ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編 4/27
番外編です。
やや長くなってますが、珍しくはないネタです。

では、コメント返しさせていただきます。

しろいのさん

早めに更新できるよう努力したいと思います。

 さん

御意見ありがとうございます。
やはりそういうご意見はありますよね。
ただ、私が理由書いてある方が納得できる性質なので、正直難しいです。
更新速度上げられればほぼ解決する問題なのかもしれませんが。


次話ですが、もう少し時間かかりそうです。
粗方出来上がってるんですが、どうにも納得いかない部分が幾つかあるので。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。


 番外編



 とある山中にある洞窟。
 ここは入口こそ一箇所だが、内部がまるで蟻の巣の如く多岐に枝分かれしており、
多くの人間が暮らせるような構造になっている。
 また、山自体低位の魔物しか生息しておらず比較的安全で、
洞窟も魔法で明かりと温度さえ調節すればそこそこ快適に暮らせる事もあり、
近くの村では保存食等を運び込み、いざという時の避難場所として扱っていた。
 村が魔物に襲われるなどして壊滅の危機に陥った時も、何とか生き延びられるように。

 が、それゆえに最近近隣で勢力を伸ばし始めた山賊団に目をつけられた。
 なにしろ、居住設備ばかりか二ヶ月程度は一つの村の人間が飢えずに過ごせるだけの保存食まであるのだ。
 法を破り、官憲に追われるような者達がそれを欲さぬはずがない。

 結果、山賊団はこの洞窟の事を知る村の者達を皆殺しにした上で居住を始め、その勢力を伸ばし続けていた。
 なにしろ、この洞窟は入口が山の中でも分かりにくい位置にある上に、
出入りの時以外は倒木などで入口を巧妙に隠しているのだ。
 彼らを追う騎士団なども近くまでは幾度も辿り着いていたのだが、
結局入口を見つけられずこの山を後にしていた。

 それだけに、ここを根城とした山賊団は上機嫌だった。
 騎士団に追われても、容易に相手を撒ける拠点。
 唯一の難点は食糧だが、それは山の魔物を狩るなりどこかから奪ってくるなりで賄える。
 この拠点さえあれば、いずれは大陸に名立たる大悪党として名を馳せるも夢ではない。
 そんな思いを抱いてしまう程に、増長していた。
 
 今日、この日までは。 
 
「はぁっ!」

 鋭い気勢と共に、シェリスが二人の山賊の至近まで踏み込んだ。

 小柄で可憐な容姿からは想像もつかぬ踏み込みの速度に、一瞬二人が硬直する。
 その隙を逃さずシェリスは両手のナイフを振るい、二人の首を深々と斬った。
 首を落とすほどの斬撃ではないが、それでも首の半ばまで刃を届かせ、
頸動脈を完全に切り裂いている為、死は免れようがない。

 派手に血を噴出しながら絶命する山賊達に目もくれず、シェリスはその歩みを進める。

(……思った以上に手応えがないわね。
まあ、所詮は逃げ足だけが取り柄の外道ってことかしらね)

 鋭く前方を睨みながら、そんな事を考えるシェリス。

 己の武技は、まだまだ発展途上。
 むしろ、武技と呼ぶ事すらおこがましい児戯だ。
 血反吐を吐くような、というか実際に吐きながら高めているが、まだまだ技と呼ぶには程遠い。
 師達の領域は雲の上、そればかりか部下兼妹弟子達にさえ一部に追い抜かれかけているのだ。
 そんな脆弱な己一人に成す術がないのだから、さぞかしこの山賊団のレベルは低いのだろう。
  
 が、考えてみればそう不思議な話でもない。  

 ここを根城にしている山賊団はこの領の騎士団が度々取り逃がしているが、それは主に逃げ足の速さゆえだ。
 騎士団に追いつかれた者は、大概の場合その場で斬り捨てられている。
 そしてその騎士団は弱卒揃いと部下達が呆れる程。
 となれば、真っ向勝負なら未熟極まりない自分でもどうにかできる可能性は高い。

 ―――――一人で壊滅させてこいと言われた時はどうなるかと思ったが、壊滅自体は楽そうだ。

 そんな思考が一区切りついたところで、横穴から筋骨隆々とした男が出てきた。
 男はシェリスの姿を見るなり、大きな斧を苛立たしげに地面に叩き付ける。
     
「ふん、襲撃っつーからどんな大軍かと思えば……ふがいねえ連中め! 
このビッグマウンテン双戦神『爆砕の斧』メル―――かひゅ?」

「遊んでいる暇はないのよ。さっさと死になさい」

 冷たく言い捨てると、シェリスは絶命した男の背後にいた者達にもナイフを投げる。
 彼女の細腕から放たれたとはとても思えない速度で飛来したナイフは、
一本たりとも狙いを外す事無く喉に命中し、全ての命を刈り取った。

 死骸となった男達を文字通り踏み越えながら、シェリスはすたすたと歩み続ける。

(山賊ってああいう称号に憧れるのかしら……双戦神とか三鬼神とか四天王とか七戦士とか、
今日片付けただけでも結構な数がいたうえに、実力は大差なかったけど) 
  
 しょうもない事を考えながらも、シェリスは油断なく周囲を睥睨していた。

 洞窟内は粗方、というかこの先に見える部屋以外は軒並み探り、そこにいた山賊を斬り捨ててきたが、
最後の部屋であるそこに兵力が集中している可能性もあるし、そこに辿り着く前に罠が仕掛けられている可能性もあるし、残っている山賊団のトップがこれまでの雑魚とは桁違いに強い可能性もある。

 油断はできない、そう考えながらシェリスは道中の罠を解除、あるいは吹き飛ばし、
潜んでいた生き残りを事もなげに秒殺し、最後の部屋のドアを風の攻撃魔法で粉砕した。

「ほう、本当に小娘だな。この俺様のところまで辿り着くとは大したものだ」

 飛んできたドアを事もなげに右手で払いのけながら、豪奢な椅子に腰かけた優男が口を開いた。

 なかなか、見栄えのする男だった。
 年の頃は20代後半といったところ。
 短く整えられた煌びやかな金髪が野性味のある顔に気品を与え、山賊とは思えぬ風情を醸し出している。
 彼が左手に携えたやや細身の剣がさらにそれを強調していた。

 彼は周囲で震える部下達との格の違いを示すかのように鷹揚に立ち上がり、

「ああ、それには及びませんよ」

「っ!? くっ!? がはっ……」

 その前に、シェリスが軽い口調と共に投げたナイフに命を奪われた。

 とはいえ、何もせずに殺されたわけではない。
 彼は、シェリスの放ったナイフを二本弾いていた。
 右手で喉元に飛来した一本を弾き、左手に持った剣で腹に飛来した一本を弾き、
そして時間差で放たれた三本目のナイフに心臓を貫かれたのだ。
 周囲の者達が成す術もなく首を貫かれた事を考えれば、かなりの健闘と言える。
 数秒長く生きながらえただけ、とも言えるが。
  
 敵の全滅を確認したシェリスは、懐から愛用の懐中時計を取り出した。

「……時間ギリギリだったけど、どうにか合格ね」

 時間を確認し、安堵の息を漏らす。

 今回シェリスが山賊を壊滅させたのは、試験の一環だ。  
 ローラというおそらくこの世で最も厳しい師から出された課題。
 それが山賊団をただ壊滅させるのではなく、制限時間内に殲滅する事だった。

 まだ十四の小娘に何やらせる、と思わなかったと言えば嘘になるが、
幸か不幸かローラは不可能な課題は出さない。
 全力を振り絞れば、どうにか達成出来る課題だけを出すのが彼女である。

 なので、どう考えても自分にやらせるような課題ではないと思いつつも、反論もせず素直に従ったのだ。
 多数の山賊に単独で挑むという恐怖に加え、制限時間を過ぎた場合、ローラのお仕置きが待っているという焦りとも戦いながら。
 
 が、その甲斐あってどうにかこうにか課題は達成できた。
 晴れやかな気分と共にシェリスが踵を返し、部屋を出た瞬間、

「残念ながら、不合格です」

 背後から聞き慣れた声が、最も聞きたくない言葉を紡いだ。

「ちょっ!? いつの間―――いえ、ちゃんと全滅させたでしょ!?」

 慌てて背後を振り返り、声の主―――ローラに抗議する。

 いつの間にこの部屋にいたのか、というのは今更だ。
 彼女がその気になればシェリスに悟られず部屋に入り込み、
最後まで悟られぬ事など造作もない。
 
 それより重要なのは、不合格という言葉だ。
 
 シェリスは、きっちりと一人残らず息の根を止めた。
 確実な致命傷以外は全て死亡を確認したし、進攻ルートも敵を逃さぬよう計算したので、
生き残りは一人もいないはずだ。
 気配を消してシェリスに悟られなかった者がいたという可能性も皆無ではないが、
ここにいた山賊達の練度からして、確率は非常に低い。

 不合格と言われる程の失態はしていない、シェリスはそう確信していた。

「ええ、この部屋までは」

 主の抗議を冷たく受け流すと、ローラは近くの壁を指差した。
 シェリスは数瞬とんとん、と軽く叩かれるそこを見て怪訝な顔をしていたが、突然その目が見開かれる。
 主が己の失態を悟った事を確認すると、ローラはそこに拳を叩き込んだ。
 鈍く重い破壊音と共に壁が崩れ、その場所の正体が露わになった。

「隠し通路……!」

「その通りです。そして、これを通って逃げた気配が一つございました。
ゆえに、不合格でございます」  

「ちょ、そんな事言ってる場合じゃないでしょう!? 
早く追いかけて始末しないと――――」

「シェリス様、それには及びませんよ」

 焦るシェリスの言葉を遮るように、通路の奥からマリアが姿を現した。
 
 表情にはいつもと変わらぬ聖母のような微笑みが浮かんでいるが、
その左手には初老の男が引き摺られている。

 男の有様は、一言で言えば無惨。
 手足は指の先端にいたるまで入念に砕かれ、全身から血を垂れ流し、
生きているのが不思議な程に痛めつけられている。
 比較的無事なのは顔だが、それすらも顔の原形を留めているだけで、
痣やら血やらで色彩が凄まじい事になっていた。
 常人が見れば嘔吐しそうな程に、酷い状態である。

 が、シェリスはそれを見てもまるで動じず、鋭い目で観察していた。

「……この顔どこかで……あ!? 指名手配中のログナス・ワイズベルじゃない!」

「そうみたいですね。これが裏にいたのであれば、ここの騎士団が裏をかかれ続けたのも頷けます。
単独でもあちこちで盗み続けて捕まらなかった男ですから、捨て駒がいればもっとやり易かったでしょう。
もっとも、先程の手応えからして本当に逃げるだけが取柄だったようですけれど」

「ぐ……あう……うぅ……」

「確か、殺人も何件かやっていたはずね?」

「判明している被害者数のみで二十五人です。
被害者はいずれも平凡な一般市民。内十人がまだ十に満たぬ子供だったかと」

「……最後に顔が分かる状態で騎士団の詰所に放り込んでおけば、好きにしていいわ。
ああ、勿論死ねないようにしておいてね」

「承知いたしました」

 主の言葉に恭しく一礼すると、マリアは隠し通路の方へと戻っていった。 
 涙をダラダラと流し、声にならぬ声で命乞いをする男を引き摺りながら。

「……不合格、か。確かにそうね。私だけなら、完全に取り逃がしていたんだから。
でも聞きたいんだけど、今回制限時間に意味はあったの?
時間をかけても山賊団を確実に全滅させる事が優先されるべきだと思ったのだけど」

「制限時間の意味は、時間が限られた状況でまともな判断を下せるかどうか試す為です。
限られた時間の中で、冷静に、そしていかに迅速な判断が行えるか、それを見極める為でした。
そして、それについては合格です。付け加えますと、ログナスは制限時間内に仕留められずとも合格にするつもりでした。
私とマリアは隠し通路の出口に気付いておりましたが、現在のシェリス様にそれを求めるのは無理ですので」

「つまり不合格になったのは……」

「はい、最後の最後で部屋の観察を怠り、そのまま部屋を出てしまわれましたからです。
観察していれば気付けた事は、もうお分かりでしょう?」 
 
「ええ……」

 予想通りの言葉に、がっくりと肩を落とす。
 
 確かに、怠慢としか言えない話だった。
 ローラが指で示していた時に気付いた、という事は自力で気付く余地は十分にあったという事。
 それが出来なかったのは、最後の部屋でこれ以上は何もないという馬鹿馬鹿しい先入観を抱いてしまった為。
 隠し通路など定番中の定番なのだから、考えない方がどうかしていた。 

「何度も説明しておりますが、事が終わった後も見逃しがないか油断なく確認する。これは極めて重要な事です。
特に最後、終わったと思った時ほど気が緩み、見逃しをしやすくなります。
むしろ最後にこそより強い警戒を抱き、気を引き締めねばなりません」

「……反論の余地もないわね。はあ、もうちょっと成長見せられると思っていたのに……」

「成長自体はしておられます。まだ不足しているだけです。
ですので、更なる成長を促す為、帰ってからの組手は一つレベルを上げます」

「はい……」

「とはいえ、一定の成果を挙げたのもまた事実です。
ですので、今日の組手で相応のものを示す事が出来れば、
ささやかながらプレゼントを御用意いたしましょう」

「プレゼント!? え、どういう風の吹き回し!?
……いや、もっと厳しい鍛錬がプレゼントって言うのね?」

「それでも構いませんが、食べ物です。
普通に期待してくださって問題はありません」

 さらっと疑念を否定するローラに、シェリスは猜疑心に満ちた視線を向ける。

 この鬼教官は、本気で容赦が無い。
 今まで何度あの世を垣間見たか分からないし、淡い期待を打ち砕かれた回数も数知れず。
 まして、今回は不合格という言葉をいただいてしまっているし、食べ物と言っても最大魔力を高められるという噂のゲテモノ料理という可能性だって十分ある。
 そう思っていても、組手に手を抜くわけにはいかない。
 その場合、冗談抜きに死んだ方がマシな程に痛めつけられるからだ。

 憂鬱な気分を引き摺りながら、シェリスは覚悟を決めた。 

 ―――シェリスは、知らない。

 ローラが言葉通り、後日最上のデザートを振る舞ってくれる事を。
 それを見た最古参メイドの一部が暴走しかける事を。
 シェリス自身もその後、似たような反応をするようになる事を。
  
 ローラ特製チーズケーキ。
 それによって受ける衝撃を、彼女はまだ知らなかった。




コメント

確かに、見直しが必要な案件でしたね。特に逃げ足だけが取り柄で、滅多に人目に付かない洞窟が根城とはいえそれだけじゃ騎士団から逃げ切るのは難しいだろうし。
四天王とかは男だから仕方ないんですよ。海人はよくわかりませんが。

追伸
前に言った唐揚げネタですが、つける調味料で戦いを起こしても面白いかもしれませんね(笑)
[2015/04/27 08:08] URL | コスモ #Qv4gy6.k [ 編集 ]


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