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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
番外編です。
特に時期の設定はありません。
また、本編とは関係ないと強調しておきます。

では、コメント返しさせていただきます。

あるとさん

温かいお言葉ありがとうございます。
番外編の方に関してはご心配なく。
一応本編で使いにくいネタとか主体でやってますので。
ついでに、場合によっては本編に流用してもいいかなぐらいの気分で書いてます。

mknさん

まあ、人それぞれ愛の形があるという事ではないでしょうか。
シリルの場合犯罪者スレスレですけど(汗)

 さん

海人がルミナスに甘い、というならその通りですね。
作者が贔屓している、という意味でも当たってるかもしれません。
ただ、彼女はどちらも選べるとは思っていなかったですが、選べるなら選びたかったわけです。
無理だろうと思いつつ訊ねたら、たまたま理想的な返事が返ってきたわけですね。

ファラさん

ご心配ありがとうございます。
番外編書く場合難点があるとすれば、作者のネタが急遽出るか否か、
あとは文章化した事でどこかで書いたと錯覚しかけることですね(汗)
番外編の執筆それ自体は気分転換にもなってますので、ご心配なく。

 さん

きっと果報者なんじゃないですかねー。
あんなに愛される人間なんて滅多にいないでしょうし(笑)

両親に関しては、当面秘密という事で。
ただ、仰るように愛されて育っていたからこその海人なのは間違いないです。
あの両親でなければ今の海人はありえなかったでしょう。


思考を切り替えるため、81話場面ごとの書き方変えてみたんですが、
結果81話のパターンが三種類に……どんどん泥沼にはまってる気がします。
やはりよそ見せず最初のパターンをどうにか上手く仕上げるしかないのか……。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。







 番外編



 ルミナスは、苦悩していた。
 どう足掻いても、一向に進展らしい進展がない現状に。
 よりにもよって料理で、まともに作れない物があるという事実に。

 長年かけて、技は磨き抜いてきた。
 包丁の使い方も、火加減の見極めも、盛り付けも、かなりのレベルに達している自信がある。
 所詮凡人の身ではあるが、それでも費やした年月と情熱は胸を張っていいはずだ。

 しかし、それを持ってしても今眼前に立ちはだかるこの料理はいかんともしがたい。 

 今まで培ってきた技術。それが何一つ通じない。
 最初は容易くできそうに思っていたが、やればやる程道の険しさが分かる。
 指に込める力加減、速度、そして何気なさそうな動作の精密さ。
 どれも単純そうでありながら、極めて難しい。
 ある程度の形には整えられるが、そこから進めないのだ。
 
 どうにかこれを打開できないかと頭を抱えていると、

「だから無理だと言っただろうが。いくら君でも、一朝一夕で出来る技ではない」

 海人が、背後から慰めるように声をかけてきた。
 
 彼には、この結果は予想で来ていた事。
 ルミナスは間違いなく料理上手だが、これは今まで彼女が作ってきたそれとは違う。
 一見単純なようだが、その実相当な修練を必要とする料理なのだ。
 
「あんたは出来るじゃない! あんたの事だから、必死で練習したわけでもないでしょ!?」

「ふむ……とりあえず、訂正すべき点が二つある」

「なによ?」

「一つ目。これは、出来る内に入らん。見せる時にも言ったはずだが、見様見真似の拙い技巧だ。
まあ、三流の本職よりはマシだろうが、二流とは呼びにくいだろうな」

 自分の作った物を見て、溜息を吐く。 

 ルミナスが作った物に比べれば上等な出来だが、まだまだ未熟。
 記憶にある本職の技を真似たものの、一流どころか二流とも呼べない。
 こんな物を店で客に出せば、余程値段が安くない限り遠からず潰れるだろう。

 海人の客観的で自虐的ともとれる言葉に、ルミナスが絶句する。

 お試しに、と海人に食べさせられた料理。これははっきり言って、かなり美味かった。
 胸を張って出せる出来にはならないだろうから今まで作らなかったと言われ、その意味が理解できなかった程に。
 これで二流にすら届いていないなら、一流はどれほどの美味なのか、想像もできない。

 唖然としているルミナスに、海人は言葉を続ける。

「二つ目。子供の頃の話ではあるが、一時期練習していた時期がある。
目の前に出される時の一連の仕草がかっこよく見えて、やってみたくなってな……」

「……子供の頃なら、それこそ大した時間やってないんじゃないの?」

「いや、私にしては練習していたぞ。途中で努力の方向性が変わってしまったが……。
まあ、所詮子供の努力と言われてしまえばそれまでなんだがな」

 自分が作った物を口に放り込み、当時の記憶を回顧する。

 両親に連れられて行った店。そこで出される色彩豊かな料理。
 目の前で作られ、芸術品のような美しさを醸し出すそれは、
口に入れると瞬く間にほろほろとほぐれていく。
 それでいて、旨味はきっちりと鮮烈で爽やかな余韻を残して消えていく。

 当時も食べ物に興味は薄かったが、母がいつも作る料理とは全く性質の違うそれに、
こんな料理もあるのかといたく感動し、それを出す職人に憧れめいた気持ちを抱いた。

 で、目の前で見た職人の動きを記憶し自宅でもやってみたのだが、これが難しかった。
 理屈の上でこう動かせばいいというのは分かっていたが、体が思い通りに動かない。
 そのせいで不必要に材料を弄り回し、変に生温かく固い何かになってしまった。

 そこで素直に努力を続ければ――――否、真っ当な方向での努力を続けていれば、
ルミナスに完璧なお手本を見せられたかもしれない。
 ありとあらゆる物を分析し理論化する怪物頭脳と無駄なまでの器用さを併せ持つ彼であれば、
技術の習得それ自体は不可能ではなく、分析した技術の域までであれば短期間で辿り着いていただろう。
 
 しかし、現実にはあっという間に努力の方向が明後日を向いた。

 よりにもよってその幼き怪物は、自分が出来ないなら出来る物を作ればいいという発想に向かったのだ。
 そして、その料理を作る為だけのロボットを完成させたのである。
 結果成功し、自分の考えは間違っておらず、体さえついていけばちゃんとできると変な満足をした子供は、
そこで技を磨く事を止めてしまった。

 いつのまにか自分もああいう事が出来るようになりたいという願望から、
ああいう技を再現したいという願望にすり替わっていた事に気付いたのは、実に二年後。 
 その頃にはすっかり別の研究に夢中になっていたので、何事もなかったかのように当時やっていた研究にのめり込んだ。

 こんな事があるならもう少し練習しておくべきだったか、と海人の心に若干後悔が生まれる。

「いえ、子供の頃に練習しただけでこれは凄まじいのでは?
舌で押せばちゃんとほぐれますし、昔ヒノクニで食べた物には劣りますが、良い出来だと思います」

 海人の言葉に、刹那が異を唱える。

 確かに、一級品とは言い難い。
 そうであれば舌に乗せた瞬間米がほろりとほどけ始め、官能的な食感が広がる。
 それでいて上に乗った物とも溶け合い、噛みしめると旨味が増し、喉を通過する瞬間も快楽を伴う。
 
 これは舌で押さねば米がほぐれず、一体感もいまいちだが、それでも美味いには美味い。
 子供の頃に一時的に練習しただけでこれなら、ちゃんと続けていれば一流になれたのではないかとさえ思える。
 
「ほら、やっぱりあんたの上手く出来てるんじゃない」

「まあ、食えるレベルだとは思うがな。しかし、こんなもん覚えるにしても労力と見合わんと思うぞ?」

 尚も食い下がるルミナスを、やんわりと諭す。

 海人が習得した技術の元は、一流の本職。
 それも上に超がつくレベルの職人の技術だ。
 考えうる最高の手本といっても良い。

 対してルミナスが学ぶ元は、格段に劣化した海人の技術。
 手本としてはお世辞にも良いとは言えない。

 才能があったとしても、実際に見た技術の差は大きい。
 どう考えても、習得にはかなりの時間がかかってしまうだろう。

 かけた時間に対して得られる成果が割に合わない事は明白だった。
 
「でも、一流品はこの大陸じゃ自分で作らなきゃ食べらんないでしょ?」

「まあ、確かにそうだが」

 ルミナスの問いに、若干の後ろめたさを感じつつ答える。

 通常なら、この大陸で今作っている料理を食べる手段はない。
 ヒノクニ特有の料理である為、材料の調達が困難であり、当然職人もいないのだ。 

 が、海人がかつて果てしなく方向性を間違えた努力の結晶を使えば、話は変わる。
 あのロボットは一流職人の技術を再現出来る為、材料さえ用意すれば何でも作れてしまう。
 
 とはいえルミナスにその話をするわけにもいかない。
 ゆえに心中を完璧に押し隠し、口調にも表情にも動揺を見せずあっさりと流したのだが、 

「……ん? あんた今何か隠したわね?」

「ちょ、何故分かった!?」 

「勘。で、何を隠したの? どっか食べられる当てがあんの?」

「……秘密ということで」

「む、どうしても教えたくないの?」  

「うむ、教えると問題が大量発生してしま……いや、現物だけで良ければ用意出来るか。
多少味は落ちてしまうが」

 少し考え、意見を翻す海人。

 ロボットを見せるわけにはいかないが、それが作った物を食べさせる分には問題ない。
 材料についても今目の前にあるかつて収集したデータに基づいて仕込んだ物は、一流の名に相応しい味だ。

 ならば地下室でロボットに作らせ、それをここまで運べばいいだけだ。
 目の前で作った物に比べれば味が落ちてしまうが、そこは仕方ないだろう。

「ホント!?」

「うむ。しかし、どうやって用意したのかは詮索禁止だぞ?」

「食べられるなら問題ないわ!
元々この大陸じゃ一級品は食べられないっていうから習得しようと思ったんだし!」

「そうか。では、早速用意してこよう。地下に行って来るから、しばらく待っててくれ」

 そう言うと海人は一通りの材料を台車に乗せて、地下室に向かう。

(まあ、あれなら多少時間が経過しても大丈夫か……一応良く出来た部類だし)

 歩きながら、そんな事を考える。

 幼い頃開発したロボットは、まさに悪魔の発明だった。
 国内最高と言われる職人の技を、完璧に再現する恐るべきロボット。
 世に出れば職人の多くが自信を喪失するかもしれない、それ程の完成度。 
 ふと思い出して売り出そうと考えたところで、当時はまだ友人だった女性に制止されたような作品だ。
 あれならば、技術レベルとしては問題ない。  
 
 そう―――あの握り鮨マシーン『にぎにぎ君』の技ならば、必ずやルミナスを満足させられるだろう、と。
 
 
 
  























コメント
更新お疲れ様です
なんという飯テロ、久しぶりにお寿司食べに行こうかな
この機械があればローラのケーキも…無理か、材料もないし、ローラの技術は真似できないかも


さて一つ気づいたことがあります。
私が楽しみにしているのは本編というより、ローラが出てくる話であることに。
私は刹那派だったのですがいつの間にかローラ派になったようです笑
できれば番外編の5回に1回ぐらいはローラさんを出していただきたいです笑
[2014/06/30 05:37] URL | 名無sの権兵衛 #y2a4lNMg [ 編集 ]


いっそのこと打ち明けた方が早かろうに。

気になったのは握り鮨マシーン『にぎにぎ君』は寿司酢の調合や寿司ネタを切ることもやるのでしょうか?やらないなら片手落ちだが、さすがに子どもの時だからどうだろ?

自身が納得できるものが書けるよう頑張ってください。
[2014/06/30 10:15] URL | 1414 #- [ 編集 ]


「にぎにぎ君」って・・・カイトはやっぱりネーミングがひどい(笑)
[2014/06/30 12:12] URL | #- [ 編集 ]


取れあえず。自重って言葉を覚えろってナチュラルに思った。
[2014/07/01 05:36] URL | #- [ 編集 ]


相変わらずネーミングが酷い・・・
と言うか、年代的にはスシ食いねェ!でもいい気がします。
[2014/07/01 21:21] URL | おさふね #- [ 編集 ]

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このコメントは管理者の承認待ちです
[2014/07/03 22:33] | # [ 編集 ]

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
[2014/07/05 20:51] | # [ 編集 ]


握り鮨でしたかw しかし鮨ネタは創造魔法では作れないし、ちょうどいい魚でも手に入ったのでしょうか?
[2014/07/06 01:38] URL | 法皇の緑 #USanPCEI [ 編集 ]


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