ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編
というわけで番外編です。
短めな定番ネタですが、少しだけ展開が違います。

それと、ご指摘受けて気づきましたが、番外編セット50と57が同じだったようです。
なので57を別の話に差し替えておきました。
多分、今度は既にセットに入れてた話、という事はないと思います(汗)

では、コメント返しさせていただきます。

Dさん

この話にヒロインが存在するかはさておき、
雫とシリルの立ち位置は既に仰る通りになってるかも(汗)
ルミナス、結構お人よしなんですけどねぇ……刹那の料理、
散々な目にあっても諦めずきっちり改善させてあげてますし。

それと、番外編セットのご指摘ありがとうございました。
57を別の話に変えておきました。

通りすがりさん

ご意見ありがとうございます。
一応本編という軸あっての番外編ですので、そうはいかないのです。
本編で出さないと使えない設定も多々ありますし。


さて、次話まだどう整えるか悩み中なのに、足治った途端案の定呼び出し激増しましたが、
明日(既に今日ですが)は当面何の予定もないので、執筆に専念したいと思います。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。



 番外編



 とある夜、シェリスは自らのベッドで仰向けにぶっ倒れていた。

 直前にシャワーを浴び寝巻に着替えている為姿は小奇麗なのだが、
その顔に浮かぶ表情はもはや死者のそれに近い。
 体の方もそれを強調するように、何分経っても指一本すらピクリとも動かない。
 
 精も根も尽き果てた状態で、シェリスはぼんやりと考える。

(……我ながら、よく生きてるわね)

 ふ、と心の中で自嘲する。

 仕事が多忙、これはまあ仕方ない。

 新流通網開拓の計画やら街道に現れる盗賊・魔物対策やら、
僻地にある農村の良質な特産品の売り込みやら、この国の公爵家令嬢の仕事とは言い難いとは思うが、
自分がやらない限りは、最悪非効率な流通網は改善されず、街道で荷馬車が襲われ続け、
王宮に卸しても恥じる事のない作物を作っている村は遠からず後継者不足で廃村になりかねない。
 
 他の人間がやってくれと言いたいのは山々だが、
確実に将来大きな利益が見込める新流通網開拓の費用を渋り続ける馬鹿貴族やら、
盗賊団から賄賂を受け取って見逃し続けている下衆貴族、
丹精込めて育てられた素晴らしい果物と他の村から買った質の悪い果物を同じ値段で買い取り、
やはり同じ値段で販売してしまう三流商人などには、とても任せられない。

 かと言って信を置ける人間は皆忙しく手が塞がっており、他の事に手を出す余裕はない。
 結局、シェリスやその部下が動くのが一番適切なのである。
 そこに今更文句を言うつもりはない。

 ――――問題は、その合間を縫って繰り広げられる最強の部下による鍛錬という名の地獄。

 一応、割り切ろうと努力はしている。
 そもそも最初に望んだのはシェリスであり、彼女はそれに忠実に応えてくれているだけだ。
 また、貴族として最低限己の身を護る為、また必要とあらば自ら前線で民を護る為に、
戦闘における力は不可欠だと思っているので、避けられぬ試練なのだとも思っている。
 結果も悲しくなるぐらいに出ており、始めた時は中位の魔物に成す術すらなかった自分が、
たかが三年程度で手傷を負いつつも確実に仕留められる程に力をつけているのだから、
感謝こそすれ文句を言うべきでないとも思う。
 
 が、それでも、それでも――――だ。

 毎日朝から基礎鍛錬でナイフの素振りを型一つにつき千回、
打撃の型一つに付き千回、全て合わせると両手両足を一万回を軽く超える回数振らされたり、
それでへとへとになった状態でもパッと見は平常状態を取り繕えるよう拷問のような罰を交えて仕込まれたり、
たまに実戦訓練として魔物の群の中に投げ込まれたり、というのは些か酷いのではと思わずにはいられない。

 月に一度行われる屋敷最強の怪物との実戦訓練にいたっては、明確に酷過ぎると思う。
 気絶も許されず、動かぬ事も許されず、諦める事も許されず、ただただ無駄な足掻きを続ける事を求められる。
 足掻いても酷い目に遭うが、足掻かねば真の地獄が待っているという、惨たらしい鍛錬だ。
 その分効果も最大で、まさに生まれ変わるような上達が体感できるが、
命と心を削って武力に変換している気がしてならない。
 
 実のところ、今日もその実戦訓練のせいでシェリスは動く気力もなくベッドにぶっ倒れているのだ。

「……もう少し手加減を望みたいわね」

 ようやく動くようになった喉を使い、ぼやく。

 そもそもシェリスのスケジュール自体が、殺人的なのだ。
 日にもよるが、国内を東西南北縦横無尽に駆けまわり、仕事を処理するのが日常。
 仕事量自体も多く、父である公爵の倍量の仕事を毎日こなしている。
 はっきり言って、国内で一番忙しなく働いている貴族だろう。
 
 とはいえ、実のところ他の貴族ではシェリスと同じ芸当は不可能だ。

 なぜなら、その一日でその距離を移動できる乗り物がないからだ。
 それを可能にする乗り物を作るには、それこそドラゴンでも使わなければ話にならず、
そんな物を飼い慣らしている貴族はこの国には存在しない。
 
 その点において考えれば、仕事をこなせる環境があるだけ幸福なのだとも思う。
 おかげで迅速に処理しなければ死人が出るような案件も、大概の場合はその前に片づける事が出来る。
 今のところ、移動時間の関係で間に合わなかったという案件は少数で済んでいるのだ。 
 
 それを可能にしている部下こそが毎日シェリスに地獄の鍛錬を課しているとしても、感謝はすべきなのだろう。

(実際、贅沢な悩みなんでしょうね……) 

 くあ、と可愛らしい欠伸をしながら、そんな事を考える。

 シェリスには、自分程恵まれた状況にいる者はほとんどいないと確信があった。
 爵位継承権こそないが、公爵家に生まれた段階で随分恵まれている。
 多くの教養を得る機会を持ち、易々と得られぬ広大かつ強力な人脈のベースもあったのだ。
 加えてそれらを活用できるだけの才を持ち、容姿にも恵まれている。
 これほど好条件に恵まれた人間は、そうそういないだろう。

 が、一番の理由は現在いる部下達。

 中でも最古参のメンバーは、全員が得難い逸材。
 個性的な性格の者が多いが、それを差し引いても余りある程に能力が高い。
 雇う際には紆余曲折あったのだが、今にして思えばあの程度の苦労で雇えたのは幸運という他なかった。
 特に最も有能な部下は、本来シェリス程度に仕える人間ではない。
 契約の際は色々と条件を付けられたが、それでも破格の幸運だ。

 これだけの状況下で文句を言うなど、贅沢極まりない話だとは思う。   

「ま、それでも愚痴は出てしまう、わけだけ、ど……まず、早く、布団に入らない、と……」

 ぼやきながら鉛のように重い体を動かして布団に潜りこもうとするシェリス。
 
 が、疲労とそれ由来の眠気は彼女から動く力を瞬く間に奪っていき、
枕に手がかかったところでシェリスの意識は闇に沈んだ。
 未練がましく、枕を指先で引き寄せようとしながら。

 ――――それから数分後。

 うつ伏せの状態で、シェリスはすーすーと寝息を立てていた。
 布団をかぶっていない為か、寒そうに身を縮こまらせている。
 無意識に布団に潜り込もうと動いているが、体の下敷きになった布団の中にはなかなか入れない。

 それを見ながら――――ずっと部屋の片隅に佇んでいた女性が動いた。

 ゆっくりと足音一つ立てずにベッドに歩み寄ると、
 起こさぬよう繊細な手つきでシェリスの体を持ち上げ、
迅速に布団の中に放り込み、枕に頭を乗せてやる。

 そして静かに寝息を立てるシェリスの顔を数秒見つめると、
物音一つ立てず、部屋をゆっくりと出て行った。

 部屋にいた時と同じく、最後までシェリスに存在を気付かせぬまま。
コメント

ふと思ったことを書きます

万が一書籍化されることになったら絵師さんは厳選して下さいね
作者にどれだけ権限あるのかは知りませんが。主にローラが理由です

これは所謂、類を見ない絶世の美女(男)的な存在が出てくる作品全てに言えることですが
[2014/11/07 13:23] URL | uk.-s@kmkw@fue #- [ 編集 ]


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