ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
毎度おなじみ思いつきの番外編です。
今回は変わったネタになります。本編レギュラー、一応出てきます。
ちなみに、彼に名前があるのは単にその方が書きやすかったからです。
本編に登場してるとか登場予定とかはありませんので、念の為。

では、コメント返しさせていただきます。


コスモさん

実は一番ご愁傷様なのは体験し続けたレザリアだったり(笑)
ゲイツもゲイツで苦労してますけど。

御質問の答えは、現段階で回収した伏線についてはNO、まだ出てないものについては一応YESです。
前者は伏線回収したあと読み返したら気づく内容にしてると思いますので。
後者は現段階で気づかれてたらまずい、という願望込みです。
気付いた場合も秘密にしていただけると作者的には助かります。


次話、ある程度順調です。
多くはなくとも、安定した執筆時間がこんなにも素晴らしいものだとは思いませんでした。
去年に比べると平和すぎてかえって不気味な気もしますが(汗)
どのみち遅筆ではありますが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。

 とある山中にある森林。
 ここには、これといった特色はない。
 所狭しと生えている木々は家の建材などに用いられる事が多い品種だが、
価格は高くもなく安くもないという極々平凡な物。
 薬草の類も多く生息しているが、これも珍しくはなく大概の場所で栽培されている。
 魔物はいるが討伐依頼で冒険者ギルドに頼む程の個体はおらず、
近隣の村の作物を荒らしに来た時のみ、その村の大人が集団で狩る程度。
 入っても得られる物は少ないが、一般人が入るには危険でもある、そんな森だ。

 なので普段ここをあえて訪れる者は数少ないが、皆無というわけでもない。

「う、うわ、うわわわわ……」

 近隣の村に住む少年――――アレス・ウェイルズは、腰を抜かしながら後退っていた。

 彼の眼前には、一匹の魔物がいる。
 それは、どす黒い毛を生やした熊型の魔物。
 腕の一振りでちょっと太めの樹ぐらいは薙ぎ倒してしまう怪力の持ち主。
 それでいて全力疾走の馬を背後から追いかけ狩ってしまう程の健脚の持ち主でもある。

 その魔物の名は、ブラックベア。
 十人以上で攻撃魔法を叩き込めばそこらの一般人でも楽に討伐可能だが、
一人ではとても歯が立たない程度に強力な魔物だ。

「く、来るな、来るなよぉ……!」

 初撃で刀身を失ってしまった剣を振り回しながら、逆の手でじりじりと逃げようとするアレス。

 そんな彼を嬲るかのように、ブラックベアはゆっくりと歩みを進める。
 まるで相手の恐怖こそが、最高の調味料であると言わんばかりに。
 一歩、一歩と確実に距離を詰めていく。
 
 ―――――何でこんな事に、アレスはそう思わずにはいられなかった。

 幼い頃から、冒険者を志していた。
 リスクは大きいが、冒険者として成功すれば生活費の捻出にも苦労する家族を楽に出来るどころか、
自分も悠々自適の老後を送る事が出来、場合によっては歴史に名が残る。
 男として生まれたからには、目指したい目標だった。

 そんな思いを胸に家業の薬草栽培を手伝いながら、近所に住む元冒険者に剣を習い続け早八年。
 めきめきと、とまではいかなかったが腕は順調に上がり、ついに昨日師から一本取った。
 無論まぐれに近い一本であったし、彼が利き腕を失っていなければまだまだそれすらなかっただろう。
 それでも、ランクCの冒険者から一本取ったという事実は大きい。
 間違いなく強くなったのだと確信し、アレスは実戦で魔物を狩りたいと師に言った。

 が、返ってきたのは却下という簡潔で無慈悲な言葉。

 理由を聞けば、まだ実戦は早いというこれまた簡潔な返答。
 師曰く、実戦と稽古では雲泥の差があり、稽古で十の力を振るえる者が五しか振るえない事も珍しくない。
 まして最初の実戦となればその比ではなく、最悪一の力すら出せない事も多いのだという。
 自分からある程度安定して一日一本取れるようになったら、連れていってやるとのこと。
  
 この話を聞かされたとき、アレスの心に浮かんだのは憤りだった。
 
 間違いなく自分は強くなった。なのに、なぜ一度の実戦も体験させてくれないのかと。
 まぐれに近い一本とはいえ、以前は手も足も出なかった自分が攻撃を当てたのだ。
 お祝いとして実戦ぐらい経験させてくれてもいいだろう、と。
  
 ――――きっと師は自分を過小評価しているのだ、そう思った。

 ならば、疑いようもない証拠を突きつけてそれを正すべきだ。
 そうすれば師も自分を見直し、今よりもっと厳しい、効果的な鍛錬を課してくれるだろう。
 そしてそれは自分が冒険者になる早道でもある。
 そう信じて、アレスは夜中こっそりと近くの山に入ったのだ。

 ―――――間違っていたのがどちらか思い知るのに、そう時間はかからなかった。
 
 最初に狩ろうとしたのは、ホーンラピッド。
 二本の角を持つ兎型の魔物で、危険度は低い。
 少々不満だが初陣ならこれぐらいが妥当だろう、そう思って剣を抜いた時、
背を向けていたホーンラピッドは急に振り返り、一気に突進してきた。

 アレスは突然の事に反応しきれず、体を傾けて角に串刺しにされるのを避けるのが精一杯。
 それも完全に避けきれたわけではなく、高速で放たれた鋭利な角はアレスの腹を掠め、
肉を抉り血を噴出させた。

 避けるのがあと一瞬遅れていたら――――そう考えアレスの足が竦んだ。

 それでも気を取り直して剣で斬りかかったのだが、すばしっこくなかなか剣が当たらない。
 結局、二十分程戦った末にホーンラピッドが撤退してようやく勝負が終わった。 

 師の言葉の正しさを思い知り、アレスはとぼとぼと帰路に着いたのだが――――もうすぐ麓という所で、この状況だ。

 咄嗟に振るった剣は事もなげに上から振り下ろされた爪でへし折られ、
続いての突進は後ろに跳んで威力を減衰させたものの、背後の木に叩き付けられ、意識が飛びかけた。
 あの状況で剣を離さなかったのは、奇跡という他ない。

 が、その奇跡は長続きしなかったらしく、もはやまともに動けない。

 腰が抜けているのもあるが、そもそも突進の衝撃が足に響き、もはや立って逃げる事は不可能。
 今は腕の力でどうにか後ろに下がれているがそれも限界が近いし、
そもそもブラックベアに嬲る気がなければとうに命が散っている。

「父さん、母さん、師匠……ごめんなさい」

 ついに腕の力も抜け、観念したアレスは涙を流しながら天を仰いだ。
 ブラックベアも獲物を嬲るのに飽きたのか、止めを刺すべく爪を振り上げた。 

 覚悟を決めたアレスがギュッと目を閉じたその時、

「お肉お肉お肉ぅぅぅぅぅっ!!」

 妙に、狂気と執念が滲んだ叫びが響き渡った。

 驚いたアレスが目を開けると、そこにあったのはブラックベアが重々しく倒れ伏す光景。
 大量の血を流し黒い毛皮を深紅に染めている魔物の脇に立つのは、一瞬前まで影も形もなかった黒髪の少女。
 彼女はアレスに目をくれる事もなく迅速に毛皮を剥ぎ、血抜きを始めている。

 アレスは、呆気に取られながらも少女――――宝蔵院雫に声を掛けた。

「あ、あの……」

「駄目ですよこれはあたしのお肉です。一切れもあげません」

「い、いやそうじゃなくて……君が、仕留めたんだよね?」

「当たり前じゃないですか。くううっ! 今日はついてたなぁ~~!
一昨日荷物ごと食料食われて落ち込んでたら、こんなとこに即日食べられるお肉がいるなんて」

 やっほーい、と万歳する雫。

 今日の雫は、とても飢えていた。
 この山を一つ越えた先にある山に滞在して早一週間。
 食料は用意していたのだが、一昨日襲ってきた魔物に荷物袋ごと食われた為、
そこから一番近くにある村を目指していた。

 当然食料は道中調達する他なかったのだが、それがなかなか見つからない。
 安い薬草が良く見つかるのだが、味は悪い上に食べすぎると腹を下す物なのであまり食べられず、
道中魔物が襲ってくる事もなかったので、肉も食べられなかった。
 試しに昨日姉に食料調達を頼んでみたら、量は十分揃ったが、毒草毒持ち魔物のオンパレード。
 食えなくはないが、進んで食べたい物でもなかったので、焼却処分した。  

 それが、ようやく待望のまともな肉を入手できたのだ。
 日持ちはしないし味も良くはないが、毒もなく不味くもないまともな肉が。
 喜ばずにはいられなかった。    

「……あの、君何歳? ブラックベア相手だっていうのに、怖くなかったの?」

「十三ですよー。んで、ブラックベアなんかよりよっぽど怖いのしょっちゅう相手にしてますんで、なんともないです」

 作業を進めながら、律儀に答える雫。

 ブラックベアなど、怖いはずがない。
 雫の力量からすれば、かの魔物はただの食糧でしかないのだ。
 あの魔物が一度爪を振るう間に三度は致命の斬撃を放てるし、
その気になれば素手で首をへし折る事だって難しくない。

 なにより、雫は毎日のように姉の組手相手を務めているのだ。
 上位の魔物すらも軽々と一蹴しかねない化物の相手を。
 しかも容赦のなさという意味では魔物よりもはるかに上な姉でもある。

 そんな事を思いながら作業している間に、血抜きが終わる。

「よし、後は袋に詰めるだけ……んみゅ?」

「どうしたの?」

「ああ、うちの姉から連絡来まして。お腹空いたそうなんで、早くいかないと。
あ、折角ですんで、これ餞別にどーぞ。そこそこ食える味ですんで」

 何かを思いついたように雫が呟いた瞬間――――上空からアレスの手元に鳥型の魔物の死骸が落ちてきた。
 風の攻撃魔法で仕留められた獲物を抱え慌てふためく彼に、雫はにっこり笑う。
 そして軽く手を振ると、軽やかに暗い森の中へと消えていった。
  
 残されたアレスが唖然としながら視線を落とすと、

「……アーマー、オウル……」

 手元の梟型の魔物の亡骸を見て、呆然と呟く。

 アーマーオウルは、さして脅威的な魔物ではない。
 爪などによる攻撃は強烈と言えば強烈だが、一般人でも肉体強化をしていれば急所以外は致命傷を免れる程度。
 気配消しも取り立てて上手いわけではなく、察知も比較的容易と言われている。

 が、防御力はずば抜けている。
 羽の強度が異常に高く、風の攻撃魔法でも易々とは傷がつかないのだ。
 なので、低い危険度とは裏腹に仕留める事は難しいと言われている。

 唯一の例外が、首周辺を覆う柔らかい羽毛。
 そこだけは強度が低く、低位の風魔法でも必殺出来ると言われているが、
そこを狙えるのは熟練した戦士のみ。
 その羽毛は本当に狭い幅しかない為、見抜く事は至難の業なのだ。
 
 少なくとも、十三の小娘が事もなげに出来るような芸当ではない。

「…………」

 アーマーオウルの死骸をぶら下げながら、麓へと歩いていく。

 天才、というのはあの少女のような人間を指すのだろう、そんな事を思う。
 当然実力が物を言う冒険者として大成するのはああいう人間であり、
三つも年下の少女の足元にも及ばないような情けない男ではない。
 まして、歴史に名を残すなど夢のまた夢。

 ――――堅実に、生きよう。

 そう、アレスは決意した。
 冒険者として生きる過酷さと、自分では届きようもない武人の高み。
 それを垣間見た事で、彼にとっての現実が見えた。
 自分では冒険者になっても大した功績も残せず、大怪我をして引退するだけだろうと。

 それならば、もっと堅実で安定した稼ぎ口を探すべきだ。
 今まで学んだ剣を捨てる気はないが、それなら冒険者でなくとも村の警備兵という職種だってある。  
 そもそも師や両親を含めた周囲からは、常々そちらを薦められていたのだ。
 自分なら出来るはずだ、と耳を貸さなかっただけで。

(……まずは、師匠に謝ろう。それで、警備兵目指す事を伝えよう)

 遠くから駆けてくる師の姿を収めながら、アレスは一つ頷いた。

       
   
 

コメント

海人の周りがおかしいだけで大半はこんな感じですよねw 
[2015/02/02 02:18] URL | 法皇の緑 #USanPCEI [ 編集 ]


こうして一人の少年の夢は叩き潰されたのでした。

地味にひどい
[2015/02/02 14:13] URL | #- [ 編集 ]


更新、お疲れ様です。

いつもと違って、非レギュラーメンバーを主人公に据えていて、
まさに番外編という感じがしました。
こういうの好きですね。ちゃんと落ちも付けるし(笑)
[2015/02/03 01:02] URL | ダーマグレッグ #- [ 編集 ]


なるほど・・・確かにこうまで才能の差を見せつけられたら折れもするだろうなぁ。
まあ、調子に乗りすぎた少年が悪いので、同情はしませんが。

追伸
今度、すっかり忘れていた料理を海人が作って他の面子を味で驚かせる話をお願いします。
[2015/02/03 10:19] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]

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[2015/02/05 07:46] | # [ 編集 ]


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