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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編……ぬう、難しい(汗)
というわけで番外編です。
シェリス邸厨房組の小話になります。

では急ぎ足ですが、コメント返しさせていただきます。


Tシローさん

洗脳によって要注意人物から外見に似合わぬ好青年に。
しかも意識を完全に変えられてるので本心から。
結果だけ見ると不幸になった人間はいないかもしれませんね。
余計に性質が悪いだけかもしれませんが(汗)

fujiさん

三人組の一週間に関しては海人の計算違いです。
第一部ラストのゲイツとの会話で多少出てますが、
一応善人の素養があったせいで洗脳後の人格が定着してます。

時系列……考えておきます。
一応本編と無関係という事にしてるのに、何話ごろと入れるのもどうかと思いますので(汗)
ちなみに、この洗脳話は第五部以降としか考えてませんでした。

hさん

御指摘ありがとうございます。
ただ、辞書を見るとどちらでも問題ないようです。
こちらの方が字面がしっくり来たのでこうしました。

飛べないブタさん

知らないほうが幸せな事、でもあるかもしれませんね(笑)

ささきさん

初めまして。楽しんでいただけているようで何よりです。
御指摘の点ですが、あの箇所は第五部の連中を主に示して書いてるのでオーガストなんです。
素行の悪い連中にそういう事をしようとしていたと本編で明言してるのが彼だけなので。
今後、もう少し分かりやすくしようと思います(汗)




さて、本編ですが、ますますややこしくなってます(汗)
読んで違和感を感じて修正⇒次話で盛り上がりすらなく第七部終了の危機⇒修正⇒修正……以下エンドレス。
もう少し上手く話を回せると思ってたんですが、正直自惚れがすぎたようです。
まだ手こずりそうですが、ようやく多少目処が立ってきました。
毎度ながら遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。













 番外編24



 シェリス邸厨房。

 ここには、国内随一と言っていい程多種多様な食材が揃っている。
 小麦粉一つとっても料理の用途に応じて十種以上あり、そればかりか海を隔てた大陸にのみ存在する稀少な香辛料、素材の稀少性ゆえに幻と言われている乾物なども備えられているのだ。
 腕に覚えのある料理人ならば誰もが憧れる理想郷と言っても差し支えないだろう。

 ――――そんな環境で、屋敷の料理長を筆頭とした料理人全員が唸っていた。

 と言っても、主たるシェリスの夕食はつい先程終わっている。
 評価の方も、いつも通り美味いと好評を頂いた。
 付け加えるならスカーレットは先日開発した新作料理が上手い具合に仕上がっていると言われたので、
本来なら喜んでいるべき状況だし、副料理長も任されて出した一皿が久しぶりの好評だったので舞い上がってしかるべきで、
彼女らの部下達も緊張が解けてほっと一息ついていておかしくない。
 
 だが、現実に彼女らは難しい顔で唸っている――――部屋の中央に座した、カレー入りの寸胴三つを囲んで。

「……駄目だ! 全っっっ然オリジナルに届いてない!」

 悔しげな顔で、己の足を叩くスカーレット。

 普段ならその迫力に身を竦める部下達だが、今日はそんな素振りを見せる事も無く一様に歯を食いしばっていた。
 ただひたすらに悔しい、そんな思いが切々と伝わってくる表情だ。

「私達が作る物も質は着実に高くなってますけど、やはり高めるたびオリジナルの魅力から遠ざかってしまってますね。
いったいどんな手法であの味を実現しているのか……」

 副料理長が、厳しい眼差しで己の失敗作を見つめる。

 失敗作といっても、十二分に美味い。
 良い食材、丁寧な仕込み、試行錯誤を重ねて調合したスパイス。
 どれ一つとってもシェリスの料理人の名に恥じぬものである。
 味の質的には、十分胸を張って人様に出せる出来だろう。

 しかし、これの元となった物を食べた事がある者に出せるかと言われれば――――断じて否。
 オリジナルを食べた人間には、とてもこれは出せない。
 
 一応質的には匹敵しつつあるが、肝心な物が欠けているのだ。

 一度食べたら止まらない、魔性の魅力が。

 オリジナルは、一度口に運んだが最後己の胃袋の限界まで食らい続けてしまう程の中毒性がある。
 プロ根性の強いスカーレットでさえ、二皿目を食べ終えるまで味の分析を忘れてしまう程だったのだ。
 対して、自分達が作った物は美味いには美味いが、冷静に味わえてしまう。
 恥も外聞も投げ捨ててひたすら食らい続けてしまうような魅力はない。
 
 勿論ひたすら食欲をそそって貪り食ってしまう料理、それだけなら出来なくはない。
 本能に訴えかけ、ひたすら食べ続けたくなるような香りと味、それだけなら作れなくはない。
 あれほどの中毒性は出す自信がないが、近い魅力なら出せなくはないのだ。

 しかし――――それに気品と質の高さを加えようとすると無理が出る。
 
 ひたすら食べ続けたくなるような料理というのは、言い方は悪いが下品な料理に傾き易い。
 味の性質などもあるが、それ以上に上品で質の高い料理というのはそれだけで襟を正してしまうような力がある。
 決して悪い事ではないのだが、それはひたすら貪り食わせるという目的の前では邪魔になってしまう。
 それによって生じる一瞬の躊躇が、食べる者を確実に我に返らせてしまうのだ。
 
 ゆえにあちらを立てればこちらが立たずという典型的なジレンマが起こるのだが、
オリジナルはそれをあっさりと覆していた。

 米などにルーをかけるという性質上見た目はあまり上品に見えないが、
匂いを嗅げばその馥郁たる香りが持つ類稀な気品が嫌でも分かる。
 その質に期待して匙を伸ばせば、その気高く上品な香りと同時に、触れれば崩れてしまいそうな程繊細でありながら、
樹齢数千年の巨木の如き野太さを感じるという、矛盾と言って差し支えない程正反対な物を両立させた味を叩き込んでくる。

 何よりも恐ろしいのは、その味をきちんと認識できるのがかなりの量を食べ終えた後になるという事だ。
 あまりにも鮮烈すぎるその味は、分析しようと身構えている本職の料理人でさえ我を忘れて貪り食ってしまうのである。
 いざ我に返って分析しても、その二種の美味の両立に慄き、さらに詳細な分析が出来ない事にまた慄く。

 ――――まさしく、悪魔のような逸品。

 あれを口にしてしまった身からすれば、目の前の物は未完成品未満だ。
 どちらか選べと言われれば、百人が百人オリジナルを選ぶだろう。

「はぁ……せめて、ヒントの一つも貰えないもんかねぇ」

 天井を見上げ、スカーレットがぼやく。

 彼女が作った物も失敗作だが、一応副料理長の物よりはまだオリジナルに近い。
 上品でありながら野太い味、それと同系の味の再現には成功し、思わおかわりしたくなる程度の魅力も備えている。
 オリジナルには程遠いが、副料理長の上司としての面目は保ったと言える。

 ――――が、現状ではそれが限界だという事も分かっていた。   
 
 今まで培った料理技術、知識全て総動員し、休日を返上して研究を重ねてこれが限界。
 この屋敷に備えてある食材も全て活用し、ありとあらゆる組み合わせを試みた。
 それでも、これ以上上品さを増しても、野太さを増しても、魅力を増しても全てのバランスが瓦解してしまう。
 己の全力を費やし環境を活用しきった結果が、この失敗作なのだ。

 ヒント無しでは、もはや光明すら見えない。

「一応総隊長が別系統ながらレシピを一ついただいたと聞きましたけど……」

「他言無用って念押されてるらしいからね。そっちから手に入れるよりはまだ不毛な努力続けてる方が可能性高いだろ」

 控えめな部下の提案を、溜息と共に一刀両断する。

 カレーが豚肉用など色々と種類が存在し、その一つを屋敷最強の女性が手に入れた事は知っていたが、
交渉するには相手が悪すぎる。
 彼女が相手の落ち度もなしに無許可で約束を反故にするなどまずありえないし、
そもそもいかなる交渉でも勝てるとは思えない。
 
「……色仕掛け、はどうでしょう。勿論私がやります」

「結末分かりきってるからやめときな」

 決意を込めた副料理長の言葉を、ばっさりと切り捨てる。

 副料理長に問題があるわけではない。
 やや小柄で顔立ちも可愛らしく、性格も明るく人当たりが良い。
 美人という表現は似合わないが、小動物的な魅力がある。
 性格的に不向きだとは思うが、男を籠絡出来る素質はあるだろう。

 しかし、相手は色事においては屋敷最強であるメイベルを返り討ちにした怪人。
 多少素養があるかもしれない程度の小娘など、軽くからかわれておしまいだろう。
 ないとは思うが、最悪弄ばれてしまう危険もあるのでやらない方が賢明である。

「あっ……! そういえば総隊長はどうやってレシピを――――」

「例のチーズケーキのレシピの一部と引き換え。あたしも色々考えたけどね、正直手詰まりなんだよ」

 にわかに目を輝かせた部下の言葉を、再び叩き潰す。

 一応、スカーレットとて考えられる手は粗方考えたのだ。
 流石に色仕掛けは考えなかったが、いかにして海人から入手するかはほぼ考え尽くした。
 
 当然ローラがどうやって手に入れたかも考えたのだが、即座に諦めた。
 彼女が引き換えにしたのは、特製チーズケーキのレシピの一部。
 たかが一部と言うなかれ。彼女はその秘密保持の為なら仲間の殺害も辞さない。 
 スカーレットも覗こうとしたばかりに殺されかかり、死んだ方がマシなぐらいに痛めつけられた。
 それを考えれば、その価値も分かろうというものだ。

 付け加えるなら、おそらく海人を動かしたのは味以上に稀少性だろう。

 何度かこの屋敷で食べている姿を見て確信したが、彼は味覚は鋭いが美食に興味が薄い。
 美味ければ一応喜ぶようだが、それで自分で作ってみようという気にはなりそうに思えない。
 ならば、彼を動かしたのはその稀少性だと考えるのが妥当である。

 そうなると、スカーレットの自信作のレシピ数点と引き換えというのも無理だ。
 部下達には幾つかの秘訣を除けば普通に教えてしまっているので、稀少性には乏しい。
 腹芸は苦手なので稀少性があるように見せかける自信はないし、そもそもそんな事をすればシェリスの怒りをかうだろう。

 そんな事を考え、ふと気付いた。
   
「……あれ? 味に大して興味ないはずなのに、なんでこんなもん作れたのかね?」

「あ、それに関してはアイシャが授業の時に聞いたらしいんですが、
昔からよく作っていたので研究したと仰ってたそうです。
詳細については色々頑張った、とだけで言葉を濁されていたようですが」

「あー……なるほど。好物だけを極めてあそこまでに到ったと……それはそれで凄い話だねぇ」

「ええ。私達も見習って、といきたいところですが……無理ですね」

「ま、いくら凄くても、一種類だけじゃあたしらは仕事にならないからね」

 苦笑する副料理長に、肩を竦める。

 この屋敷ではまず質の高さを求められるが、同時に種類の豊富さも求められる。
 完成度の高い定番料理も求められるが、それに満足せずに新作料理を次々作る事も求められるのだ。
 流石に毎日とはいかないが、それなりの頻度で新作を作らなければならない。
 
 その現状を考えると、海人のように一つの料理を極めるというのは無理だ。
 
「……そうだね。うん、やっぱこれについては当分棚上げしよう。
あの年であんだけの知識溜め込んだ集中力の持ち主が一つの料理だけ研究した結果じゃ、再現も易々とは出来ないだろうからね。
皆、今日まで付きあわせて悪かったね。
何回か休暇返上させちまった詫びと言っちゃなんだけど、明日の仕込みはあたしだけでやっとくから今日はもう解散していいよ」

「いえいえ、私達も楽しかったですから気にしないでください。ね、皆?」

 軽く右手を振る副料理長の言葉に、周囲が一斉に頷く。

 確かに休暇を何回か返上したが、あくまでも自由意思だ。
 スカーレットがやっている為休みづらくはあったが、嫌なら休めないわけではなかった。 
 それを気にして仕事を増やすというのは、ただでさえ多忙な上司に対してあまりにも後ろめたい。

「……すまないね。さて、そんじゃ換気するよ! 
この匂いの中じゃ明日の仕込みに差し支えるからね!」

『はい!』

 パンパンと両手を叩いて換気に動き始めた上司に、部下達は一斉に続いた。    
 
  
コメント

料理長達のカレーに足りないものは
コクの事を言ってるんでしょうか
主婦が言う隠し味ってやつもですかね
メジャーなのは
醤油
りんご
蜂蜜
ビターチョコ
コーヒー
コーヒー牛乳
ソース(お好み・ウスター・とんかつ等)
のうちどれかってやつですかね
たぶんほかにも隠し味として使われてるものが多そうですが

ちなみにとろみが有るのは小麦粉ですねルーの材料
本格カレーはとろみは少なめですが……

ちなみに陸上自衛隊の炊飯部隊のカレーは雪印のコーヒー牛乳が投入されてましたねwwww
[2013/02/05 18:57] URL | 名無しさん@2ch #JalddpaA [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[2013/02/08 14:18] | # [ 編集 ]


カレー作れてるだけでもすごいと思うんだが……
この飽くなき探求心がスカーレットを料理長にしたのか、真似できないね

あと短編は短編で面白いので気長に長編を待たせてもらいます
頑張ってください
[2013/02/09 21:14] URL | リゼルグ #dS5vVngc [ 編集 ]


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