ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
白衣の英雄57
 その夜。海人の屋敷の厨房でルミナスは刹那に料理指導を行っていた。
 
 刹那はお世辞にも手際が良いとは言い難いが、前に比べれば凄まじい進歩を遂げていた。
 砂糖と胡椒の取り間違いなどといった基礎的なミスは無くなっているし、
フライパンが飛んで行く事どころか、熱々の料理が宙を舞う事も少なくなっている。
 一般的にはともかく、刹那に限って言えば蟻が犬になるような超進化である。
 
 それを感慨深く思いながらも、ルミナスは指示を続けた。

「はい、そこで火炎魔法を解除してソースを絡める。慌てず、丁寧にね。
多少熱が通り過ぎてもフライパンごとどっか飛んでくよりはマシだから」

「は、はい!」

 言われるままフライパンを炙っていた火を消し、パスタとトマトソースを丁寧に混ぜていく。
 麺の一本一本に赤い色が絡みつくよう、細心の注意を払いながら。

 時間をかけつつも程よく混ぜ終え皿に移すと、ルミナスが一口味見した。

「うん、ちょっと火が通りすぎてるけど、上達してるわ。
これがもうちょっと上達したら次の料理教えるから、頑張ってね」

「はい! ありがとうございました!」

 背筋を伸ばし、勢いよく頭を下げる。
 そんな姉の横で、雫がパスタに手を伸ばしていた。

「うわお、結構美味しいですね~。流石はルミナスさん、凄い技量です」

「おい……一応、作ったのは拙者なんだが?」

 妹の言い草に、刹那は頬を引き攣らせた。
 これはルミナスの作ったソースを絡めたのではなく、トマトを潰すところから刹那がやったものだ。
 ルミナスの指導あってこそではあるが、ちゃんと自分の手で作ったのである。

「そこまで作らせてくれたのはルミナスさん。何か間違ってるかな?」

 にんまりとした笑顔を向ける。

 確かに作ったのは刹那だが、それもルミナスの微に入り細を穿つ指導あってこそ。
 単純にレシピだけを教えられていた時に刹那が巻き起こしていたであろう惨劇を考えれば、誰の手柄かは明白だ。

「ぬぐっ……た、確かにその通りだが、お前とてそこまで悪し様に言える程の腕ではないだろうが!」

 痛い所を突かれ呻きつつも、刹那は反論した。
 
 雫は比較的料理上手ではあるが、まだまだ素人の範疇である。
 食い意地は張っているものの料理を極める程の気概は無く、美味しい物を食べられればそれでよしという考えの為だ。
 無論それでも刹那よりは圧倒的に上だが、上達した今ならば刹那の努力を全否定できるほどの差はないはずだった。

 が、姉の言葉に雫は自信に満ち溢れた不敵な笑みを浮かべた。 

「ふふふふふ、あたしを舐めちゃいけないねぇお姉ちゃん……これが目に入らぬかぁっ!」

 見せつけるように、料理が乗った皿を掲げる。
 乗っている料理は焦げ目がついた黄色の直方体。
 フルフルと震えるその姿が、なんとも柔らかく美味そうである。

「あら、美味しそうね。確かヒノクニの出汁巻き卵、だったっけ?」

「今日のは一味違いますよ~? ま、ちょっと味見て下さい」

「……あ、ホントだ。前食べた時よりふんわり感が増してるし、
噛んだ時に出る甘い出汁も……うん、美味しいわ。良く出来てる」

 ルミナスは、素直に賞賛した。

 自信満々な態度に見合った、素晴らしい美味だった。
 噛んだ瞬間に溢れる出汁が程良く付けられた甘味と相まって何とも堪えられない。
 出汁の香りの主張はあるが、それでいて卵の香りもその存在感を残している。 
 そして添えられた大根おろしと一緒に食べるとこれまたさっぱりとして美味い。

 雫の出汁巻き卵は何度か食べているが、今日のは格別だった。

「ぐぐぐ……こ、これは母上のよりも……!」

「その通り! お姉ちゃんがジタバタもがいてる間にあたしはお母さんの出汁巻き卵を越えた!
このふんわり感! 単に切っただけではあまり流れず、咀嚼すればたっぷり溢れ出す出汁! どうだ、参ったかぁっ!」

 哄笑を上げながらふんぞり返る雫。

 いかにも偉そうな事を言っている雫だが、実はそうでもない。
 というのも、今回の出汁巻き卵の出来は九割方偶然なのだ。
 試作の途中で少し予定より出汁を多めに入れすぎ、そして勿体無いからとそのまま焼いたら
たまたま今までで一番良い出来になっただけの事。
 どの程度出汁を入れすぎたかは把握しておらず、焼き方もほぼ直感なので再現性は無きに等しい。
 さらに言えば味つけも海人提供の出汁に依るところが大きいので、ますます雫の手柄は少ない。
 
 が、そんな事を知る由もない刹那はがっくりと項垂れた。

「うううううう……しょ、所詮拙者は無能という事なのか……」

「料理で負けた程度でそこまで落ち込むのもどうかと思いますわ。
それに、どのみち想像を絶するほどの超進化を遂げておられる事に変わりはないのでは?」

「あ、バラしちゃ駄目じゃないですか。も―ちょっとからかいたかったのに」

 冷静な意見を述べたシリルに、苦情を言う。

 当然だが雫の腕前がどうあれ、刹那が超進化している事には変わりない。
 上達している事は事実なのだから、ああも悪し様に言われる筋合いはない。
 雫が言ったのはあくまでも姉をからかう為のこじ付けに過ぎないのである。 
  
 そこにようやく気付いた刹那の目が、据わった。

「そこに直れ、愚妹」

 言うが早いか、神速の踏み込みで妹に襲い掛かる。

 雫はひらりと初撃を回避するが、間髪入れず放たれた足払いで両足を刈られ床に叩き付けられた。
 呻きつつも追撃を逃れるべく身を捩るが、僅かに遅い。
 刹那の足が容赦なく雫の背中を踏みつけ、動きを完全に封じた。
 
「まったく、お前はどうして人をからかわずにはいられんのだ!?」

「好機があればからかい倒す! それがあたしの生きる道!」

 地面に這いつくばったまま、威勢よく答える。
 みじめな体勢にも関わらずその語気は活力に満ち溢れ、己の道を進む事に微塵の迷いもない事を感じさせる。
 己の根性の悪さをここまで堂々と誇れる人間はかなり希少だろう。
 
 最早手の施しようのない妹の根性悪っぷりに刹那が頭を抱えていると、ルミナスが苦笑しながら口を開いた。

「ホント仲良いわねぇ。でもシズクちゃん、セツナさんだって頑張ってるんだからあんまりからかいすぎるのは良くないわよ?」

「そー言われても事実へっぽこですし。それに料理はまだしも掃除と洗濯は頑張ったせいでえらい事になってますしねー」

「えらい事?」

「あっはっは。被害総額です。もっとも、海人さんのおかげで実質ゼロですけどね」

「えっと……いくらぐらい?」

「正確には分かりませんけど、普通なら人生終わるぐらいじゃないですかねー。
しかもそんだけの犠牲を出してもまだ並にも届いていないというへっぽこぶりです」

 踏みつけられたままにもかかわらず、性悪な笑みを浮かべる。
 本人の言葉通り、理由があればからかい倒すつもりのようだ。
 
 が、ここで雫にとっても予想外の事が起こった。
 追い詰められた刹那が、少し理性を失ってしまったのである。

「ぬぐぐっ……確かに練習した拙者よりもラク――」

「ずえりゃああああああああああああああっ!」

 厨房を揺るがす怒声と共に雫は渾身の力で起き上がり、姉を天井に吹っ飛ばした。

 唐突かつ予想外な反撃に刹那は面食らうが、そこは雫が到底及ばぬ武人。
 すかさず身を翻して天井を蹴り、鮮やかに着地した。

「何をする!? というか何故抜け出せた!?」

「あーはっはっは! 甘いねお姉ちゃん! 限界一つ越えればあたしだってこの程度は出来る!
いざっ、下克上ぉぉぉっ!」

「させるか馬鹿がっ!」

「はいそこまでっ!」

 派手な喧嘩を始めようとした二人の頭にルミナスの拳骨が落とされた。
 その拳にはなかなか強烈な力が込められていたらしく、刹那は涙目で頭を押さえ、雫は悲鳴を上げて床で転げまわっている。   

「もう、厨房での派手な喧嘩は流石に駄目よ。特に今は食材たくさん出てるんだから」

 ルミナスが、呆れた様子で二人を窘めた。

 先程まで作っていたのはあくまで練習用で夕食はまだ作り始めていないが、
それでも下拵えの為に多くの食材が出ている。
 この場で派手に暴れれば、最悪夕食が寂しい事になりかねない。  

「……面目ない」

「あう、すみませーん」

 罰が悪そうに、姉妹揃って頭を下げる。 

「ん、素直でよろしい」

 そう言って鷹揚に頷くルミナスを見て、雫は内心で安堵の息を漏らした。
 どうやら窮余の一芝居は上手くいったようだ、と。

 幸運に感謝しつつ何食わぬ顔で夕食の準備に取り掛かろうとした雫だったが、 

「……で、シズクさんは何を誤魔化そうとなさいましたの?」

 食材を手に取った瞬間背後からかけられた声に、背筋が凍った。
 まずい、と思いつつも笑顔を作って振り向く。

「あはは、何の事ですかー?」

「セツナさんの言葉の途中で思いっきり顔色変わってましたわよ?」

 朗らかな笑顔でとぼける雫に、シリルは苦笑を向けた。

 ほぼ偶然だが、先程シリルは踏まれている雫の顔を観察していた。
 別に深い意図があったわけではなく、殺伐としつつも仲良しな姉妹をなんとなく見物していただけなのだが、
刹那の言葉の途中で雫の表情が激変した事は良く分かった。

 何しろ、踏みつけられながらも余裕を感じさせる笑顔から、一瞬にして焦燥感漂う緊迫の表情になったのだ。
 直後にカモフラージュのように悪戯っぽい笑みを張り付けてはいたが、あれほどの変化を見逃すはずがなかった。 

 そして、わざわざ言及はしていないが今現在刹那は顔色が真っ青になっている。
 まるで致命的で取り返しのつかない失態に気付いたかのように。

 この厄介な状況に、雫は頭を抱えた。

 ごまかそうとしたのは、ラクリアの事だ。
 ルミナス達が帰ってきた日、雫達は海人から彼女にまつわる事に関しての一切を口止めされている。
 もし口を滑らせたらお仕置きするとまで。

 なので口を滑らせかけた姉を止めたのだが、突然の事で対応が不完全だった。
 シリルの態度は確信に満ちており、完全にとぼけ続ける事は難しそうだ。

 少し考え、雫はゆっくりと口を開いた。

「ん~……どーせ時間の問題だと思いますんで、それまで待ってもらえるとありがたいです」

「……時間の問題?」

「はい、そのうち分かると思います。もーちょっとほとぼりが冷めたら」

 ルミナスの問いに、陽気な笑顔で答える。

 海人は雫達に口止めをしてきたが、同時に隠し通せるはずがない事も確信していた。
 ルミナスもシリルも休暇は大概ここで過ごすし、ラクリアは時折遊びに来るつもりでいる。
 双方の遭遇はどう足掻いても時間の問題で、そうなれば幾つかの極秘事項を除いてバレてしまう、と。

 あくまで、今はまずいというだけだ。
 自分達が散々探し続けた王女がとっくの昔に国外脱出し、数日前までこの屋敷でのんびり過ごしていたというのは、
徒労の記憶が色濃い今は刺激が強すぎる。
 そのほとぼりが冷めた頃なら話しても悪くはない、というのが海人の言葉だった。   

「気になりますので、今教えていただきたいですわね」

「駄目でーす。ま、大した話じゃないですし最長でも一ヵ月ぐらいですよ、多分」

 詰め寄るシリルの剣幕を、あっさりと受け流す。

 一ヵ月とはほとぼりが冷める頃、と海人が推定した期間だった。
 いくらなんでもそれだけ経てば怒りが再燃して八つ当たりされる可能性は低いだろう、と。
 一応それを過ぎれば話しても構わないと許可をもらっている。  

 ――――もっとも、それを言った海人の顔はかなり引き攣っていた。

 当然といえば当然だ。
 ルミナスもシリルもかなりの激情家である為、何年経とうが聞いた途端怒りが再燃する可能性は高い。
 ましてほとぼりが冷めるのを待っていたなどと言われたら、笑顔で拳を放ってくるだろう。

 実のところ、一ヵ月というのは海人が覚悟を決めるまでの期間だと雫は見ていた。
 二人の八つ当たりを甘んじて受け止める覚悟を決めるまでの期間がそれなのだろうと。

「ん~……気になるけど、いいじゃないシリル。
何だか知らないけど一ヶ月後位には話してもらえるんでしょ?」

「ええ、そんぐらい経ったら条件付きで話しても良いですよ」

「あら、条件とは何ですの?」

「ん~……聞いた時に込み上げてくるだろう破壊衝動を抑えていただけるなら、ですかね」

「破壊衝動!? ちょっと、急に凄い気になってきたんだけど!?」

「でも秘密でーす」

 目の色を変えて詰め寄ってきたルミナスを軽快に受け流す。
 一応大事な御主人様の命令なので、逆らうわけにはいかないのだ。
 
 無論、最大の理由は先延ばしにした方が後で面白くなりそうだからだが。

「これだけ好奇心を煽ってだんまりというのも惨いと思われません?」

「なんと言われようと駄目ですよー。さ、そろそろ本格的に御飯作りましょう。
いい加減つくらないと海人さんがひもじい思いしちゃいますし」

 話を打ち切り、雫は本格的に料理に取り掛かる。
 
 取りつく島もない雫の態度に、ルミナスとシリルは標的を変えるべきかと刹那に顔を向けるが、
彼女は涙目になりながら口を押えてプルプルと震えていた。
 下手に追求すれば己の喉を切り裂かんばかりの必死さだ。

 誰に口止めされたのか、そして口走ればどうなるのかをなんとなく察した二人は溜息を一つ吐いて夕食を作り始めた。 
 一月後、この鬱憤はまとめて口止めした主犯にぶつけてやると誓いつつ。

 ――――海人の口止めは、この上ない逆効果を生み出していた。























 屋敷に戻ったメイベルは、鼻歌を歌いながら買ってきた服をクローゼットにしまっていた。
 上機嫌そうに鼻歌など歌いながら、今後着る順番に右から揃え直していく。
 
「ふふん、なかなか幸先良いわねぇ~」

「楽しそうね、メイベル」

 唐突に、背後から静かな声がかかった。
 鍵こそかけていなかったが、扉は閉まっていたというのに。

 が、メイベルは特別驚きもせず、服の整理を続けた。

「思ったより楽に良い服が揃ったのよ。これなら明日の授業に紛れ込めるわ」

 心底嬉しそうに、メイベルはクローゼットに服を収めていく。

 服の選抜は今日一日では終わらないと踏んでいたのだが、ギリギリ夜に終わった。
 三年の留守の間にカナールの服屋の品揃えが一際豊富になり、センスの良い服も増えていた為だ。
 アクセサリーは手持ちの物で十分間に合う為、選ぶ必要が無かったのも大きい。 

 おかげで、どうにか明日の授業に間に合った。
 海人との契約は十人以内であれば一度の授業の人数の増減は問わない。
 そして明日の出席者は七人なので出席に問題はない。
 薬茶の一件で好印象を付けられたはずなので、明日行かない理由が無い。
 
 そして、もう一つ予想外の収穫があった。
 
「それに、服を見に行ったら思わぬ収穫があったのよ。
ふふ、貴女もシェリス様も意地悪ねぇ? カイト様、かなり難しい相手じゃない」

 振り向かず、背後にいるローラに悪戯っぽい声をかける。

 薬茶に関しては小技ついでの偵察のつもりだったが、なかなか面白い収穫が得られた。
 偵察の成果は当然ながら、予想もしなかった収穫まで手に入った。

 海人への評価を修正する必要があるという、有益な情報が。
 
「……貴女ともあろう者が、一目で難しい相手だと分からなかったの?」

「だって授業の時は僅かに尊大さを感じる程度で凄く紳士でお優しかったもの。
ま、私に対しては少しよそよそしさがあったけど……あれ、警戒されてたのねぇ」

 獰猛そうに、メイベルの唇が吊り上がる。

 メイベル以外の誰も気づいていなかったが、薬茶を渡した時の海人は興味深い反応を示していた。
 ほんの一瞬だったが、彼はメイベルの表情を冷たい目で観察してから薬茶を受け取った。
 しかも、飲む時も気取られぬ程度に少しずつ、いつでも吐き出せるようなペースだった。

 ――――まるで、毒を盛られる事を警戒しているかのように。

 しかも一連の動きの滑らかさからして、あれは体に染みついた動きだ。
 冷徹な観察の目を微風のように流し、警戒心に満ち溢れた慎重な嚥下を相手の心遣いをゆっくり噛みしめているかのように偽装していた。
 頻繁に毒を盛られるような事に遭遇していなければ、あそこまで自然な動きにはなるまい。 

 初対面の時の印象で能力はともあれ、性格は単に真面目で優しい紳士と思っていたが、それだけではないと良く理解できた。

 とはいえ、メイベルは流石に演技までは見抜かれていないと思っていた。
 今までに彼女の演技を看破したのは、背後にいる完璧超人のみ。
 人を見抜く事に長けたシェリスでさえも、ローラから暴露されるまで全く気付かなかったのだ。

 あの警戒心が強い男相手にどこまで演技を続けるべきか、難しい問題だがそれだけにやりがいがある。 
 
「闘志を燃やすのは結構だけど、冷静さは失わないようにね。
貴女の自滅は知った事ではないけど、他にも被害が広がりかねないから」

「あら冷たい。それで、何の用? 手を引けっていうのならお断りだけど?」

「無駄な事を言うつもりはないわ。明日授業を受ける子達になにやら提案してるらしいわね?」

「ああ、その事? 大した話じゃないわよ。
一人よりは数増やした方が誘いやすいと思っただけ。
言っておくけど、無理強いはしてないわよ?」

 軽く、肩を竦める。

 別に後ろめたい事は何一つない。
 確かに後輩達を唆しはしたものの、強要はしていない。
 利用はさせてもらうが、それは彼女らの行動がそのままメイベルの目的に活用できるというだけの事にすぎない。

 むしろどこぞの凶悪な上司に遠慮していた娘達の後押しをしたのだから、感謝されても良いぐらいだ。

「知ってるわ。何も好き好んで競争相手を増やす事もないでしょうに、と思っただけよ」

「後で参戦されるよりは今増やした方が楽だもの。
それに――――競争相手は多く、手強い方が燃えるじゃない」
 
 肉食獣のような笑顔で、メイベルはようやく背後の上司に振り向いた。




























































 翌日の昼食休み。海人はメイベル達に連れられて庭にやって来ていた。

 初めは厨房に行っておにぎりでも食べるつもりだったのだが、
教室を出ようとしたところで昼食に誘われたのだ。
 サンドイッチを作りすぎてしまったので、出来れば一緒に食べて欲しいと。

 一人に誘われたのなら断ってもよかったのだが、生徒全員に誘われては断りにくい。
 まして期待するような目で見つめられてしまっては、尚の事。

 なので素直についてきたのだが、やはり気になる事があった。

「むう……しかし、本当に良かったのか? 私がいてはあまり休めないだろうに」

「そんな事はございませんよ。カイト様は美形ですし、私共の目の保養になります」

 この期に及んで遠慮がちな海人を、メイベルはやんわりと諭す。
 周囲のメイド達も、それに賛同するようにコクコクと頷いた。

「ふむ、世辞でもそう言ってもらえると嬉しいな」

「本当に謙虚な御方ですね。さ、どうぞ御遠慮なく召し上がってください」

 木製の箱の蓋を開け、海人の目の前に差し出す。

 そこには、なんとも可愛らしいサンドイッチの姿があった。
 色とりどりの具材の色彩が何とも綺麗で、一口ずつ小分けにされた姿がまた愛嬌を漂わせている。
 種類も豊富で、ハム、卵、野菜、等々計七種類も用意されていた。

 では御言葉に甘えて、と海人はサンドイッチに手を伸ばした。
 そしてじっくりと味わいながら一通り味見していく。

「……ふむ、美味いし、芸が細かいな。具材によってマヨネーズの味を変えてあるとは」

 味見を終えた海人は、感心したように呟いた。

 小さな見た目に反して、味はどれも鮮烈だった。
 淡白になりがちな野菜サンドでさえ爽やかな旨味を出している。

 それを支えているのが、パンに塗られたマヨネーズ。
 具材ごとにハーブを混ぜたりなどして味を変えているそれが、実に良かった。
 どれもこれも具材の持ち味を生かしつつ、味に力を与える絶妙な加減。 

 至高には程遠いが、美味しい物を作ろうとする信念が透けて見えるような出来だった。
   
「御慧眼、恐れ入ります。ただ、美味しいと言っても食べ過ぎないよう御注意を」

 海人の称賛を受け流しつつ、メイベルは悪戯っぽく微笑んだ。
 からかいを含んだその言葉に海人が苦笑していると、
 
「カイト様、こちらもどうぞ」

 赤毛の女性がサンドイッチを差し出してきた。

 こちらは肉系が二種類と種類は少ないがやはり数は多く、どちらも食欲をそそる色をしている。
 野菜の合間から覗く香ばしく焼かれた肉の色が何とも言えない魅力を放ち、
海人の手が我知らず伸びていた。

「……ふむ、これはまた美味しいな。
煮込まれて柔らかくなった鳥肉がマヨネーズと良く絡んで、実に良い感じだ。
レタスの食感もあるし、なかなか楽しい。良い出来じゃないか」

 うんうん、と満足げに頷く。

 お世辞ではなく、良い出来だった。
 これと言って特筆すべき要素があるわけではないのだが、
味付けから何から非常に手堅く、真面目に丁寧に作ったという印象だ。
 
「あ、ありがとうございます!」

「いや、御馳走になってるのはこちらなんだが」

 頭を下げられ、海人は苦笑した。

 美味しい物を御馳走になっているのだから、礼を言うべきは海人である。
 なのに逆に礼を言われてしまうというのは、なんとも奇妙な感じがした。

 妙なおかしみを感じつつ、もう一種類のサンドイッチに手を伸ばそうとした時、
再び横から声がかかった。 

「これも食べていただけませんか?」

 今度サンドイッチを差し出したのは、小柄な金髪の女性。
 幼い顔立ちだがどこか凛々しさが漂い、少女ではなく女性という印象が強い。

「ああ、有り難う。だが……君らは私に食べさせてしまって本当に足りるのか?」

 サンドイッチを受け取りながら、首を傾げる。

 確かに多いが、彼女らの日頃の運動量を想像すればそれほど多そうには見えない。
 外見はともかく、実態はそこらの傭兵が裸足で逃げ出すような猛訓練を日課としてる武人達なのだ。
 走って帰る事まで考えれば、最悪元の量でも足りないかもしれない。

「あまりお腹が膨れすぎても勉強に集中できなくなりますから。
ですので、是非ご遠慮なく召し上がってください」

 メイベルが言った言葉に、メイド一同は笑顔で頷いた。

 






















 美女に取り囲まれている海人を、雫達が屋敷の窓から眺めていた。

「うっわ…………凄い光景ですねぇ」

 引き攣った顔で、雫が呟いた。

 見目麗しい美女達が、一人の男によってたかって食べ物を差し出している。
 我先にではなく、海人の様子を見ながら一人一人ゆっくりと差し出している為整然としてはいるが、
そのせいでまるで宗教儀式でもやっているかのような光景になっている。 

 世の男が見れば、間違いなく血の涙を流しながら攻撃魔法を乱射する光景だろう。

「まあ、あの方はなんのかんので凄い方ですし、不思議はありませんわね。
それに、あの場にいる大半はカイトさんに感謝してもし足りない方々でしょうし」

 特に興味も無い様子で、シリルはクッキーを齧る。

 シリルからすれば、眼下の光景はむしろ必然だった。
 そもそも、海人は創造魔法を抜きにしても総合的に見て超優良物件なのだ。
 容姿に優れ、能力は規格外、性格には色々と難があるものの、
仕事柄屑のような男を山のように見ているあのメイド達からすればマシな部類に入るだろう。
 それに恩人という要素が加わり、現在はシリルに整えられた事で容姿のレベルも上がっている。

 本気の色恋沙汰になるかどうかはともかくとして、ちやほやされるに足る理由は十分存在するのだ。
  
「あ、海人さんが少し焦り始めてる」

 楽しそうに、眼下の主の顔を眺める。
 
 矢継ぎ早に差し出されるサンドイッチに、海人の顔は若干焦りを浮かべていた。
 彼は元々小食なので、八人に差し出されてはかなり苦しいものがある。
 しかもちゃんとじっくり味わって食べているので、余計に満腹感が増す。
 
 が、妙なところで義理堅いため、とりあえず全員一巡するまでは平らげようとしている。
 ギリギリ食べられるだろうが、このままでは授業に差し支えるかもしれない。
 そんな葛藤がありありと伝わってくる表情だ。

「ま、あんだけの数に立て続けに食べ物差し出されればああなるわよね。
あいつ、善意を向けてくる相手には弱いか……ら?」

 唐突に眼下で繰り広げられた光景に、ルミナスから間抜けな声が漏れた。

 と言っても、それほどおかしな光景というわけではない。
 サンドイッチに大きくかぶりついた海人の頬にマヨネーズが付着した。
 そして、それをメイベルがハンカチで優しく拭った。それだけの話だ。

 メイベルの表情は苦笑気味だが上品な態度で馴れ馴れしさはないし、
海人は短く礼を言っただけでごく普通に食事に戻った。
 単に教育が行き届いたメイドが迅速に気を利かせただけの話だ。
  
 が、ルミナスは何故かやたらと衝撃を受けた。
 無意識に拳を握り、少しずつ握る力が増していく。

 その力の増加が止まらぬ事を悟ったルミナスは、ゆっくりと席を立った。
 
「ん~、いい加減待ってるのも退屈なんで、鍛錬がてら魔物狩って来るわ。
ついでに食材用も何か狩った方が良い?」

「や、まだ良いんじゃないですか? 昨日買った材料残ってますし」

「……そうね。そんじゃ、行って来るわ」

 いつもと変わらぬ穏やかな調子で、部屋を後にするルミナス。
 その態度は内で暴れ回る激情を微塵も感じさせなかった。





























 無事授業を終えメイド達を見送った海人は、食堂に入って目を瞠った。
 
 そこにあったのは、料理の海。
 多種多様な料理が並び、種類も節操がない。
 グラタンやパスタもあれば、ステーキもあり、サラダも何種類も揃っている。
 雫が作ったと思しき和風の料理が数種類あるのだが、それがあまり目立たない程に種類が多い。

 率直に言って、この面子でも食べきれるか怪しいぐらいの量だった。

「……豪勢だなぁ。材料、今日だけでかなり使ってしまったんじゃないか?」

「ご、ごめん。料理してたらつい止まらなくなっちゃったのよ」

 思わず縮こまり、海人に上目遣いを向けるルミナス。

 昼に発生した激情は、結局魔物を狩っても時間を置いても完全に消える事は無かった。
 それどころか、休憩時間に再びメイド達に誘われた事を知ると減衰していた感情が更に燃え上がった。
 このままではまずい、とそれを忘れるべく気合を入れて料理に臨んだのだが、いざ始めたら手が止まらなくなった。
 思いつくまま料理を作り、次から次へと皿が完成した。
 
 そして気が付いた時には、目の前の豪勢な食事が出来上がっていた。
 共同購入の材料だというのに、材料を一気に使ってしまったのである。
 
「いや、私は構わん。むしろ色々と新作があるようだから楽しみだ」

 しょぼくれているルミナスに、苦笑を向ける。

 確かに折角買った材料を色々と使われてしまったが、海人は気にしていなかった。
 カレーは既に作り終えている為、ルミナスが使ったのは昨日刹那が値切りで余らせた金で買い集めた食材だ。
 ある意味あぶく銭で購入した物なので、使われたところで気にはならない。 

 また買物に行かなければならなくなるのが難点ではあるが、良い食材を前にルミナスに料理をするなというのは酷な話だし、
彼女が作る物はどれも味の保証がされている。
 海人にとっては買物でかかる多少の手間より、今目の前にある未知の美味の方が楽しみであった。

 シリルも妙に複雑そうな表情をしているが、特に文句はないらしく大人しく席についているし、
刹那は改めて尊敬の念の籠もった視線をルミナスに向け、雫は純粋に豪勢な御馳走に目を輝かせている。
 誰一人として、この光景に文句はないようだった。
    
 やがて、ゆっくりと食事が始まった。
 各々軽い雑談などしながら、楽しく食べ進めていると、ルミナスが海人に話を向けた。

「そういえばカイト、今日は随分とモテモテだったわね」

「ん? ああ、休憩時間の話か? まあ、確かに男冥利の環境だったが……それどころじゃなかったからなぁ」

 ふう、と溜息を吐く。
 まるで心底疲れ切ったかのように。
 
「どういう事?」

「どうにもメイベル女士の意図が掴めんのでな。
かといって悪意もなさそうだし、なかなか対応が難しい」

「……あの、話が掴めないんだけど。上品で優しそうな人じゃない」

 海人の言葉に、ルミナスは困惑していた。

 メイベルはルミナスの目から見ても、上品で柔らかい印象の女性だった。
 今日は水色のワンピースに細いネックレスというシンプルな格好だったが、
それだけに清純さが漂っていた。

 海人がこうも頭を悩ませなければならないような人物には、とても見えなかった。

「……そうか、そこから説明が必要か。まず肝心な事だが、彼女の態度は完全に演技だ。
それも素の態度からは相当かけ離れている、な」

「は?」

 海人の言葉に、ルミナスは思わず疑わしげな声を上げた。
 それに構わず、海人は言葉を続ける。

「今まで観察した限りでは、素はおそらく自由奔放な類だな。
それもただ奔放というのではなく、計算高さも持ち合わせている非常に厄介なタイプだ」 

「えっと、どうしてそんな事分かるの? とてもそうは見えなかったんだけど」

「私は嘘や演技を見抜くための技術を確立しているんでな。
表情や仕草をちゃんと観察していれば分析できるんだ。ま、今のところ外れた事は一度もない」

「へえ……」

「で、話を戻すが、メイベル女士はほぼ完璧な演技であの印象を装っている。
時折観察するような目を向けてくるから単に様子見かとも思うんだが……」

 そこで言葉を切り、憂鬱そうに息を吐いた。
 その態度を心配しつつも、ルミナスは先を促した。

「だが?」

「彼女の性格が私の予想通りなら、絶対に何か企んでいる。
ついでに、私の経験上あの手のタイプに関わると碌でもない目に遭う確率が九割を超える」

「……ひょっとしてあんたあの人嫌い?」

「いや、したたかな女性は嫌いじゃないんだが……まあ、苦手だ。
大概の場合は悪意を持って接してくれるから対応が簡単なんだが、彼女は悪意がなさそうだからなぁ……」

 やれやれ、と肩を落とす。

 海人にとっては、悪意を持って寄ってくる相手ならば対応は容易だ。
 気を抜かずに警戒し、口実が出来次第この世から消えてもらえばいい。
 実際、元の世界では色仕掛けで寄ってきた女性諜報員などを相手に幾度となく実行している。

 が、何か企んでいるにもかかわらず悪意を持たない相手。これはまずい。
 害意を持たない相手に自分から仕掛けるのは海人の主義に反するので、先手が打てない。

 かと言って、放置すれば海人の経験上碌でもない結果に繋がる事が多い。
 元の世界で女性の友人の悪戯に巻き込まれた時など、死の危険さえあった。
 本人にとっては軽い悪戯だったようだが、そのせいで海人は真剣を振り回す妻に何時間も追いかけられる羽目になったのだ。

 さらに言えば、死の危険まではないとしても厄介な事には変わりない。
 どのみち今まであの手の女性と関わった時、無傷で済んだ事など一度もないのだ。

 どうにもならない苦々しさごと飲み下すかのように、海人はワインを呷った。   

「……ちなみに、他のメイドさんはどうなんです?」

「ああ、彼女らは他意がなさそうだ。おそらくエルガルドの一件の礼だろうな。
律儀そうな女性ばかりだし、あの時の礼を個人的にしておきたかったというところだろう」

「純粋に自分が良い男だから、とか思いません?」

「それなら素直に嬉しいが、これでも身の程はよく知っている。
友人として付き合うならともかく、私は男としての魅力には欠けるだろう。
本気で言い寄ってくるような女性は余程の物好きだけだ」

 雫の言葉に、海人は苦笑した。

 海人の記憶には、本当の意味でモテたという経験がない。
 言い寄られた事は数多いが、ほぼ悪戯か謀略かの二択だった。
 ゆえに、自分の男としての魅力など大した事はないと思っていた。
    
「んな事ないと思うけどねぇ……ま、いいわ。
そうそう、このスープは今日の自信作だから是非飲んで頂戴」

 ルミナスはそう言うと、オレンジ色のスープを取り分けて海人に差し出した。
 その顔にはやたらと喜色が漂い、上機嫌そうである。

「確かに凄く美味しいですよねー。
ただ、ちょっと濃厚すぎる気はしますけど……」

 自分の分のスープを飲み、雫が呟いた。
 非常に美味いスープなのだが、味があまりにも濃厚でスープとしては若干濃すぎる。
 普段のルミナスだったら、もう少し薄味にしているような気がした。

「ふふ、シズクちゃん。そこの素揚げした海老の身に絡めて、パンに乗っけてみて」

 山盛りになった海老の素揚げを指差す。

 透明感の残るそれにオレンジ色のスープをたっぷりと絡め、パンに乗せる。
 その拍子にスープが零れそうになるが、雫はそれを口で受け止めながらパンを頬張った。 

 まず口に広がったのは、海老のミソの濃厚な旨味。
 殻から出た出汁と相まって力強さを増したそれは、舌を殴りつけるようなパワーを感じる。 
 次に広がるのが、海老の身の甘味。
 新鮮な海老の身は絶妙な塩加減によって軽やかで鮮烈な甘味を引き出され、その味を主張している。
 
 そして咀嚼する事によって、その二つが合わさった極上の旨味が生じる。
 
 濃厚なスープの味が身の繊細な味に絡みつくが、それが少しも嫌味ではない。
 それどころかスープに含まれたスパイスが身の甘味をさらに引き立てている。
 スープの方も身の甘味が加わる事によって、今まで陰に隠れていた繊細な味が現れ、味が引き立てられている。  
 
 その強烈とも言える旨味の洪水を全粒粉のパンががっしりと受け止め、
同時にしっかり咀嚼して味わう余裕を与える。
 その過程で己の味をも加え、口内に広がる幸福感を更に跳ね上げる。 

 至高とも言える旨味を味わった雫は、思わず絶叫した。

「にゅおおおおおおおっ!? 美味しい、美味しすぎます!
これ、今まで食べたルミナスさんの料理の中でもぶっちぎりの傑作じゃないですか!?」

「そりゃ良かったわ。カイトはどう?」

「うむ、正直感激しとる。
だが、なるほど……私が作れる料理を隠しているのではないかと勘繰っていたのは、自分が隠していたからだったのか。
このケチンボめ」

「はいはい、変な言いがかりつけないの。これは今日思いついて作った料理よ。
スープに使ったスパイスとか突き詰めればもっと美味しくなると思うわ」

 嬉しそうに笑う。

 思いついてすぐ作った為、今日は使ったスパイスのバランスにまだ難がある。
 これから調整を加えていけばもっと良く出来る自信があった。

「……こ、これが思いつきなのですか……」

「思いつきと言っても、今まで多量の料理経験を積んでいるお姉さまのですもの。
素人の思いつきとはわけが違いますわ」

 慄く刹那にフォローを入れる。

 ルミナスの料理にかける執念は、尋常ではない。
 休暇の時は勿論、戦場でも冒険者の如く調味料を持ち歩き、極力美味い物を作ろうとする。
 しかも御人好しな性格によって部下や仲間にも振る舞う為、自然腕も磨かれ膨大な経験まで積み重なっている。
 経験も、技量も、もはや素人の域をはるかに逸脱している。
 
 そんな人間の思いつきが、素人のそれと同じであるはずがない。
 どちらかと言えばプロの料理人のひらめきに近い。

「まあ、ルミナスはこだわりが半端じゃないからなぁ……いや、しかしこれは美味いな。
ついつい手が伸びてしまう」

 言葉通り、海老に次から次へと手を伸ばしていく。
 海人にしては珍しく、勢いのある食べ方だ。

「あら、珍しいですわね。カイトさんがそんなに食べるなんて」

 海人の様子に、シリルが軽く目を瞠った。

 海人は、それほど食へのこだわりは強くない。
 勿論美味い物は好きだが執着心は薄く、他に食べたがっている人間がいれば譲ってしまう程度だ。
 
 こうまでパクパクと食べているのを目にしたのは、シリルの知る限りでは二度目。
 ルミナスが作った最高傑作のシチューを振る舞われた時以来だ。
 
「そこまで気に入ってくれたんなら何よりだわ。
今度海老買ったらまた作ってあげるわね」

「是非頼む。うーむ、美味い」 

 言いながら、一心不乱に海老を食べ進める海人。
 余程気に入ったらしく、酒を飲む事すら忘れて海老に手を伸ばしている。

 そんな海人を、ルミナスは優しげに見つめていた。
 穏やかで魅力的な、幸福を絵に描いたような笑顔で。







テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
メイベル敗北確定か?
更新ありがとうございました。
さて、ここまでの流れ、具体的には、シェリスの確信とか海人の人生経験とかから、メイベルの海人ゲットが敗北確定です。
ただ、57話で判明したことですが、メイベルに悪意はないんですよね。別に海人の妻の座を狙っているわけじゃないし、今現在、海人の妻はいないのでメイベルが火遊びをしても海人に命の危険があるわけじゃない。だから、火遊びが成立しても、海人に害はないのです。これである意味楽しみになってきました。
なにしろ、ルミナスの自覚しない海人への恋心から、ラブコメ展開が必至ですので。
いやー、ますます次回が楽しみです。
[2012/01/29 22:48] URL | hatch #QGsADGPw [ 編集 ]

混沌としてきたw
あわれ・・ 海人の女難の巻  が副題に違いないw
[2012/01/29 22:56] URL | 未樹 #oqByMoM2 [ 編集 ]


更新お疲れ様です。
毎回楽しく読ませていただいています。
ルミナスの嫉妬がかわいいですね。
ローラも絡ませた恋愛模様とか見てみたいです。

消し忘れっぽいのを見つけたので、一応。

 ”海人のサンドイッチに大きくかぶりついた海人の頬にマヨネーズが付着した。”

最初の海人のがいらないのでは?

[2012/01/29 23:04] URL | 多那彼方 #- [ 編集 ]


ルミナスさんが無自覚なうちに嫉妬してますなぁw
読んでいてニヤニヤしてしまいました。
そして、メイベル女史、貴女はまだまだカイト殿を甘く見すぎです。
正直今ではカイトに関わって色々経験したシャロンの方が
メイベルより格上になってるんじゃないですかね・・・
[2012/01/29 23:05] URL | 隆広 #AbS.6.bQ [ 編集 ]

お久しぶりです
お久しぶりです~やっと今までの話に追い付き、言いたいことはたくさんありますがとりあえず蟻→犬はひどすぎるwww


彼女が犬→人まで超進化あるいは転生できるまであと何段階あることやら(--;)

最近インフルエンザがすごいです。病み上がりこそお気をつけください


[2012/01/29 23:12] URL | さとやん #6x2ZnSGE [ 編集 ]

海人の明日はどっちだ。
メイベル…
着実に完璧超人達を(潜在的にとはいえ)敵に回していますね。
メイベルに明日はあるのか?しかも完璧に海人に見切られているし。

ルミナスのやってることって海人の回想にちょくちょく出てくる奥さんに似てきて無いか?
[2012/01/29 23:27] URL | とある人 #vXeIqmFk [ 編集 ]


今回も楽しく読ませて頂きました

ルミナスの新料理は海人の好みに即した料理だったと脳内補完いたしましたw

思いつきだけど無意識に海人の為のレシピを作っていたとかそういう感じで!
海老と海人で「海」の字も被ってますし!

ローラの反応も気になりますw
[2012/01/30 01:06] URL | スウ #- [ 編集 ]


更新お疲れ様です
お体のほうは大丈夫ですか?

今回の章は色恋面が強く出ていますね
片や悪巧み?のような面がありますが
ルミナスの今後は如何に
しかし、メイベルが押せば押すほど海人が遠のく結果に……

では、次回の更新も楽しみにしています

P.S.
序盤のルミナスのセリフ
>「……あ、ホントだ。前食べたのとは食べた時よりふんわり感が増してるし、

これは
「前食べたのとは食べた時のふんわり感が増してるし、」
あたりじゃないですか?
「~とは」の部分か「~より」の部分が変わらないと文としておかしい気が
[2012/01/30 01:14] URL | 華羅巣 #zR7lJLBY [ 編集 ]


メイベル女史は、オーガスト老と共食いでもしていてくれれば世の中平穏になりそうなのになー と思ったり。

とりあえず、更新されてすぐ読む=夜中 にこんな美味しい料理の描写されるとすきっ腹抱えて寝る羽目に。。。
[2012/01/30 01:55] URL | #- [ 編集 ]


更新乙です。

最近恋愛色が強くなりましたね。
なにやらな物語展開が早く、ルミナスの心に折り合いを付ける前にメイベルが事件を起こして修羅場になりそうですね。
[2012/01/30 09:51] URL | 煉恋々 #- [ 編集 ]


見えてる地雷(ルミナス)より見えてない地雷(シリル)の動きが気になる。
これまでいろんな行動をしてるけど、ほとんどが「その場の雰囲気に乗った悪ふざけ」だろうからどこまで本心なのか……。
[2012/01/30 14:22] URL | ぱし #bjX/C94Y [ 編集 ]


しかし日常編になるとほとんど食い物の話なのはマンネリ化してきてる気が少しw
この小説の見所の1つでは間違いなくある料理関係とはいえ少し比重が大きすぎる気がw
毎回これで尺を結構とるので物語進行が冗長に少し感じます
[2012/01/31 10:08] URL | レキ #mQop/nM. [ 編集 ]


質問なんですけどこの作品は今の段階で完結まで全何部構成になりそうなんですか?
[2012/02/02 03:10] URL | 猩々緋 #- [ 編集 ]


ルミナスルートにいっちゃうのかな、、。ローラが好きだからローラルートに期待。
[2015/07/25 22:20] URL | ten #j5MTE4Ew [ 編集 ]


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