ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
白衣の英雄63
 ベッドに横になったルミナスは、寝転がりながら考え込んでいた。

 結局海人に肝心の事は何一つ話せなかった。
 だというのに、話す前よりも心がやたらと軽くなっている。
 腹の奥にはまだまだジメジメした感情があるのだが、余裕を持って抑えられる範囲。
 先程までが噴火寸前の火山とするなら、今は噴火直後の火山といったところか。

(……そっか。いついなくなるかもしれないって怖さがあったから、余計にそうなってたのか)

 ふう、と憂鬱そうに、それでいてどこか嬉しげに息を漏らす。

 特別意識はしていなかったのだが、冷静に考えれば今までずっと心の底に若干の恐怖心があった。
 目を離してしまったら、その間に海人が彼の妻と同じ運命を辿ってしまうのではないかという思いが。

 だからこそ、独占欲が強くなった。
 今は目の前にいても、次仕事から帰ってきたらいなくなっているかもしれない。
 そんな恐怖が独占欲を何倍にも増幅していた。傭兵稼業で鍛えられた自制心を容易く打ち砕きかねない程に。    

(う~ん……でも、やっぱりそれだけじゃない気がするのよね。
なんというか、そもそもの大元が間違ってる気が……むう)

 自慢の翼を弄りながら、頭を悩ませる。

 失う恐怖から独占欲が肥大化していた。これは間違いない。
 危険な個所は終わったという話を聞いた途端、一気に心が軽くなったのだから。

 が、まだ何か間違っている気がする。
 それも非常に初歩的で、致命的な何かが。
 それを究明しない事には、まだ安心はできない。
(……全っっっ然答え出ない。自分の事なのに情けない……)

 ぼふ、と枕に顔を埋める。

 必死で頭を悩ませたつもりだが、一向に答えが出ない。

 変なところで子供っぽい海人に関わっているせいで自分も妙な影響を受けた。
 仕事とほぼ無関係な海人相手なら肩肘張る必要がない為、元々のガキ臭さが出ている。
 なまじ味覚が満たされているおかげで、余った欲求が人間関係に向けられるようになった。
  
 どれもこれも正解に思えるのだが――――それでも、まだ根本的な何かが間違ってる気がする。
 
「あぁぁぁもういいっ! これは考えるの止め!」

 自らの頬を両手で叩き、沈んでいく気分を強引に引き上げる。

 理由は、考えても分からない。これはここしばらく悩み続けて薄々勘付いていた結論だ。
 何か重要な見落としがある為だろうが、悩み続けているからこそ見落とすという可能性もある。
 思考が凝り固まっている時ほど、考えれば考えるほど分からなくなるものだ。

 それならいっそ当分思考の彼方に放り投げておくのが一番良い。
 少し心が軽くなった今なら、それが出来る。
 
 それよりは、今確実に出来る事を考えた方が建設的だ。
 迷惑をかけるのが止められずとも、それ以上に喜ばせる事は出来るのだから。
 
「ん~……やっぱり料理かしらね」

 唇に人差し指を当て、呟く。

 普通の人間なら勉強なり武術の訓練なり色々出来る事は多いのだが、海人相手ではそうもいかない。
 勉強は逆に教えられる事が目に見えているし、武術は才能が乏しすぎて成果が上がらない事が目に見えている。
 その他の事に関しても大概の事はルミナスより上なので、確実に喜んでもらえるとなるとやはり料理になってしまう。

 そして、料理に関しては改善点が無いわけでもない。
 
 今までも気合を入れて作ってはきたが、あくまでも自分の好みの味付けに偏っていた。
 不思議と最近海人の好みに近い味付けも多くなっていたが、意識してやっているわけではない。
 意識して海人の好みに合わせれば、きっと喜ぶはずだ。
 
「いよっし! そうと決まれば明日の献立から気合入れないとね!」

 己に出来る最善を考えたルミナスは、明日からの献立を考えながら布団を被った。
 喜んでくれるであろう海人の顔を思い浮かべながら。
 
  

















 ぐっすりと寝入っていたシェリスは、ふと目を覚ました。
 
 原因は、屋敷の庭に集まる複数の気配。
 どうも何人かかなり近くにまとまっているらしく正確な数が掴めないが、六人は超えている。
 こんな深夜にこの数の気配が庭にあるなど、普段はありえない。
 厳密にはかつてはあったが、無くなって三年経過している。
 
 そこまで考え、ようやく理由に思い当たった。

 シェリスは小さく息を吐くと、カーディガンを羽織った。
 遮音魔法を使いながら窓を開け、静かに壁を伝って庭に下りる。
 そして庭の中心に出来ている少し大きめの闇のドームに入って行く。

 闇を抜けると、まず音楽が聞こえてきた。
 陽気で激しく、なによりも情熱的なメロディ。
 芸術的とまではいかない技量ながらも、その音色は聴衆の気分を激しく昂らせる。  

「あーはっはっはっは! 振られた!? 本気で色仕掛けやって返り討ち!?
最高の酒の肴じゃないか!」

 ぶわーっはっは、と酒樽を傾けながら豪快に笑う野性的な女性。
 その指が示す方向には、不機嫌そうに睨みながらワイングラスを傾けるメイベルの姿があった。
 
「っさいわね。私だって確実に成功するわけじゃないわよ」

「ふふっ、でも確かに驚きね。貴女がしくじるなんて初めて聞いたわ」

 優雅にワイングラスを傾ける理知的な女性。
 落ち着いた声音だが、その口元には悪戯ぽい笑みが浮かんでいる。

「最後にしくじったの十年以上前だもの。仕事の相手じゃなくて良かったわ、本当に」

 投げやりに、両手を上げる。
 それとほぼ同時に、シェリスが間近まで寄ってきた。

「はあ……後で祝勝会企画するって言わなかった?」

 溜息を吐きながら、周囲を見渡す。
 山積みになった空き皿、海のような空き瓶、ついでに魔物らしき骨が覗いている複数の袋。
 
 祝勝会を企画すると言ったのは、必ずしも部下の労いの為だけではない。
 元々彼女らは、屋敷屈指の自由人にしてお祭り大好き人間達。そんな連中が三年ぶりの帰還と再会。
 場を設ける旨を知らせておかねば、明日の朝には酔い潰れた屍の山が積み上がりかねなかったのだ。

 だから釘を刺さずにはいられなかった――――どうせ無駄だとは思いつつも。 

「それはそれ、これはこれですよ」

 悪戯っぽく微笑む、聖女のような容貌の女性。
 優雅に酒を飲んではいるが、彼女の周囲にはすっかり酒瓶の塀が出来上がっている。

 そんなある意味メイベル以上に厄介な曲者から早々に視線を切ると、
シェリスはこの場における一番の常識人に話を向けた。

「というか、オレルスも参加しているのは意外ね」

「初めはお断りしたのですが……」

 申し訳なさそうに身を縮こまらせる、屋敷最年長にして唯一の男性。
 その言葉を証明するかのように、彼の前にあるワインのみあまり口を付けられた様子がない。
 
「折角ですので、丁重に説得して参加していただきました。問題ありましたか?」

「咎めるつもりはないわ。どうせこうなるだろうと思っていたし。
それはそうと、そこの三姉妹は相当痛めつけられたんじゃなかったの?」

 演奏をしている三人を視線で示し、訊ねる。
 話からして相当なダメージを受けているはずなのに、その音色は完璧。
 町で演奏すれば人だかりができる事間違いなしの名演奏だ。

「ふっ、酒があり……」

 ドラムを叩きながら、赤髪をショートカットにした女性。

「つまみがあり……」

 ギターを弾きながら、ロングストレートの女性。

「そして何より演奏が求められている……!」

 横笛から口を離し、ポニーテールの女性。

『ならば! 我ら楽団三姉妹! 演奏しないわけにはいきますまい!』

 そして最後に三人で唱和する。
 この間、演奏に一切の乱れがない。
 それどころか、各自が放った言葉すらも音楽を乱さぬよう調節していた。

「……だそうです。肋骨折れてる状態で良くやると思いますが」

『折った当人が言~~う~~な~~~~♪』

 再び合唱しながら、理知的な女性に抗議する。
 やはりその言葉は音楽を乱さないが、彼女らの目尻には涙が浮かんでいた。

「本気で相変わらずねぇ……でも、後二人か」

「おそらく今日中には集まりますよ」

 骨付きのローストチキンに齧りつきながら、眼帯の女性。
 視覚を閉ざしているにもかかわらず、食べ物を取る手は見えているかのように全く淀みが無い。

「というと?」

「昨日、その三人が相打ちになった馬鹿二人を見かけたそうです」
 
「……あの二人も、相変わらずなのね」

 虚ろな眼差しを、天に向けるシェリス。

 この場にいない残り二人は、非常に優秀な部下だ。
 両者共に諜報活動に優れ、必要とあらば破壊工作まで行える。
 その有能さたるや、使い勝手のみならローラに次ぐ。

 が、唯一にして最大の難点が、私生活におけるその二人のいがみ合いの過激さ。

 仕事の時は一切表に出さないのだが、私生活は凄まじい。
 顔を合わせれば罵り合い、殴り合い、場合によっては殺し合いにまで発展する。
 これで仕事の時はきっちり役割分担して究極的な連携を見せつけるのだから、面白い話だ。

 もっとも、それを御さねばならない人間はそうも言ってられないのだが。
 
「あ、シェリス様。あいつらも色々荷物持ってたらしいから、資産結構増えると思うぜ」

 酒をがぶ飲みしながら、気楽な口調で語る野性的な女性。

 軽い言葉だが、それとは裏腹に持ち帰った物の内容は違う。
 小一時間で彼女に皆殺しにされた山賊団のアジトにあった財宝、
眼帯の女性に瞬殺された下位ドラゴンの亡骸、そして仕事の過程で得た多くの装飾品。
 物理的にも、金銭的にも実に重い物である。
    
「それは嬉しいわね。でも……そう、ついに屋敷が正常な状態に戻るのね」

「はい――――ようやく、屋敷最古参全員が揃います」

 噛みしめるような主の言葉に、静かに答えるローラ。

 この三年、多くの部下がその能力を跳ね上げた。
 戦闘能力はどの国の騎士団に入っても上位に食い込むだろうし、
その見識を示せば多くの貴族が感嘆するだろう。
 まさしく、精鋭の名に相応しい。

 ――――だが、それでも総合能力においては今まで不在だった屋敷最古参の者達には届かない。  

 彼女らの不在は、部下達の成長だけでは到底埋められない程大きな穴だった。
 全員が再び働き始めれば、ローラの仕事も本格的に楽になる。
 他の部下達とは違い、彼女らはローラの仕事の多くを代替できるのだ。
 より正確にいえば、この三年間元々彼女らがやっていた事の大半をローラ一人で代替していたのだが。

 それを思えば、主の思いは分からなくもない。

 過酷すぎた三年間が、ようやく終わるのだ。
 ローラとて感慨を抱かずにはいられないそれを、シェリスが喜ばずにいられるはずがない。

 もっとも、それで浮かれていたせいで思慮が浅くなったのはいただけないが。
 あの程度で機嫌を損ねる海人ではないが、ミスには違いないのだ。
 むしろ、喜んでいる時こそ気を引き締めて欲しいものだった。
 
「はっは、三年は長かったですなぁ……シャロンを筆頭とした数人が使い物になってくれていなければ、どうなっていたことやら」

 ふ、と感慨深げに目を細めるオレルス。

 三年。言葉にすれば短いが、彼にとってはそれまでの人生を上回る程に長かった。
 
 それまでシェリスを含め十三人でこなしていた重要書類の処理を三人でこなす羽目になり、
その一方で総合の仕事量は減るどころかそれまで以上に増えていった。
 高齢、そして能力的にも無理という事でオレルスの負担は他の二人よりも軽かったが、
それでも戦闘訓練、そしてローラ不在時の重要顧客の出迎えなどを除けば殆ど仕事部屋から出られなかった。
 
 シャロン達数人に重要案件を任せられるようになったおかげで多少楽にはなったが、
それでもそれがあと一ヵ月遅れていたらと思うと、背筋が寒くなる。

「ここまで手を広げられなかっただけでしょう。なまじ私達がこなしてしまうからここまで広がったのです」

「……悪かったわよ。でも、その成果は十分にあった。違うかしら?」

 謝罪しつつも、臆することなくローラを見つめ返す。

 確かにローラを筆頭とした多くの者に尋常ならざる負担をかけた三年間だったが、成果は十二分に手に入れた。
 国の成長の好機を逃さなかった事もさる事ながら、そもそもこんな無茶な条件を吹っかけてきた人物にこちらの力を示せた。
 そのおかげで、近々当初の予定にはなかった破格の成果が追加される事になっている。

 それを考えれば、決して無価値な苦労ではなかったと言える。  

「つっても、そのせいでエルガルドに攻められた時ヤバかったって聞いたぜ?」

「まあ、ね。でも、結果は結果よ。
多大な幸運に助けられたのは事実だけれど――――私達は生き残った。それが全て。
勿論、反省はしないといけないけれどね」

 鋭い指摘に気後れすることなく、堂々と言い放つ。

 確かに、幸運に助けられて全滅を免れたのは否定できない。
 この場にいる者達全員が残っていれば退けられたのも事実。
 あの時ばかりは無茶な条件を呑まずに皆を留めていれば、と思いもした。
 
 だが、今見事に全員生存しているのも事実であり――――それこそが結果。

 反省点は数多いが、落ち込むべき事ではない。
 三年の苦境を乗り切ったと、誇るべきなのだ。
 到らぬ自分に付いてきてくれている多くの部下達の為にも。

 そんなシェリスを、周囲は穏やかに微笑みながら見つめていた。
 それを代表するかのように、理知的な女性が口を開く。  
 
「それでこそシェリス様です。それはそれとして――――何でも、素晴らしい賢者様を見つけられたとか」

「で、その賢者様口説こうとしてメイベルが返り討ちになったとか」

「そこで話を戻す!?」

 流れたと思っていた話を戻され、メイベルは抗議の声を上げた。

 事実なので仕方ないと言えば仕方ないが、何度も話題にされては流石に堪らない。
 相手も本気ではなかったらしく、笑いつつもそれ以上突っ込む事はなかったが、
自分の失態を弄られるのはあまり良い気分ではない。

 気分直しに再び酒を飲もうとした瞬間、 
 
「らしくない事をする方が悪いわね。そもそも、私の世話を焼こうなんて百年早いわ」

 ローラが淡々と放った言葉に、含んでいた酒を噴出しかけた。
 
「げほっ、ごほっ……! ちょっ! 気付いてたの!?」

「当たり前でしょう。慎重で狡猾な貴女があの短期間で焦れるなんて怪しい事この上ないわ」

 メイベルの視線を受け止めながら、淡々と答える。

 ローラからすれば、気付かないはずがない事だった。
 会うたび一瞬こちらの顔色を窺ってきていた事もそうだが、
なにより決して短気ではないのにこの短期間で情報が集まらない事に焦れていた事が怪しかった。
 メイベルは一人の男を落とす為に二年かけた事もある。
 並行して様々な男を弄んでもいたせいもあるだろうが、それでもその間全く焦れた様子はなかったのだ。
 
 となると、何か急ぐ理由があると考える方が自然。
 そして、部下達の話から把握した諸々の状況などを総合すれば答えは一つしかなかった。

 らしくもなく――――三年ぶりに会った親友の世話を焼こうとしていた事ぐらいしか。
  
「ほっほ~う、流石に親友の為ならあんたも男を譲るんだねぇ」 

「まさか。つまみ食いはする気だった……って、待ちなさいローラ。
なら、あの手紙とその後貴女が出かけたのは何だったの?」

 ジロリ、と上司兼親友を睨み付ける。

 今回のメイベルの主目的は、ローラを刺激する事だった。
 かれこれ十数年の付き合いになるというのに、浮いた話一つない親友が珍しく好意的に接している男。
 これを逃すと彼女は生涯独身どころか、生涯純潔で過ごしかねない。

 が、上物なだけに競争も激しそうだというのに、当のローラはあまり動く様子を見せない。
 後輩達から聞き出した情報を集めただけでも、現段階で相当な好意を抱いているはずだというのに。
 なので、恋愛経験が皆無な親友に、泰然と構えていては掻っ攫われると教えてやる為にアプローチをかけたのである。
 
 無論、つまみ食いぐらいはするつもりだった。
 親友の為と言えど、あれだけの良い男を喰わずにいられる程メイベルは聖人ではない。
 だからこそ、それは早めにやらねば泥沼化する恐れがあると情報収集が進む気配がない事に焦れたのだ。
 他のメイド達の煽動に関しても、ローラへの挑発以上に自分が楽しむ為の意味合いが大きかった。

 とはいえ、あくまでも主目的はローラへの刺激。
 三年間散々苦労したであろう親友への細やかな御節介であった。

 ゆえに、手紙の一件と出掛けた一件はそれが功を奏したと喜んでもいたのだが、
今の口振りからするともっと前に気付いていたように聞こえる。
 
「手紙に関しては、多少なりとも傷を浅くしてあげようと思ったからよ。
出掛けたのは、忙しい中部下を煽動して余計な時間を使わせた馬鹿に、
ここ三年の私の苦労の一端を味わってもらおうと思ったからね」

「友達思いなんだか、根性腐れてるのかはっきりしてくれるかしら?」

 引き攣った笑みを浮かべ、問いかける。
 どんな答えが返ってくるか、半ば予想はしつつも。

「少なくとも、手も足も出ずに返り討ちにあった貴女の落ち込みっぷりは実に愉快だったわ。
出来ればもう一度見せて欲しいものね」

「よし、表に出なさい」

 根性悪な親友を据わった目で睨み、愛用の鞭を片手に闇のドームの外を指差す。
 人には、負けると分かっていてもやらねばならない時があるのだ。

 が、二人が外へと歩き始める前に軽い拍手の音が響いた。

「はい、そこまでよ。明日も仕事あるんだから」

「その事ですが、本当によろしいのでしょうか。必要なら私は明日から復帰しますが?」

 理知的な女性が、心配そうに問いかける。

 少し後輩達の仕事ぶりを覗いただけだが、その忙しさは三年前の比ではなかった。
 それどころか随分仕事量が多いようね、と聞いたら今日はまだ軽い方ですが、と不思議そうに首を傾げられてしまった。
 どうやら後輩達は激務が常態化して前の仕事量を忘れてしまっているらしい。

 哀れな後輩達の為にも休暇を返上して即仕事に戻るべきか、と思わずにはいられなかった。 

「気持ちは嬉しいけれど、前々から決めていた事でしょう?
それにメイベルはもう七日休んだんだから、貴女達も休まなければ不公平だわ。
さて――――悪いけれど、明日仕事がある面々はここでお開きね」

 顎で、屋敷を示す。

 主の命にメイベルは軽く肩を竦め、オレルスは安堵めいた息を吐き、ローラは無言でそれぞれ席を立つ。
 残りの面々が少し盛り下がった事を残念に思いつつ再び宴を続けようとした時、
 
「そうそう、折角だし地下貯蔵庫手前一列のお酒好きに飲んでいいわよ」

 去って行く主が残した言葉に、一斉に歓声が沸き起こった。











 

 
  
 
  

 海人は酒を酌み交わしながら、なんとなく刹那を観賞していた。

 酒を飲むその仕草は、控えめに言っても完璧。
 姿勢は伸びつつも適度に弛緩し、酒を口に運ぶ動きも優雅、
杯をテーブルに置く際も音を立てず、かつ自然に置いている。
 飲む速度も別段急がず、かつゆっくりとしすぎていない。
 これほど酒を飲む姿が様になっている者もなかなかいないだろう。

 その上彼女は、類稀な美女でもある。

 切れ長な瞳、凛とした面立ち、艶やかに広がる漆黒の髪。
 以前はサラシで押さえつけられていた胸部も、今は下着を変えている為に適度に盛り上がっている。
 しかも酒が入った為かほんのりと顔が上気し、普段は凛々しさに隠れている色気がさりげなく顔を出していた。

 これほどの眼福は、そう味わえるものではない。
 そんな感想を抱いていると、ふと刹那が表情を引き締めた。

「……ところで海人殿。先程は何を落ち込まれていたのですか?」

「あー……本当に大した事じゃないんだが……」

「勿論仰りたくないのであれば無理に、とは申しません。
ですが、話す事で楽になる事もあるかと」

 優しく微笑みながら、海人の杯に酒を注ぐ。
 海人は数瞬迷ったものの、注がれた酒を飲みながら口を開いた。

「……刹那、私は頼りないか?」

「は?」

 耳にした言葉に、思わず目をパチパチと瞬かせる刹那。
 少し間の抜けた表情が、妙に愛らしい。

「いや、ルミナスの様子が少しおかしかったんで様子を見に行ったんだがな。
何か悩みはありそうなんだが、まったく言ってくれそうになかったんだ。
で、まあ……やはり私が頼りないのかと」

「何がやはりなのか分かりませんが、そんな事はないかと。
頼りになりすぎるがゆえに、頼りすぎないよう気を付けているという方が納得いきます」

 呆れたような顔で、意見を述べる。

 刹那からすれば、海人の見解は寝言にしか聞こえない。

 得意分野に限れば、文字通り常識を無視した事が出来る人間。
 そしてその得意分野の広さゆえに、大概の事は常識外れの事を成し遂げてしまう規格外。
 それでいて許容範囲内の事に関してはあっさりと引き受けてくれる。

 これで頼りないなどというなら、この世に頼りになる人間など存在しないだろう。
 むしろ、その優れ過ぎた能力に依存しないよう気を付けているという方が筋が通る。
 
「本当にそうなら、まだいいんだがな……」

「なぜそこまで御気になさるのですか?
本人に話す気が無いのなら、待つのもまた思いやりだと思いますが」

「それは分かってるんだが……どうしても気になってしまってな」

 あまりにも真っ当な正論に、恥じ入るように頭を掻く。

 一応、頭では分かってはいる。
 どんな悩みだろうが、ルミナスが話してくれない以上待つべきだと。
 彼女が話す気がない以上、詮索はかえって悩みを深くしてしまう可能性がある。
 とりあえず心の片隅に放置して時間を置くべきだと、分かってはいるのだ。
   
 それでも、気になってしまうのだが。

「……前々から思っていたのですが、海人殿は少々身内に気を遣いすぎではありませんか?
とてもありがたい事ではあるのですが……その、時折何かに怯えてらっしゃるようにも見えます」

 僅かな逡巡の後、刹那は思い切ったような口調で尋ねた。

 初めは、単に身内に甘いからだとしか思っていなかった。
 相手を大事にしすぎるがゆえに、気を遣いすぎているように見えるのだと。 
 海人の性格上それほど不思議な事でもないと、そう思っていた。

 が、時折違和感を感じる場面があった。

 ごく稀にだが、妙に必死に見える時があるのだ。
 まるで、そうしなければ怖くて仕方ないと言わんばかりに。  

「……怯えている、か。そうかもしれんな」
 
 自嘲めいた笑みを浮かべ、杯に酒を注ぐ。
 そして数瞬手元で揺れる水面を見つめると、ゆっくりと言葉を続けた。
 
「まあ、色々あってな。後になってからああしてやれば良かった、こうしてやれば良かった、というのは嫌なんだ」

 妻を喪った時、海人の胸には実に様々な事が去来した。
 その一つが、もっと色々してやりたかったという事。

 もっと美味しい物をたくさん食べさせてやるべきだった。
 外出に必要となる手間を厭わず何回でもデートするべきだった。
 大した意味のない研究などやらず、その分妻との時間を取るべきだった。

 時既に遅く意味のない後悔ではあったが、それでも後から後から重く圧し掛かってくる。
 未だに重さを増し続けるそれは、もはや恐怖だ。
 その記憶を考えれば、一種の怯えがあるのは否定できなかった。
 
 事実、今原因を想起した途端――――海人の体は、僅かに震えてしまったのだから。

 いずれ、また妻の時と同じ思いを味わうのではないかと。
 またかけがえのない人間を失い、今と同等以上の後悔がやってくるかもしれない。
 そんな想像一つで、渾身の精神力を使わねば震えが止まらぬ程に怯えているのだ。
 仮にも、部下の前だというのに。

 海人が自身の不甲斐なさを自嘲していると、刹那がゆっくりと立ち上がった。
 
「……過去貴方に何があり、そう思うようになったのか拙者は存じません。
その傷を癒す事が出来るのかどうかも、分かりません。
ですが、一つだけお約束できる事があります」

 語りながら、海人の顔を覗き込む。

 何も分からない。これは悲しい事だが事実だ。
 海人は過去をあまり語らないし、どう考えても傷だらけのそれを掘り起こす気もない。
 だからこそ、今まで得た断片的な情報から推測する事しかできない。
 正しいだろうとは思っても、どこまでも確証はない。

 だが、それでも出来る事はある。
 これでも、そこそこの期間一つ屋根の下で暮らしているのだ。
 海人が最も恐れる事が何なのかぐらい、察しはつく。 

 戸惑いに揺れる海人の瞳を見つめながら、刹那は彼の頭を優しく抱きしめた。 

「拙者はこれから先ずっと貴方と共にありましょう。
共に笑い、共に泣き……そして、共に生を終えましょう。
何があろうと決して貴方が一人になる事はない。それだけは、お約束いたします」

 慈母が包み込むように、優しく語りかける。

 海人は少し前に刹那から似たような言葉を聞いたが、その時とは口調が違った。
 その時も大真面目な口調だったが、今はそれ以上に優しさが際立っている。
 まるで、彼女が知るはずもない海人の過去を癒そうとするかのように。 

 しばしその温かさに浸っている内に――――海人の震えは完全に止まっていた。

 押し隠す必要もなく、ごく自然に、平時の状態に戻っていた。
 
「……ありがとう。すまないな、面倒をかけた」

「御気になさらず。海人殿の弱音など珍しいですし。
むしろ、どんどん面倒をかけていただきたいものです。
海人殿は、些か頼り甲斐がありすぎますので」

「ありすぎる?」

「はい。こちらから何かして差し上げようにも、海人殿は御自分で何でも出来てしまいますから。
面倒をかける事はあっても、面倒をかけられる事はないというのは少々悲しいものがあります」

 海人の向かいに座り直しながら、少し寂しげに微笑む。

 刹那にとって、海人は恩人であり大事な主だ。
 その上、普段から掃除の練習などで散々面倒をかけている。

 ゆえに多少なりともこちらから海人に何かしてやりたいと思うのだが、これが難しい。 

 というのも、海人は何をやらせても大概は造作もなく標準以上にこなしてしまうからだ。
 それどころか、練習して上達した今でも刹那の料理の腕は海人に遠く及ばない。
 というより、刹那が海人より出来る事は武術だけなのである。

 実に頼もしく素晴らしい主だとは思うのだが――――色々、切ないものがあるのも事実だった。

 が、海人はそんな刹那の切実な言葉に心底不思議そうに首を傾げていた。 
 
「何押しつけても大概こなせるから、遠慮なく使い倒せるという発想にはならんのか?」

「あの……普通、そんな非道な発想は出来ないと思うのですが」

「……言われてみると確かに非道な発想だな」

 慣れすぎて気付かなかった、と心の中で付け加える。

 海人の妻は、良くも悪くも遠慮がない人物だった。
 気配りは細かく気遣いも出来るのだが、相手に出来る事をやらせるのに一切の躊躇いが無いのだ。
 その性格ゆえに、海人は結婚前から何度も無理難題を押し付けられていたのである。

 とある暴力組織を潰す為に武器を幾つか寄越せと脅された事もあるし、
パーティーに行くのに相手無しではみっともないと強引に連れて行かれた事もあったし、
慈善団体を装った人身販売組織を潰すからと証拠集めを無理矢理押しつけられた事もあった。
 
 理由を聞けば、単に他の適任者を探すのが面倒との事。
 何をやらせても完全にこなす便利な物が手近にあるのに、使わない理由がない。
 そう言って何か文句あるか、とばかりに豊かな胸を張って開き直っていた。
 そのせいで、メイベルにやった行為の本気バージョンを一昼夜体験させられた時は流石に泣きを入れていたが。
 
 そんな人間にいつの間にか惹かれて恋人になり、結婚までしてしまったものだから、
すっかり身内には使い倒される事が当たり前になっていた。

 冷静に考えてみれば、便利な人間でもあそこまで容赦なく使い倒せる人間は少数派だというのに。

「……ご、御苦労なさっているのですね」

「ま、どんな能力も使わんなら意味がないからな。君も遠慮なく使い倒してくれて構わんぞ」

「流石にそれ……いえ、一つだけお願いがありますか」

 クス、とらしくない、それでいて様になった笑みを浮かべる。

 直後、刹那の瞳の色が変わる。
 艶やかな漆黒の瞳から、妖艶さが漂う深紅の瞳へと。
 その美しい色彩は、見た物を引き込む不思議な魅力に満ちていた。 
 
 それを眺めながら、海人は苦笑する。

「ひょっとしなくても、相当我慢していたか?」 

「はい、とても。ルミナス殿達がおられる時は止めろと仰いましたが、正直かなりの苦行です」

 にこり、と微笑む。

 その視線は、海人の首筋に固定されている。
 刹那にとって最も美味な食事が秘められている場所に。
 
「そう言えばまだ聞いてなかったが、具体的にはどれぐらい美味いんだ?」

「ローラ殿のチーズケーキを原形を留めないぐらい踏み潰せば一口飲ませる、
と言われれば喜んで踏み潰しかねないぐらいです」

「……そこまでか。っと、すまないな。飲んでいいぞ」

「では、失礼いたします」

 刹那は差し出された首筋にゆっくりと唇を触れさせると、犬歯を突き立てた。

 ぷつっ、と皮膚を貫く感触と共に、刹那の舌に甘い味が広がる。

 その味はどこまでも崇高な気高さを保ちながら、極上の蜂蜜よりも遥かに濃厚な甘味を誇り、
一口含んだだけで至高の恍惚が押し寄せてくる。 
 この味の前には他のいかなる美食も霞んで消える、それほどの味。
 吸血族が自分に適合した血を吸う事でしか感じ得ない、究極の美味である。

 そして、これが及ぼす快楽は味覚だけに留まらない。

 血を一口飲んだだけで全身が活性化し、今にも弾けそうなエネルギーが体に満ちる。
 髪の先端から足の爪先までくまなく、竜巻のような力の奔流が流れているような感覚。
 この充足感は表現し難いものがあるが、強いて言えば全能感に近い。 

 自然、もっと、もっと、と血を求めてしまう。
 飲む前は吸い過ぎてはまずいと理解しているにもかかわらず、一口飲んだ途端忘却してしまう。

(……これに慣れてなかったら、少しは揺らいだかもな)

 喉を鳴らす刹那を横目で見ながら、海人は先日の事を思い返した。

 自信を持つだけあって、メイベルの色仕掛けは大したものだった。
 その美貌だけでなく一挙一動全てに男を誑かす為の計算があり、相当な熟練と研鑽が窺えた。
 あれを前にすれば、大概の男は五分とかからず虜にされてしまうだろう。
 海人でも結婚前であれば火傷覚悟で手を出してしまったかもしれない、それほどの次元だった。

 それをあそこまであっさりとあしらえたのは、何も耐性や貞操観念だけではない。

 ここしばらく、海人はメイベルでさえ霞んで消える艶美を頻繁に目にしていたのだ。
 それに慣れていたおかげで、微塵の動揺もなく彼女をあしらえたのである。

 ――――そして、その絶大な艶美の持ち主こそが吸血時の刹那。
 
 普段は凛々しく清冽な空気を漂わせる彼女だが、吸血時はガラリと変わる。
 甘えるように体を摺り寄せる仕草、時折漏れる官能的な吐息。
 そしてともすれば徐々に圧殺せんばかりに強まっていく腕の力さえ忘れそうになる妖艶さ。 

 それらだけでも十分理性が危うくなるのだが、吸血の体勢がそれを倍加させる。

 彼女は血を吸う際、海人に真正面から抱きついて首筋を噛む。
 後ろからでは襲っているようで申し訳ないという理由なのだが、海人としてはたまったものではない。
 背後からならそれだけで少なからぬ恐怖が生じ理性のブレーキになるが、
正面からでは刹那の腕力による圧殺や失血死の恐怖よりも親愛による安心感が上回ってしまう。

 それに普段の凛々しさとのギャップまで加わるので、その理性への攻撃力はもはや破壊的を通り越して破滅的でさえある。
 救いは、体勢の関係上その美しい顔はほとんど見ずに済むという事ぐらいだ。
 
 そんな事を考えていると、海人の意識が若干グラついた。

「っと……刹那、そろそろ止めろ」

「んむ……」

 ぺしぺしと頭を叩かれても、刹那は反応もせずに吸血を続けた。
 無我夢中といった様子で、ひたすら喉を鳴らしている。

「おい、止めんか刹那」

「こく、こく……んはぁ……」

 コンコンと頭を小突かれるが、それでも気付かない。
 時折口を放して吐息を漏らすのみで、返事さえしない。

「止めろと言ってるのが聞こえんのか?」

「んん……ゴクゴク……」

 ゴンゴンと頭を殴られるが、それでもまだ気づかない。
 殴られた際にその振動を嫌がるように小さく首を振っただけだ。

「――――止めろと言っとるだろうがぁぁぁぁあっ!」

「ふぎゅっ!?」

 ついに耐えかねた海人の両拳で後頭部を殴られ、刹那は悲鳴を上げた。
  
 そして緩慢な動きで首を動かし、海人と目を合わせる。
 そこに浮かんでいるのは呆れたような、それでいて微笑んでいるような表情。
 それを見た瞬間、刹那は我に返った。

 慌てて海人の首筋をハンカチで拭うと、すぐさま土下座した。  

「も、ももも申し訳ございません!」

 平身低頭のまま、謝罪する。

 吸血時は、いつもこうだった。
 圧倒的な恍惚感のあまり、我を忘れてそれに集中してしまう。
 首筋以外の部位なら多少味が落ちる為堪えやすくもなるのだが、現状ではその差もあまり意味がない。
 あくまで舌に触れた瞬間に理性が飛ぶか、その味が口内に広がり始めた時に意識が飛ぶか程度の差でしかない。

 なのでせめてもの悪足掻きとして、もっとも美味な首筋の味に慣らそうとしているのだが、それも成果が出なかった。
 海人は部外者がいない時は毎日飲ませてくれていたのだが、結局どの部位も一度吸い始めると殴られるまで止まらないまま。
 首筋の直後に手首に変えても、一口嚥下する前に理性が飛んでしまうのだ。

「いや、まあ仕方ないから土下座する必要は無いんだが……いかん、少し意識が飛んできた」

「だ、大丈夫ですか!?」

「心配しなくても、少し眠くなっただけだ……が、ちょっと眠くなりすぎたな……すまんが、部屋に放り込んでおいて、くれ……」

 言い終えると、海人はそのままベッドにもたれて寝入ってしまった。
 酒が回っていたのか、深く寝入ってまるで起きる様子が無い。
 実に安らかな寝息で、顔色も良かった。
 
「……はあ、本当に無防備な御方だ」

 溜息を吐き、海人の体を抱え上げる。
 
 まったく、無防備という他ない。
 海人が自分の前で寝るなど、兎が腹を空かせた魔物の前で寝るのと同義だ。
 それだけ信頼を得ているという事だが、少々頭痛を感じる事でもある。

「まったく――――女がこんな時間に殿方を部屋に誘う段階で、普通は気付くでしょうに」

 吸血時と同じ艶然とした微笑みを浮かべ、刹那は海人を彼の部屋へ運んだ。
 何も知らず無防備な姿を晒す、間抜けな獲物を食らう事無く。
 妹にさえ悟られず思いを隠し通している、強靭な自制心を持って。
  
 

 
 
 
     

 
  
  
    
 
 
 




















 シェリスが自室のドアに手をかけた時、背後に付き従っていたローラが口を開いた。

「そういえばシェリス様」

「何かしら? 貴女が一番早く寝るべきなんだから手短――――」

「カイト様への企て、正直余計だったと思うのですが」

 いつになく冷気を感じる言葉に、シェリスの背が凍りついた。
 慄きを隠しながら振り返り、問い返す。

「……念の為聞くけれど、どんな企みかしら?」

「要は、錆で覆われた名剣を元の姿に戻したいという事でしょう。
もっとも、今のままでもこの大陸を一刀両断しかねない魔剣ですが」

「……流石。まあ、これだけ時間があれば貴女は気付くわよね」

 降参、とばかりに両手を上げる。

 今回シェリスがメイベルを使って企んでいた――否、彼女に期待していた事は、至極単純。
 あの理不尽の権化のような怪物を、真の姿に戻す。それだけだ。

 今のままでも十二分に他者の追随を許さない男なので失念しがちだが、今の海人は間違いなく完全には程遠い。
 彼のように身内を大事にする人間は、良くも悪くも守る者がいる時にこそ真価を発揮するのだから。
 既に十分過ぎる規格外だが、それがあれば更に能力が跳ね上がるはずだ。
 
 無論、今も海人には守るべき対象が存在する。
 友人、護衛どちらも彼にとって大事な存在。
 その力を引き出せる人材には違いない。

 が――――それでも全ての力を引き出せるとは思えない。

 今の彼の大事な存在へ向けられる感情は、全てが親愛。
 偽りはなく思いも強いだろうが、やはり恋愛には及ぶべくもない。
 愛する相手がいる時こそ、海人はその真価を発揮するはずだ。 

 だからこそ、海人に女として愛される者を作りたい。
 それこそがシェリスの願いであり目的。

 もっとも、今回の目的はあくまでその切っ掛け作りだ。
 最終目的への足掛かりを掴む為の下準備にすぎない。
 
「確かにカイト様が最大の力を発揮されれば、間接的にこの国の為にもなるでしょうが……メイベルは少々劇薬では?」

「ああも一途じゃ、劇薬でも叩き込まないと効果が期待できないもの。
それに、危険な時は勝手に引いてくれる薬でもある事だし」

 澄ました顔で、微笑む。

 シェリスからすれば、海人の一途さは異常だ。
 魅力的な異性に囲まれて無反応というのは、男女問わず難しい事である。
 ローラなどならば警戒心が先に立つという理由で納得できるのだが、
彼はルミナス達と同居中にも無反応を貫き、さらに二人増えた現状でもまるで反応した様子がない。
  
 はっきり言って、恋愛関係の感情が麻痺してしまっているとしか思えなかった。

 そこで、メイベルである。
 目的が目的なので、麻痺した感情が再び動き出す可能性が極めて高い。
 そして彼女の性格上、ローラの思い人という可能性に委縮していた多くのメイドを煽動する可能性も高かった。
 もしメイベル一人で麻痺を解けなかったとしても、数がいれば遠からず解ける。 
 
 さらに、別の利点もあった。

 海人は、基本的に好意を向けてくる相手には甘い。
 メイド達はシェリスの部下という点が大きなマイナス要因になるだろうが、それでも無下にはされないだろう。
 それが数集まれば有事の際に手を借りられる可能性も高まり、その手助けが大きくなる事も期待できる。

 数少ない懸念は約一名余計な相手を刺激する可能性だったが、目下彼女が海人と結ばれる可能性は低い。
 少なくとも、正式に告白などをするのは自分の問題が全て片付いた後になるはずだ。
 そして、その頃には彼女以外の人間が上位に食い込んでいる可能性が高い。
 リスクとしては極少と言って差し支えなく、また結果を見れば会った感触からして未だ自覚は無さそうだった。
  
 総合的に考えれば、概ね今回の企て――――もとい期待は上手くいったと言える。

 少々客観的な物言いではあったが、あくまでも海人の主観で恋愛対象とするならと考えていた。
 上位が身内だけで占められていたのが、良い証拠。程度は不明だが、多少麻痺は解けているはずだ。
 メイド達もアプローチを始めたので、海人から好感を得る者も次第に多くなっていくだろう。
 実質何もしないで得られた成果としては、上々だ。
 
 勿論幾つか予想外はあったが、所詮それは誤差の範囲。
 あまりの評価の低さに自分の女としてのプライドが粉々になった事など、些末事に過ぎない。
 無惨すぎる評価を思い出すと涙が零れそうになる程度の事、今回の成果の前では霞んで消える。
 
「成程。概ね予想通りのようですね」

「それで、いつ気付いたの?」

「メイベルを放置した翌日です。何もしないで効果を得られる内容となると、それぐらいしかありませんので」

 静かに、答える。

 少し考えれば、ローラにはシェリスの企みがすぐに分かった。
 海人の事情と合わせて考えれば、出てくる答えなど一つしかなかったのだ。
 
 メイベルが分からなかったのは、当然の事。
 彼女は、まだ海人の事を何も知らないのだから。

 恐怖を押し殺してドラゴンのブレスに身を晒しに行くその勇気も、
過度とも言える身内への甘さも、そして妻を喪った心の傷の深さも。
 知っているのは、その理不尽極まりない能力の片鱗と大まかな人格のみ。

 それでは、何も分かるはずがない。 
 
「お手上げねぇ……でも、いずれ必ず貴女を出しぬいて見せるわ」

「その時を楽しみにお待ちしております。では、おやすみなさいませ」

 自室に入る主を見送り、静かにドアを閉める。
 そして、そのまま流れるような動きでポケットに入ったコインを廊下の奥へと投擲した。

 甲高い音と共に空気を裂いて突き進むコイン。
 廊下の果てにある壁を突き破りそうな勢いのコインだったが、軽く肉を叩くような音と共に停止した。
 一瞬遅れ、コインを受け止めたメイベルが暗がりから姿を現した。

「念の入った事ね。遮音使って、唇の動きまで隠すなんて」

「分かっていて人様の秘密を聞かせるなんて、下品極まりないと思うわ。
それでも気配まで消して聞き耳を立てる馬鹿よりはマシだけれど」 

「あらあら、言ってくれるわね。というか、今回のは半分偶然なのだけど」

 くっく、と低く笑う。

 聞き耳を立てようとしたのは事実だが、この場にいるのはただの偶然だ。
 単に、ローラに話があって追いかけてきただけなのだから。

「というと?」

「ちょっとお願いがあってね。次回の書類運搬も、私に任せてもらえないかしら?」

「……また返り討ちになるだけよ?」

 呆れたように、問いかける。

 書類運搬を任せる事それ自体は、問題ない。
 次の運搬が行われる時には、今日帰ってきた者達が全員働き始めている。
 メイベルが誰でもできる仕事をやるのは負担には違いないが、今までを考えれば誤差の範囲で済む。

 が、そのせいで再びメイベルが玉砕するのはいただけない。
 再びプライドを砕かれて仕事に支障をきたされては困る。 
 親友が再び無惨に打ち砕かれるのは哀れだという思いもなくはないが。

「あら、私の落ち込みっぷりをもう一度見たいんじゃなかったの?」

「……好きになさい」

 にんまりとした顔で覗きこんでくる親友に溜息を吐きつつ、ローラは許可を出した。
 何を企んでいるのか知らないが、どうせ結果は見えていると。

 そんな考えを見透かしつつも、メイベルは不敵に笑った。
 自分が転んでもただでは起きない女だという事を失念している親友に対して。 














 

 
 数日後、海人と雫は屋敷の門へと向かっていた。

 雫が誰かがやって来る気配を察し、シェリスの所の書類だろうと見当をつけた為だ。
 今日はその予定があったし、そもそもこんな所にやって来る物好きは他に考えられない。

 とはいえ、万が一盗賊などだった場合を考えて一応雫が付いてきていた。

「しっかしルミナスさんここんとこ気合入ってますねぇ」

「ああ、美味い物ばかりで嬉しいかぎりだ」

 嬉しそうに、同意する。

 ここ数日、海人邸の食卓は実に豊潤である。
 元々豊かではあったが、ルミナスがやたら気合を入れたせいで味の種類が随分と豊富になったのだ。
 どれもこれも美味しく、なおかつ彩も豊か。皿数は絞っているが、実に華やかだった。

 実は海人の好みの味付けが多くなっているのだが、それはあまり気付かれていなかった。
 ルミナスが極端な依怙贔屓をしないよう気を配っているというのもあるが、
そもそも彼には味に関して強いこだわりが少なく、あっても他の人間の好みと被る事も多いのでなかなか気づけないのだ。
 一応食事中の海人の笑顔が増えて食欲が増しているのだが、刹那には機嫌が良いぐらいにしか思われていない。
 
 とはいえ、目聡い人間は気付くわけで――――嫉妬に狂って愚痴をこぼすシリルを宥めるのが、雫の密かな日課になっている。

(……まーったく、能天気なんだから。幸せそうだから良いんだけどねー)
 
 ある意味無邪気な主の横顔を眺め、苦笑する。
 少し悪戯してやろうかなー、とは思いつつも。

 そんな事を考えているうちに門に辿り着く。
 そこには既に色気を隠そうともしなくなったメイベルが佇んでいた。

「こんにちは、カイト様」

「ああ、こんにちは。書類を運んできてくれたのか?」

「ええ。ついでに食料の注文もあるわ。はい、これ」

「……随分と、量が多いな。用意はできるがこんな大量に何に使うんだ?」

 メイベルから受け取った注文票を見て、海人は首を傾げた。

 今までもシェリスからの注文はあったが、量はさして多くなかった。
 せいぜいが自分用と重要人物の御遣い物に使う程度の量。

 だが、今手元にある紙に記された量は桁が一つ違う。
 酒は大貴族の酒蔵ならあるかもしれないという量、果物の量はあの屋敷の大広間に敷き詰めるつもりかと言いたくなり、
調味料や穀類もそれに倣ったかのように膨大な量だ。

「ルクガイアの一件が片付いたお祝いに祝勝会するのよ。皆良く食べるから」

「……前々から思っていたんだが、強い人間ほど底抜けに食べる気がするなぁ」

「そうね。この屋敷に住んでる人たちも良く食べるんでしょう?」

「私以外はな。こんな引き締まった体のどこに入るんだか、不思議で不思議でしょうがない」

 苦笑しながら、雫を指差す。
 示された雫もさあ、と軽く肩を竦めた。

 そんな感じで、しばし三人は他愛もない雑談に興じた。 
 そして話が一段落したところで、ふとメイベルが楽しそうに微笑んだ。

「ふふ、本当にこうして話していると、先日私を弄んだ人と同一人物とは思えないわね」

「心外だな。これでも一応心配はしていたんだぞ?
あの後だと顔を出しにくくなるんじゃないか、とはな」

 肩を竦めながら、苦笑する。

 先日はいつのまにかメイベルの姿が消えていたので、プライドを傷つけすぎたかと少し心配していた。
 それ自体はどうでもいいのだが、授業に顔を出しにくくなったり委縮したりしてしまったら流石にまずい。
 その場合は教師役として何らかのフォローを入れるべきかと考えていたのである。

 が、今目の前で気負いなく微笑むメイベルの表情は、それが杞憂だと雄弁に語っていた。
 
「安心していいわ。一度で懲りる程諦めは良くないから。
それに、あの程度で諦めたと思うのは気が早いわよ?」

「ほう……では、今度は少し本気を出してみようか?」

 邪悪に笑いながら、右手の指を蠢かせる。

 先日のは、海人にとってはただの悪戯。
 自信を持っている相手を少し試してやろうとしただけだ。
 初心なルミナスが見ているという事もあり、本当にお遊び程度でしかなかった。

 が、今日は違う。

 今この場にいるのは、雫のみ。
 ルミナスは厨房でパイを焼いているはずだし、シリルと刹那はそれを手伝っている。 

 雫だけなら、さして気にする必要は無い。
 ルミナスは怒っていたが、実際は四人の女性の中で一番その手の事に耐性がある。
 経験があるという意味ではなく、興味津々という意味でだが。

 勿論彼女の口から洩れたら洒落にならないが、口止めすれば黙っていてくれるだろう。
 なんだかんだで、主の言う事は素直に従ってくれる少女だ。

 これなら、二度と同じ事をする気が起こらぬようメイベルを躾ける事も可能だ。 

「それは怖いわねぇ――――でも、私が言ってるのはそういう意味じゃないわ」

 不敵に微笑みながら、メイベルは距離を詰めた。

 その踏み込みは、相手の反応を遅らせる高度な技法。
 更には並大抵の武人では反応も許されない超高速。
 海人の目には動きそれ自体は見えてはいたが、反応が伴わない。
 驚愕の表情を浮かべる間もなく、懐に入られてしまう。

 そして、そのまま――――海人は唇を奪われた。

「んむっ……!?」

 突然の事に、一瞬硬直する海人。

 その隙を逃さず、メイベルは彼の頭を両手で捕らえる。
 ついでにその豊満な体をゆっくりと密着させていく。
 柔らかい感触を存分に味あわせるように、緩急のリズムを付けながら。

 じっくり数秒間が経過した後、メイベルはようやく海人を解放した。

「うふふ……いかがかしら、私のキスの味は。
攻められるのも、たまにはいいと思わないかしら?」

 理性を蕩かすような、魔性の笑みを浮かべる。

 海人の指技は、もはや一種の呪いじみた領域に達している。
 今まで多くの男と関係を持ってきたが、それら全てが児戯に思える程に強烈だった。
 あれを受ければ、メイベルと言えど翻弄される以外の未来は思いつかない。

 ならば、受けなければ良い。

 海人が動く前に、自分の全力でその動きを封じればいい。
 不意打ちじみた行為である事を考慮に入れると心証を害さずに済むのは数秒が限界だろうが、
それだけあれば目的を達するには十二分。
 女に翻弄される悦びというものを教え込むには。 

 が、そんな打算はあっさりと打ち砕かれた。

「……ふむ、自信を持つだけあってなかなかの技巧だ。
しかし、私を攻めるにはまだまだ不足だな」

 唇をぞんざいに拭いながら、海人はにいっ、と邪悪に嗤った。
 まるで、脆弱な人間をどう甚振り殺してやろうかと考える魔王のように。  

 それに気圧されたメイベルが後退する前に、海人は彼女を静かに抱き寄せた。
 そしてそのまま、いつぞやのように指を動かし始める。
 首、背中、肩、耳、様々な箇所を撫でるように触れていく。
 
「ふあっ……!? ん、くは……っ!」

 前回のそれとは比較にならぬ感覚に、メイベルは涙を零しながら喘いだ。

 快楽に近い感覚ではあるが、刺激が強すぎて悲鳴を上げる事すら叶わない。
 逃げたくても逃げられず、また逃げる気さえ失う技巧。
 更には海人の纏う雰囲気にも呑まれ、僅かでも気を抜けば進んで身を預けそうになってしまう。

 数秒後、ようやく海人の手が止まりメイベルの体が目の前の男にしなだれかかった。
 甘えるような声を出しながら海人の首に両腕をかけ、どうにか体を支えている。
 
 そんなメイベルを、海人は無慈悲に体から引き剥がす。
 そして、地面に崩れ落ちた彼女のおとがいを指で軽く上げて、不敵に笑った。

「ま、これに懲りたら以後ああいう真似は慎む事だ。
そのうちムキになって本気を出してしまうかもしれぐぎゅっ!?」

 言葉の途中で、海人の首が絞まった。
 いつの間にかやって来ていた、ルミナスの右手によって。

 彼女の後方にいる刹那の手には、焼き立てと思しきパイが載った皿があった。
 おそらく、出来たてを食べさせる為に調理場から直行したのだろう。

 心なしか刹那の目まで妙に冷たいのだが、それを感じる前に海人の意識は恐ろしい声に支配された。
 
「カ・イ・ト……? この間、散々お説教しなかった?
それともあれかしら、私の説教が温すぎて忘れちゃったの?」

 笑顔のまま声を震わせ、少しずつ右手の力を強めていくルミナス。

「わ、忘れてたわけではないが、ああも自信を持っている相手を見るとつい叩き潰ぎゃあああああっ!?」

 左手で頭を鷲掴みにされ、海人は身も蓋もなく絶叫した。
 彼の頭蓋骨もまた、ミシミシと悲鳴を上げている。 

「うん、その根性のねじくれ具合は良いのよ。どうせ治らないだろうし。 
でも、一度お説教したのに同じ事繰り返す馬鹿には相応の罰が必要だと思わない?」

「わ、悪かった! 次からは気を付けるから許しっ……!?」

 途中で言葉を呑みこむ海人。
 
 間近で合わせられたルミナスの目が、怖い。
 表情は笑顔なのだが、怒気に満ち溢れている。
 この間のように感情を爆発させていないが、内で暴れ回っている激情に差はない。

 説得は不可能。そう悟った海人は諦めと共に肩を落とした。

「物分かりが良いわね。さ、この間よりもじっくりと、徹底的にお説教ね」 

 海人の頭を優しく撫でると、そのままずりずりと引き摺って屋敷の中に消えていった。
 脱力しきって地べたに座り込んでいるメイベルに一瞥もくれることなく。 

 その背中を眺めながら、メイベルは乱れた服を整えた。
 息は未だに乱れたまま、立ち上がるのもやっとという弱々しい姿。

 ――――が、その顔には生き生きとした悪戯っぽい笑みが浮かんでいる。

 してやったりと言わんばかりの力強い表情。
 そこには自信を持った攻めを軽くいなされた挙句、またしても翻弄された悔しさなど微塵もない。
 むしろ勝者の愉悦が滲み出ている。

 その表情を俯きながら隠し、雫に一礼して踵を返そうとした時、背後から声がかかった。

「なんつーか……性質悪いですねぇ」 

 くっくっく、と低く笑う雫。

 先程のメイベルの様子は、冷静に見れば妙だった。
 海人の指技に翻弄された所までは違和感はなかったが、それが終わった後がおかしい。

 仕草それ自体はおかしくなかったのだが、全体的に妙に過剰に思えた。
 甘えるような声、海人の首に手を回す仕草、さりげなく彼の肩に頭を乗せる行為、
どれもこれも見せつけているようにしか見えなかったのだ。

 さらに言えば、メイベルが仕掛けたのはルミナスの気配が門へと近づいてきてからだ。 
 それでこの結果となれば、後は言わずもがな。
 
 まあ――――ここ数日の心労の憂さ晴らしにルミナスの気配の事を黙っていた自分も同罪だが。

「何の事か分からないけど――女を弄ぶ男には天罰が下るべきだと思わない?」

 艶然と微笑むと、メイベルは一礼して優雅に去って行った。
 細やかな意趣返しの成功に目を細め――――帰ったら唇を奪った事を上司にどんな形で報告してやろうかと企みながら。
  















テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント

思われていても、その気持ちに気づいているのかいないのか、海人の気持ちは未だに妻に有るのかな?
ただシェリスは
>今の彼の大事な存在へ向けられる感情は、全てが親愛。
>偽りはなく思いも強いだろうが、やはり恋愛には及ぶべくもない。
と思っている様ですが、案外恋愛って脆い物でも有るので……今までの海人のキャラクターから見ても一人の恋愛より多くの親愛で取り囲む方が効果的な気がするんですけどねえ。それによく切れる刃物は案外簡単に欠ける可能性も高いですし。実際名剣だった海人は妻を失った後は欠けているのに近い状態になったようですし。
まあ誰かを選ぶのか誰も選ばないのか、複数を選ぶのか……少し楽しみです。
次回の更新も楽しみにしています。
幕間も楽しいのでそちらも楽しみです。
[2012/07/01 23:26] URL | 戸次 #I2DeXu0s [ 編集 ]


更新お疲れ様です

刹那といいルミナスといい、読み手からするとムズムズするような状態ですねぇ

そしてシェリス陣営完全体とメイベルの大胆行動。カイトの裏をかけるか…
見物ですね!
続きが楽しみです(^_^)
[2012/07/01 23:52] URL | vec #adGPv4JA [ 編集 ]


なるほど、ルミナスが自分の気持ちに気づかない間にメイドたちなどで外堀を埋めていって、海人の心を奪おうという……でも、そう上手くいくかな?
シェリスの考えだと恋愛感情とかが妻を失ったことで麻痺しているということで、あながちそれは間違っていないんだけど、育ちなどから考えるともともとそっちの感覚は鈍いっぽいですよね。
メイベルは裏が透けて見えてたし、過去の経験から対象外っぽいけどメイドたちはメイドたちで海人の恋愛感情を刺激するにはいささか力不足っぽい、ローラにはどちらかというと警戒心のほうが先に立ちそうだし……まあ、作中で断片的に語られてる妻の人柄から考えると案外ローラと似たような性格っぽい感じもしますが。

仮にルミナス以外が上位にはいるとしても、それって刹那じゃね? て、思うんですが。
また、上位にはいる人間が出たとしてルミナスがランクダウンするかな? とも思います。
結論から言ってシェリスの考えは海人を計るには穴があると思いますW
まあ、妻が亡くなっていることを知ってるが故に、ルミナスが自分の恋愛感情にも気がつかないようにしているすきに、自分の身内の好感度をあげてしまおうというのは、いい作戦だと思いますがwww

なお、個人的に恋愛対象になるのはルミナスが一押しですw 次点で刹那。
白衣の英雄の場合、どう考えても複数人というのはありえないですよねww ルミナス的にw
刹那ならありえるかもしれないけどw
ローラはよくわからない。ほんとに海人に恋愛感情持ってるのかどうかすら。
とりあえず、私が海人の相手として一押しなのはルミナス! 大事なことなので二回いいました! ってか、最初期のころから言い続けてますがルミナス一押しです! 刹那は愛人ポジ?
[2012/07/02 00:32] URL | 法皇の緑 #USanPCEI [ 編集 ]


刹那さんが魅力的過ぎてワロタ。
むむぅぅ。
好み的にはローラさんなんだが、刹那さんも捨てがたい。
悩みますね。それだけ刹那さんが魅力的に見えました。

そしてメイベルの仕返し。
これには海人もタジタジですねww
ルミナスの説教もとい常人なら間違い無く拷問級の折檻ですねわかりますww

唇を奪ったというメイベルの報告に対しての
ローラの反応が気になる所。

本日も長文で読みごたえ最高でした。
親知らずが終わったら次は知覚過敏ですか。
難儀ですな。あれは効きますよねほんと。
私も大体そんな感じなので冷たい水はあまり飲めません。

取りあえず慣れるまでは我慢ですかね。
あまり無理はなさらずに!
[2012/07/02 00:37] URL | 『 』の深淵 #sCTdotXw [ 編集 ]


カイトの奥さんてもしかして司法関係者・・・かな?探偵とかかも??
だとすると、隣にいる人極悪人ですよww

あと、妹が自重覚えてきたのに姉ときたらww非力なカイトだといつかマジで死ぬw
ていうか酒飲んだ後に吸うのって危なくない?アルコール濃度とかw
[2012/07/02 02:29] URL | とまと #mQop/nM. [ 編集 ]


 今回のテーマは、酒?(チガ
 宴会自体は、まだキャラの把握が出来てないのでアレでしたが、仕事の忙しさ関係が面白かったです。
 これでローラもぐっすり寝れるのかな?
 あぁそういえば、あの財布に痛いクリームも漸く必要なくなるんでしょうか?w

 刹那とのやりとりも良かったですね。
 序盤はウジウジしやがって、とか思いましたが、妻の外道さ(ぁ や、海人の血の味の例えはツボでした。
 ただ酒飲んだ状態で貧血するまで血を抜くって、危険すぎないか? とも思いましたがw
 麻薬中毒者(重度)が、早く薬を回す為に摂取後に血を抜くって話を聞いたことがありますが、読んでてそれ思い出しました。
 失血死じゃなく急性アルコール中毒で死にそうだな~と


後誤字
>合うたび一瞬こちらの顔色を
合う→会う

脱字?
>失血の恐怖よりも
脱字なのか迷いますが、失血”死”の恐怖じゃないかな? と

コレも誤字が悩みますけど
>さらに二人増えた現状でも
二人? 三人じゃなくて? と思いつつも
 シリル? がさらっと対象外にされてるのか? と思い、笑いました。

 PS 前話の感想の返信ありがとうございました。
 あぁ~確かにその危険がありますね。
そこまで詳細なキャラ設定じゃなく、キャラ名、初登場等の印象的なシーンの話数+あぁあのシーンかぁ~と思い出せるあらすじ的な一文・最後に好き嫌い出そうですけど、キャラの一言ぐらいのを想定してました。


 読み返しててアレ? と思った部分。

 50話

>それは澄んだ青空を穢し尽くすような漆黒。
 48話だとこの日は曇りなので、アレ? と、まぁシェリスの屋敷と海人の屋敷の位置関係(主に距離)がイマイチ把握できてませんから、場所によって違うだけかもしれませんが

>ある者は仕留め損ねたもののどうにか一瞬動きを止めた魔物の死骸を~
 仕留め損ねた死骸って矛盾してるので変えたほうが良いかと思います。

52話
 好きなシーンですし、その描写入れると返って邪魔なだけとは思いますけど、刹那は何時海人の血を飲んだんだろうか? と
 能力限度越えのハイスピードバトルの傍ら理性が飛んじゃう吸血が可能とも思えませんし
 かといって対峙する前から飲んでたとすると、王様対峙した段階で、吸血族だと気付きそうですし……飲んだ後である程度任意のタイミングで発動できるんですか?
[2012/07/02 05:16] URL | 冥 #heXXx5yE [ 編集 ]


どのキャラもほんとに一筋縄ではいかないなぁ。
ハーレムを形成しつつある海人が大変そう過ぎて全然羨ましくない件について(笑)

最近ルミナスがツンデレと暴力を勘違いしてるウザい女になりつつあるのが心配ですね。
こんな対応されると海人としても刹那の方に傾いていくような。
でも一度身内に入ったらこういうのも許容してしまうのかな。
とにかくメインヒロイン(?)としてもっとルミナスが魅力的な姿を見れるのを期待しつつ。
[2012/07/02 05:59] URL | diz #nEXJ2NFI [ 編集 ]


メイベルと絡むと一名がすごく残念になりますね。これでルミナスが評価高いとか。人格変わりすぎです。これでいなくなるのが怖いとか言ってるのが笑えない。普通は逃げられる。
雫がそれを放置するのは、まあそういうキャラですが、仮にも護衛気取りなら止めろよと思うレベル。精神の安定に関して姉の方がまだ役立っている。本人の意思を察して主人がしばらく痛いという暴力行為を放置する有能な護衛。
主人公はドM?でしょうか。もはやそうでもないと「甘んじてお仕置きを受ける」ような理由もない。
終わったあとモヤッとするというかモニョっとするというか。ここしばらく明らかにやりすぎです。たとえ相手に危害を加えても傷つけても自分に縛り付けたい、離したくないというDV脳を目指しているとしたらエスカレートしていくのを描くのは正解です。
レギュラーメンバーの内心が描かれていたので人間関係は進み?ましたね。仕事量が半端ないのも自然な流れで説明されていてよかったです。
[2012/07/02 06:43] URL | #- [ 編集 ]

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[2012/07/02 13:57] | # [ 編集 ]


更新お疲れ様です!

カイトの恋愛事情も色々複雑になってきましたねw
元妻とローラが似ている感じがしました

ローラさん頑張れ
[2012/07/02 14:36] URL | スウ #- [ 編集 ]


更新お疲れ様です。
今まで半信半疑でしたが、刹那とシェリル、メイベルの反応でローラさんが想像以上にキュンキュンしてたことがわかりました。以前ローラさんが海人の部屋に侵入して不可侵条約を結ぼうとしていましたが、あれはマジだったんですね。主至上主義、部下ですら数千万を平気で消費して影からマモル状態のローラさん。そんなお人から主命に背いても命は見逃します、とまで言わせたんだから、よくよく考えると海人のフラグビンビンに立ってましたね。ルミナスが入ってこなかったらどうなっていたことやら。ここまで読んで、もう一度最初から読み直してみると、端々でローラさんの乙女度がパネェ。全てを理解した上で刺激しない程度の好意を示すってのができる女性ですね。逆に空気読めすぎてできることが料理と命の保障って……ローラさんマジ涙目。万能で、先見があって、(恋愛以外の)空気が読めて(読めないことはないけどピントがズレてる)、ちょっとヘタれてて、奥さん想い、そして心に傷を負っている。なにこの手出しづらい人。ルミナスは無自覚に攻めるし、刹那ですら地味に攻めてる。そりゃー主も同僚もお節介焼こうとするわ。相手が誰を好きだろうが、傷心だろうが、相手に意識して貰えるように努力しなきゃ良くも悪くも仲は進展しないですからね。それとも一発逆転の策でもあるんだろうか……。ローラさんは一年くらい休暇をもらってもいいと思うんだ、丁度代替要員がきたことだし。ま、ルミナス以上に無自覚で海人のことが実は好きで、両者がくっつくと孤立するんじゃないかと潜在的に恐怖を抱えているが故に海人排斥運動を行っているシリル×海人がマイジャスティスの私にとってローラさんがどうなっても別にいいんですが。
 ここまで読むと白衣の英雄は異世界ファンタジーではなく、異世界ロマンス(ちょっとビターな)なんだという衝撃の事実がわかりました。

 最下位シェリス嬢ですけど、海人の好感度高い可能性もあるんですよね。内心をあの場で正直に言うような正直な性格じゃないだろうし。本編内の時間がどのくらい進んでいるのかわかりませんが、次回の奥さんの命日には違った心境になっていそうですね海人。
 ルミナスと刹那以外基本的に性質悪いから二人は悪戯の標的になりやすいですね。性的な悪戯も今まではどついて終了としてきましたが、そろそろ『女性と同居している中であの行動はいかがなものか』とマジレスで説教しそうな勢いになってきました。刹那も。流石にそこまで行くと海人も対抗心だけで悪戯はしないでしょう。別の手段で報復することは明らかですが。この辺りのさじ加減を読んでいるならシェリス嬢パネェになるんですが、はてさて。
 タイムマシンで未来に行けたら数十話先の白衣の英雄が見れるだよなぁと、わけのわからん妄想をし始める始末です。しかし我が家には猫型ロボットどころか、机の引き出しすら無いので諦めて更新を待ちます。
次回も楽しみにしております。
[2012/07/02 22:28] URL | anos #- [ 編集 ]


なんだかんだと主人公に感情移入しながら読んでいる身としては、
最後は海人の自由意志に任せるなどと殊勝なことを言いつつも、明らかに国益狙いでハニートラップ全開。
シェリス嬢に、はっきり言ってドン引きです。

別に海人が亡くなった奥様以外の人に恋心をいだこうが構わないのですが、今回のシェリス嬢のしていることは、下衆の所業では。
[2012/07/02 23:04] URL | TTT #- [ 編集 ]


更新お疲れ様です!

前半は刹那頑張れと言いたくなる話でしたね
くっ!自分はローラ派だったはずなのに揺れてしまうとは!
人間性もだし海人の評価的にも刹那のほうが可能性高いですからね
……ルミナスを忘れているわけじゃありませんよ?

最後のキス騒動はドタバタのオチとして終わるのか、後に影響があるのか気になりますね
まあ、それは本編更新を待ちながら楽しんでおきます
では、次回の更新も楽しみにしています
[2012/07/02 23:24] URL | 華羅巣 #zR7lJLBY [ 編集 ]


自分の中ではヒロインはローラか刹那ですが一番相性がよさそうなのはローラな気がします。ルミナスは最近の話で正直微妙かなと思います。
[2012/07/03 21:37] URL | #- [ 編集 ]


感想を久々に書かせてもらおうかな~と思います。

週一で足を運んでいますが6週本編更新が無かったことに他の方のコメントで気づきましたw
お話はいつも楽しく読ませて頂いていますし、リアルの事情で更新が難しい時があるのも当然だと思います。
確かに他のコメントに有るように最近ルミナスが自分を抑えきれてない感じが少し鼻につきますが、この後の展開を妄想するとルミナスの可愛い所が見れそうなので別にコレはこれで良いと(勝手に)思ってますw
更新に関しても作者様が絶対に最後まで書くと何度も決意を語っていますので心配していません。
長くなりましたがこの作品が好きなのでどうか素敵な最後を迎えられるように祈っています。

PS.もう一つあるオリジナルも気が向いたらお願いしますw

以上長文失礼しました。
[2012/07/04 00:38] URL | コウ #q.jQmuQo [ 編集 ]


更新お疲れ様です。

刹那が段々良くなってきていますね。さらに絡んでほしいですね。

ただ、皆さん書かれていますがルミナスがうざキャラになってきているかなぁと感じます。
商業系で例えるならまぶらほの夕菜に近い感じですかね。
一時期ツンデレといえば暴力系ヒロインというのが多かったですが、ツンデレ系はめぞん一刻の音無 響子さんタイプが一番良いと思います。
[2012/07/04 21:34] URL | #- [ 編集 ]


刹那のひめたる想いが発覚
現状本気で恋してるのはルミナスと刹那の二人だけですかね?

シェリスの屋敷も本来の姿になるとは・・・
仕事量的にローラ1人で支えるのはおかしいと思っていましたがこういう理由でしたか
ついでにしたたかなシェリスさんパネェ~
あらゆる事柄に利益を見出すその考え・・・・・・彼女には欲しくないなwww
[2012/07/05 00:12] URL | 煉恋々 #h2YGRmSs [ 編集 ]

十傑集が勢ぞろい!
ついに以前、ネタ話で出てきた十傑集走りが解禁される時が来たのだ。
[2012/07/06 19:35] URL | BFDAN #DUjoTG8s [ 編集 ]


連載初期からずーっと読んできていつも楽しませてもらっています。
だけど、チリも積もればってやつで、ちょっと違和感が大きくなってきました。

恋人でも妻でもない女性が、女房ヅラで嫉妬に駆られて”お仕置き”とかなかなかに意味不明。そんな関係だったっけ?
非常にもったいないと思います。メイン級ヒロインがただのウザ系暴力女になってしまうのはもったいない!!

シェリスなどの国益>>>友情の人物がどんな下種で下世話なことをしようが理解できますが、情に厚く分別と理性のあるルミナスのような人物が突然発狂するのは強い違和感を感じます。
物語の都合でその瞬間だけ記号化されたテンプレ暴力とか、もはや話のオチとしても成立してませんし、ギャグとしても笑えません。
一言で言うなら双方ミスキャスト。

仮に、ルミナスはドタバタ要員として遣い潰して、好感度を低くさせた上で他ヒロイン推しの展開ならばなんとか理解は出来るのですが…それにしてもウザい…

海人をドSの天才として描写している以上、殴られオチや理不尽にイジられること自体が悪い意味で期待を裏切る展開なのではないでしょうか。GS美神の横島と同じ役割は両立できないと思います。だってこのままでは海人がドMのバカにしか見えません。これがオーガスト老とかなら、理不尽暴力女とかむしろ歓迎なハズなのに。

向き不向きの問題ですが間違いなく海人には向いていませんし、ルミナスは普段が理性的過ぎます。落ち込み、状況に怒りを感じたとしても、「暴力を振るう正当性と資格」がないことにすぐに思い至る人物として描写されています。
なのに毎回発狂し、海人はなぜか受け入れる。これがものすごく据わりが悪い。
お陰でギャグシーンにも見えずに、違和感と不快感ばかりが募ってしまいます。

天才キャラが良くわからない理由で毎回ひどい目に遭うとか、ちょっと不思議なコンセプトの捩れが感じられてソワソワします。
ひょっとして私たち読者のほうが大いなる勘違いをしていて、実は 「天才キャラが高い位置から毎回足元を掬われてオチる様をニヨニヨ眺めるお話」 だったのでしょうか…
[2012/07/07 09:50] URL | kana #mQop/nM. [ 編集 ]

三日寝かせたカレーは食べたのでしょうか?
久々に第6部を読み直していて、カイトを取り巻く微妙な人間模様(女性関係)にドキドキしつつ、ルミナスも刹那もローラも素敵すぎて自分の貧弱な発想ではハーレム展開しかないのではなどと妄想しておりました。(そういえば、この国では法律的には一夫一婦制なのでしょうか?貴族がいるので一夫多妻が公に認められている可能性もあるのかなとちょっと気になりました)

しかし、結局読んでいて一番気になったのは刹那に値切りさせて材料購入して作ったカレーは三日目までちゃんと残すことはできたのでしょうか?
読み直していて三日目カレーについての描写が無いな~と気になったもので。。。
もしかして、全体の文章量的に料理描写が多くなりすぎないように削られてしまったのでしょうか。この小説の料理描写はとても美味しそうで大好きなのでいづれ何らかの機会にでも三日目のカレーを食べているところを読んでみたいです。
[2013/01/21 01:52] URL | らいらっく #V6BRy8Qk [ 編集 ]


久しぶりに読みましたが相変わらず上手い文章に嫉妬ですw

ただ文量は多いので読み応えはありますが、似たような状況を延々と繰り返しているようにも見せるので、少し食傷気味にもなります。暴力ヒロインもいい加減見ててしんどいですし。
この長かった停滞が開放されるカタルシスでは、どんな開放があるのか楽しみにしています。まあシェリス嬢やこの国をあっさり捨てるくらいの超展開も見てみたいですしね。
いい加減シェリス陣営の連中の茶番を見てるのも疲れましたし。

執筆頑張ってください。
[2013/04/16 15:16] URL | sebenstar(ナナツボシ) #- [ 編集 ]


刹那も魅力的でこまる
[2015/07/25 23:20] URL | ten #iWfHidvU [ 編集 ]


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