ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
白衣の英雄54

 とある屋敷の、静寂に満ちた長閑な和風庭園。
 小鳥達は木の枝で鳴き、時折吹き抜ける風は芝生をゆらゆらと揺らしている。
 空を見上げればどこまでも青く澄み渡った、突き抜けるような快晴。
 この庭の地面に寝っ転がりながら空を仰げば、誰もが穏やかな開放感に浸れるだろう。
 
 そんな穏やかな光景の中心にある一区画。
 そこには木製のベンチが設置され、傍らには大きな和傘が突き立てられている。
 その傘の下に二つの人影があった。

 一人は、長い黒髪を白い紐でポニーテールに纏めた女性。
 彼女は白い半着に紺の馬乗り袴という服装を見事な程に着こなしており、
腰に帯びた二本の打刀やその凛々しく美しい顔立ちと相まって、いかにも女剣客といった風情を醸し出している。

 もう一人は、女性と同色の髪を短めに切り揃えた少女。
 彼女は幼さを残した愛くるしい顔立ちに小柄な体型と非常に可愛らしいのだが、
濃緑の半着に紺の四幅袴という暗い色彩の服装、背中には二本の小太刀を十字に背負い、
と身に纏う物は可愛らしさとはかけ離れていた。

 そんな二人は、何を話すでもなく緑茶を啜りながら、
互いの間に置かれたみたらし団子を頬張っている。
 
 そのうち皿が空になると、二人は背後に置いてあった餡団子の乗った皿と入れ替え、
再びゆっくりと団子を食べ始める。
 
「……むー、やっぱ海人さんいないとつまんないなー」
 
 ふと、少女――――宝蔵院雫が口を開いた。

 それと同時に、団子に伸ばす手が止まった。
 その頬はぶく~っと膨らんでおり、いかにも不満気である。 

「……御仕事なのだから、仕方ないだろう」

 女性――――宝蔵院刹那も、溜息を吐きながら手を止めた。

 妹の気持ちは分からなくもないが、それは我儘というものだ。
 今話題に上っている自分達の主は、数日前から地下に籠もって仕事で引き受けた大量の書類を処理している最中だ。
 それは屋敷のローンなどを払う為でもあるが、護衛である自分達に支払う給料を稼ぐ為でもある。

 しかも地下に籠もり始めた日にはしばらく仕事にかかりきりになるからと、その稀少極まりない魔法――――創造魔法を用いて、
大食らいで食道楽でもある自分達の為に大量の菓子や食材などを作ってくれたのだ。
 
 普段の光景から一人欠けた寂しさは消しようもないが、これで文句を言っては罰が当たる。
  
「そりゃ分かってるけどさー……あーあ、せめてラクリアさん達がいればなー」

 唇を尖らせながら、数日前にこの屋敷を去った女性とその騎獣の姿を思い出す。

 彼女らがいた時は、色々と楽しかった。

 ラクリアは物静かで自分からはあまり喋らなかったものの、
何か話題を振れば元王女の名に相応しい教養を披露し楽しませてくれたし、その騎獣であるフェンは怪我を癒す為にあまり動かなかったが、
日向ぼっこをしながら大きな尻尾をパタパタと揺らす様が愛嬌に溢れ、見ていて飽きなかった。

「発たれてしまった以上、仕方あるまい。それに、海人殿も今日中には出てこられると仰っていただろう?」

「そりゃそうだけ…………あっ!?」

 不意に立ち上がり、雫は嬉しそうな顔を建物の方へ向けた。

 地下にあった彼女の主の気配が、地上へと上がり始めた。
 しかも気怠く歩いているような速度だが、真っ直ぐ庭へと向かってきている。
 おそらく、仕事が終わった気分転換に外の空気を吸おうと思っているのだろう。

 そう判断した雫は鼻歌など歌いながら、急須の中身を地面にぶちまけて新しい御茶を淹れ始めた。
 妹の行動に合わせて刹那もまた横の大皿を片付け、団子を小皿に丁寧に盛り付け始める。

 やがて、建物へと続くドアが開けられた。

「おや……御茶をしていたのか?」

 欠伸を噛み殺しつつ、この屋敷の主――天地海人はゆっくりと庭に入ってきた。

 一応悪人系ながらも美青年に分類されるその顔は目の下にクマができ、
本人の疲れのせいかトレードマークの白衣も妙に薄汚れて見える。
 普段は悪の貴公子然としている男なのだが、今はまるで底辺まで落ちた没落貴族のようである。 

 これが生まれ育った世界において、様々な分野の研究を劇的に進めて数多の科学者に絶望を与え、
それに付随して生じたトラブルを根こそぎ叩き潰し、時には国家組織さえも返り討ちにした怪物だとは誰も思わないだろう。
 
「お疲れ様でーす。御仕事の方はもう終わったんですか?」

 横にずれて海人の席を作りつつ、雫はお茶を差し出した。
 海人は礼を言いつつそれを受け取ると、一口啜ってどこか虚ろな口調で答えた。
 
「……一応な。自分の馬鹿さ加減にひたすら嫌気がさしたが」

「どういう意味です?」

「はっはっは……書類作業中にふと昔作ったロボットの事を思い出してな。
それを利用すれば全自動で書類処理が出来たんだ……今までの苦労は、本当になんだったんだかなぁ」

 刹那から差し出された団子を頬張り、天を仰ぐ。
 甘いはずの団子が、妙にしょっぱかった。

「へ? あの、そんな道具があるんなら何で今まで気付かなかったんですか?」

「元々の用途が全く違う物だったからな。本っっっっ当にアホだった……」

 頭を抱え、自戒する。

 仕事として引き受けた書類は全てが計算関係で、新しく文字を書く必要は無かった。
 そして、海人は昔知人の依頼で書類の項目や数字を読み取って全自動で必要な書き込みを行うロボットを作った事があった。
 それにこの世界の言語をインプットすれば、苦労する必要もなく書類を片付けられる。

 ――――ここまでは、大分前に思いついていた。

 だが、唯一にして最大の難点が一つ。
 そのロボットは画一的な文字の印刷しかできないという欠点があった。
 元の世界ではそんな事を考える必要がなかった為だが、これは致命的だ。
 書類処理を依頼してきた御令嬢がそれを目にすれば、確実に追及してくる。
 それまでずっと直筆で書いていたのに、何故こんな手間のかかる方法にしたのかと。 
 
 この世界にインクジェットプリンターなどはなく、印刷は全て古典的な活版印刷だ。
 その常識からすればわざわざ数字を全て判子で押したようにしか見えない。

 海人は厄介事が押し寄せてくること間違いなしのオーバーテクノロジーの公開などする気はさらさら無い。
 が、件の御令嬢は勘が鋭く、大量の書類処理に忙殺される日々を送り、しかも毒蛇よりも油断ならない人物だ。
 切っ掛けを作ってしまえばあの手この手で探りを入れてくるだろう。
 それをかわし続ける自信はなくもないが、それよりは手書きで全て処理した方が間違いなく楽である。

 と、こんな理由で諦めていたのだが――――海人は自分が開発した別の物の事をすっかり失念していた。

 それは、その昔海人が気紛れに開発したロボット。
 知人からしつこい記者を懲らしめる良い方法はないかと相談されて思いつきで作った物。

 ――――筆跡完全模写ロボット。名を『まねっちゃん』という。

 これの性能自体は、非常に優れている。
 再現したい人物の文字を一定量読み取らせれば、精神状態による筆跡の違いまで再現してしまう。
 その再現度たるや、一見では間違いなく判別不能どころか専門家の鑑定すらも容易く潜り抜けてしまう。
 
 と言っても、海人が住んでいた世界においては筆跡再現だけでやれる事は限られていた。
 せいぜい家庭持ちの男の恋文などを捏造し、それを使って家庭不和の切っ掛けを作る程度。
 現実にはそこから本当の不倫が発覚してその男は社会的に破滅したが、それは偶然にすぎない。
 本人の指紋もついていない捏造手紙など、裁判ではさほど効果を発揮しないのである。
 
 しかも実際に使った時は相談してきた知人にやらせたので手間はかからなかったが、
本来は入力用の直筆の文字を手に入れるにはそれなりの手間がかかる。
 更に本格的に誰かを陥れるとなったら、より面倒な状況証拠などの捏造まで行わなければならない。
 そのくせ外部に漏らして自分に使われでもしたら面倒な事この上ない。
 結局、海人は完成から三日もせずに解体し、作った事さえもすっかり忘れ去っていた。

 ――――それと計算用のロボットの機能を組み合わせれば、海人の筆跡で書類を処理するロボットが作れたというのに。  
 
 海人は二日前にようやくそのロボットの存在を思い出し、ヤケクソ気味にロボット製作にかかった。
 そして完成後念の為試行を繰り返して動作を確認し、不具合が無い事を確認して残りの書類作業を任せてきたのである。
 今まで通算でどれほどの書類を手書きしてきたのかを思い返しながら。
 
 もっと早く気付いていれば――――己の間抜けさを、呪わずにはいられなかった。

「ま、まあ、気付けて良かったではありませんか。
これからは書類仕事を引き受けても煩わされる事はないのでしょう?」

「ああ。これで残る仕事は授業のみだ」

 刹那の不器用な励ましに笑顔で応え、海人は顔を引き締めた。

 書類仕事はこれで心配なくなったが、まだ仕事は残っている。
 とある貴族の御令嬢のメイド達への授業を頼まれており、こればかりは海人本人がやる他ない。

「そういえば、明日からでしたっけ?」

「うむ。教室の掃除はしてあるか?」

「毎日やってますんで御心配なく。机なんかもピッカピカです」

 むん、と胸を張る雫。

 この屋敷の清掃は、全て雫が引き受けている。
 日々の鍛錬以外特にやる事が無く、なおかつ姉に任せれば確実に屋敷が廃墟と化す為だが、手抜きはしていない。
 特に教室は念入りにやっており、床には塵一つ残さず、全ての備品は丁寧に磨き上げてある。

「それは頼もしい。後は……ルミナス達が帰ってきた時の準備か。
食材もだが、酒もたっぷり用意せんとな」

「あっはっは、二人共凄い飲みますからねー……んみゅ?」

 ふと雫は首を傾げると、跳躍して屋敷の屋根へ飛び乗った。

 そのまま遠隔視魔法を唱え、手元に遠方の光景が映し出す。
 そこに現れたのは、この屋敷へ超特急で突き進む三つの影。
 雫は苦笑を浮かべると、下で怪訝そうに自分を見ている二人を手招きした。

 刹那が海人を抱えながら屋根まで上がり、雫の手元に映し出された光景を見ると、 

「……き、鬼気迫る迫力だな」

 引き攣った表情で冷や汗を垂らした。

 そこに映し出されていた光景は、一言で言えば『狩り』だった。
 鳥型の魔物が、二人の人間に追われている。

 魔物は、ソルジャーバードと呼ばれる種族だ。
 非常に好戦的で戦闘能力も高く大概は十匹以上で群れる為、
熟練の冒険者でも単独で挑めばほぼ確実に惨殺されるという恐ろしい生物である。
 だが、今は何故か一匹で脇目も振らずひたすら逃げ回っていた。
 
 それを追う二人の人間は、海人達が良く見知った顔であった。

 一人は、漆黒の翼を背に持つ活発そうな長身の女性――ルミナス・アークライト。
 傭兵団《エアウォリアーズ》の第一部隊隊長を務める戦闘力を誇り、下手な貴族よりも教養豊か、
しかも容姿も生まれ持った端正な顔に加え、鍛え抜かれつつも女性特有の柔らかさは損なわれていない抜群のスタイルを誇るという、
才色兼備かつ文武両道の恐るべき女性だ。

 もう一人は、小柄な体格に見合わぬ大きな弓を操る女性――シリル・メルティ。
 実年齢二十歳にもかかわらず外見は十代になったばかりの美少女にしか見えないが、
それとは裏腹にルミナスの隊の副隊長を務め、実力的には他の隊の隊長に匹敵するという超人である。
 
 ―――二人共普段は比較的温厚で心優しい女性なのだが、今日は様子が妙だった。
 
 何やら叫びながら血走った目つきで魔物に襲い掛かっている。
 狩りなのだから当然と言えば当然だし、二人共食道楽でソルジャーバードは非常に美味な事でも有名なので、
気合が入るのは分かるのだが、それにしても様子がおかしい。

 なんというか、狩りのついでに行き場のない怒りを思いっきり発散しているように見える。   
 
「いずれにせよ、あの魔物も気の毒にねぇ……」

 雫は哀れな魔物に向けて、粛々と合掌した。

 静謐な表情、神妙に閉じられた瞼、まっすぐ伸びた背筋、絵に描いたように完璧な合掌だ。
 まるで本心から誠実に魔物の冥福を祈っているように見える。
 口の端から涎さえ垂れていなければ、という条件は付くが。

 もっとも、仕方ないと言えば仕方ない。
 ルミナスは左手に衣服が入っていると思しき袋とは別に、やたらとパンパンに膨れた大きな袋をぶら下げている。
 しかも、袋の口から逃げている魔物と同じ形状の嘴が覗いている。

 あの量ならきっと自分達も食べさせてもらえる。
 雫がそんな事を考えていると、海人が魔法で出した防御障壁を足場に庭へ下り始めた。 

「海人殿、どちらへ?」

「昼食の準備だ。どうやら、あの二人相当腹が減ってるらしいからな。
八つ当たりとかなんとか妙な単語も混ざっていたが、とりあえず食事の準備はした方が良さそうだ」

 この場で唯一人、読唇術によってルミナス達の叫びの内容を判別していた海人は、
苦笑しながら厨房へと足を向けた。


 
  
 
   
 


 
 



    































 しばらくして、海人の屋敷の庭から勢いよく食事を貪る音が響いていた。

 と言ってもこの屋敷の住人三人組は、既に食べ終えている。
 刹那と雫は団子をたらふく食べていたのでさほど空腹ではなく、
海人は元々小食な為すんなりと食事が終わったのだ。

 音源は未だに食事を続けているルミナスとシリルだが、二人共食べ方自体は美しい。
 音が出ている原因は、あくまで手を動かす速度と咀嚼の速度があまりにも速いからである。

 やがて、二人の手が止まった。

「ん~、美味しかったぁ~~~! ありがと、生き返ったわ!」

 満面の笑みで、ルミナスは丼を置いた。

 中身のソルジャーバードの肉を使った親子丼は米粒一つ残さず食べ尽くされており、
横に添えてあった漬物や味噌汁も綺麗さっぱり姿を消している。
 全て各五回おかわりしているにもかかわらず、である。
 もはや驚嘆する他ない食べっぷりであった。

「ふふ、久しぶりに食べましたが、やはりお米は美味しいですわね。
ソルジャーバードの濃密な肉の旨味をしっかり受け止めていましたわ」

 ハンカチで口元を拭いながら、シリルも箸を置いた。

 彼女はルミナスほどがっついていなかったが、それでも全ての品を三回おかわりしている。
 しかもかなり小柄な体型だというのに、腹が出た様子もない。
 大量の食物がどこに収まっているのか、実に大きな謎である。  

「確かに相性は良かったな。しかし、ソルジャーバードとは珍しいなぁ」

「ええ、運が良かったわ。最初はカナールで牛肉でも手土産に買ってからここ来ようと思ってたんだけど、
行く途中でソルジャーバードの群れがこっちの方向に飛んでくの見かけてね。
丁度いいやと思って、狩りながらこっちに来たのよ。いや~、逃したらいけないと思ってつい気合入っちゃったわね」

「それだけにしちゃ、随分目が血走ってませんでした?」

 雫が苦笑しながら、ルミナスに問いかけた。

 ルミナスはふい、と彼女から視線を逸らすが、その先にはじ~っと意地悪そうな目を向けている海人がいた。
 助けを求めてこの屋敷最大の良心である刹那に視線を向けるも、彼女もまた聞きたそうな顔をしていた。 
 
「……うう……だ、だってルクガイアじゃ全く美味しい物食べられなかったのよ!?
しかも仕事で国中ひっきりなしに駆けまわってたのよ!?」

 瞳から涙さえ零し、ルミナスは訴えた。

 ルクガイア中を駆けまわる羽目になった理由自体は、仕事上での失態だ。
 確保を依頼されていた人物を取り逃がしてしまったのである。
 後始末は当然の事であり、それに文句は無い。

 上司二人も参加した上で取り逃がしたのだからどうしようもなかったとは思うが、失態は失態。
 正直、あの状況で取り逃がしたのなら空間魔法でも使ったとしか思えないが、結果は結果。
 愚痴は言いたくなるが、ルクガイア中を虱潰しに探し回ったのもやむを得なかったとは思っている。

 その間ずっと穀類が芋しか食べられず、食料用に狩った魔物も食用ではあるものの美味くない物ばかりだったが、
それだけなら仕事なのだから仕方ないと割り切れた。

 ――――問題は、それで得られた結果であった。

「しかも散々駆けずり回った挙句、成果0でしたわ。
いい加減疲れ果ていたところに仕事完了の知らせ……正直、あの徒労感は過去最高でしたわね」

 はぁ~、とシリルが深い溜息を吐く。

 人一人探す為に散々国中駆けずり回ったにもかかわらず手がかりはまるで掴めず、
挙句最後にはあっさりと確保したとの知らせが飛び込んできた。
 しかも残っていた問題も一緒に解決したという話だった。
 
 ルクガイア軍の戦力を大幅に削り、活躍したという自負はあるのだが、
どうにも本筋から取り残されていた印象が拭えず、表現しがたい徒労感に襲われたのである。

 そして海人達に手土産でもと思っていたら、素晴らしい食材であると同時に八つ当たりになる程度の力を備えた魔物の群れを発見した。
 美味しい食事の為、そして仕事の鬱憤晴らしの為に、全力で狩りにかかったのである。

「……ふむ、それは大変だったな」

 海人は内心冷や汗を垂らしながら、ルミナス達に労いの言葉をかけた。

 ルミナス達は守秘義務でもあるのか事の詳細をぼかしているが、
海人はそれを追及するまでもなく、何があったのか察しはついていた。

 二人はただでさえ高名な傭兵団の中でも特に有名なため、公的には一般人である海人が町に行って適当に情報を集めただけでも、
彼女らが主に戦った場所がどこなのかは耳に入ってきている。 

 そして、そこで何があったのかは私的な事情で知っている。
 絶体絶命の状況のはずだったのに、王女が透明化魔法という既存の魔法学の常識の埒外の魔法を使い、
見事に逃げおおせたという事を。

 そこから考えれば、ルミナス達は仕事の後始末として王女の行方を追っていたのだと見当はつく。
 とっくの昔にルクガイアを脱出し、この国に来ていたとも知らず。
 当然、件の王女がつい数日前まで騎獣とこの屋敷で疲れた体をのんびりと休ませていた事など想像もつかないだろう。
 
 もしそれがバレた時どんな反応が返って来るか、想像するだけでも恐ろしい。
 二人共心優しい女性だが、同時にかなりの激情家でもあるのだ。
  
「どうかしたの、カイト?」

「いや、何でもない。ま、そういう事ならたっぷりと労ってやろう。夕飯の希望は何かあるか?」

「自分で作るから特になし。だ・け・ど――――分かるかな?」

 ルミナスが、目を輝かせながら海人の顔を覗き込む。
 彼女がこれほど期待する料理など、一つしか思いつかなかった。

「カレーか?」

「正解っ! 明日でいいから、ソルジャーバードの肉で作ってくれると嬉しいわ。
鳥肉用のレシピもあるんでしょ?」

「ああ。今日の夜作り始めるとしよう……それはそうと、しばらくはゆっくりできるのか?」

「多分ね。最低一月ぐらいは休みになると思うって言ってたし。どうかした?」

「なに、少し気になっただけだ。やはり君の料理が一番美味いからな。
食べられる機会は多い方が良い」

 頬を掻きながら、素直な言葉をこぼす。
 
 この屋敷は海人の創造魔法によって制約に引っかかる肉などを除けば常に極上の食材が揃えられているが、 
それを活かしきれる腕の料理人がいない。

 が、ルミナスはそれだけの腕前を持っている。
 同時に料理好きでもある為、彼女がいる間は食生活が非常に豊かになるのだ。

 それを証明するかのように、海人の横では刹那と雫もうんうんと頷いている。 
    
「ありがと。任せときなさい、休みの間は毎食私が作ってあげるから。
こないだ仕事行った時もまだまだ料理したりなかったし、期待してなさい」

 自分の胸を軽く叩きながら、ルミナスは嬉しそうな笑みを浮かべた。

 この屋敷にある食材は料理好きとしての本能をこれでもかと刺激される。
 肉や魚こそ揃わないが、他は調味料から何から大金を出しても手に入らないような物がズラリと揃っている。
 しかも刹那や雫はルミナス達に負けず劣らずの食道楽だし、
あまり食に興味のない海人も、興味が無いだけで味覚自体は鋭い。

 料理のし甲斐のある環境に加え、味覚の鋭い者達が自分の料理を楽しみにしてくれている。
 料理好きとして、嬉しくないはずがなかった。  

「それはありがたいが……家の方はどうするんだ?」

「ああ、行き先書いといて時々見に行けば大丈夫よ。
それとも、ずっと泊まり込みは流石に迷惑?」

「んなわけなかろう。ではシリル嬢は……聞くまでもないか」

 外見幼女な傭兵に視線を移し、皮肉気な笑みを浮かべる。

 ルミナスに性別の壁を越えた愛を捧げるシリルは、そうそう彼女の元から離れない。
 当のルミナスにその気が皆無な為、禁断かつ不毛という実にハードルの高い愛なのだが、
シリルはまったくめげないのである。

 そんな彼女が家主である海人が拒んでいるわけでもないのに、ルミナスから離れるはずがなかった。  
 
「当たり前ですわ。お姉さまから離れるつもりはありませんし――――まだまだカイトさんを着せ替え人形にし足りないですもの」

「んなっ!? ま、待てシリル嬢! 
ちゃんと約束通り身だしなみを整えているだろう!?」

 慌てながら、自分の姿を示す。

 元々身だしなみに気を遣う性質ではないが、仕事に行く前のシリルに脅されたので、
今は髪型から服装までそれなりに整えている。
 しかも徹夜明けの姿ではまずい、とシリル達が屋敷に到着する前に急いで顔を洗い、
新しい服に着替え、と可能な限りの準備をしたのである。
 完璧とは言えずとも、最低限の要求には応えたはずだった。 

 そして、それにはシリルも異論はなかった。

「ええ、教え込んだ甲斐がありましたわ。
で・す・が――それを果たせば着せ替え人形にしないとも言ってませんわよ?」

 ニヤリ、と意地悪そうに笑う。

 海人との約束は、あくまで『身だしなみを整えていなかったら着せ替え人形にする』というもの。
 それを守ったからと言って、着せ替え人形にしない理由にはならないのである。 
 
「ぬぐぐっ……! ふ、ふん、それなら私が君の我儘に従う筋合いもないぞ!」

「あら、酷いですわね。友人の趣味に付き合う程度の器量もありませんの?
まったく、悲しいですわねぇ……」

 悲しげに、目元をハンカチで拭う。
 涙どころか汗の一滴も流れていないが。 

「ふん、何と言われようがもう一度着せ替え人形になるのは――――」

「貴方のような貧弱男を殴り倒さなければならないなんて、本当に心が痛みますわ」

 心底悲しそうに聞こえる声を出しながら、天を仰ぐ。
 笑みの形に歪んだ口元さえ見えなければ、完璧な悲劇の演技である。

「…………おい、諦めるという選択肢はないのか?」

 演技派な友人の顔を半眼で眺めながら、冷たい声で尋ねる。

「ふ――――私の欲求より優先すべき事があるとすれば、お姉さまの望みだけですわ。
まして疲れ切った友人の頼みを無下に断る薄情者の泣き言など、聞いてもらえると思いますの?」

「ほほう……嫌がる友人を無理矢理着せ替え人形にしようとする鬼畜幼女がほざきおったな?
っと失礼、外見幼女だったな。うむ、間違いはいかん。
本物の幼女と違って君は成長の見込みはほぼ無いんだからな。
一緒にするのはあまりにも失礼というものだ」

 毒舌を披露しながら、性悪の見本のような笑みを浮かべる。
 対するシリルは拳を震わせながら、凶悪な笑みを浮かべていた。 

「ふ、ふふ、ふふふ……少~~し会わない間に口の悪さにまた磨きがかかりましたわねぇ?
折角ですし、今度こそそのねじくれ腐りきった根性諸共叩き直してさしあげましょう……感謝なさい! 
この根性根腐れ男ぉぉぉっ!」

「やってみろ性悪娘ぇぇぇっ!」

 海人の叫びと同時に、無属性魔法の防御障壁が出現する。
 間を置かずシリルの拳がその障壁に突き刺さり粉砕するが、海人は別の障壁を出しつつ別の場所へと逃げる。
 それをさせじとシリルが攻撃の速度を上げながら追いかけるが、新たに海人の障壁が出現する速度の方が僅かに上回り、
その間に距離を離されてしまう。
 
 が、シリルとて一流の傭兵。いかに頭が回るとはいえ、素人に翻弄され続けられるはずもない。
 今度は障壁を破壊すると同時に下位の風の魔法を放ち、海人の足元に命中させる。
 と言っても突風で少し体が飛ぶ程度の威力ではあるが、それで十分。
 体術の心得があまりない海人は、走っている最中に唐突に崩された体勢を立て直せず、派手にすっ転んだ。

 顔面から地面に突っ込んだ衝撃によって障壁の再出現が遅れている隙に、シリルは一気に加速した。
 加速魔法を使い、自身の肉体強化の限界を僅かに越え、実戦さながらの速度で突進する。
 その勢いのまま、海人がどうにか発生させた障壁を軽々と叩き壊し、そのまま膝蹴りを叩き込まんと突き進む。

 それを見た海人が――――嗤った。

 海人はシリルの膝があと数歩で命中するという所で障壁を五枚重ねで出現させた。
 一枚一枚の強度も、今まで使っていた魔法より上げてある。

 その強度を悟ったシリルが咄嗟に膝を引こうとするが、僅かに間に合わない。
 そして凄まじい衝突音が響き―――シリルは悶絶した。

 作戦を成功させた海人は小悪党っぽい哄笑を上げていたが、それも短い間だった。

 痛みに悶えていたシリルがゆらりと立ち上がる。
 その顔には微笑みが浮かんでいるが、目つきは完全に据わっている。
 冷や汗を垂らしながらも海人が再び魔法を発動させると同時に、シリルが今まで以上の勢いで襲い掛かった。
 
 そんな攻防を遠目に見ながら、

「わー、久々に見ると凄い迫力ですねー」

 雫は能天気な拍手を送っていた。

 ルミナス達がいる時は、こういう光景はほぼ日常だった。
 海人とシリルの仲は決して悪くない――というか非常に良いのだが、毎度しょーもない理由で喧嘩をする。
 喧嘩友達というわけではなく二人で和やかにお茶を飲んだりもするのだが、小競り合いの頻度は非常に多い。

「あーあー、小鳥が皆飛んでっちゃったわ」

 慌てて逃げて行った小鳥達を見送りながら、ルミナスが溜息を吐く。

 久しぶりの再会なのだからお互い和やかでよさそうなものだが、
目の前の二人は大人気ない理由で無駄に高度な戦闘に興じている。
 年長者として諭したいところではあるのだが、困った事にあれは二人の親睦の深め方の一つであり邪魔する事は好ましくない。
 そして傭兵としても海人の戦略的な逃げ方、そして逃げながら自滅を誘うやり口は非常に参考になる。

 その為、特に用事がない時は止めるに止められないのである。
 あの遠慮という言葉を遥か彼方に投げ飛ばしたような関係を少し羨ましいと思っている自分がいるだけに、尚の事。

 そんなルミナスに、刹那がおずおずと話しかけた。
 
「そう言えばルミナス殿……その、料理の件は覚えておられますか?」

 言いながら、上目遣いにルミナスの顔を窺う。
 
 以前ルミナスに料理を教わった時、刹那の腕前は劇的に進歩した。
 七歳の段階で身につけさせる前に実験台である父の命が尽きてしまうと言われて断念していた料理が、
ちゃんと命の危険が無い普通の味のオムレツを作れるようになったのである。

 そして、ルミナスは戻ってきたらまた料理を少し教えてくれると言っていた。
 軽い口約束ではあるが、刹那はかなり期待して待っていたのである。
  
「心配しなくてもちゃ~んと覚えてるわよ。ん~今度は何が良いかしらね。 
あんま複雑な料理はまだ早いだろうから……パスタにでもしよっか。
あれなら色々バリエーション増やしやすいし」

「ありがとうございます」

 そう言って刹那がルミナスに頭を下げた瞬間、海人の体が天高く舞い、決着が着いた。

































 シェリス・テオドシア・フォルン邸。
 その屋敷の庭に、一人の女性が佇んでいた。

 椅子に腰かけながら自前のティーセットで淹れた紅茶を楽しむその様は、まさに奇跡の体現。 

 ただ座っているだけでも神の造形とも呼ぶべき顔の美しさを日光を浴びた白銀の髪が引き立て、
その下に存在する完璧なプロポーションと相まって非現実的なまでの美と化しているというのに、
紅茶を淹れる仕草、カップに口を付ける仕草、あらゆる動きが洗練され、至高の美を量産している。

 この場に誇り高い画家でもいれば、その美を再現しきれぬ自分の才に絶望するか、
はたまた全てのシーンを書ききれない自分の筆の速さに絶望していただろう。

 と言っても本人――――ローラ・クリスティアはその現実離れした美貌とは裏腹に、やたら俗な事を考えていた。

(……返す返すも、あの時カイト様のくすぐりの技術を学び損ねたのは惜しいわね)

 ふ、と艶めかしい吐息が漏れる。

 貴重な休憩時間だというのに、彼女は少し前に手に入れ損なった技術の事を嘆いていた。

 あと少しで、手に入るはずだった。
 必死で止めようとする刹那をどうにか昏倒させ、海人と口論していた主を黙らせ、
全てではないがくすぐりの技術の一部を条件次第で譲り渡しても良いという言質をとったのだ。

 が、その条件が良くなかった。
 その条件とは、シェリスかローラの体に実践しながら教えるというもの。
 シェリスは自発的に引き受けた場合のみ、ローラの場合は主や部下達の前で、という条件も付けられてしまった。 

 この条件では、部下達に対して威厳を保つ必要があるローラはありえず、
シェリスが引き受けるしかなかったのだが、彼女は断固として拒絶したのである。
 もっとも『最短発狂記録五分』などと聞かされれば無理もないが。  
 
 その後ローラは条件を軽くしようとしたり、シェリスを説得しようとしたりと努力はしたが、
結局技術を譲ってもらう事は出来ず、好奇心を煽られるだけの結果に終わってしまったのである。

 再び込み上げてきた敗北感を静める為再び紅茶を啜っていると、

「総隊長、少しよろしいでしょうか?」

 横合いから、懐かしい声が聞こえてきた。

 ゆっくりとそちらを向くと、まず悪戯っぽく細められた青の瞳が目に止まった。
 次いで、理知的でありながら言い知れぬ色香を漂わせる整った顔立ち、腰まで伸びた魅惑的な艶を持つ赤毛の髪、
素朴な作りの紺のエプロンドレス越しでさえ形容しがたいまでの妖艶さを放つ肉感的なボディラインと視界に入り、
 最後に色香たっぷりのその容姿全体が視界に収まった。

 久しぶりに会う部下に、淡々と声を掛ける。
  
「メイベル、帰って来ていたの?」

「ええ、お久しぶりです。メイベル・ハーロック、ただいま帰還いたしました」

 スカートの端を軽く持ち上げ、メイベルは優雅に一礼した。

 その仕草は非常に上品かつ洗練されているのだが、それでも端々に匂い立つような色香が漂う。
 声音もはきはきとした明朗な音色でありながら、どこかねっとりと絡みついてくるような印象を受ける。

 ――――これが無自覚なら可愛げもあるのだが、計算尽くなので性質が悪い。

 完全に上品に徹する事も可能だというのに、わざわざ咎められない範囲で態度を崩しているのだ。
 彼女の本性を知っている身からすれば、遊ばれている事がありありと分かってしまう。
 
「三年経っても相変わらずね。いいから、態度を崩しなさい」

「あら残念。もう少し遊びたかったのに」

 メイベルは態度を一変させると、悪戯っぽい笑顔で髪をかき上げた。
 その仕草がなんとも色っぽく、同性さえも魅了する程の艶がある。
 
「……どうやら、三年の間も鈍らない程度の訓練はしていたようね」

 ぞんざいな態度は一切意に介さず、ローラは部下の体を冷静に観察していた。

 服に隠れ、なおかつ肉感的なボディラインの事もあり分かり辛くはなっているが、
間違いなく鍛錬を怠らずに続けていた体だ。
 立ち姿もリラックスしているようで隙が少なく、三年前より確実に体技を向上させている。

「ふふ、潜入先の目をくらましながら鍛錬するのは骨が折れたわよ?」

「それが出来ると思って派遣したのだから当然ね。
出来ていなければ罰も兼ねて当分戦闘訓練漬けにしていたわ」

 紅茶を啜りながら、淡々と言葉を返す。

 言葉の内容は、一切の混じりっ気なく本気だった。
 任務の性質もあったとはいえ、元々この屋敷で三指に入る実力の持ち主だったのだから、たかが三年で追い抜かれてもらっては困る。
 期待に背いていれば問答無用で連日命を懸けさせ、鈍った体を叩き直してやるつもりだった。
 
「相変わらず厳しい上司様ですこと。まったく、シェリス様の可愛らしさを見習って欲しいわ。
ああ、三年経ってもまだまだ可愛らしかったわねぇ……」
 
 うっとりとした表情を浮かべながら、ほう、と小さな息を漏らす。
 
 目の前にいる同い年の上司とは違い、先程帰還報告をした時の主の反応は実に素晴らしかった。
 予定より一日早く帰ってきた苦手な部下の姿に驚き、吹き出しかけた紅茶を根性で飲み下した姿は微笑ましい事この上なく、
目論見を成功させた自分を恨めしそうに見る目つきなど、もう抱きしめたくなるほどだった。
 悪戯心で軽い色仕掛けをやった時の慌てようといったら、思わず押し倒したくなってしまった。
 
 苦手意識を持たれているのは些か寂しいが、その対価にああいう姿を見れるのなら甘んじて受け入れられる。
 そんな事を思いながら愉悦の余韻に浸っていると、

「……からかうのは構わないけれど、程々になさい」

「仕方ないじゃない、シェリス様が可愛すぎるのがいけないのよ。
ついでに言えば、この屋敷の男っ気の無さもね。
可愛い男の子か素敵な若い男性でもいれば私だって――――っといけない、本題を忘れるところだったわね。
一つ聞きたいんだけれど、いいかしら?」

「何かしら?」

「私達が教わる事になるっていう先生、どんな方なのかと思って。
シェリス様の話じゃ随分凄い賢者様みたいだけど、気難しい方なのかしら? 珍しく釘を刺されたのだけど……」

 首を傾げながら、訊ねる。

 メイベルはシェリスから苦手意識を持たれているが、信頼はそれ以上に強い。
 少なくとも初対面の、それも教えを乞う相手に無礼を働くような無能だとは思われていない。 
 それがわざわざ釘を刺してきたという事は、余程神経を使わねばならない相手だという事になる。

「心配しなくても、基本的には人当たりの良い方よ。
余程馬鹿な事をしない限り、本気で怒るような事は無いでしょうね。
ただ授業以外でも色々と重宝する方だから、念の為釘を刺しておいたんだと思うわ」

「……そう。貴女がそう言うのなら間違いはないでしょうね。
じゃあ、地を出しても問題は無いかしら?」

「度を越した事さえしなければね」

「心配しなくても大丈夫よ。いくら私でも仕事抜きでお年寄りに粉かけたりしないから。
それじゃ、お邪魔したわね」

 メイベルはそう言い残すと、ひらひらと後ろ手を振りながらその場を後にした。  

「…………お年寄り?」

 メイベルが去っていった方向を見ながら、ローラは首を傾げた。

 彼女が言っていた先生とやらは、間違いなく海人の事だ。
 他に該当する人物の候補すらいないのだから、間違えようがない。
 
 が、海人は雰囲気や行動指針こそ若さに欠けるが、年は二十代前半だ。
 外見も老けているわけではなく、普通に若々しい美青年である。
 どう転んでも年寄りには見えない。

 どこで誤解が生じたのかと考え――――思い至った。

 おそらく、シェリスは海人の教師としての能力にしか言及しなかったのだろう。
 その上で、機嫌を損ねないよう釘を刺したのだとすれば誤解する可能性は高い。

 何しろ、山のように存在するこの屋敷の本全て、いかなる分野でも的確で分かりやすい解説を行える男だ。
 たかが二十代の若造がそこまでの能力を持っているとはまず思わないだろう。
 普通なら、生涯を学問に捧げ続けてきた老人の姿が思い浮かぶはずだ。
   
(……おそらく、故意ね)

 含み笑いを漏らしている主の姿を幻視しながら、ローラは紅茶を飲み干した。

 普通ならシェリスの性格からして、説明の過程で海人の外見なども話しているはずだ。
 おそらく、主を驚かせる為だけにわざわざ一日予定を早めて帰還した部下への意趣返しだ。    
 知らずに向かわせて現地で驚かせ、その様を想像して楽しもうという腹だろう。

 納得したローラは、薄い微笑みを浮かべながら再び紅茶を淹れ直した。
 主の悪戯をより完璧にするよう部下達に通達しようか、などと思いながら。
    

 






テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント

更新お疲れ様です

筆跡完全模写ロボット「まねっちゃん」
……海人のネーミングセンスは出すところ出せば結構な需要があると思う
しかし海人の発明物の命名は安易なネーミングですね
好きですけど(笑)

ローラって部下だけが相手の時はため口?なんですね
いつも敬語なので初めは違和感覚えましたけど読み進めれば特に気にならなくなってきました
ただローラのくすぐられて悶絶する姿は見てみたかった……

では、次回の更新も楽しみにしています
そろそろ期待してた授業だ!あのメイドの反応にも期待です
[2011/11/20 22:18] URL | 華羅巣 #zR7lJLBY [ 編集 ]


更新お疲れ様ですm(_ _)m

ローラのくすぐられている姿は見てみたいですね~どんな反応するか予測できませんけど(汗)

今回から新しい章ということで、ほのぼとした感じが続くのかな?
長らくまったメイドさんとの授業楽しみしています^^帰ってきた部下がどう絡むかwktkです。

次回の更新も楽しみにしていますノシ
[2011/11/21 00:13] URL | baru #ZujHqT5A [ 編集 ]

更新おつかれさまです。
なんか海人って意外と某fateの凛並みのうっかり持っていません?

新キャラ メイベルですがローラ相手に遊んだりできるとは度胸のあるメイドですね。
きっと海人に会って何らかの手を出すんでしょうが、武力はともかく精神力、知力はローラが驚愕するほどと知ったらどういう反応起こすんでしょう。
[2011/11/21 00:35] URL | とある人 #vXeIqmFk [ 編集 ]

祝!第六部
取り敢えずルクガイアとの戦いの日々も落ち着いて、ルミナス&シリルが帰ってきたのは海人の日常が戻った感じがしますね。

一方で海人のチートな発明品がまたしても登場、ネーミングセンスは相変わらず微妙。

シェリスの屋敷には例の10人のうちの一人が帰還したのかな?メイベルは海人をどう思うのやら……。

そう言えば、ルミナス&シリルも授業受けるのかな?
[2011/11/21 00:50] URL | 戸次 #Wjzbkqqg [ 編集 ]

新キャラクター登場!
ご無沙汰しております。新しく、6年ぶりに自作PCを作ろうとして1ヶ月の試行錯誤を繰り返しておりました。年はとりたくありません。6年間の技術の進歩は、恐ろしいものでした。XPから7へのソフト上の移行、プラスしてSSDの導入と、二つの新しいステップは困難を極めました。さて、愚痴はここまで。
いやー、戸次さんもおっしゃっているようにご無沙汰していたルミナス&シリルに加えて新キャラのメイベルですか、楽しみですね。私の楽しみとしては、S系と思われるメイベルが、その趣味を披露するのか、それとも迎え撃つ海人&ルミナス&シリル&宝蔵院姉妹という超絶ハイレベル軍団に屈するのか、楽しみです。
[2011/11/21 02:41] URL | hatch #eZUPPjB6 [ 編集 ]

お疲れ様です!
今回も楽しく読ませて頂きました

メイベルが海人を見たときの反応が楽しみですw
[2011/11/21 07:32] URL | スウ #- [ 編集 ]


更新待ってました

相変わらずのネーミングセンスですねカイトは、シェリスに渡したスダンガンと魔法盤の名前も変なのですかね。
しびれるんとか、省エネまもるくんとかww

いきなり新キャラですか、シリルとキャラ被りですか?
言動から推測するにかわいいもの好きな感じですかね?
[2011/11/21 21:44] URL | 煉恋々 #h2YGRmSs [ 編集 ]


少しまえから白衣の英雄読ませてもらっています

今回新キャラのメイベルが登場したので他の人物とのからみも気になるのですが、それ以上にもしローラ又はシェリスがくすぐりを受けていたらどうなっていたんだろうってのがすごく気になります!
[2011/11/21 23:06] URL | 聖夜 #- [ 編集 ]


>>まねっちゃん
がっちり布に引き続き、海人のネーミングセンスが判るような
発明品が新たに登場ッ!

・・・これ、電卓以上にシェリス&ローラ組にばれたらヤバイよね多分。

>>ルミナス&シリル復帰
ああ、このドタバタは本当に落ち着くなぁ・・・。
これからしばらくは逗留するみたいですし、はてさてどうなることやら。

>>新キャラメイベル登場
・・・キャラ濃いなぁ・・・w
ただでさえルミナスペアが帰ってきているのに
この人投入したら波乱しか起こらない予感・・・ッ!

今回も面白かったです!
[2011/11/22 15:44] URL | リファルス #- [ 編集 ]


ローラッ!ローラッ!
敬語じゃないからローラの言葉だと気付かなかった件。

しかしまねっちゃんって…ww。カイトのことだから無骨なロボにこんなかわいい名前つけてるのかなぁ
[2011/11/23 20:31] URL | あゆ #- [ 編集 ]

お初です。
作者様へ はじめまして。

ネット小説ってのは、はまる話に出会うと抜けられないですねえ、という初心者です。

3日間で全話読みました。少し寝不足でしんどかったです。

主人公がチートすぎるからどうかなぁ~と思って読みすすんで行くと、あらあら、脳内でキャラが買ってに動きだす。    てのがとても印象深かったです。

 でも恋愛修羅場にするんですか?

次話期待してます。
[2011/11/29 01:50] URL | 観察くん510号 #gQ4vMuXA [ 編集 ]

おつかれさまです
毎回楽しみに読ませてもらってます。

ふと読み直して思ったのですが、カイトの家のトイレって改善されてるんですかね?
一応人が来るからってことで他の一般家と同じなんですか?
それとも、既に改築済みにしてるんですかね?

トイレ辺りは人間必ず使う場所ですから、カイトにしても真っ先に手を入れてそうな気がしたので。

更新お待ちしておりますが、お風邪には気を付けてくださいねー。


[2011/12/07 17:31] URL | takeway #itlltKsw [ 編集 ]


素朴な作りの紺のエプロンドレス越しでさえ形容しがたいまでの妖艶さを放つ肉感的なボディラインと視界に入り、
→ラインが視界に
[2016/05/29 20:26] URL | #- [ 編集 ]


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