自分のお小遣いでは一年貯めても買えない物も買える楽しみがある。
   
 そんな年に似合わずしっかりしている少女を見ながら、刹那は感嘆の息を漏らした。 

「良い家庭環境だな。物を見る目は間違いなく養われそうだ。
うちも見習うべきだったんだろうな。冒険者時代の雫の浪費癖ときたら……」

 そこまで言って、頭を抱える。

 冒険者時代、刹那は雫に財布を預けられなかった。
 珍しくお金が入っていても、雫に財布を持たせると数時間後には空になっていたからだ。
 ひどい時など、十万ルンが三十分後には消えていた事もあった。
 
「あっはっは、お姉ちゃんにはあんま言われたくないねー。
使うのはとことんケチるくせに稼ぐのには無頓着すぎるってのはどうかと思うよー?」

 姉の言葉に、思いっきり毒を吐く雫。

 雫は確かに金の消費には無頓着だが、稼ぐ方にはうるさい。
 冒険者時代も仕事相応の報酬を手に入れるべく頑張ってはいた。
 
 が、刹那の御人好しな性格ゆえに上手くいかなかったのである。
 
 食い下がったり脅しをかけるなりすれば多少の報酬は貰えたはずの場面で、
幾度となく制止されて手に入れ損なっている。
 それさえなければ、金運が壊滅的だったことを差し引いてももう少し豊かな生活を送れていたはずなのだ。

「ほほう……拙者の財布をこっそり抜いて一週間分の稼ぎを十分で使い果たした馬鹿が偉そうな事を言ってくれるな?」

「ふふん、一週間もかけて御仕事したってのに支払い能力がないって言葉を聞いて
代わりの現物支給さえ断った御人好しがなんか言ってるねぇ?」

「ふん、肉だの果物だのは狩ればいくらでも手に入っただろうが。
日課をいつも通り行うだけで済むんだ。大した話ではない」

「それを言ったらあの時使い果たした稼ぎ程度、きっちり報酬を受け取ってれば一日で稼げたはずだけどねー。
ってか一週間がかりの仕事で報酬五万って、いくらなんでもありえない額でしょ。
ま、稼げない事の方が多かったからそれでもマシな方だったけどねー」

 はっはっは、と笑い合う姉妹。

 どちらも顔は笑っているが、目が笑っていない。
 しかも先程までテーブルの上に置いてあった両者の片手が、いつの間にか下に移動している。
 時折二人が顔を顰めている事からすれば、海人達からの死角で何が行われているのか想像に難くない。
 しかも会話が進むにつれて二人の顔が歪む頻度は加速度的に増えている。
 町の食べ物屋にあるまじき、殺伐とした空気であった。

 ――しかし、最大の問題は別のところにある。

 それが極限に達しかけた時、海人が若干の哀れみを込めた声で二人を止めに入った。

「あー……二人共。悪い事は言わんから、そこまでにした方が良いと思うぞ?」

 言いながら、自分の横を指差す。

 刹那達がそちらに目を向けると、目に涙を溜めた少女の顔があった。
 今にも零れ落ちそうな液体を必死で堪えている様子だ。
 
 怖がらせてしまったか、と反省してすぐさま争いを止めるも、ファニルの表情は変わらない。
 それどころか、二人の顔を見たところで溜まっていた液体が頬を伝った。

 そこで、二人は違和感に気付いた。

 怯えている割には、ファニルはしっかりと二人の顔を見据えている。
 かと言って、二人に喧嘩しないよう諭す様子もない。
 はて、と姉妹仲良く首を傾げかけたところで、自分達の思い違いに気付いた。
   
 そう――ファニルの目に込められた感情は、憐憫。

 あまりにも悲惨な境遇にあったらしい姉妹への、深い同情。

 気付けば、周囲の空気も妙に空気が重くなっていた。
 ウエイトレスに視線を向けると目元を拭っていたハンカチを慌てて後ろ手に隠し、
主婦達に向ければ気の毒そうな視線をこれまた慌てて逸らされる。
 二人からは死角になっているが、この店の料理長兼女主人も厨房で目頭を押さえながら新しいデザートを作っていた。 
 
「あああ!? そんな目で見ないで!? い、一応人間らしい生活は送ってたんだよ!?
平均すれば……そう、二週間に一回ぐらいはちゃんと町で食事できてたんだから!」

「そ、そうだ! それに一ヵ月に一度ぐらいは宿に泊まれていたはずだ!」

 どうだ、とばかりに胸を張る姉妹。

 ――彼女らは知らなかった。

 駆け出しの商人でも、もっとマシな生活を送っている事を。
 格差の激しい冒険者稼業でも、そこまでの極貧生活を送っている者は稀だという事を。
 せめて、たまに良い材料を買って自分で料理していた事を言っていれば、ここまで哀れまれずに済んだ事を。

 が、いかなる理由であれ二人の反論が駄目押しである事には変わりなく、周囲の憐憫の目が収まる事はなかった。

 ――――こうなる事を承知で二人に自覚を促し、慌てる二人を楽しげに眺めている根性悪を除けば、だが。























 ラクリアは、とある建物の前で悩んでいた。
 
 原因は手元にある地図。
 少し前に土から掘り出したばかりのその地図は、所々変色して破れている。
 それでも示された場所を知るには十分だったが、一つだけ困った事があった。

 地図の場所と記述からして、目当ての物の一つはこの建物の下にあるはずなのだ。 

(何もないはずの所に町があるから、おかしいとは思ったけど)

 地図が古すぎた事を悟り、ひっそりと嘆息する。

 必要な物ではあるが、建物を建てる際に既に見つかっている可能性が高い。
 土台を作る際の掘り返しが浅ければ見つかっていないかもしれないが、望みは薄いだろう。
 念の為に掘り返して探したいところではあるが、流石に人様の建物を勝手に破壊する訳にもいかない。
 
 事実上、選択肢は一つしか残されていなかった。 

(ここはとりあえず後回しにして……他の場所に行くしかない)

 少し肩を落としながら、踵を返す。

 王城から自分が逃げ出した事はこの国の上層部には知られているはずだ。
 流石に既に国境を突破している事には気づかれていないだろうが、
日数がかかってもルクガイア国内で見つからなければ、必ずその可能性を考えられるだろう。
 残された猶予は、楽観できるほどに長くはない。

 ――――なので急がねばならなかったのだが、世の中そう上手くは進まない。

「お、なかなか可愛い姉ちゃんじゃねえか。ちっと俺に付き合わねえか?」

「申し訳ありませんが、急ぎの用事がありますので失礼します」

 即座に、だが丁寧に断って踵を返す。
 
 婚約者が早世したために、昔から城のパーティーでダンスパートナーになろうと寄ってくる者達をあしらっていたので、言い寄る男の扱いは慣れている。
 礼を失さない程度に迅速に断り、二の句を継ぐ前に立ち去れば追ってくる可能性は極めて低い。
  
 ――が、それは一定の礼節を備えた者が集う場以外では効果の薄い手法であった。
 
「おいおい、待てよ姉ちゃん。いくらなんでもつれなすぎやしねえか?
ちょっと酒一杯付き合ってくれってだけなんだぜ?」

 男は立ち去ろうとするラクリアの肩を背後から掴んだ。
 加減が下手なのかする気がないのか、指が分厚いマントごと華奢な肩に食い込んで痛みを発している。

「本当に急ぎの用事なのです。お願いですから、手を放していただけませんか?」

 優美な顔を微かに歪めつつも、あくまでやんわりと断る。
 おそらくは無駄だろう、とは感じつつも。

「澄ました顔してんじゃねえよ! いいから来いってん――!?」

 ラクリアの腕を掴んで引き寄せようとした瞬間、男の天地がひっくり返った。

 それが投げ飛ばされた事によるものだと男が知ったのは、
地面に豪快に頭を叩きつけられた瞬間であった。
   
「――――馬鹿みたい」

 ラクリアは昏倒した男を見下し、地の口調で冷たく言い捨てた。

 足元の男にもだが、世間知らずゆえに穏便に終わらせられなかった自分にも腹が立っていた。
 普通の女性ならばもっと上手く立ち回れるはずだ、と。

 さらに言えば、自分の無駄に恵まれた顔にも腹が立っていた。
 みすぼらしい格好をして薄汚れている現在でさえ、目聡い男の視線を向けられてしまう。
 そのせいで、目立ちたくないというのにこの町についてから五回も声を掛けられた。
 体型はマントで隠しても問題ないが、顔は完全に隠してしまうとかえって目立つためそうもいかない。
 亡き母から受け継いだ自慢の一つではあるが、現状では疎ましいだけだ。

 そんな解決する事の無い疲労感を感じながら立ち去ろうとした瞬間、    
 
「なんだぁ、今の音……ゴルゾフ!? おい、しっかりしろ!」

 通りの角から、男の仲間と思しき者達が駆け寄ってきた。

 無視して歩き去ろうとするも、その前に体格の良い男が立ちはだかった。
 どうやら、一番近くにいたために犯人だと悟られてしまったらしい。

 どうするか、と考えている間に昏倒した男が仲間に活を入れられて起き上がってきた。 
   
「てめえ……よくもやってくれたな!」

「……先に仕掛けてきたのは、そちら」

 もはや口調を取り繕う気も失せ、これ見よがしに溜息を吐く。

 男の怒りは、逆恨みにもほどがあるとしか言いようがない。
 あくまで丁重に断っていたというのに、腕を掴んで無理やり連れて行こうとすれば投げ飛ばされて当然だろう。
 
 さらに言えば、ラクリアの体術はあくまで嗜み程度に身に付けた護身用の拙い物だ。
 大の男が筋力で劣る女性にそんな技術で投げ飛ばされるなど、恥の極みとしか言いようがない。

 その軽侮の念が伝わったのか、男はますます激昂した。   

「やかましいっ! 覚悟しやがれ!」

 その怒声に呼応するかのように、仲間の男達も拳を構えた。

 武器を抜かないあたり一応理性は残っているらしいが、
大の男達が己の非も認めず女一人を囲んでどうこうしようと考えている段階で色々と終わっている。 

 とはいえ、相手の数は五人。
 いかに雑魚だとしても、拙い護身術だけでどうこうできる数ではない。

(……ここだと他の人を巻き込む)

 周囲を見渡し、ラクリアは少し迷った。

 目の前の男達を片付ける事自体は容易い。
 上位魔法ならば一撃で確実に、中位魔法なら多重起動による数発で殺さずに打倒する自信がある。 
 騒ぎが大きくなってしまうだろうが、さっさと町の外に出て人目に付かない所でフェンを呼べば逃げられる。

 が、魔法を使って戦えば、その破壊力ゆえにどうしても周囲に被害を出してしまう。
 どこか怯えた空気の漂っていた祖国の城下町とは比較にならない程賑やかなこの町に。
 修繕費など払えるはずもない、自分が。

 ラクリアは素早く身を翻すと加速魔法を使い、道を塞いでいた男の脇を素早く潜り抜けて、駆け出した。

「逃がすな! 追えっ!」
  




















 
 
 
   
 
 




 日差しが丁度心地良い強さになり始めた頃、海人達は町を歩いていた。
 微かに膨らんだお腹を撫でながら、雫が明るい声を出す。
 
「いやー、でもパフェ美味しかったねー」

 あの後、店主であるミッシェルがサービスという事でパフェを持ってきてくれた。

 カリカリとしたコーンフレークの上に三段のアイスが乗り、ホイップクリームとチョコレートソース、
おまけにバナナとイチゴで彩りを加えられたそれは実に絶品だった。

 ――かなりへこんでいた気分も吹き飛ばすほどに。 

「若干後ろめたくはあったがな」

 刹那は小さく息を吐いた。
 
 ミッシェルの目が微かに赤かった事からして、同情に近い思いからのサービスだったのだろうが、
以前はともかく現在の刹那達は海人のおかげで一般平均よりもよほど豊かな生活を送っている。
 
 騙したような気分で、些か後ろめたかった。

「君は少し真面目すぎるな。
そもそも嘘は吐いていないし、パフェに手を付ける前に説明もしただろう?」

 刹那の言葉に、海人は苦笑していた。

 一応、パフェが運ばれてきた時にミッシェルに現状の説明はしてある。
 海人が雇ってからは、ほぼ不足の無い生活を送らせていると。

 だが、それでも彼女は迷う事無くサービスだと言い張ったのだ。
 その後で『大事にしてやんなよ』と海人は肩を叩かれたが。

「ほらほら! 早く次のお店行こっ!」

 引きちぎらんばかりの勢いで、ファニルは海人の袖を引いた。

 刹那達の話を聞いた直後は深く考え込み、買物に行くのも悩みそうになっていたファニルだったが、
幸いにも傍に口が上手くごまかす事に長けた男がいたため、すっかり元の調子を取り戻していた。

 唯一の計算外は元気を取り戻しすぎて子供特有の無限の体力を発揮し、 
海人が説得した事を後悔しそうになる程にあちこちの店を見て回っている事だ。
 地図を見て計画的に回ってはいるが、この町はかなり広いため、貧弱な海人の体力では辛いのである。
 
 それでも一度引き受けた以上はきちんとこなさねばならない、
と殊勝な精神で足を動かそうとした瞬間、少し離れた場所から妙に騒々しい音が聞こえてきた。

 その音はどんどん近づいてきており、段々とその内訳もはっきりしてくる。
 大地を蹴る足音、男の物と思しき怒声、通行人の物と思しき悲鳴、大雑把に分ければそんなところだ。
 控えめに言っても、愉快な騒動によるものではないだろう。
  
 無視するには音の接近速度が速すぎたため、海人は仕方なさそうに音源の方向へと顔を向けた。 

「やれやれ、何事だ?」
 
「……なんかしつこくナンパされたあの女の人が男はっ倒したら仲間がやってきて~って流れみたいですね」 

 雫は拙い身のこなしで逃げ回りながら近づいてきている女性を指差し、陳腐だなぁ、と感想を漏らした。

 実際、陳腐な状況であった。
 むさ苦しく、お世辞にもモテるとは思えない男達が、小汚いバンダナを頭に巻き、ぼろっちいマントを羽織ってなお、
生来の美しさの片鱗を覗かせる美女を追い掛け回している。
 これで颯爽と現れて助けに入る男でもいれば使い古された安っぽい英雄譚の完成だが、そんな奇特な人間は現れていない。
 陳腐な上に片手落ちという、実に救い難い状況である。

 念の為助けに入れない事もないはずの男に視線を向けるが、彼は案の定予想通りの反応をしていた。

「ふむ、となると……」

 迂回するか、と即断で女性を見捨てようとした海人の動きが、止まった。

 くいくい、と白衣の袖を引っ張る感触がある。
 そちらに目を向けると純真無垢な瞳が、助けてあげて、と要求してきている。
 以前自身がもっと危険な状況で海人に助けられたためか、出来ないとは微塵も考えていないようだ。

 それからさりげなく逃れようと横に視線を滑らせると、今度は冷静さを取り繕いつつも微かに顔を顰めている護衛がいた。
 日常の動作でも無駄の少ない彼女にしては珍しく、若干体が前に傾き、握り締めかけた拳を緩めている。
 おそらく、助けたいが海人の護衛という立場上余計な揉め事に関わるわけにはいかないと考えているのだろう。
 
 ――正直、海人としては関わりたくない。
 
 こんな揉め事など、気付かなかったフリをして避けて通りたい。
 女性を助けるなどという陳腐な真似をして大騒動に発展した事は一度や二度ではないし、
下らない正義感で余計な揉め事に首を突っ込んで死にかけた回数はもっと多い。
 
 が、残念ながら海人は変な所で甘い。

 必要とあらばいかなる外道も非道も辞さない男だが、ほぼ確実に自身の安全を確保できる状況で、
幼い子供の懇願を無視しつつ身内に我慢を強いるような決断はできなかった。
  
「……刹那。すまんが手早く全員昏倒させてきてくれ」

「え? よろし――い、いえ、いけません。今片付けても後になって……」 

 一瞬顔に喜色を浮かべるも、刹那は直ぐに顔を引き締め毅然と断った。

 この場で刹那が男達を昏倒させるのは容易いが、それは確実に禍根を残す。
 相手の命を断てない以上、何らかの形で報復に来る可能性が高いのだ。
 無論海人に直接危害が及ぶようなヘマをするつもりはないが、いずれにせよ報復される事自体が煩わしい事この上ない。

 護衛という立場上、そんな事をするわけにはいかなかった。
    
「そっちの処理は私がやる。なに、心配せずとも後腐れは残さん」

 軽く肩を竦め、刹那の懸念を一蹴する。

 あまりやる気の無さそうな口調だが、腰が引けている様子も見受けられない。
 この事後処理程度、大した作業でもないと確信しているからこその自然体である。  
 
 それを見て取った刹那は数瞬逡巡した後、海人に勢い良く一礼して戦場へと飛び込んでいった。

 唐突な乱入者に男達が一瞬動揺するが、刹那の顔を見た瞬間それは好色そうな笑みへと切り替わった。
 良い獲物が一人増えた、とでも思ったのだろう。

「寝てろ」

 冷淡な声と共に、拳が振るわれる。

 まずは右の拳が女性の背後に迫っていた男の腹を抉る。
 強烈な衝撃によって男の意識が断たれ、白目を剥いた。 

 次いで刹那は拳を引いた勢いで自分の背後にいた男の鳩尾に肘を叩き込んだ。
 振り返りもせずに的確に急所を貫いたその一撃は、またしても容易く相手の意識を奪う。
 
 最後に地を蹴って自身の拳の間合いの外にいた男へと肉薄する。
 何が起こっているのか分かっていなかった男は反応も出来ずに棒立ちのまま蹴り倒されてしまう。

 ドサ、と男達が地面に倒れる音を背後に、刹那は女性――ラクリアに声を掛けた。

「大丈夫ですか?」

「は、はい、おかげさまで。ですが、後二人いたはずなんですが……」

 刹那はその言葉にハッとなり、慌てて周囲を探る。
 迅速に助けるためについラクリアの傍に来てしまったが、考えてみれば回り込む人員ぐらい用意していてもおかしくはない。
  
「やれやれ……待ち伏せしている人間ぐらいちゃんと把握しておけ」

 溜息を吐きながら、海人と雫が男を一人ずつ担いで現れた。
 二人の顔をラクリアに見せると、絡んできた男達だと確認が取れた。

 あまりにあっさりと残りの男を捕らえていた海人達に二人が揃って驚くが、
海人からすればラクリアはともかく刹那は気付いていない方が不思議だった。

 というのも、遠巻きに見守る野次馬の中、捕らえた二人はこそこそと騒ぎの中心に近づこうとしていたのだ。
 遠目に見てもそれと分かる下卑た笑みを浮かべて。

 なので刹那も当然気付いているだろうと思って放置していたのだが、
仲間が倒される様を見て慌てて逃げようとしたにもかかわらず彼女が動かなかったので、
念の為背後からこっそりと近づかせておいた雫に合図を送って殴り倒させたのである。
 
 その旨を話すと、刹那は恐縮しきりといった様子で直角に頭を下げた。  

「も、申し訳ありません!」 

「ま、次からは気を付けてくれ。余計な手間が増える。
それでは後腐れを無くす為に説教してくるから、ファニル嬢を頼む。
悪いが、雫も少し手伝ってくれ」

 言いながら、ファニルを刹那に預ける。

 同時にとりあえず問題は解決したらしい、と周囲に集まりつつあった野次馬も散り始めた。
 多少の騒動はこの町では日常茶飯事なので、極端な大騒ぎにはならないのである。
 今は町全体が元々お祭り状態なので、尚更だろう。

 町が賑わいを取り戻していく様子を横目に、海人は雫と連れ立って五人の男を運び、路地裏へと消えて行った。

 ――礼を言おうとして、タイミングを掴み損ねたラクリアには気づかぬまま。




  

 


























 十分後。普段と変わらぬ無愛想な顔で、海人達は戻ってきた。

「待たせたな」

「いえ。随分早かったように思いますが……」

「なに、心配せずとも平和的に禍根は断った。そこの女性ももう一度襲われる事はあるまい」

 ふ、と自信を漂わせながら薄く微笑む。

 以前似たような事があったため、それ以来海人は平和的解決用の道具を携帯している。
 そして道具さえあれば、海人にとっては二度と関わる気がなくなる程度に処理する事など造作もない。
  
 むしろ今やっているどんなお説教をしたのかと無邪気に訊ねてくるファニルをごまかす作業の方が重労働だ。
 彼女の教育上正直に話すわけにはいかないが、嘘を吐くのも些か心苦しいのである。

 そんな彼の苦悩を他所に、刹那は雫に確認していた。

「……雫、お前もそう思うか?」

「ま、報復は考えもしないだろうね~。ああ、海人さんってホント素敵……」

 そう言って恍惚に身を震わせる妹から視線を外し、刹那は幼い少女相手に苦闘している海人に引き攣った顔を向けた。

 容赦の無い行為が大好きな雫がこうも悦んでいるとなれば、海人は相当悪辣な事をやったはずだ。
 それはもう、筆舌しがたい程にド外道な行為を。

 が、海人はそんな余韻など微塵も残していない。
 いつも通り無愛想ながらも穏やかな空気を纏い、じゃれついてくるファニルをあしらっている。
 子供相手には少々ぶっきらぼうな口調が難点だが、それを差し引いても優しさを感じる。

 おそらくは悲惨だっただろう人生経験によるものだろうが、恐るべき切り替えの早さである。

「あの、ありがとうございました」

 ペコリ、と今度こそ頭を下げるラクリア。

「私は大した事はやっとらんがな」

「ですねー。飛び込んだのはお姉ちゃん、待ち伏せてたの倒したのはあたし。
海人さんはファニルちゃんとのんびり見物してただけですもんねー」

 けけけ、とからかうように笑う雫。

「もう、シズクお姉ちゃんそんな事言っちゃだめだよ!
待ち伏せしてる人に気付いたの、カイトお兄ちゃんでしょ!」

 雫に対し、ぷんすかと怒るファニル。
 本人は怒っているつもりなのだろうが、大人から見ればむしろ可愛らしい姿である。

「……そうなのか?」

「人混みの中まで注意払ってなかったからねー。言われたら流石に気付いたけど」

 若干呆れ混じりの視線を海人に送りながら、姉の問いに答える。

 お世辞にも上手い移動の仕方ではなかったため、聞けばすぐに誰の事か分かったが、
流石にあの状況で人混み全体までは注意を払っていなかった。 
 とぼけた態度とは裏腹に警戒心が強い海人だからこそ、即座に気付く事が出来たのだ。
  
 ――とはいえ、即座に気付かなかったところで問題もないのだが。

「ま、大した事ではない。
雫なら逃げ出そうとした瞬間に見極めて即座に昏倒させに行けただろうしな」

「それでも、助けていただいた事には変わりありませんよ。
ですから改めまして、ありがとうございます、です」

 ラクリアは可憐な微笑みを浮かべ、改めて頭を下げた。

 その動きは実に優雅で、一瞬ボロボロの服装が煌びやかなドレスに変わったかのような錯覚さえ覚える程だった。 
 努力だけでは決して手に入れられない、生まれながらの気品あってのものである。

 その優雅さに四人が気を取られていると、

「それでは、皆さん。申し訳ありませんが、急ぎの用がありますのでこれで失礼させていただきます」

 丁寧に一礼すると、ラクリアは足早に去っていった。

 急ぎ足の後姿はたどたどしく、人を避けるのに必死な姿からは先程の優雅さの欠片も感じられない。
 随分ギャップのある人だ、などと思いながら見送っていると、  

「……海人さん、どうかしました?」

 ふと、雫が海人に問いかけた。
 
 彼にしては珍しく、女性が去っていった方向を興味深そうな目で見ている。
 確かに只ならぬ優雅さとなかなかの美貌の持ち主ではあったが、海人がその程度で気に掛けるとは思えない。
 海人の周囲には両方を併せ持つ女性は珍しくないのだから。
 
「なに、大した事ではない。気苦労の多そうな女性だと思っただけだ」

 ふ、と海人は柔らかく笑った。

 彼はラクリアが逃げている時、バンダナの額部分の色だけが若干違っていたのを、人間離れした観察力で見つけていたのだ。
 その部分が男達を片付けてからは他の部分の色と同色になったところも。

 となれば、彼女の種族は見当が付いた。
 その気になれば、おそらくあの程度の男達は容易く蹴散らせたであろう事も。
 余計な破壊を行わないためにあえて逃げていたであろうという事も。

 要は儚げな外見に似合わずなかなか根性が座った女性だ、と感心していたのである。

 先日滅びた国の事を考えると些か不安もよぎるが、それは普通に考えれば考えすぎである。
 彼女の種族の数は多くないが、あの国だけに存在するわけではない。
 なにより情報統制が行われていたとしても、投入された戦力など諸々考えれば、この国にやって来ている可能性は極めて低い。 

 そんな極々常識的な結論を出し、海人は袖を引っ張るファニルに関心を移した。

 ――――その極低確率な可能性こそが正解であり、後々自分に関わってくると知る由もなく。















































 主をベッドに寝かせたローラが戦闘訓練の指導に赴こうと廊下を歩いていると、
訓練場へ行く途中であったシャロンが恐々といった様子で声を掛けてきた。

「あの、総隊長……」

「なにかしら?」

「シェリス様にいったい何が?」

「無駄足を踏んだ精神的ショックで倒れただけよ。
溜まっていた疲労が一気に噴出したんでしょうね」

 足は止めず、平然と大嘘を吐く。
 そこに一切の動揺は無く、足音のリズムにさえ揺らぎが無い。

「涙の痕はともかくとして、尋常ではなく魘されておられたようでしたが……」

「再び時間を捻出する夢でもご覧になっているのでしょうね」

「風が~、とか首が折れる~、とか明らかに関係ないうわ言がありましたが?」

「それなら、私との実践訓練の時の事でも思い出されたんじゃないかしら?
風の上位魔法は幾度となく叩き込んでいるし、首が折れる寸前まで極めるのはいつもの事だもの」

 どこまでも淡々ととぼけ続けるローラ。

 この場に海人でもいればその唇が若干上に上がっている事に気付いただろうが、
残念ながらシャロンにはそんな観察力の持ち合わせはない。
 
 一向に表情を動かさない上司に、シャロンは疲れた様子で追及を諦めた。  

「……はあ、もういいです。シェリス様の分の書類はどうしましょう?」

「いつも通り皆で手分けしましょう。私がシェリス様を叩き起こすと言っても、皆は嫌がるでしょう?」

「……やっぱりそうなりますよね」

 予想通りの返答に、ガックリと肩を落とす。

 シェリスという女性は、非常に部下達からの人望が厚い。
 それは彼女がどれほど身を粉にして国の為に貢献しているかを間近で見続けているという点もあるが、
なによりも本人の人徳が大きい。
 日頃から恐ろしい程の忙しさを提供してくれる主ではあるが、部下一人一人の許容量は見極めた上で仕事を割り振り、
それを成すための一環として自分がやる必要のない仕事も自分に割り振っている。
 そのおかげで、ローラを除く全使用人は平時における十分な睡眠時間が確保されているのだ。

 ――そんな主だからこそ、倒れた場合は誰も無理に起こそうなどとは考えない。

 ローラと揃って仕事を投げた時などは流石に追いかけもするが、
不慮の事故で倒れたのなら誰も無理に働かせようとは思わない。
 今のようなかつてない激務に追われている時でさえも。
  
 無論、シャロンもその一人ではあるのだが、いかんせん今の仕事量から更に増加というのは辛すぎる。
 今の口ぶりからしてローラも分担に加わるのだろうが、主の仕事は受け持てる人間が少ない為、
さして楽にはならないのだ。 

 ――とはいえ、ローラを責める気にもならない。
 
 仕方の無い側面もあるとはいえローラの仕事量は毎日が殺人的である。
 ここしばらくに至っては、本当に寝ているのか疑問に思ってしまう程だ。

 そんな激務の中無駄足を踏まされれば、怒るなという方が無理だろう。
 むしろ、シェリスの首が無事であった事を喜ぶべきである。

 とはいえ、人間の感情はままならぬもの。
 理性に反して、シャロンの目線はひたすら恨めしさが漂っていた。
 
「そんな目をする余力があるなら大丈夫ね。
そうそう、明日あたりカイト様のところに誰か予約を取りに行かせるように。
シェリス様も私ももう一度無駄足を踏めるほど暇ではないから」

「了解です……しかし、今回はまた随分と予定が狂いましたね」

 ふう、と息を吐く。

 シャロンがこの屋敷に勤め始めてからそれなりの年月が経つが、主の計画がここまで狂ったのは初めての事だ。
 勿論多少の狂いはそれなりの頻度で存在するが、大概は現場の判断で対応出来たり、念の為に用意された保険で片付いてしまう。
 今回のように徹底的に準備を整えてしくじるなど、まさに驚天動地の出来事だった。

「そうね。でも、遠からず丸く収まるはずよ。違うかしら?」

 淡々と尋ねる上司に、シャロンは苦笑を返した。

 ローラの言う通り、これだけ予定外の事態が重なった現状でも、
シャロンに限らず屋敷の人間全てに遠からず良い形で終わるという確信がある。

 ――彼女らが仕える主なら必ずや事態を丸く収めるという、絶対的な信頼が。
 
 
 


  



テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
そろそろ
授業を・・・

あとローラさんと個人レッスンを(棒)
[2011/05/20 01:11] URL | ななし #KXk9S5Lk [ 編集 ]


おぉ!更新来てた!

更新がなかったのにはそんな裏があったとわw



今回も楽しく読ませていただきました^^
今後どんな形で海人が事件?に巻き込まれていくか楽しみです!

次回の更新が待ち遠しいです。


p.s
上のコメにもありますが授業の話もそろそろ読みたいです^^
もちろんローラの個人(ryもw



[2011/05/20 19:37] URL | baru #ZujHqT5A [ 編集 ]


更新キターーーー!

王女様人じゃないのか・・・エルフ的な種族ですねきっと
人外認定されてるローラさんとシリル(身長)は人間なんですか?
主要キャラの種族が分からない・・・

話の最後のシェリルさん踏んだり蹴ったりですね
[2011/05/20 23:24] URL | 煉恋々 #h2YGRmSs [ 編集 ]


作者様が執筆苦労なさってるせいなのか、どんどん物語の進展が冗長なっているようなw
一部二部と凄く纏まっていたのに比べると三部以降は余計そう感じてしまいますね
まあ、伏線はありますが事件らしい事件が起きてないのでしょうがないかな、もう少し物語り全体が動いてほしいかなとは感じました



[2011/05/23 15:45] URL | ガヤ #64TjWBNY [ 編集 ]


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