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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。9/28
というわけで番外編です。
定番な過去ネタですが、本編で会話文出てないキャラがちょろっと出てます。

それと、体調不良は回復いたしました。
結局連休は潰れましたが(汗)

では、コメント返しさせていただきます。


なおさん

ご心配ありがとうございます。
結局熱は下がったものの寒気がなかなか収まらなかったので、連休はほぼ寝て過ごしました。
何も考えないのは精神衛生上よろしくないので、話のネタは考えていましたが(汗)
木金は仕事でしたが、土曜には回復しました。



さて、次話と八十五話修正、本気でどっちが先になるか分からなくなってきました。
次話は勢いついてるものの、暴走気味なのでブレーキ必須。
修正は後に回そうと省いた部分突っ込むつもりなんですが、加筆部分が与える影響との兼ね合いで難航。
といった具合です。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。






 番外編



 天地月菜は、鼻歌を歌いながら庭を闊歩していた。
 その足取りは、どこからか穏やかな音楽が聞こえてきそうな程に軽快だ。

 今日は、彼女の誕生日。
 三十路を越えて三年経過という忌々しい日でもあるが、家族が祝ってくれる日でもあった。

 夫は仕事を入れずに、慣れぬケーキ作りに朝から奮闘している。

 好きな料理意外は苦手な彼の手作りケーキの味には期待できないが、
味の調整に悪戦苦闘しながら、大きな手のごっつい指で頑張って少しでも綺麗な物を作ろうとしている姿は、
この上ない愛情が感じられて月菜の心を満たしてくれていた。
 生クリームを味見しすぎて足りなくなり、町まで駆け抜けていった姿はどうにも情けなかったが、
それもより良い物を妻にという思いの表れだと思えば悪くない。

 一方、息子も息子でなんとも嬉しい事をやってくれている。

 少し前に、息子から誕生日プレゼントの要望を聞かれた。
 ちょっとした思いつきで息子の手作りの品、そしてお守り代わりに持ち歩ける物と答えたのだが、 
生真面目な息子は本気で考え込んだ。
 大好きな母の為なのだから、少しでも気に入ってもらえる物を、そして仕事の邪魔にならない物をと。
 正直それだけで母としては大満足だったのだが、その後結論を出して練習を始めた物は更なる感激を呼んだ。
 
 彼が練習を始めたのは、根付。
 どこにでも持ち歩けて邪魔にならず、かつ見て楽しむにも便利な物だ。
 それもシンプルな物が好きな月菜の為に、木彫りで良い味を出せるよう頑張っていた。

 まあ、その為にえげつない程の切れ味を持つ彫刻刀を開発したのは我が息子ながらどうよと思ったが、
少しでも良い物を作る為に時間短縮とイメージ通りの彫り方に近付けやすくする事を狙っただけなのは分かるので、
素直に感動しておくことにする。
 言ってくれれば彫刻刀ぐらいいくらでも買ってやったのに、と思わずにはいられないが。
 
「さーて、どんな物ができるかしらねー」

 歩きながら、花壇の一角を眺める。

 そこに咲くのは、色とりどりの花々。
 月菜の好みに合った、見ていて心が明るくなる色彩だ。
 アクセント程度に加えられた暗めの色彩の花が、結果として全体を華やげている。
 
 この一角も、今日の為に夫と息子が用意してくれたものだ。

 抜群のセンスを持つ息子の指示に従い、夫が作り上げた花壇。
 息子では重くて思い通りに動かせないレンガを、夫が息子のイメージ通りに配置した事で完成した一品だ。
 作ってる途中あまりに細かい指示のせいで息子が何度も転がされていたが、紛れもなく父子協力あっての物である。

 うんうんと嬉しそうに頷いていると、足にもふっとした感触がした。

「あら、起きたのね」

 微笑みながら、足元に寄って来た愛犬を撫でてやる。

 昔息子が大量に拾ってきた中で、唯一里親が見つからなかった犬だ。
 昔は警戒心が強く甘える事などなかったが、ここ1年ぐらいはこうして甘えにくるようになっていた。
 最近では月菜達にも腹を見せるようになり、すっかり昔の面影はない。

(でも……そろそろ限界でしょうね、あなたも)

 ふ、と目が悲しげに細まる。

 この子は、息子が拾って来た時点で結構な年になっていた。
 それから三年以上経った今、いつその命の焔が消えてもおかしくない。
 実際、最近は寝てばかりで飼い主一家の誰かが寄ってきた時のみ、
構ってちょうだいと言わんばかりにゆっくり寄ってくる。

 去年までは息子の投げたフリスビーをキャッチして遊ぶのが大好きで、
彼がフリスビーを持った瞬間駆け寄り、勢い余って押し倒してしまう事もままあったのだが、
ここ何ヶ月かはフリスビーを投げても視線を向けるだけで動かない。

「……できるだけ、長生きしなさいね。海人、あなたの誕生日どうやってお祝いするか考えてるんだから」 
  
 ころんとお腹を見せた愛犬の腹を掻いてやりながら、語りかける。
 言葉に反応するように返された愛犬の目は、穏やかに輝いていた。

「おか~さ~~~んっ! 準備終わったから食堂来て~~~!」

 頭上の窓から、息子の声が響く。
 見上げれば年の割にまだちんまい手をぶんぶん振っている。

 月菜は承諾を返すと、愛犬を伴って屋敷の中へと入っていった。




 



 

   
 その夜、月菜は屋敷の庭で月見をしていた。

「ん~、良いお月様ねぇ……」

 くいっと杯を傾け、吐息を漏らす。

 良い誕生日だった。

 夫の手作りケーキは予想通り味は普通、見た目は拙いと物自体はいまいちだったが、
そこに込められた愛情が途轍もなく嬉しかった。
 思わず、ホールの半分を平らげてしまったほどだ。
 息子と協力して作ったという料理にいたっては、見た目も味もなかなかで結構な量を胃に収めた。
 
 誕生日プレゼントも、嬉しい物だった。

 夫が用意してくれたかんざしは、自分の雰囲気に良く合っていた。
 使い所は限定されるが、浴衣を着て家族で祭りに行く時などには重宝するだろう。
 細かい事は考えず勘で選んだそうだが、そうとは思えない程に気に入った。
 嬉しさのあまり息子の前でいちゃいちゃしそうになったのは要反省だが。

 息子が自作してくれた根付は、文句のつけようなどなかった。
 物は、シンプルで可愛らしい造形の子犬。
 木彫りで仕上げられたそれは、素朴ゆえに温かみが強く、眺めているだけで心が穏やかになる。
 いつでもどこでも持ち歩ける点と相まって、とても嬉しいプレゼントだった。
 嬉しすぎて、息子を絞め殺しそうになったのは反省せねばなるまいが。 
 
 毎年嬉しいイベントだが、今年も例外ではなかった。

「これがいつまでも続けられればいいんだけど、ね」

 それは叶わないだろう、そんな確信がある。

 相変わらず素直で良い子だが、最近の海人は疑念を持ち始めつつある。
 これまでは親の言う事にただ従い、その才をひた隠しにしてくれていたが、
早ければ中学入学時点で理由を説明しなければならないだろう。
 
 海人は間違いなく史上最高の、それこそ漫画に出てきそうなレベルの天才であり、
悪い人間に利用されないようにする為、その才能を隠さねばならないと。
 そうしなければ、海人に待っているのは絶望の未来だけなのだと。
 漫画や小説に出て来る悪役なんて、本物の悪党に比べれば可愛いものなのだから、と。

 ―――――正直、素直に受け入れてくれるとは思っていない。

 自分達夫婦の息子だと言うのに、海人は優しすぎる。
 そのくせ意志力は夫のそれを受け継ぎ、極めて強靭だ。   
 それが規格外極まりない自分の能力のレベルを自覚すれば、
世界の残酷さを諭されたところで、かえってそれを変えてやると意気込むだろう。

 防ぐ為の案は長年かけて用意してあるが、それは海人の心を壊しかねない猛毒でもある。
 同時に自分達夫婦の心さえも打ち砕きかねない、そんな危険のある案だ。
 それでも息子の命を危険に晒すよりはマシ、そんな内容なのである。
 
「……やだなぁ」

 覚悟はとうに決めていたつもりだが、使用の時期が近付くにつれて恐怖が増していく。
 幸せな現在。それを自らの手で砕いてしまうかもしれないと。

 身を震わせていると、背後から彼女の頭が撫でられた。

「が、親としちゃあ覚悟決めるしかねえだろ」

「……あなた。起きてたの?」

「ま、な。女房が可愛い息子の事で悩んでる事ぐれえ、俺にだって分からぁ」

「そっか……そうよね」

「大丈夫だ。あいつは俺らの息子だし、俺はともかくお前は今までたっぷり可愛がってきたんだ。
しばらく引き篭もるぐらいはするかもしんねえが、悪い結果にゃならねえよ」

「そうね……そう信じないとね」

「そうそう、信じるこった! 自慢の息子なんだからよ!」

「……うん。それじゃ、気分直しに一杯付き合ってくれる?」

 悪戯っぽく微笑み、杯を差し出す。
 差し出された杯を受け夫―――神明はぐいっと一息に飲み干した。
 それに応えるように月菜も返された杯に酒を注ぎ、ぐいっと飲み干す。
 それを繰り返すうちにどちらからともなく笑いが零れ、酒盛りが盛り上がっていく。
 その内にあまりの騒がしさに目を覚ました息子さえも巻き込み、結局朝まで宴は続いた。

 ―――先に待ち受けるであろう不穏の陰を打ち払わんとばかりに、明るく。



コメント
更新お疲れ様です
……普通の番外編と思ってましたが、いきなり両親失踪に関する重大な伏線を入れてきましたね。
両親は自身の意思で失踪の可能性、そして何より失踪するための何かを使用するということ、結果お互いの心に傷を負う可能性

……両親が異世界(海人の飛ばされた)からやってきた住民で、元の世界に戻るための何かを使用し、その世界で名前を戻し例の隊長、副隊長になった?
これはいろいろ考察が捗りますね。ミスリードかも知れませんが、考察をするだけで1日過ごせそう笑
真実が気になりますが、本編で明らかになることを楽しみに待ってます。
[2015/09/28 03:52] URL | 名無しの権兵衛 #PbsdvIhw [ 編集 ]


ふむ…なかなかいい話ですね。サブタイとしては始まりがあれば終わりがあるって感じですかね?
……これ、ふと思ったんですが両親共に海人の前から消えることを薄々ながら予感してたんじゃないかな、と。

追伸
焼き鳥ネタとかいかがでしょう?
[2015/09/28 08:13] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


つまり団長と副団長が海人の両親でFA
自分たちの意思で異世界に渡り、海人もその結果として転移した、と
普段ネタバレがーとか遅筆の言い訳にしてるわりに
随分とわかりやすいネタバレかましますね?
[2015/09/28 14:20] URL | #vXeIqmFk [ 編集 ]


後から問題が出てきて修正するのならともかく
最初から修正するつもりで一話あげるのは本気で意味がわからないです
それならばしっかりしたものを最初からだしてください
[2015/09/28 23:34] URL | ぺんたくん #- [ 編集 ]


えぇぇ。
こいつら故意犯で失踪したのかよ。
[2015/09/29 12:25] URL | #QPJmzeK2 [ 編集 ]

んん?
ほのぼのしてるようつま、何か企んでる様な海人ママ。
これ、もしや失踪は自作自演な感じか?
[2015/10/01 16:53] URL | vixen #oZwc76Mg [ 編集 ]


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