ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
番外編です。
自覚は薄くも十分人外なキャラのネタです。
毎度ながら、本編とは無関係という事でお願いします。

では、コメント返しさせていただきます。

 さん

番外編書くのは最近息抜きも兼ねてるので、見逃していただけるとありがたいです。
本編上手くまとめられない時に一応でもネタを形に出来ると安心できるので。
本編ほど頭使う必要がないというのも大きいですが。


次話進んではいるんですが、亀の歩みです。
時間がないのもあるんですが、場面切り替え調整したり、矛盾点に気づいてそれの修正したり、
と書いた量に近い量消してる現状なので。
毎度遅筆ですが、気長にお読みいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。



 番外編



 天を見上げれば、突き抜けるような青空。
 周囲を見渡せば一面の小麦畑が広がり、少し遠くには青々とした山々が連なっている。
 風光明媚と言えなくもないが、率直に言えば無数にある農村の一つ。 

 そんな故郷に、シャロン・ラグナマイトは帰省していた。

「お久しぶりです、アルスさん」

 馬車から降りたシャロンは、そう言って門番の戦士に微笑んだ。

 が、話しかけられた当人は目を白黒させていた。

 それもそのはずで、彼の記憶には目の前の美女の姿がないのだ。
 この村の門番を勤めてかれこれ三十年程になるが、一度もここで会った事はないはずである。
 近くの都市に出掛けた時か、とも思ったがその記憶を探っても合致しなかった。
 彼がこの村を離れる事は年に一度もない為、ド忘れという可能性も低い。

 さらに言えば、目の前の美女は彼がこれまでの生涯で見た女性の中で五指に入る容姿だ。
 これまでに会っていれば、到底忘れるとは思えない。

 そんな彼の反応を見てシャロンは苦笑した。

「もう、忘れちゃったんですか? アイリとレイジの娘のシャロンですよ」

「は……? シャ、シャロンちゃん!? なっ、嘘だろ!?
シャロンちゃんはもっとこう丸っこっかったし、どちらかと言えばどんくさかったはず……!」

「それは五年も前の話ですよ。雇い主の貴族様に恥をかかせないよう、色々と頑張りましたから。
とりあえず教育が一段落したから、帰ってきたんですけど……通っていいですか?」 
 
「そ、それはもちろん構わねえが……はあ~、言われてみれば確かにシャロンちゃんだなぁ。
変われば変わるもんだ」

 随分前に村を出た少女の姿を思い起こし、アルスは思わず感嘆の声を漏らした。

 村を出た時のシャロンと現在の彼女を結びつけるのは、正直難しい。
 実家の農業を手伝っていた少し太めな愛想良しの少女が、今やすっかり都会の垢抜けた美女。
 年齢的にはまだまだ幼いはずだが、立ち居振る舞いに気品があり、少女という言葉が不釣り合いに思えてしまう。

 とはいえ、言われてみれば重なる点も多い。
 どこか人を安心させる雰囲気は変わらないし、顔や体型も贅肉を理想的な形でそぎ落とせばこんな感じになるだろう、
と納得できる範囲だ。
 それでも大変身と呼ぶに相応しい変貌であることは間違いないが。

「ふふ、ありがとうございます。そうそう、折角ですからこれあげます。
屋敷の料理長が持たせてくれたお菓子なんですけど、とっても美味しいですよ」

「おお、こりゃありがたいな。後で食べさせてもらうよ」

 村を出た時と変わらず心優しい少女に礼を言い、アルスは仕事に戻った。








  


 
  

 その夜、シャロンは村の広場で困っていた。
 貴族の、それも公爵家の使用人として出世頭だ、と帰省祝いの宴を村全体で開いてくれたのは嬉しいのだが、
それに伴って生じた友人達の質問がなんとも答え辛かったのだ。

 質問の内容は、村を出た時とはあまりに違うシャロンの容姿について。
 肌の手入れ方法、姿勢の正し方、美しい歩き方のコツなど、根掘り葉掘り聞かれている。

 それでも大概の内容は答えられるのだが、体型の変化についてだけは言葉を濁す他ない。

 実家の農業の手伝いで動き回っても何をしてもぽっちゃりしたままだった彼女が、
いかにして現在のボディラインを手に入れたのか気になるのは分かる。
 色々と努力を重ねているという友人達は、引き締まってはいても余分な肉が取りきれていないのだから。

 が、真実は答えられない。
 秘匿事項であるし、仮に話せたとしても信じてもらえない事請け合いだし、信じてもらえてもドン引き間違いなしの内容。
 最悪、何年も帰省しなかった自分に昔と変わらず親しくしてくれている友人達を失いかねない。
 
 そんな思いから嘘は言わず、されど真実とは程遠い言葉で友人達の追求をかわしていると、
不意にシャロンの母が話しかけてきた。 
   
「でもそんだけ変わると雇い主の……シェリス様だったか。あの人に目をつけられたりしてないのかい?」

「まさか。いくら私が身綺麗にしたところで、シェリス様にはとても敵わないもの。
そもそも、身だしなみを整えるのはシェリス様直々の御命令なのよ。
公爵家の使用人の名に相応しい見目を整えるようにってね」

 心配そうに見つめる母に、シャロンは笑顔で答える。

 言葉の内容は、偽りのない事実だ。
 確かに、シェリスの部下になって以来容姿は磨かれた。
 余分な贅肉はすっかり消え失せたし、毎日手入れをする事で肌も美しくなり、
また仕込まれた立ち居振る舞いもそれらをいっそう引き立てている。

 が、それでもシェリスには到底敵わない。

 そもそもの素材自体に相当な差があるし、立ち居振る舞いまで含めると本気で次元が違う。
 比喩ではなく、曇りガラスと極上のダイヤモンド程の差があり、匹敵すら夢物語だ。
 ゆえに容姿のせいでシェリスに目をつけられるはずなどないのである。

 それどころか彼女は部下が容姿を磨く事を奨励している。
 表向きはどこに行っても公爵家の使用人の名に恥じぬように、
実態は大事な部下がどこで誰に見られようと憶する事がないように。
 決して少なくない費用を費やし、部下に美の追求を促しているのだ。 

 シャロンの迷いのない言葉に彼女の母は安心したように息を吐いた。
 
 毎月の仕送りの額からして無体な扱いは受けていないだろうとは思っていたのだが、
優しい娘が仕事が忙しいからと何年も里帰りしなかったのも事実。
 手紙は毎月届いていたが、どう過ごしているのか本人の口から聞かねばやはり不安は拭えなかったのだ。
 
 母の安堵の表情を見てシャロンもまた嬉しそうにする――――が、直後僅かに引き締まった。

 宴の片隅で、水を差さぬよう静かに小声で行われている会話を耳にして。

「ここんとこの作物の被害はやっぱ洒落になんねえな……」

「……もう、冒険者ギルドに依頼するしかねえだろ」

「だが、この村で出せる額は限られてっし……その額じゃ引き受け手が出るかどうか。あの山は他の魔物も多いからな。
もし誰か引き受けてくれたとしても、遅いんじゃ作物が……」

「分かってらぁ。だが、領主様の対応待ってたんじゃ、それこそいつになるか分からねえだろ」

「だな……ったく、よりにもよってブラッドベアなんぞが……」

「しっ、声がデカくなりかかったぞ。話はここまでだ。
今日はシャロンちゃんの帰省祝いなんだからな」

「……そうだな、こんな席で無粋だった」

 その言葉を最後に、話題が変わる。
 特にどうという事は無い、無駄話に。

 そんなどこか無理をしているような明るい言葉を聞きながら、シャロンは小さく溜息を吐いた。 










 深夜、シャロンの実家付近の山中。
 人はおろか、動物の気配すら碌にしない静寂に満ちた場所。

 そこで、シャロンは一匹の魔物と対峙していた。

 眼下にシャロンを見下ろすそれは、ブラッドベアと呼ばれる魔物。
 その名の通り血のように赤い毛で覆われた、熊型の魔物だ。
 身の丈はシャロンの倍近くもあり、腕の太さは彼女の胴程もある。
 名の由来が毛の色ではなく常に獲物の返り血を浴びているからという説がある程凶暴で、
獲物を見つければ地の果てまでも追いかけるという執念深さも兼ね備えている、性質の悪い魔物だ。
 戦闘能力も高い為、危険度は中位ドラゴンの一ランク下という高さを誇る。

 そんな魔物を前にしながらも、シャロンは自然体だった。  
 
「思ったより、早く釣れたわね」

 呟きながら、近くで狩ったブラウンライオットの肉入りの袋を投げ捨てる。
 そして、おもむろに愛用のハルバードを構えた。
 
「グオオオオンッ!!」

 ブラッドベアの咆哮が響き、シャロンめがけてその爪が振り下ろされる。
 重さと速さを兼ね備えたその一撃は、並の戦士など反応する間もなく鎧ごと裂き潰す。
 
 が、シャロンはそれを横に飛んで難なく回避した。
 彼女のいた場所の地面が大きく抉られるが、その威力の余波すら届いていない。
 そしてシャロンは間髪入れず爪を振り下ろした事で空いたブラッドベアの脇めがけて、ハルバードを振りかざした。

「……流石に反応が早いわね」 
 
 前方で唸り声を上げている魔物を見て、そんな感想を漏らす。

 勝負を終わらせるつもりで放った一撃だったのだが、ギリギリで致命傷を避けられてしまった。
 そればかりか、かなり警戒されて距離を取られてしまっている。
 このままでは最悪逃がしてしまいかねない。

「まあ、そんな事させないけれど」

 呟きと共に、ブラッドベアの足元がぬかるんだ。
 無詠唱で放たれたシャロンの魔法が、魔物の足元を沼に変えたのである。

 それで出来る隙は、決して大きくはない。
 短時間で放った無詠唱魔法である為沼は浅く、せいぜい足が滑る程度でしかないのだ。
 姿勢制御にも優れている魔物ならば、一秒かからず体勢を整えられる。

 が、シャロンにはそれで十分だった。

「はあああぁぁぁぁっ!」

 全速力の踏み込みと共に、ハルバードが振り下ろされる。
 回避する間もない突進速度と腕力を乗せたその一撃は、
狙いを外さずブラッドベアの頭部へと吸い込まれ、それを粉々に打ち砕いた。  

 ずしん、と重々しい音を立てブラッドベアの巨体が地に沈む。
 それを眺めながら、シャロンはハルバードに付着した血を拭った。

「おしまいっと……さて、後はどうやって下手人を悟られずに討伐された事を知らせるか、ね」

 ハルバードをしまいながら、思案する。

 シャロンに限らず、シェリスの部下の戦闘能力については秘匿事項。
 ブラッドベアを討伐したなど、万に一つも悟られるわけにはいかない事だ。
 
 とはいえ死体をただ放置しては冒険者ギルドに依頼が行ってしまい、
訪れた冒険者に肩透かしをくわせたり、キャンセル料を支払ったりという事になりかねない。
 何らかの形で、ブラッドベアの死を村人に知らせる必要があった。 

「うーん、どうしたものかしら……」

 困ったように頭を掻くシャロン。
 案自体は色々と思いつくのだが、これだ、という程確実性の高い方法が思いつかない。   

 結局、あっさりと危険度の高い魔物を討伐した少女は、
その後始末に討伐の十倍の時間をかける事になった。

  
  
コメント
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
[2014/12/22 03:17] | # [ 編集 ]


せめて番外編が本編に関係あるならいいなと思います
無関係を延々みていると本編とごっちゃになるので
[2014/12/22 19:28] URL | #- [ 編集 ]


>本編上手くまとめられない時に一応でもネタを形に出来ると安心できるので。
>本編ほど頭使う必要がないというのも大きいですが。

こういう風に逃げ道を作っているから、余計に本編が進まないのでは
と思います。

気分転換で、先に進めるなら歓迎ですが、
実際は既に前回の本編から、4ヶ月経っています。
(番外1本30分だとしても、4ヶ月では8時間は必要ですし)

番外を書く時間を、本編に手をかけてほしいですね。
[2014/12/23 08:44] URL | #bxvF113M [ 編集 ]

承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
[2014/12/23 09:35] | # [ 編集 ]


おそろシャロン

お後がよろしいようで
[2014/12/24 15:53] URL | まるまる #- [ 編集 ]


その後始末をどうしたのかが気になる、というところで切れている、残念のSS。画竜点睛を欠く。
[2015/01/04 14:12] URL | #eXmpyXbk [ 編集 ]


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