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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
白衣の英雄81
 翌朝、ルミナスとシリルは朝の鍛錬の汗を流す為、浴室に向かっていた。
 
 廊下を歩くその足取りは、実に軽快。
 表情も明るく鼻歌まで歌い、と過酷な鍛錬の後とは思えない。
 
「ふんふふ~ん♪ 毎日この時間は楽しみよねぇ~」

「ですわねぇ……汗と一緒に疲れも流れていくような感じですもの」

 浮き浮きした様子で語り合うルミナスとシリル。

 元々、二人には湯船に浸かる習慣はなかった。
 どちらも自宅に浴槽自体は存在するが、この大陸の全体的な習慣として湯船に浸かる事が無い。
 かつて一度仕事で訪れたヒノクニでは一般的だったが、生憎その時は仕事で湯船どころか水浴びが精々だった。
 
 改装後のこの浴場を訪れ、刹那達に薦められて初めて入浴の快楽を知ったのである。
 そして、一度覚えてしまって以来病み付きになってしまった。
 流石に鍛錬の度毎回入るような事は無いが、一日一度は必ず入っている。
 
 とはいえ、無理もない。
 海人に改装されたこの浴場の内装は、入浴において最高品質を誇っているのだから。

 視界の大半を埋め尽くす檜の色彩は目に優しく気分を落ち着け、
ほのかに香る檜の香りも心を和ませてくれ、床面に使われている石材も檜とのコントラストが美しい上に、
見飽きない為のアクセントとしても機能している。
 浴槽は自由に手足を伸ばす事が可能な程に広く、
中央に陣取ればそれこそ手足を思いっきり伸ばしながら湯船に浮ける。
 
 これだけでも入浴の魅力としては十二分だが、海人は更なる駄目押しをしてきている。
 
「今日は何にしよっか?」

「柚子の香り、薔薇の香り……桜の香りも捨てがたいですわねぇ……」

 鏡台の片隅に置かれた箱を開け、二人で頭を悩ませる。

 箱の中身は、海人特製の入浴剤。
 二十種類存在し、それぞれ香り、色、効能が違う。
 その日の気分によって好きな香りを選ぶ事も出来るし、
疲労している時に疲労回復の効能がある入浴剤を選ぶ事も出来る。

 入浴それ自体もだが、入浴前の入浴剤選びもまた楽しいのだ。

「……って、あれ? 一つ足りなくない?」

「あら、ホントですわ。無臭の物が無くなってますわね」 

「無臭……じゃあ、セツナさんが入ってるのか」 

 ふむ、と考える。

 無臭の入浴剤を使うのは、屋敷の住人では刹那のみ。
 彼女だけは、折角浴室内全体が檜の良い香りに包まれているのに勿体無いと言うのだ。
 対して他の人間はほんのり香る程度だし、色々な香りを使った方が気分が違って楽しいと考える。
 
 そして、刹那が入っているとちょっと困る事がある。

 風呂という物に強烈な愛着を持っている彼女は、その話題になると止まらない事がある。
 野外で入る温泉の良さや、ここの浴室がいかに素晴らしいものかを語り始め、延々止まらない。
 一応強引に止められなくもないのだが、正気に返った刹那は己を恥じるように縮こまってしまうので若干心が痛む。

 とはいえ、あくまでもたまに、だ。
 刹那は風呂が絡むと熱くなりすぎる自覚があるらしく、基本的には自制している。
 湯船でのんびりして気が緩み過ぎると生じやすくなる、その程度の話。
 わざわざ引き返して時間をずらすほどの事ではない。 
   
 ルミナスとシリルはそう結論を出すと、着替えを棚に置き汚れた服を洗濯籠に放り込んだ。

 そして手拭いを持って浴室に入り――――二人揃って崩れ落ちた。

「ルミナス様、シリル様おはようございます……何か?」

 表情は変わらぬまま、小さく首を傾げるローラ。
 美しい顔立ちゆえにその無機質さは不気味ささえ感じる。

 ――――が、そんな事は些末事にすぎない。

 湯船に浸かっているローラは、言うまでもなく布一枚纏っていない。
 特に他の物で隠しているわけでもなく、お湯の色も透明なので肌は惜しげもなく晒されている。

 それが、ルミナス達―――というか、全ての同性にとって猛毒になってしまう。  

 輝かんばかりに白い肌は見る物全てを魅了し畏怖さえも抱かせ、
神の傑作としか言いようがないボディラインは、世界の不平等さをこの上なく知らしめる。  

 いかにルミナス達の肌艶が良くなったとはいえ、足元にも及ばない美貌。 
 それが放つ美は、実際に目にすれば重々理解していたはずの者達の心さえ容易くへし折ってしまう。

 が、ルミナスは軽く溜息を吐くと迅速に精神を立て直した。
 
「……圧倒的な格差に心が折れかけただけですよ。
ホント、非の打ち所がない美貌ですよねぇ……」

「お褒めに与り光栄です。しかし、ルミナス様も十二分に他者の羨望を受ける容姿だと思いますが?」

「ま、そりゃそうなんですけどね……」

 湯船に浸かりながら、自分の体を見下ろすルミナス。

 殊更に誇示した事は無いが、容姿には相応の自信がある。 

 胸の大きさは標準以上だし、形もなかなかのはずだ。
 ウエストも鍛え抜かれて引き締まっているが、過度な筋肉が付いているわけでもない。
 下半身も傭兵という職種の括りを外して考えても、十分綺麗な形になっている。
 問題があるとすれば所々に存在する古傷だが、それも普段目立つような場所にはないし、
幸いな事に注視しなければ気付かない程度に薄い。
 
 顔も、間違いなく高水準なはずだ。
 鏡を見て自惚れられる程ではないが、同性に羨ましがられる事は数多く、
異性には時折見惚れられてしまう時がある。
 
 これで不満を抱くなど、贅沢極まりないのかもしれない。
 そうは思うのだが、目の前に自分が足元にも及ばない美貌を突きつけられると、
溜息の一つも零したくなる。

「それに、ルミナス様もよく御存じだと思いますが、
容姿が一定レベルを超えますと煩わしい事も増えます」

 言いながら、小さく肩を竦めるローラ。
 相変わらず表情に変化は見当たらないが、どこか口調に疲れが滲んでいた。

「あー……やっぱ気配断たずに町中歩くと凄い事になったりするんですか?」

 おずおずと、ルミナスが尋ねる。

 ルミナスも、一人で町中を歩くと口説かれる事はそう珍しくない。
 カナールだと彼女の事を知っている者も多い為そういう事は少ないのだが、
初めて行く町などでは声を掛けられる頻度はかなり多くなる。
 そうなると大概は揉め事が生じ、最終的には言い寄ってきた男全員をぶっ飛ばさざるをえなくなるような事態に発展する事も多い。
  
 これがローラならどうなってしまうのか。
 正直、想像もつかない話だった。

「手元に大金がある時でも、迷わず町より野外での生活を選ぶ程度には面倒な事態が生じます。
もっとも十五の時の話ではありますが……今やればどうなるか、わざわざ試す気にはなりませんね」

「……そ、それはまた凄まじいですわね」

 ローラの発言に、シリルが引き攣った言葉を返す。

 ローラならば野外での自給自足など容易だろうが、実際にそれを選ぶかは別の話だ。
 食材調達や調理に手間取らないとしても、寝床だけは解決が難しいのである。

 野外で眠る際、一番問題になるのは魔物だ。
 その縄張りで寝てしまうと、ほぼ確実に就寝中に襲われる事になる。
 ローラなら撃退は容易だろうが、それにしたって眠りながら戦えるはずがないので、
どう足掻いても睡眠時間は削られる。
 一応魔物の痕跡などから縄張りに入っているか否か調べる事は可能だが、
その調査はかなり面倒である。
 
 はっきり言って、金さえあれば屋根の下で寝れる町の方が快適なのである。  

 だというのにそれをしないという事は、それだけ厄介な事態が頻発したという事に他ならない。
 それこそ町中をまともに歩けない頻度で口説かれるとか、泊まった宿に毎晩夜這い目的の男が押し掛けるとか、
そんな事態でもなければ、わざわざ野外での生活を選ぶとは思えないのだ。
   
「まあ、気配を消していれば問題ありません。
とはいえ、そんな面倒を引き起こす容姿ですら、カイト様には効果がありませんでしたが」

「あー……まあ、カイトですし。
こないだのメイベルさんなんてすんごい色っぽさで迫ってましたけど、それも軽くあしらってましたし。
多分色気とかは効果ないんじゃないですかね?」

 どこか苛立ちが滲んだように聞こえるローラの言葉に、思わず苦笑する。

 以前メイベルが海人に迫った時の事。
 ルミナスは遠目に見ていただけだが、それでも彼女の色香の凄まじさはよく分かった。
 なんせ、その表情一つ見ただけでも同性である自分でさえドキリとさせられたのだ。
 
 もっとも、直後に海人が逆襲を始めた為、その印象も吹っ飛んだのだが。
 
「……確かに、メイベルがああもあっさり返り討ちにあった以上、
容姿と意外性だけで動じさせようというのは、我ながら傲慢が過ぎましたね」

 なんとはなしに湯船のお湯を片手で掬いながら、答える。

 メイベルは、ローラの知る限り男を誑し込む術においては他の追随を許さぬ大毒婦だ。 
 相手が堅物であっても大概は二週間もあれば自分しか目に入らない程に誑し込み、
女を弄び慣れたような男であっても同様の期間で貢物を持ってくるレベルまで虜にする。

 それが返り討ちにあった以上、女としての要素で驚きを与えるのは無謀極まりない。
 増長していたつもりはなかったが、生まれ持った容姿を過信していたという事だろう。

 そんな事を思っていると、ルミナスが興味深そうに訊ねてきた。 
 
「そんな凄いんですか、あの人?」

「本人曰く、七歳で既に三股かけていたとか」

「そりゃ凄まじいですねぇ……ってか、色事師もそこまで来ると正直感心しますね。
でも、そんだけ慣れてるとかえって結婚とか大変だろうなぁ……」

「一応、本人は生涯独身は覚悟しているから問題ないと言っています。
それに、結婚について言えばむしろルミナス様の方が大変でしょう。
私が小耳に挟んだかぎりの情報でも、望みが高すぎるように見受けられますが?」

 ルミナスに視線を向けながら、訊ねる。

 ローラはこれまでルミナスに求婚した男達について全てを知っているわけではないが、多少は知っている。
 彼女はその美貌と人格ゆえに団外の者から求婚される事もままあり、その一部が情報網に引っ掛かっているのだ。
 無論その全てが良質というわけではないが、平均値としては高い。
 普通の女性なら求婚を受け、とうに結婚していてもおかしくないぐらいには。

 それが、実際は恋人を作った事すらない。
 どう考えても、相手への望みが高すぎるとしか思えなかった。  
  
「うぐっ……!? そ、そう言われると正直返す言葉ないんですけど……でも告白されても違うな、
としか思えない相手ばっかなんですよ」

「違う、とは?」

「上手く言えないんですけど……間違いなく良い男だって思える人でも、
恋人っぽい事してるとこ想像すると、ちょっと嫌な感じになるんですよ」

 考えながら、己の感覚に近い言葉を並べていく。

 今まで受けた告白全てを袖にしてきたルミナスだが、
彼女とて脊髄反射的に告白を断っているわけではない。
 居丈高に付き合ってやると言ってきた連中や、軽薄に言ってくるような連中はともかく、
真剣に告白してきた相手にはきちんと考えた末に断っている。

 そして、その中には人格・能力・地位全て申し分なく、
付き合えるのはむしろ幸福ではないかと考えた相手もいた。
 
 が――――結果としては、全て付き合う事も無く袖にしている。

 というのも、告白を受けて実際恋人としてその相手と過ごす自分。 
 それを想像した時に、例外なく大きな問題が生じたからだ。

 手を繋いだり、抱き合ったり、キスをしたり。
 相手とそういう恋人らしい事をしている光景を想像した時、
どうにも不快感に近い感覚が込み上げてくるのが抑えられなかった。

 何も感じないならばまだ妥協できたかもしれないが、不快感じみた物を感じるとなると話は別だ。
 それを無視して付き合ったところで、どう転んでも良い結果になるとは思えない。
 ルミナス自身は勿論、相手の為にも。
  
 だからこそ、ルミナスはこれまで誰とも付き合った事が無いのだ。 

「なるほど……友人としては素晴らしくとも恋人にはなれない、といったところですか?」

「多分、そんな感じですかね。我ながらすんごい贅沢な選り好みしてるとは思いますけど」

 居心地悪そうに、頭を掻く。

 今までルミナスに求婚した者の中には、今考えても破格な程レベルの高い男も多くいた。

 例えば、とある王国の公爵家の三男。
 彼は爵位を継ぐ予定こそないものの、容姿端麗にして文武両道。
 人柄も良く、部下は勿論領民にも慕われていた。

 例えば、とある新興傭兵団の団長。
 彼は傭兵らしく教養にこそ欠けるが、戦闘絡みの頭脳は優れていた。
 ルミナスには劣るが戦闘能力もかなり高く、彼が率いる団の中では最強。
 性格もやや粗野であるものの、豪気と言っても異論は出ない程度。
 
 例えば、とある若手商人。
 まだ若く商いの規模は小さかったが、堅実かつ誠実な商売を続けていた。
 その甲斐あってとある侯爵家の家令の目に留まって御用商人となり、一気に道を拓いた成功者だ。
 
 ルミナスはそれら引く手数多の男に愛を告げられ、その全てを断ってきた。
 おそらく今まで袖にしてきた男を未婚女性の前で羅列すれば、攻撃魔法の乱舞が吹き荒れるだろう。
 あるいは、絶好の機会を自ら何度も手放す馬鹿女と盛大に罵倒されるかもしれない。
   
 それは分かっているのだが、未だに彼らを袖にした事についての後悔は皆無。
 風の噂で別の女性と婚約しただの付き合っただの結婚しただの聞いているが、
それを聞いた時も心に湧いたのは素直な祝福でしかなかった。

 この調子では、一生結婚できないかもしれない。
 ルミナスは割と本気でそう思っていた。 

「いえいえ、一生の事ですから最もお姉さまを愛し、最もお姉さまが愛せる相手を選ぶべきですわ。
そして、そこから考えると私以上にお姉さまに相応しい相手は―――」

「却下。いくら相手が見つからないっつっても、
同性愛にはしるぐらいなら一生独身で過ごすわよ」

 シリルの言葉を最後まで言わせず、却下するルミナス。

 結婚願望が強いという自覚はあるが、それも良い男がいればの話。
 流石にその為に性別の壁を乗り越える気など、微塵もない。
 それならば、いっそ諦めて生涯独身で過ごす方がマシだった。

 そもそも――――恋人などいなくても、今の生活は十分幸福なのだから。

「うう、相変わらずつれませんわね……ですが、私は諦めませんわ!
私の愛はいつか必ずやお姉さまの頑なな心を溶かし、輝ける未来に繋がる! そう信じていますわ!」

 固く握りしめた拳を掲げ、力強く力説するシリル。
 その目には全てを焼き尽くさんばかりの情熱の炎が宿り、意思の強さを感じさせる。

「絶対ないから諦めなさい。つーかあんたも結構言い寄られる事多いのにブレないわよねぇ……」

 シリルの情熱を冷たく切って捨てながら、溜息を吐く。

 誤解される事が多いが、シリルはルミナスを愛しているのであって、生粋の同性愛者というわけではない。
 あくまでも愛した相手がたまたま同性だった、それだけの事である。

 なのだが、シリルも相当な回数の告白を受けているにもかかわらずブレない。
 どこまでもルミナス一筋を貫き通している。

「ふ……愛とは懲りぬ事ですわ。
それに、お姉さまと違って私に言い寄る殿方は変態が多いんですのよ?」

 なにやらやさぐれた笑みで宙を睨むシリル。

 確かにシリルもルミナス同様言い寄られる事はかなり多いが、二人には決定的に違う点がある。
 ルミナスが年齢相応の容姿であるのに対し、シリルは実年齢の半分近い容姿。
 ともすれば少女どころか幼女と言われかねないような姿なのだ。

 つまりシリルに言い寄る男は、最悪幼女趣味の変態と後ろ指を指される事を覚悟の上で告白出来る程彼女に惹かれているか、
あるいは元より幼女趣味の男の二種類という事になる。
 
 そして、実際にシリルに言い寄る男は――――大半が後者だ。

 シリルは穏便に断る為に自らの幼い容姿を引き合いに出す事があるのだが、
酷い時にはむしろそれこそが良いと力説される。
 幼い少女特有の肌の良さなどを息を荒げながら朗々と演説するその姿は、
叩きのめして官憲に突き出してやろうかと思ってしまう程に変態的だ。

 仮にルミナスへの思いを断てたとしても、そんな連中と付き合う気は毛頭ない。  
 
「なるほど、御二人共色々と難しいのですね」
 
「む……他人事みたいに言ってますけど、そういうローラさんはどうなんです?
むしろ年齢的には私よりヤバ――――」

 言いかけたルミナスの口が、途中で凍りついた。
 彼女の視線の先にあるのは、いつも以上に感情が抜け落ちたような、ローラの顔。

 その瞳には、何も映っていない。
 炎のような激情の揺らぎも、氷のような冷徹さも。
 あるのは、何もかもが消えうせたような虚無のみ。

 そんな無機質極まりない瞳を向けながら、ローラが口を開いた。

「―――――私の年齢が、何か?」

「い、いいいいいいいえ! なんでもないですなんでもないです!」

 ガタガタ震えながら、ルミナスが頭と両手を思いっきり横に振った。
 その隣ではシリルも同じように震えている。

 それを数秒見つめると、ローラは視線を外しゆっくりと立ち上がった。
 
 ビクッと弾かれたように、ルミナスとシリルが湯船の端に飛び退る。
 怯えながらも、二人共いつでも戦闘に移行できる状態になっている。

 そんな二人を眺めながら、ローラは静かに一礼した。
 
「―――では、お先に失礼させていただきます」





























 所変わって屋敷の門。
 そこでは、海人がリレイユと対峙していた。

 リレイユは伏せの姿勢を取っている為体高が低くなっているが、それでも海人を見下ろしている。
 そんな彼女の瞳を、海人は気負うことなく見つめ返す。
 位置関係はどうあれ自分こそが主である、と態度で示すかのように。

 数瞬の間を置き、彼は口を開いた。

「―――お座り!」

 大きくはないがよく通る主の声に従い、リレイユが体勢を変える。

 少し身を丸め、ぺたんとお尻を地面につけた姿勢。
 よく躾けられた犬に見せても恥じる事ない、完璧なお座りの姿勢だ。
  
 海人はそれに満足げに頷くと、次なる指令を出した。
 
「お手!」

 びっ、右手を差しだす海人。

 リレイユはすかさず指、というか爪の一本を差し出すと、海人の掌に先端を触れさせた。
 巨大な手の大きさからすれば感嘆する他ない力加減で、脆弱な主の掌の皮膚を傷つけずに触れている。

「おかわり!」

 言いながら左手を差しだした主に呼応するように、リレイユも先程とは逆の爪を差し出した。

 彼女の動きは迅速だが、実に繊細。
 巨大な腕をかなりの速度で動かしているにもかかわらず、風圧で海人が揺らがない。
 その繊細さを保ちながら、リレイユは主の左掌に爪を触れさせた。

「お辞儀!」

 息つく間もない主の命令に、リレイユは唯々諾々と従う。
 
 しゃきっと背筋を伸ばし、両腕を前に出し、ぺこりと頭を下げる。
 頭の下げ具合といい、その他の姿勢といい、実に見事だ。

 海人はうんうんと頷くと、表情を緩めた。

「うむ、とりあえずこんなところか。リレイユ、ごほうびやるからなー」

「グルルルルッ」

 主の言葉に、リレイユは唸りながら長い首を起こす。
 そしてそのまま、お座りの姿勢になった。

「お、ちゃんとお座りして待ってるな。偉い偉い」

「グールルッ♪」

 主の褒め言葉に、嬉しそうな声を返すリレイユ。

 その喜びを示すかのように長い尻尾がぶんぶん振られるが、
本来当たれば大地を爆砕する威力だったそれは、海人の躾が功を奏し空気を切って後方に風圧を送るのみ。
 呼び鈴代わりの銅鑼が風圧で倒れてしまってはいたが、その程度は御愛嬌だろう。
   
 そんな従順で物覚えが良いペットを労う為、海人は背後に用意しておいた物を前に押し出した。

「よし!」

 リレイユの眼前に出した餌を指差し、許可を与える海人。

 リレイユは食べやすい位置に置かれたそれに、すかさず食らいついた。
 今日の餌はブラウンボアのステーキと野菜をたっぷりと混ぜ込んだ御飯。
 内臓なども調理して入れられている上、骨も入っているのでとても栄養価が高い。
 それを彼女はじっくりと味わうように咀嚼し、少しずつ嚥下していく。
 心なしか上機嫌に見える態度で。
 
 そんなペットの様子眺めながら、海人は満足げに頷いた。

「うむ、やはり醤油風味が気に入っているようだな」

 言いながら、懐から取り出したメモ帳に記す。

 海人はリレイユを飼うにあたって、躾と同様餌にも気を配っていた。
 と言っても、リレイユの場合体に悪い食材などは特に気にする必要はない。

 なにしろ、プチドラゴンは上位ドラゴンと肩を並べる危険生物。
 野生のそれは、文字通りありとあらゆる食材を食べる。
 それどころか襲った馬車を馬どころか荷台まで全て食べる事も珍しくない悪食。
 香辛料がたっぷり搭載されていた荷台を食っても平然としているというのだから、尋常ではない。
 更には、現在知られているいかなる毒物もまるで通じないというおまけ付。
 何を食わせたところで、体に害など生じるはずもない。

 が、それでも好き嫌いぐらいはあるだろうと思って調査していたのだが、
その結果リレイユは意外に美食家である事が分かった。
 
 プチドラゴンらしく何でも食べるのだが、特に好きなのは肉。
 それも塩などで味付けした、人間が食べられる程度の物が好み。
 塩分が強すぎたりあるいは弱すぎたりすると、あからさまに味わわず丸呑みしようとする。
 丁度良いと、今のように機嫌良くじっくりと咀嚼して鼻を鳴らしながら嬉しそうに食べていく。  
 それでも肉だけでは飽きるらしく、米や野菜を混ぜてやるとさらに機嫌が良くなり、
締めにデザートを出してやると、食後気持ち良さそうに寝っ転がる。

 なので、どうせなら好物を出してやろうと細かく餌を変えて調べているのだ。

「……いや、正確には香りの強い物全般が好きなのか。
にんにくを混ぜた時も上機嫌だったし……昼はにんにく山盛りのチャーハンでも作ってや……む?」

 次の餌について思案していた海人は、なにやらリレイユの動きが変わった事に気付いた。

 見上げてみると、大量の餌を食べきった彼女が、何やら舌で自らの牙を舐めている。
 よくよく観察してみれば、歯の隙間から食べカスらしき肉がぶら下がっていた。
 リレイユは頑張ってそれを取ろうとしているようだが、なかなか上手くいっていない。

 が、一分程苦闘した末にそれは無事歯の隙間から出て、彼女の口に飲みこまれていった。

「食べカスか……問題はなかろうが、なかなか取れないと気になるだろうな。
おっ……そうだ! 餌をあげた後爪楊枝を使うドラゴン。これならかなり愛嬌が―――」

「出ないと思います」

 これまで海人の横で黙っていた刹那が、主の戯言をばっさりと切り捨てる。

「……何故だ? 良い案だと思うんだが」  

「感心はされると思いますが、愛嬌は怪しいでしょう。
というか、そろそろ諦めてはいかがでしょうか?
そもそもこの屋敷を訪れる人間は限られていますし……顔ぶれを考えれば、遠からず慣れるでしょう」

 溜息交じりに、語る。

 海人はリレイユの第一印象を良くさせたがっているが、実のところ必要性は薄い。
 なにしろ、この屋敷を訪れる人間は非常に限られているのだ。
 シェリスの屋敷の関係者が大半を占め、その他もハイレベルな武人のみ。
 少し前までは便所の回収業者が来ていたのだが、リレイユを飼うと決めた日にそれも断った為、
もはや相応の胆力を持つ者しかいない。
 また、誰かが偶然訪れるような立地でもないので、思わぬ来客の可能性も極少。

 これらの条件から考えれば、わざわざリレイユに愛嬌を持たせる必要はない。
 この屋敷を訪れるのは、最初腰が引けたところで直に慣れる者達のみなのだから。 

「むう……確かにその通りなんだが」

「無論、無理にやめろとは言えませんが……先日までのリレイユの躾に費やした労力を考えますと、お体が心配なのです。
御茶を淹れる芸を仕込んだ日など、随分と寝過ごしておられましたし……」  

「む……心配をかけてしまっているのなら、仕方ないな。
分かった、とりあえず考えないよう努力はしてみよう。
ぞれはそうと、雫はどうしたんだ? 朝は一緒に鍛錬に行っていたようだが……」

「あ、はい、雫は鍛錬が終わるなり川に魚を獲りに行きました。
なんでも、今日は焼き魚が食べたいんだとか」

 鍛錬が終わった途端屋敷裏の川に飛び込んでいった妹の姿を思い出し、苦笑する。

 最後の組手でばったり倒れ込んでいたのが、朝の分は終わりと言った途端蘇った。
 疲れたフリではなかったはずなのだが、余力がなかったわけではないらしい。

 次は体のどこかに残っていたあの元気をどう絞り出してやろうか、そんな事を考えていると、   

「……ふむ、焼き魚か。私は今日はもう少ししっかりした物が―――」

 言いかけた海人の言葉が、途中で止まった。

 原因は、屋敷の裏の方から跳躍した影。
 それは海人の前に降り立つと、腰に括り付けた籠を外し誇らしげに掲げた。
  
「あーっはっは! やった! やりましたよ海人さん!
とんでもない獲物を捕まえました!」

「……破流鰻ぃっ!?」

 籠から顔を覗かせている生物を見て、海人が驚いた声を上げる。

 破流鰻とは、激流の川にのみ生息する鰻だ。
 激流の中で鍛え抜かれたその身の味は、実に濃厚で旨味が強く、川魚特有の臭みもない。
 生きている時は鋼の如き肉も、絶命と同時に柔らかくなっていくため頃合いを見極めれば食感も良いという。

 が、この大陸で捕獲された例は非常に少ない。

 破流鰻の主な生息域はヒノクニで、それ以外の場所では非常に稀少なのだ。
 ヒノクニでは激流の川に行けば一匹二匹は見かけると言われているが、この大陸では全域を見渡しても目撃例すらあまりない。
 もし公表すれば、一騒動起きる事請け合いの稀少性である。

「そのとーりっ! 川潜ったらいたんでひっとらえました!
一人一匹は無理でしたけど、一匹が大きいんで多分問題なしです!
うふふ、蒲焼きも白焼きも両方楽しめますよ~」

「……雫、言いにくいのだが……朝食に使うのは無理だぞ?」

 わーいわーいと飛び跳ねて喜ぶ妹に、気の毒そうな目を向ける刹那。
 そんな姉の言葉に、雫の表情が驚愕に染まった。

「えっ……な、なんで!?」

「……ああ、そういえば破流鰻の食べ頃は首を落としてから三時間以上だったな。
それ以前だと、身がかなり固くて食感がよろしくないとか」

 淡々と、以前本で読んだ情報を教える。

 破流鰻の調理法自体は、そう難しくはない。
 捕らえて何の処理もせずとも臭みもなく旨味も濃厚なので、
軽く塩をして焼くだけでも十分美味しく食べられる。

 が、唯一の難点が身の固さ。
 絶命させてから三時間経たないと、破流鰻は固くて食べられた物ではないのだ。
 言い変えれば三時間待つだけで問題なく食べられる、という事でもあるのだが、
あと一時間ほどで始まる今日の朝食に出すのは無理である。

 その海人の知識を肯定するように、刹那が重々しく頷いた。

「ええ~……そんなぁ~~……」

「ま、落ち込まずとも昼食には丁度良いだろう。
鰻のたれも良いのを作れるし……焼き方も、一通り覚えてるんで美味いのを作れると思うぞ」

「お、流石海人さん! 料理に興味は無くても知識豊富ですね~」

「あー……いや、鰻料理は父が得意だったんでな」

「海人さんのお父さん、ですか?」 

「ああ、釣ってきた鰻を自分で捌いて色々作ってくれた。
いいかげんに焼いてるようにしか見えんのに、焼き加減上手かったんだよなぁ……」

 懐かしむように、目を細める。

 海人の父――神明は、時折釣りに行く事があった。
 獲物はその時々で違うものの、調理は大概母に一任されていた。
 料理は母の方が絶対に上手いからと本人が言い、母も大概はその通りと同意していたのだが、
鰻に関しては父が捌いて調理していた。

 そんな神明の調理法だが、一言で言えば豪快。

 と言っても、捌く手際や串を打つ手際だけなら本職顔負けなほど見事だった。
 最初海人がそれを見た時など、思わず拍手してしまったほどだ。
 しかし、一番難しいはずの焼きの作業に移ると途端にだらしなくなる。
 缶ビールを豪快に何本も空けながら、ひっくり返す。
 横でちゃんと焼けるか心配そうに眺めている息子のおでこを押して遊んだりしながら、またひっくり返す。

 そうして白焼きが焼き上がったら、一枚だけそのまま醤油と山葵で酒のつまみにして、
残りはタレをつけて蒲焼にしていく。
 その時は清酒を飲んでいるのだが、これまたかぱかぱと飲んでいく。
 で、また酒を飲みながらひっくり返し、息子をからかい、またひっくり返す。

 そうして出来上がった蒲焼を、温めてあった丼に盛りつけた炊き立ての米の上に乗せ、
その場で食べたのだが、これが異常に美味かった。
 世辞でも何でもなく、店で食べた物よりも美味しかったのである。

 そこまで思い返したところで、海人は刹那達の何か言いたげな視線に気づいた。
 
「ん? どうした?」

「いや、海人さんって御両親が好きなんだなーって思いまして。
前に聞いたお母さんの話の時も、すっごい穏やかな顔してましたし」

「欠点もあったが、今思い返しても自慢の両親だからな。
私の願いも極力叶えようとしてくれていたし……まあ、そのせいで頭を悩ませていた事も多かったようだが」 

「あ、昔は海人さんもおねだりとかしてたんですね。
やっぱり高い本買ってほしいとかそういうお願いですか?」

 興味津々、と言った様子で雫が訊ねる。

 雫の知る限り、今の海人は欲があまりない。
 服にも美術品にも興味がなく、美味しい物も食べられれば嬉しいという程度。
 周囲の美女達にも目の保養になる程度の興味しかなく、欲らしい欲が見当たらない。

 そんな彼が、かつてどんな欲を持っていたのか、実に気になる話だった。

「それもあるが……多分一番悩ませてしまったのはあれだろうな。弟か妹」

「ああ、なるほど……海人殿らしいですね」

「そうか? だがまあ、両親揃って忙しい人だったんで、もう一人産む余裕は流石になかったんだ。
欲しいには欲しかったが、素直に諦めた」

「ほほう……そういう事ならあたしを妹と思って甘やかしてくれて構いませんよ?
おにーちゃん、あたしチョコレート欲しいな♪」

 海人の顔を下から覗き込むようにしながら、無邪気そうな声を出す雫。
 ちょっと体を摺り寄せて親愛をアピールしており、非常に愛らしい。
  
「打算丸出しで迫る妹の言う事を聞く兄は珍しいと思うが?」

「ちぇー……」

「とはいえ、可愛いには可愛かったからこれをやろう」

 拗ねた顔をする雫の口に、海人はポケットから取り出したトリュフチョコを放り込んだ。
 雫の表情が、一転して喜色に染まる。
 
「もぐもぐ……ん~、美味しい~♪」

「海人殿、あまり雫を甘やかさないでください。
この愚妹は、一度甘やかせばとことん図に乗りますよ?」

「ま、そう堅い事を言うな。ほれ、苺大福」

 ひょい、と先程と同様にポケットから取り出した苺大福を刹那の口に押し付ける。
 刹那は数瞬大福と海人の顔を交互に見た後、溜息を吐きながら苺大福を頬張った。

「感想は?」

「……美味しいです。ただし、ごまかされるのは今回だけです。
雫の躾はきっちりしておく必要がありますので」

「そうかそうか、ならばいい」

 拗ねたような顔の刹那に、満足げに頷く海人。
 その表情には、どこか悪戯っぽさが滲んでいる。

「……? 何がでしょう?」

 含みのある海人の言葉に、刹那が首を傾げる。
 気になって探るように主の顔を見つめるが、楽しそうに見つめ返されるのみ。

 どういう事だろう、と尋ねようとした瞬間、刹那のすぐ後から声が響いた。

「なかなか面白い事をやっておられますね」

「っ!?」

 咄嗟に振り向きつつ、海人を背後に庇う刹那。
 が、その警戒は無為に終わった。

「ふむ……ローラ女士、面白い事とは?」

「今のカイト様にしかできない手品の事です。
もっとも、シズク様にやった時は分かりませんでしたが」

「……流石に苺大福は無理があったか。やはり掌にすっぽり隠せるサイズでやるべきだな」

「そもそも人前で使う事自体危険を孕むかと」

「そうそう使うつもりはない。あくまでももしもの時の備えだ。
何かあった時の手札は多いに越した事は無いからな」   

「……えっと、ひょっとして今のって?」

「ああ、ローラ女士から貰った術式を使った。やはり消費が軽いしお手軽だな」

 雫の問いに、悪戯っぽく笑いながら答える。

 トリュフチョコも苺大福も、この場で創造魔法を使って作った物。
 ポケットに入れた手の中に出現させ、魔法を使った事を誤魔化したのである。

「なるほど……しかし、間近で見ていた拙者でさえ気づかなかったのに、よくお気付きになりましたね」

「中にある物を探り当てたにしては手の動きが不自然でしたので」

「すんごい観察力ですねー」

 事もなげに語るローラに、思わず感心する雫。
 
 海人の手の動きは雫も見ていたが、特に不自然さは感じられなかった。
 いかにもポケットの中にある大福を掴んで取り出しただけにしか見えなかったのだ。 

「シズク様の察知能力程ではないかと。
今回はきっちり気配を消していたはずですが、お気付きだったでしょう?」

「いやー、流石のあたしもあんぐらい気配消されたら厳しいですねー。
屋敷の中から出てきて初めて捉え直せたぐらいですもん」

「……待て雫。捉えていたなら、なぜもっと早く言わん」 

「え? お姉ちゃんが驚く顔が見たかったからに決まってるじゃん。
普段しゃんとしてるお姉ちゃんが焦る顔って面白いんだもん」

「よーし、よく分かった。その捻じ曲がった根性叩き直してくれる」

「あっはっは、やれるかな? 逃げ足だけなら自信あるよ?」

 にっ、と笑いながら雫が破流鰻の入った籠を地面に置く。

 それを合図にしたかのように、超人姉妹の鬼ごっこが始まった。
 常人の目ではとても捉えられないような速度で縦横無尽に動き回る姉妹。
 門前からは離れないが、その周辺を所狭しと駆け回っている。
 言うだけあって雫の逃げ足は速く、本来速度でも勝る姉から上手く逃げ回っていた。   

 それを眺めながら、ローラが呟いた。

「……仲の良い姉妹ですね」

「だな。なんだかんだで二人共あーいう小競り合いを楽しんでいる節がある。
ま、やや過激だが一般的な仲の良い姉妹関係だろうな」

「そうでしょうか?」

「兄弟姉妹がいた私の友達は大概あんな感じだったと思うが……まあ、私が年齢一桁の頃の話だし、
成長すれば違うのかもしれんが」

「そうですか……いえ、私の知る仲の良い姉妹の関係はもっと歪なので……まあ、
一般的かどうかはともかくこちらの方が健全なのは確かでしょう。良い姉を持って、シズク様は幸せですね」

 どこか感慨深げな口調で呟くと、ローラはシェリスの屋敷がある方向に視線を向けた。 

 































 一方その頃、シェリスの屋敷の執務室。

 そこには、猛スピードでペンを走らせる屋敷の主達の姿があった。
 その手の速度は尋常ではなく、比喩抜きに残像が発生している。
 書類の内容は実に様々で、特産品による発展を目指す農村への融資もあれば、
国内の流通路に発生した危険な魔物の討伐、税金を誤魔化している大物商人への対処、
密かに殺人を趣味にしている冒険者の暗殺など、本気で節操がない。
 どれも一歩間違うと洒落にならない事態に繋がる案件だが、彼女らは血走った眼を書類に向けると、
瞬く間に処理していく。
 
 かと言って処理が雑かと言えば、断じて否。
 どの書類もこれ以上は無い程完璧に処理されている。
 
 それぞれの作業が一区切りついたところで、シェリスが手を止め、呟いた。

「ふう……うん、やっぱり万年筆は素晴らしいわね。
作業速度は向上するし、手の負担も楽になるし、すぐ買い取って正解だったわ」

 ほくほくした笑顔で、万年筆を見つめるシェリス。

 海人から買い取って間もない万年筆だったが、それによってもたらされた恩恵は劇的だった。
 なにしろ今まで使っていた羽ペンとは違い、一度インクを補充すればしばらく付け直しの必要がない。
 それによって腕の無駄な動きが省かれ、作業速度が一気に向上して手の疲れも減っている。

 これのおかげで、ローラ不在の現状でも仕事が多少なりとも余裕を持って進められると言っても過言ではない。

「そうですね。これがあるおかげで随分楽です。
そう言えば、これはカイト様からの提供だって伺いましたけど?」

 横で作業をしていたレザリアが手を止め、答える。

「ええ。ほんと、カイトさんには感謝してもしきれないわ。
なんのかんので毎回任せる書類はきっちり期日前に仕上げてくれるし」

「概ね異論はないんですけど……そのカイト様が原因で姉がえらい暴走してんですが」

 がっくりと肩を落とす。

 レザリアも、海人には感謝している。
 万年筆の提供もそうだが、彼が重要度の低い書類を処理してくれる事で随分助かっているのだ。
 時折まとめて運ばれる書類の山をこの屋敷で処理していたら、と思うと正直ぞっとしない。

 一度受けた授業においても、この上なく助けられている。
 姉を翻弄した男という事で最初はかなり緊張していたのだが、
いざ受けてみれば紳士的かつ分かりやすい解説で非常に楽しませてくれた。
 そこで得た知識を数日後に使う機会があったが、付随する知識もきっちり関連付けて教えてくれた為、
本当に馴染みのある知識のように振る舞う事が出来た。

 さらについ先日は要人の記憶処理まで行ってくれた。
 相手が相手なだけに自分達では対処しきれなかったので、あれは非常に助かった。
 彼自身の安全の為でもあるとはいえ、ありがたい話だ。
 これで感謝していないはずがない。

 が、彼のせいで現在メイベルが暴走しているのも事実。

 昨日ローラからの手紙を握り潰した直後、メイベルはシェリスの元に突撃して休暇申請を行ったのだ。
 そして現在その際に突きつけられた条件を達成すべく、猛烈な勢いで仕事をしている。

 その勢いは、まさに凄まじいの一言。
 普段の倍の速度で書類に目を通し、必要があれば即修正。  
 それどころか、まだ仕上がっていない自分の仕事に関連する書類を自ら作成してさえしていた。
 それでいて現状一つのミスも見つかっていないのだから、大概化物である。 

「あら、いいじゃない。気合を入れて仕事に臨むのは良い事よ?」

「そらそうなんですけどねぇ……賭けても良いですけど、絶対条件満たしてきますよ?」

「満たしても問題ないでしょう? 条件は他の人間に押し付けずに彼女の三日分の仕事を片付ける事だもの。
少なくとも、業務上問題が出る事はないはずよ? 何をそんなに心配しているのかしら?」

 一口紅茶を啜り、訊ねる。

 そう、メイベルが条件を達成したところで、何一つ問題はない。
 昨日シェリスが突きつけた条件は、昨日、今日、明日計三日分の仕事を片付ける事。
 期限は今日の夜までで、達成した場合はその時点から明日の昼までの休暇を認めるというもの。
 
 達成すればメイベルが休んでも気分的にはともかく、業務上の実害はない。
 レザリアがそこまで悩むほどの事ではないはずなのだ。

「……昔っから姉と総隊長が揉める時って、大体大事が絡んでくるんですよ。
しかも、毎回私にとばっちりが来るんです。正直、今回も嫌な予感しかしません」

 過去に降りかかってきた災難を思い出し、頭を抱えるレザリア。

 昔っからローラとメイベルが喧嘩する際は、大事になる事が多い。
 どうという事のない切っ掛けが、大惨事に発展するのだ。
 
 例えば、昔メイベルが関係を持った子爵家の長男をローラが叩きのめした事がある。
 つまらない理由で喧嘩を売った身の程知らずに現実を叩き込んだだけの話ではあるのだが、
彼はそれが原因で女性恐怖症になり、それまでメイベルが積み上げた関係が崩壊した。

 なにせ、彼は女性を見た瞬間怯え、泣き喚いて気絶するようになってしまったのだ。
 メイベルどころか、十に満たない少女が近づいても恐慌をきたして窓をぶち破って逃げ出す始末。
 折角距離を詰め終えて関係を持ち、しばらく楽しもうとした矢先にそれだったので、
メイベルとしてはたまったものではなかったのだ。 

 が、ローラからすれば子爵の息子が喧嘩を売ってきた理由自体、メイベルのせいであった。
 
 口説く過程でやや己に自信を持てずにいた彼を巧みにおだて、時に裏から手を回してならず者達と戦わせて自信を育み、
最後にメイベルという極上の美女から愛を告げられる事で自負を持たせた。
 そこで終わってればよかったのだが、少しやりすぎて自負が増長に変わり、
町で軽く肩がぶつかっただけ、しかもちゃんと頭を下げたローラに絡んだのである。

 メイベルからすればローラのやりすぎであり、今までの労力を台無しにされた。
 ローラからすればあくまでメイベルの失態であり、怒られる謂れはない。
 
 そんな平行線の会話から大喧嘩になったのだが、彼女らのあずかり知らぬ所でも問題は進行していた。

 怒り狂った子爵が軍を率いてローラを血眼で探していたのである。
 大事な息子をあそこまで追い詰めた不埒な女を成敗する、と息巻いて。
 
 そして彼は調査の末に怒り狂うメイベルをローラがあしらっているところに到着した。

 そのまま二人に居丈高な態度で武装解除を要求したのだが――――相手が悪すぎた。

 頭に血が上っていたメイベルはおろかローラさえもその要求には従わず、戦闘続行。
 その態度に子爵達は総力で襲い掛かったのだが、相手は天性の怪物とその親友。 
 二人は一時休戦すらしないまま、敵軍を自分達の喧嘩に巻き込んで粉砕した。
 
 雄叫びを上げて襲い掛かった兵達は、ある者はメイベルへの飛び道具として殴り飛ばされ心臓破裂、
またある者はメイベルの鞭を防ぐ為に使われ首をへし折られ、と散々な末路を辿り、
最後には外野を邪魔に思った二人の上位魔法によって綺麗さっぱり死体も残さず皆殺しにされた。
 
 これだけで済めば、レザリアにとっては問題なかった。
 姉の玩具になるはずだった男がその前に踏み潰され、
世の理不尽を知らない愚者達が相応しい末路を辿っただけの事。
 のんびり町のカフェでケーキでも食べていられただろう。

 問題は、その後の後始末。
 なにしろ、子爵と彼が率いる軍が文字通り全滅という大惨事。
 殺戮の目撃者こそいなかったが、その結果はすぐに知れ渡った。

 これをローラやメイベルと結びつけられないよう立ち回ったのが、レザリア。
 変装術を駆使して二人が犯行時刻町にいたという証言を多数生み出し、
二人を容疑者のリストから外すべく奔走したのである。

 無論二人の尻拭いなど嫌だったのだが、レザリアがやらなければ無駄な屍が増える事は目に見えていた。
 二人が町にいなかった事は調べれば分かる事であるし、実行犯であるとは分からないまでもそれと関係があると疑われる可能性は高い。
 しかもローラは子爵の息子の精神を破壊した人間で、メイベルは彼を誑かそうとしていると言われていた女。
 あのままであれば二人の拘束に官憲が動いた事は間違いなく、その二人が向かってきた兵力を再び虐殺する事も確実。
 というか、実際二人はそうなった時にどうやって皆殺しにするか相談していた。

 職務に殉じる者達は運が悪かった、と数秒黙祷でも捧げればそれで良いが、
無辜の民が巻き込まれる可能性も当然あり、そう考えるとレザリアが動く他なかった。
 二人共なるべく無関係な人間を巻き込まない程度の良識はあるが、
巻き込んでも運が悪かったの一言で済ませる非情の人物でもあるのだ。
 
 レザリアとて負けず劣らず非道だしその自覚もあるが、
それでも訳も分からぬまま死ぬ哀れな人間を増やしたくはなかった。
 短期間で数十もの顔を使い分けるという、非常に面倒な作業をしてでも。 
 
 ――――これでも二人の尻拭いとしてはまだ軽い方なのだから、正直笑う他ない。

 今回は何をやる羽目になるのだろう、そんな事を思ってレザリアが黄昏ていると、  
    
「えーっと……多分、今回は大丈夫よ?
いくらなんでもカイトさんが絡んだ状態で大惨事は起こせないと思――――」

 シェリスの言葉が終わる前に、ドアをノックする音が響いた。
 彼女が言葉を止め入室の許可を出すと、メイベルが片手に書類の束を携えて入って来た。

「はい、全部終わったわよ。後はシェリス様の最終チェックだけ」
  
「はぁっ!? ちょ、いくらなんでも早すぎるでしょ!?
そもそも交渉と情報収集はどうしたの!? 予約時間の変更とかだって……!」

「受付にあんな経験足りない子使っちゃ駄目よね。
涙と胸元見せただけであっさり通してもらえたわ。
そこらへんの話も含めてこの報告書にまとめてあるから、チェックお願いね」

 不敵に微笑みながら、一番上の書類の束を人差し指で叩く。
 
「……相変わらず大したものね。
なるほど、条件は予定より有利に……で、本命は――――」

 シェリスの言葉が、唐突に途切れた。

 普段穏やかな目つきは猛禽の如く細められ、
纏う優しげな空気も周囲を焼き尽くさんばかりの憤怒に変わっている。
 
 が、シェリスは一瞬目を閉じると、深く息を吐いた。
 息を吐き終え目を開けると、表情も空気も普段通りの物へと戻っていた。
 唯一、瞳の奥に残る憤激と冷徹さを除けば。
 
 即座に冷静さを取り戻した主に、メイベルは言葉をかける。

「見ての通り、真っ黒みたいね」

「誘拐で商品を調達する人身売買……証拠や証人は十分揃えられるけど、
被害者を確実に守る為には早急に、それも私達が動かないといけないわね」

 やれやれ、と溜息を吐く。

 メイベルの報告書に記されていたのは、この国のとある地域で行われ始めた人身売買。
 人身売買は国法で固く禁じられているため、露見すれば主犯は死罪を免れない。
 
 が、今回の主犯は中堅どころの商会の長。
 そう強い権勢があるわけではないが、彼の商会の本拠地を治める貴族と結びつきが強く、
国家権力を使った摘発は時間がかかりそうだ。
 最悪の場合、摘発までに被害者達が殺されて証拠隠滅という可能性もある。
 
 となれば、シェリス達が動く他ない。
 国内最強の精鋭集団であり、陰で動く事に慣れている者達が。
  
「ええ、それについても考えてあるわ。最後のページを見て」

 事もなげに、次のページを指差す。

 言われるがままシェリスは目を通すが、途中で表情が引き攣った。
 咎めるようにメイベルを睨むが、彼女は気にした様子もない。

 シェリスは諦めたように再び書類に目を戻し、最後まで読み進めた。
 
「………………確かに、確実だけど。貴女がやった方が―――」

「いいえ、成功率で考えれば私がやるよりずっと高いはずよ。
脱出自体もだけど、その後も私は武器なしじゃ戦力ガタ落ちだもの」

「……そうね。書類全体を見渡しても不備はないわね。
悲しい事に、こんな内容なのに休暇を認めるしかないわ」

 頭を抱え、メイベルの言葉を肯定するシェリス。
 納得したくはないが、納得せざるをえない、そんな表情だ。

「じゃあ、休暇貰うわね。多分、明日の昼前には帰ってくるわ。
レザリア、頑張ってね?」

「えっ……? って、まさかぁっ!?」

 やたらと晴れやかな姉の笑顔に不吉を感じ、問い質すべく捕まえようとするが、

「じゃあねー♪」

 メイベルは妹の手をひらりと避けて、軽やかに退室していった。

「……シェリス様、あの腐れ姉の案見せてもらえますか?」

「はい……」

「私が姉さんに化けて捕まり、被害者護りつつ外から殲滅する、と。
あっはっは……だから言ったでしょ?」

 乾いた笑いを浮かべ、投げやりに語る。

 確かに、メイベルの案は非常に有効だ。
 資料を読む限り、売り先は好色な商人や貴族。
 メイベルの容姿なら、まず犯人達は食いついてくる。
 ついでに言えば彼女は組織に繋がっている男達に隙の多い美女と印象付けているので、
ますます喜び勇んで手を出してくるだろう。  

 レザリアが彼女に化けるのも、全く問題はない。
 彼女の変装術は老若男女を問わず、自分よりもはるかに小柄な人間でなければ化けられる。
 特に姉の変装をした回数は十や二十ではなく、一番得意といっても差し支えない。  

 で、いざ囚われてからもレザリアならば屋敷の人員の誰よりも安全だ。
 どう拘束されても変装を脱げば脱出は容易。
 さらに被害者達を守るに当たっても、レザリアはとても適している。
 彼女の戦い方は武器を必要としない為、いかなる状況下でも変わらぬ力を発揮できるのだ。
 その汎用的な強さゆえに人質をより確実に守れる、という点でも最適な人材だと言える。
 
 ――――が、問題はこの人身売買に関わっている者達の戦闘力。

 報告書には一番強い、と目されている隻眼の傭兵の名が出ているのだが、はっきり言って雑魚だ。
 一応実績はあるが、どれも大規模な戦争において戦場の端で少し活躍したという程度。
 その過程で右目を失っているのだから、実力を隠して器用に立ち回っていたという可能性も極めて薄い。
 この程度の相手は、メイベルなら仮に両腕が折れている状態でも五秒で始末できるだろう。

 より確実を期した提案、と言えば聞こえはいいが、単に一番押しつけやすい妹に押しつけただけなのは明白だ。  

「そうね……認識が足りなかったわ、ごめんなさい」

「……せめて、今月のお給料少し色付けてください」

「この間の祝勝会で出したワインも、一本付けるわ」

「ありがとうございます……じゃあ、詳しい手順詰めましょうか。
早いとこ助けないと、被害者気の毒ですし」

 言いながら、レザリアは即座に頭を切り替えた。

 どのみち、この仕事は誰かが迅速に片付けねばならない。
 最適な人材がレザリアである事も事実なので、やる以外の選択肢はないのだ。
 ならば、さっさと終わらせた方が建設的だろう。

 そうやって姉への怒りを仕事への意欲に変換し、レザリアは一刻も早く仕事を片付ける方法を考え始めた。
 終わったら姉を一発ぶん殴る、と心に決めつつも。 
 

コメント
更新お疲れ様です
ミスで文章消えたのでローラについて気になるのだけ
81話更新お疲れ様です。
お風呂での会話で思い出したのですが、ローラの歳って2(ピーー)歳なんですよねー。
あれで反応するってことは、ローラは婚期焦ってるか、結婚願望はあるということか…
海人の屋敷に勝負服で存在感出して来て、それが失敗し、苛立つということは誘惑してたのかな?
まぁ、本気で色仕掛けをする姿は想像できませんが笑

さて、次回の更新を楽しみにしています。
[2014/08/18 04:35] URL | 名無しの権兵衛 #y2a4lNMg [ 編集 ]


どう考えても逃げられるだろうから。
激辛料理(しかも無駄においしい)あたりでしたほうがいいとおもうけど。
[2014/08/18 04:35] URL | #- [ 編集 ]


ローラさんキターー(・∀・)
刹那も雫もシリルも好きだけど、やっぱりローラさんがすばらっ
ルミナス?誰それ・・・
[2014/08/18 10:45] URL | D #- [ 編集 ]

承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
[2014/08/18 23:05] | # [ 編集 ]


すごくわかりにくいけど、ローラがカイトに対して「ある種の恋愛的な好意」を持っていると仮定して読んでみると、かなり早い段階からローラはカイトに惚れてたようにも読めて、おなじ作品に違う世界が見えました。

超人と超人のカプなのであまりそういうふうには読んでなかったんですが、
そうだとするとローラのアプローチは奥ゆかしくて良いキャラだなと。行動力はあるけど、態度は控えめなんですね。自分という女を前に出すよりも、着実にカイトに贈り物をしたりサポートしたりしている。


第一章時点の年齢が
カイト24、ルミナス26、シリルが約20、シェリスもシリル以上くらいの年齢だとして、
ルミナスが「ローラさんのほうがやばくないですか?」と訊くからにはまあ三十路寸前くらいなのかしら。
15歳の事件よりあとは気配を絶つようにして生きてきたとして、シェリスに雇われた
のがシェリス10歳くらいだとするとローラ18歳くらいか。

オーラが強すぎるのとスペックが高すぎることでふつうに生きるのが難しいと思っただろう若き日のローラ、何を思ってシェリスに仕えて忙殺されるがまま過ごしてきたのだろう。
八章続きの筆致に期待します。 長くなって済みません。
[2014/08/19 01:30] URL | #0LRYGrw6 [ 編集 ]


ルミナスに生まれ変わり疑惑が発生した気がする。
[2014/08/19 10:54] URL | #- [ 編集 ]


更新お疲れ様です!

この調子で、以前の一週間半ごとの更新に戻って欲しい・・・
[2014/08/20 16:14] URL | スウ #- [ 編集 ]

承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
[2014/08/21 01:06] | # [ 編集 ]


ルミナスが告白を受けた相手と恋人らしいことするのに不快感がこみ上げてくるのは、月菜さんの産まれかわりだから、他の男は嫌だったりしてと妄想してみる
性格やらいろいろ似てるしね

この世界で重婚ってありなの?
[2014/08/21 12:19] URL | #14FmsSIM [ 編集 ]


久々すぎて前回の流れ忘れちゃいましたよ…
これから本編行進に間が空くときは、作者様ご自身の再認識や確認も込めて前回のあらすじのようなものをはじめに少々つけていただけたりしませんでしょうか


それにしてもローラ怖えぇぇ


[2014/08/22 01:52] URL | ぬ #- [ 編集 ]


ルミナス「私は朝は基本的に果物だけよ」と言いつつ、カイトに朝食サンドイッチつくってあげたり、シチューの残りを朝ご飯にしようとしてたり、初カレーで朝みんなと一緒にカレー食べてたりする描写しかないと思うのですが、
書かれていないだけでルミナスはほんとうに朝はフルーツ食を基本としているのでしょうか。 読者に定着しないプロフィールその1。

刹那の年齢は書かれていましたっけ?雫が15歳で、シリル20、カイト24、ルミナス26。 おそらく刹那は21か22くらいかなと思ってますが。雫への教育方針を変えるくらいには歳が離れている必要があるので。


作中に季節感や暦感覚がまるで希薄ですけれど、まだ丸一年は経っていないんですよね。

刹那の年齢にかぎらずさらっと一度だけしか書かれてないプロフィール情報が多い気がするので、
既読者向けの登場人物紹介が欲しいです。無いのはなにかポリシーかなにかのためでしょうか?

いつかルミナスが「ローラは2歳上」と間接的に呟いていたような気がしますが、あったとしても一箇所しかおぼえがありません。
シェリス「小娘なんて歳じゃないでしょう」ローラ「まだ二十代です」というのはありましたね。屋敷防衛戦で。
[2014/08/22 19:21] URL | #6MyJJjxE [ 編集 ]


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