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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編+番外編セット
というわけで番外編+番外編セットです。
寝落ちして時間遅れました。
似たようなネタ使った事あると思いますが、一応一から書いてます。

余談ですが、肉離れは概ね回復したみたいで松葉杖なくなりました。
生活には好影響なのに執筆には悪影響になりそうってのが何とも皮肉ですが。


本編ですが、どうにかこうにか形になってきました。
これを読めるレベルまで仕上げるのにまだ手間かかりそうですが。
足の完治のお墨付きが出るまでが勝負になりそうです。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。



 番外編



 海人は、現在の生活が非常に気に入っている。

 これといって命を狙ってくる者がいないこの世界。これだけでも珠玉の宝物だ。
 夜中に警報で起こされる事は無く、その直後に殲滅完了の電子音声を聞いて溜息を吐く事もない。
 これと言って準備を整える必要もなく町に出れ、好きな店を訪れのんびり過ごす事が出来る。
 かつて当たり前のように享受していたものの、失って久しかった環境だ。

 時折町で絡んでくる連中がいるが、かつてに比べれば実にお手軽な排除が可能。
 その際洗脳ついでに色々と仕込みをして便利に使える事も考えれば、むしろ利点とさえ言える。

 そして何よりありがたいのが、身内の存在。

 護衛として同居している姉妹は、見ていて飽きない。
 対照的な性格の姉妹ゆえか、日々小競り合いを繰り返しており、
それが下手な漫才より余程面白い。
 付け加えるなら姉は生真面目な性格ゆえにからかいやすい上に反応が楽しく、
妹の方は性格が似通っているがゆえに話が弾みやすい、と直接触れ合っても楽しい姉妹だ。

 ――――これほどの生活環境は、長らく望んですらいなかった。

 自らの能力への無自覚ゆえにいらぬ災厄を大量に招きよせ、
それに対処する度新たな問題を招くという悪循環。
 それはもはや日常と化して久しく、たまに禍根を根ごと断って問題が減っても、
実は見えないところで問題が生じているのではないかと疑心暗鬼に駆られる程。
 結婚後は日常生活こそ豊かになったものの、出来上がってしまった周囲の環境には特に変化はなく、
これはもはや世界を滅ぼしでもしない限りは一生逃れられない、本気でそう思っていた。 
 
 かつての、それこそ荒んでいた時期の海人が知れば妬みで殺しにかかりそうな、
あるいは希望を捨てず今ほど歪んだ人格にはならなかったかもしれない程の、幸福。

 至高の幸福と呼ぶには一人不可欠な人物が欠けているが、それはもはや取り返しのつかない事。
 自業自得とはいえ諦めきれるものではないが、どうにもならない事だ。

 だが、現時点の海人が手に入れられる幸福としては最上級。
 これ以上を望むのは贅沢を通り越し、強欲でしかない。 
   
 そう常々思ってはいるのだが――――海人は少々現状に困ってもいた。

(贅沢な悩みどころではないんだろうが……これは、ちょっとなぁ)

 真横にある頭を眺めながら、海人は内心で溜息を吐く。

 頭の主は、護衛の一人にして吸血族の刹那。
 海人の血は彼女に奇跡的な程適合しており、一口でその能力を爆発的に上げる事が出来る。
 時間制限こそあるものの、その間は元々一流の武人である彼女の身体能力が数倍になり、
頭部を破壊されない限り腕が無くなろうが足が無くなろうがあっという間に再生する回復能力まで発現するのだ。
 これに海人開発の魔法が加わるのだから、短時間ながらまさに天下無敵の超越者と化す。
 
 が、一点だけ問題がある。

 それは海人の血が刹那の嗜好に合いすぎるあまり、飲み始めると我を忘れてしまう事。
 強めに殴れば正気に戻るので余裕のある状況ならいいのだが、緊急時には恐ろしい隙を晒してしまう。 
 前もって危険だと分かっている場所に赴くならあらかじめ飲んでおけばいいのだが、突発的な事件ではそうもいかない。
 また能力発動には直接口をつけて飲まねばならない為、小瓶に少量入れておくなどの手段も不可能。
 
 なので、その味に慣れるよう一番美味とされる首筋から定期的に飲ませているのだが、
これが非常にまずいのだ。

(普通の男だったら絶対押し倒しとるぞ……その後の結末が見えていても) 
  
 一心不乱に首筋に吸い付く刹那に、そんな感想を抱く。

 元々、刹那は類稀な美女だ。
 顔立ちは凛として整っていながら、明確に女性と分かる柔らかさも兼ね備えている。
 髪も艶やかな漆黒で、結った部分から下がる髪はまるで黒い滝のようだ。
 体つきも武人らしく引き締まりながら女性特有の柔らかさを損なっておらず、
またスタイルの凹凸も文句のつけようがない程にバランスが良い。

 こんな女性に抱きつかれては、健全な男としてはたまったものではない。
 それこそ例えその直後に、否、実行しようとした瞬間に首をへし折られるとしても、
刹那を押し倒そうと試みてもおかしくないのだ。
 
 が、これだけなら海人は特に問題視しなかった。

 彼はそのやたら豊富な人生経験において、女性を使った籠絡も見飽きている。
 刹那ほどの美女は決して多くはなかったが、それでもいなかったわけではない。
 魅力は感じても、理性が揺らぐような事は一切なかったはずだ。
 もしそうであれば、海人はとうの昔に死んでいる。
 
 問題は、吸血時の刹那の雰囲気の変化。

 普段の刹那はその性格通り清廉で見る者の背筋を伸ばすような雰囲気を纏っているのだが、
吸血時の刹那は形容しがたい程に妖艶で、理性を強酸に放り込まれるような艶がある。
 その艶は海人ですら体感した事がないレベルで、かつて彼が返り討ちにしてきた女性達の誰も足元にすら及ばない。
   
 海人の膨大な経験すらも、吸血時の刹那の前ではあまり役に立たない。
 毎度毎度理性を保っているのは、偏に彼自身の事情によるものである。

(……今理性失ったら、それこそエグどく君二十号飲んだ状態で腹でも切らねばならんからなぁ。
いや、そもそも理性失っていいはずがないんだが)

 ぼんやりと天井を見ながら、そんな事を考える。

 今の海人は、まだ亡き妻への最低限のけじめすらつけていない。
 そんな状態で他の女性を押し倒したりすれば、海人はもはや言い逃れしようもない下衆へと堕ちる。
 それこそ、昔自身が開発した一番苦しむ猛毒を服用した状態で、
致死時間ギリギリまでかけて自らの腹を錆だらけの刃で切っても足りない程の罪状だ。
 
 加えて、刹那には一切の他意がない。
 あくまでも彼女は己の仕事をより万全にすべく、純粋に吸血の練習をしているだけだ。
 その仕事とは海人の護衛なので、彼の為の努力と言っても差し支えない。

 無論この世の何よりも美味いというその味を楽しめるという事もあるだろうが、
彼女の性格からしてその主目的はあくまでも護衛力の強化にあるはずだ。
 もし海人が理性を失って押し倒せば、どれほど傷つくか想像すらできない。
 
 どれほど気力を要すとしても、理性を失っていいはずがなかった。

「……っと、刹那。そろそろ止めろ」

「ごくごく……」

 ぐいっと頭を押しのけられそうになったにもかかわらず、腕の力を強めて吸血を続行する刹那。
 まさに一心不乱といった様子で、海人の声が聞こえた様子もない。

 海人は一度溜息を吐くと、両手に力を込め刹那の肋骨辺りに当てた。

「……でいっ!」

「あだぁっ!?」

 肉の薄い部分を両側から思いっきり圧迫され悲鳴を上げる刹那。
 彼女は一瞬恨めしそうな目を海人に向けるが、直後に我に返り彼の足元に土下座した。

「も、ももも申し訳ありません!」

「いやまあいつもの事だし良いんだが……どうしたもんだかなぁ」 

 困ったように頭を抱える海人。

 刹那の艶美にも徐々に慣れてきたので理性を保つ自信はあるのだが、
正直に言えばあまり続けたくはない。
 慣れたといっても精神力の消耗はかなり激しいので、疲れるのだ。

 かと言ってここまで続けて成果が出ないから止めよう、
というのも刹那が落ち込みそうなので好ましくない。

 が、細やかな抵抗ぐらいはしておきたい、そう思った海人は冗談めかしながら口を開いた。

「……そういえば、君は男の首に噛みつくのに抵抗はないのか?
傍から見たら凄い大胆な体勢だと思うんだが」

「正直、好んで殿方の首に噛みつきたいとは思いませんが……海人殿ならば問題ありませんよ?
不埒な事をされる御方ではありませんし」

「やれやれ、信用されたものだが……私も男なんだし、その内血迷うかもしれんぞ?」

「海人殿が血迷われる事があるなら、是非見てみたいですね。
そんな事があれば、ですが」

 呆れたような主の言葉に、刹那は柔らかく微笑みながら答えた。
 その表情には、強い信頼が滲み出ている。

 それを見た海人は、表情はそのままに内心で落胆した。

 海人に答える刹那の表情には、徹頭徹尾一切の嘘が含まれていなかった。
 刹那は主の理性を疑ってすらおらず、遠回しに疑念を抱かせるのは無理、そう判断せざるをえなかったのだ。
 かと言って事実を正直に言えば関係を悪化させる恐れもあり、言う気にはならない。

 となれば、当面は説得を諦める他なかった。

(……ま、私が理性保っていればいいわけだし、ちっと頑張ればいいだけか)

 些か純真すぎる護衛に呆れつつも、海人はそう決意した。
 刹那が無防備でも自分がしっかりしていればいい事、そう考えて。  

 ――――海人は気付かなかった。

 刹那の言葉、それに含まれている意味に。
 嘘はなくとも、必ずしも信頼だけから生まれた言葉ではない事に。
 いかに素直な刹那でも、主の理性に一片の疑念すら抱かないのは難しいという事に。 
 
 ――――刹那が誰にも悟らせず秘めている感情に、この時の海人もまた気付く事は無かった。



コメント

ローラが好きだけど、ヒロインは刹那の方がいいかなとか思っちゃう近頃です
雫は妹でシリルは悪友ポジションでしょうか(笑)
シェリスは取引先という感じですし、やはり刹那しかいないなっ!

えっ?ルミなんとかさんはいらない……
[2014/10/27 09:40] URL | D #H6RSI4P. [ 編集 ]

思い付き
もう、殊更本編と番外編を区別する必要性はないと思う。
主人公が特定の目的を持っているわけでもないし、時系列さえ整理すればそのまま本編として扱って良のでは?
そもそも、番外編と本編の差なんて、一つ一つのエピソードの文章量が違うことぐらい。

番外編ばかりで、本編の続きを書いてないことを特に気にする必要性があるとは思えない。
[2014/10/27 12:50] URL | 通りすがり #pwutJTUc [ 編集 ]


番外編の50と57が同じ内容です
[2014/10/30 10:13] URL | D #H6RSI4P. [ 編集 ]


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