ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。2/8
番外編です。
メインキャラが一切出てこないネタになります。
時系列的には第七部です。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


コスモさん

リレイユ飼うのはメリットだけ見ると大きいと思います。
ある意味最強の護衛にして最高の移動手段ですから。
もっとも、デメリットが大きすぎて一般人は飼おうなんて想像もしないでしょうけど。
普通ならペットにする前に自分があの世行きですから(笑)

あの話の別視点……ルミナスは似た感じになりそう、
シェリスは本編と大差なさそう……需要あまりない気がひしひしと(汗)


次話ですが、ちと仕事が立て込んでたせいであまり進んでません。
今週はさすがに時間取れると思うので、頑張って進めたいと思います。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。




 番外編



 ロンドの酒場。
 それはカナールにある、そこそこ人気のある酒場だ。

 良質な酒と料理が揃い、価格も良心的。
 更には事前に頼んでおけば、特注の料理にも対応してくれる。
 記念日などにはちょっとしたサービスなども行っているため、
繁盛店とまではいかないが、しっかりと固定客を掴んでいる店だ。
 地味なようだが、この競争の激しい町でそれが出来ている店はそう多くない。

 そんな優良店で、現在問題が発生していた。

「お父さん? もう一回説明してもらえるかしら?」

 ロンドの酒場の看板娘、レアーナ・フレグタスが厨房に鎮座する食材を指差す。
 常連客に人気の笑顔はそのままだが、何故か纏う空気が禍々しい。

「……今は祭り中だ。当然、客の気分も良くなってるし、財布の紐も緩くなる。
そこに高級素材を使った料理があれば、飛びつくだろう。
そうなれば儲けものだ。高級素材は元値が高いから他の料理より利益を乗せやすいし、まして今は祭り中だから、
ほんの僅かなら相場より高くても頼む客は多いはずだ」

 店主であるロンド・フレグタスは娘の顔を見据えながら、己の戦略を説明する。

 ガーナブレストとの友好条約締結。
 それによって、今町は湧きに湧いている。
 最高レベルの軍事力を誇る国と、事実上の同盟を結んだ事への安心感で。
 
 相手がグランベルズや十年以上前のガーナブレストならむしろ不安を煽られたかもしれないが、
現在のガーナブレストは誇り高き騎士達の国。
 無闇に条約を破棄するとは思えない。

 これでこの国は当分安泰、一般市民がそう思うには十分すぎる材料だ。
 さらに、それを煽るような町を挙げての祭り。これで人々が湧き立たぬはずがない。

 ゆえに―――今は市民の財布の紐も緩んでいた。 

 全体的に家の食事が豪華になり、外食する頻度も増えている。
 普段はさして人が多くない高級料理店に予約が殺到し、服屋も普段より高価な注文が増えていた。

 これならいける。
 そう思い、ロンドは思い切って高級食材をたっぷりと仕入れたのだ。
 次があるかは疑わしい絶好の商機を、逃さぬ為に。

「うんうん、間違ってはいないね。確かに高級食材なら売れれば利益も出しやすいわよね。
それに、お祭り中は全体的にお金を落としやすくなるのも当たってると思うわ」

「だろう? ほれ、納得したらさっさと仕込み手伝え。
メニューはさっき説明した通んぎゃ!?」

「この食材のレベルと種類とこの店の客層考えなければ、だけどね?」

 笑顔で語りながら、身を翻そうとした父の後頭部を右手で握る。
 日々酒瓶やら酒樽を抱えて忙しなく動き回っている彼女の握力は、一般女性のそれよりはかなり強い。 
 
「ぎぎぎいぎぎっ!?」

「うちのお客さんって、ほとんどは平均的な収入かそれ以下のはずなのよね~。
ヘルオクトパスのフライは、ブラックティアー使わないと独特の香りが味わいの邪魔になって普通のタコの方がマシ。
エンゼルピッグのソテーはクラウンソルト使わないと、繊細な旨味を生かしきれないから普通の豚の方がマシ。
他のもかなりの値段取らないと出せないか元が取れない物ばかり。
最高級チーズ五種は切るだけだし保存利くけど、全部大きな塊で仕入れたから、全部売れるのはいつになる事やら。
なにより――――こんだけ沢山の種類あって全部売り切れるわけないでしょうがぁぁぁぁぁっ!!!!
ってかせめて相談しろおおぉぉぉおっ!!!!」

「ぎゃあああああああああああああああああああっ!?
すんませんすんません! 勢いで仕入れました! 反省してますぅぅぅぅうっ!」

 ついに怒りをぶちまけた娘の握撃に悲鳴を上げながら、ロンドは全力で謝罪の言葉を口にした。

 実際、レアーナの言葉はこの上ない正論なのだ。
 この店の一番の売りは、庶民に手が届きやすく良質な品揃え。
 当然客は一般庶民が多く、高級食材などなかなか手が出ない。
 
 とはいえ、ただ高級食材を使っただけの料理ならば祭りの熱気で売れるだろう。
 ロンドにはそれだけの信用を築いてきている自負があったし、事実その通りであった。

 が、今回はそうはいかない。

 最初からどんな料理を出すか決めて仕入れてしまったせいで、高価な香辛料や調味料を同時に仕入れているからだ。
 しかも性質の悪い事に、どれも保存が難しく短期間で風味が落ちてしまう物ばかり。
 特にクラウンソルトの保存は難しく、気を抜けばただの塩水と化す。
 最悪、これだけで大赤字だ。

 ゆえに最悪でも祭りが終わるまでに大半を売らねばならないと言うのに、
予定しているメニューの種類が豊富すぎるせいでどれかが売れ残る可能性が高い。

 レスティア牛のローストビーフなら超高級牛肉として知られているし、
薄切りにして一枚一枚を売れるので売り切れる可能性もあるが、
スカイエンペラーの半熟卵のクラウンソルト添えは、知らずに聞けばただの半熟卵に塩が添えられているだけだ。
 普通の卵より大きいが、定番メニューの平均価格の五倍出して食べようという豪気な人間は滅多にいないだろう。

 そう言ったリスキーなメニューが実に十数種類。 
 どれも味は確かとはいえ、売れるかどうかは非常に疑わしい。    
 レアーナがブチ切れるのも当然である。  

 怒り狂う娘の暴威にロンドが諦めかけたその時、救いの声が響いた。

「あらあら、騒がしいと思えば……駄目よレアーナ、そんな事しちゃ」

 いつの間にかやってきていたロンドの妻、レミオラ・フレグタスがやんわりと娘を止める。
 優しい声といい、穏やかな表情といい、人の毒気を抜く要素に満ちた態度であった。

「っ……でもお母さんこれ見れば分かるでしょ!? いくらお祭りでもこんなの絶対に売りきれないって!
大赤字が目に見えてるじゃない! 私こんな馬鹿な事で今月の給料無しなんてやだよ!?」

「確かに高そうな物がたくさん揃っているけど、そんな事にはならないから大丈夫よ。ねえ、あなた?」

「あ、ああ、どうにか売り切るから問題ないぞ、うん」

「だそうよ。だから、大丈夫」
 
 どこからどう見ても根拠のなさそうな夫の言葉に、うんうんと頷くレミオラ。
 当然ながら、レアーナは食ってかかった。

「そんなのハッタリに決まってるじゃない!」

「もう、分かってないわねぇ……いい? お父さんぐらい素敵な男の人はね、自分の言葉に大きな責任を持つのよ。
口に出した事を実現しないなんてありえない。ハッタリなんてありえないのよ」

 娘の目をじっとのぞき込み、真摯に諭す。
 断固とした意志を感じるその目にレアーナは気圧され、渋々ながら父の頭を解放する。

「……お父さん割といいかげんだけどなぁ……」

「大丈夫よ。きっと売り切るわ。それに万一できなかったとしても――――」

 レミオラは一端言葉を切ると、痛みに蹲っている夫に視線を向ける。
 その顔には、相変わらず穏やかで優しげで母性に満ち溢れていた。
 
 そしてレミオラはそんな慈愛に満ちた表情のまま―――夫の股間を踏みつけた。

「へそくりを全て吐き出し、赤字補填するまで禁酒を続け、小遣い無しと確約してでも他には影響を出さないはずよ。
そうよね――――あなた?」

 ぐりぐりと足蹴にしたものを踏み躙りながら、悲鳴を上げる夫の顔を覗き込む。
 あくまでも優しそうな表情のまま、確認するように。 

「は、ははははいぃぃぃぃっ! 頑張りますっ!」
 
 実は娘以上にぶちぎれていた妻に慄きながら、ロンドは今日からの営業に全力を尽くす事を誓った。


コメント

ああ、あの時の裏話ですか。やっぱりこんな感じのやり取りがあったんですね。しっかし、せめて保存がかなり効く材料のみを仕入れておけばまだマシだっただろうに……自業自得ですな。

追伸
海人が創造した具無しカレーを元にルミナスが料理をする話とかいかがでしょう?
[2016/02/08 09:00] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


とりあえず今回の番外編が前回の続き物じゃなくてホッとしました。あまりに続くならもうそれ本編に入れればいいんじゃと思ってしまうので…

さくっと読める番外編も楽しいですがやっぱり本編の続きが読みたくなりますね。楽しみに待ってます
[2016/02/14 01:48] URL | くれあ #lGct895. [ 編集 ]


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