ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編
というわけで番外編です。
ある意味作中で一番平穏そうに見えるかもしれない二人のネタです。
もっとも、実際はどちらも平穏には程遠いのですが。

本編まだですが、とりあえず明日(既に今日ですが)書き進められるだけ書き進めたいと思います。
幸か不幸か肉離れやりまして、休みに家から動かない口実ができましたので執筆に専念できるはずなので。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。



 番外編



 ふと、ゲイツの鼻孔を香ばしい香りがくすぐった。

 主たる香りは、醤油。 
 生ではキツささえ感じるが、焼くととんでもなく良い香りになるのだ。
 それに隠れ気味だが、嗅ぎ分けるとにんにくの香りも混ざっていた。
 それらが、肉の焼ける匂いと絡まってなんとも食欲をそそってくる。
 
 それを嗅ぎながら、ゲイツはむっくりと体を起こす。

 そのまま、軽く伸びをする。
 少し固まっていた体の筋肉が、程良くほぐれていく。
 それでも一度ではほぐしきれなかったのでもう一度、大きく伸びをする。
 すると体に血が巡り、意識が徐々に覚醒していく。

 いまだ重さを感じる重たい瞼を上げ、周りを見渡す。

 そこは思いもよらず、綺麗に片付いていた。
 床に散らばったかろうじてベッドまでの道を空けていた道具の山は綺麗に整頓され、
各々あるべき場所に収まっている。
 昨日持ち帰ったまま汚れを拭っていなかった道具も、綺麗に手入れされていた。
 
 昨日まで物置と化していた机の上を見れば、これまた綺麗に畳まれた衣服。
 軽く匂いを嗅いでみれば、明らかに洗い立ての洗剤の香り。
 それも嗅覚の鋭い彼にキツくない、柔らかく弱い香りが漂っている。

 それを持って、ゲイツはのそのそと浴室に向かう。

 指先ほどしか残っていなかった石鹸は真新しい物の上にくっつけられ、
減っていたシャンプーやリンスも継ぎ足されていた。
 それを使って体を洗っている内に、意識が明確に目覚めていく。  

(……あーっと、確か昨日はグレイウルフの群退治に行ったんだったな。
んで、全滅後に寄ってきた他の魔物との戦いになった、と)

 髪を洗いながら、昨日の事を思い返す。

 受けた依頼は、グレイウルフの群退治。
 一匹一匹ならどうという事もないが、群となると少し厄介。
 弱くとも魔物の群は一斉に襲い掛かってくる為、対処の難度が上がる。
 群に気付かれる前に一気に数を減らすのが常道だが、
それが無理なら群がってくる相手の牙が到達する前に全てを迎撃する事になるのだ。
 また、往々にして狼系の魔物は勘が鋭く、余程気配消しが上手くなければ襲撃前に悟られてしまう。
 それなりに覚悟を決めて臨むべき依頼なのだ。

 だが、それゆえに本来は集団戦が基本となる相手の為、
一人で仕事をしているゲイツにとってはその分割が良い依頼でもある。

 それで引き受け完遂したのだが、その後がツイていなかった。
 どういうわけか、その場に寄ってくる魔物が多かったのだ。

 片っ端から迎撃した後で気付いた事だが、原因は木陰に落ちていた破れた匂い袋。
 おそらく血気盛んな馬鹿が腕試しに魔物を集めようとしたはいいものの、集まりすぎて逃げ出したのだろう。
 せめて持って帰れと言いたいところだが、匂い袋を持っていれば魔物が追ってくるので、無理な話ではある。
 
(で、無事に帰れはしたが依頼完了報告して家に帰ってきたら、そのまま爆睡した……と。
毎度の事ながら、とんでもねぇ生活してんなぁ……)

 ふう、と溜息を吐く。

 冒険者の仕事は、予定外のトラブルが付きものだ。
 探索依頼に付随していた情報が古くて役に立たなかったり、
討伐依頼を受けるまでの間に別の魔物が近くに住みついていたり、
そんな事はそう珍しくはない。

 が、ゲイツの場合受ける仕事の難度のせいもあるが、トラブルによる被害が大きい。
 討伐の魔物の数が多めに想定したはずの数の倍いたり、数は少なかったものの代わりにより強力な魔物が紛れ込んでいたり、
探し物が指定された森の奥で見つからず別の森に行く羽目になったり、色々と大変なのだ。

 一応大概の場合追加報酬が出されるのだが、それでも割に合わないと思う事は数多い。
 実際たまに他の冒険者と組んだ時にその手のトラブルが発生すると、
ほぼ全員がもうこの仕事は無理だと言って逃げたり、仕事終了後に生の喜びに涙していたりするので、
決して大袈裟な事ではないはずだ。

(……ま、それでも俺の場合は、泣き言言ってばかりもいられねえわけだが) 

 そんな事を思いながら、浴室から出て用意されていたタオルで髪と体を拭く。
 
 水分を一通り拭き終えたところで、熱風の魔法で乾かしていく。
 髪の生え際まで隙間なく、丁寧に。
 
 程なくして水気を飛ばしたゲイツは服を着て、台所へと向かう。
 そこには、見慣れた光景があった。

「やっと起きたのかい。もうすぐ昼だよ?
まったく、たまにはあたしが来た時に寝顔以外も見せてほしいもんだね」

「わりぃわりぃ。いつも世話かけるな、スカーレット」

 自慢の腕を振るってくれている恋人に感謝を述べるゲイツ。

 実際、スカーレットには感謝してもしきれないとゲイツは思っている。
 シェリスの屋敷の料理長として忙しい身でありながら、
こうしてゲイツの所に来るたびに料理は勿論部屋の掃除から何からやってくれているのだ。
 それも、疲れて泥のように眠り込んでいるゲイツを起こさぬよう細心の注意を払って。      
 
 感謝しなければ罰が当たるというものだ。

「ふん、まぁいつもの事だからいいけどね。ほら、それ飲んどきな」

「ん? こりゃなんだ?」

 スカーレットが指差したグラスを見て、首を傾げるゲイツ。

 グラスの中身は、毒々しいまでの緑色。
 軽く振ってみると中身は重々しく動き、粘度の高さをうかがわせる。
 美味しそうな色ではなく、えらく飲み辛そうな飲み物だ。

「疲労回復用の特製ジュースだよ。色々ぶち込んであるから味は保証できないけど、
その分効果は期待できるよ」

「そりゃありがてえな。いただきまーす」  
    
 言うが早いか、グラスを一気に煽るゲイツ。
 あっという間に中身を飲み干し、タン、と小気味良い音を立ててグラスを置いた。

「……なぁ、スカーレット」

「なんだい?」

「味は保証しないって言ってたわりに美味かったんだけど?
言ってた通り色んな材料、えぐみの強いのとか入ってるみてえなのに」
   
「そらあたしも料理人だからね。人に出す以上は多少味も改良するさ。
ほら、もうすぐ料理出来上がるからリビング行って待ってな」

 ぞんざいな言葉を返しながら、ゲイツを台所から追い出すスカーレット。 

 そんな恋人の背中を見て、ゲイツは思わず苦笑する。
 先程の飲み物、全ての材料を把握できたわけではないが、癖のある食材が多い事は分かった。
 あれらの味をまとめ、飲みやすくする事はかなり難しいだろう。
 ましてなんだかんだで味にうるさいゲイツに美味いと思わせるなど、一朝一夕で出来るとは思えない。 
 
(……幸せ者だよなぁ、我ながら。頑張らにゃあ、な)

 小さく鼻歌など歌い始めた恋人の背中に向かって、ゲイツは穏やかに微笑んだ。




    
コメント

あれだゲイツも海人レベルの不運なんだな…

私生活がラッキーすぎるから
その反動が冒険者生活に出ていると…

しかし謎なのが二人の貯蓄
カナール周辺はあまり稼ぎが良くないようだけど、
それでもトップクラスだからそれなりの収入があるはず。
スカーレットはシェリスのところの料理長だからかなりの収入があるし…
無茶しなければというかゲイツの実家ついで普通に暮らせるんじゃ??

ふと思いついたネタ
ゲイツ「俺、このクエストが終わったら、けっ(ヒュォゥ)ゴフゥ!!」
海人「そのセリフは危険だ」
[2014/10/13 14:47] URL | おさふね #- [ 編集 ]


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