ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。5/2
というわけで番外編です。
主人公含めレギュラー陣出てきませんが、珍しくはないネタになります。
ひょっとすると矛盾等あるかもしれませんが、寛大な気持ちで読んでいただけると幸いです。

では急ぎ足ですが、コメント返しさせていただきます。


たこ焼きこそが至高であるさん

楽しんでいただけたなら何よりです。
更新ペースは遅いですが、気長にお読みいただけると幸いです。


さて、次話ですが、連休にどれだけ進められるかが勝負になりそうです。
なんだかんだで今回金曜休みでしたが、代わりに土日がほとんど潰れたので(汗)
気を抜くとシリアスっぽい傾向に傾きやすいので、上手く加減しながら書き進めたいと思います。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。



 番外編




 ハロルドは、半ば趣味でやっている屋台で溜息を吐いていた。

 この屋台は、彼が長年やりたかった花屋だ。
 極端な高価格帯の花は少なく、庶民に手の届きやすい価格帯の物を主体に揃えている。
 無論それだけでは花屋としての魅力に欠ける為、色、形状、香りなど一つ一つが個性的な物を揃え、
御客に選ぶ楽しみを与えるだけでなく、花束を作る際にも細かい客の注文に応えられるようにした。

 おかげでここには様々な客がやってくる。
 綺麗な花が欲しいと小遣いを握り締めてやってくる少女、花好きな恋人の誕生日に花束を贈りたいとやってくる青年、
遠路はるばるやってくる孫娘に奮発した花束をプレゼントしたいという老人。
 ここはそれら千差万別な人の注文に応え、大半に満足して帰ってもらえる、商人として実に楽しい屋台なのだ。

 この町の運営については若い人間が少々頼りない為、未だ仕事量が多く忙しいのだが、
その息抜きとして丁度良い店なのである。
  
 なので普段は溜息など吐かないのだが、今日は吐かずにはいられなかった。

(ぬうう……やはりもったいない、あまりにも、もったいない……!)

 今日何度目になるか分からない溜息を吐く。

 溜息を吐き始めた最初の切っ掛けは、朝一に来た女性客。
 美女という程ではないが、楚々とした清潔感が漂う女性だった。

 朝の晴れやかな気分に相応しい客だと気合を入れて応対したのだが、
彼女はハロルドを見るなり首を傾げ、おずおずとこう訊ねた。
 
『あの、先日は若い方々がやっておられませんでしたか?』 

 聞いた瞬間、ハロルドは天を仰ぎたくなった。

 確かに、昨日まで若い人間―――海人に任せていた。
 家族の恩人たる若者の商才を確かめる為に。
 結果次第では、全面的なバックアップの元で店を出せるよう取り計らうつもりで。

 結果から言えば、彼はその期待に見事応えきっちり売上を出してくれた。
 時折部下にチェックさせていた時の接客も完璧で、態度も手際も見事と言う他なく、
その前にゲイツの屋台を手伝っていた時の奇跡的な大繁盛がまぐれでも何でもない事を知らしめてくれたのだ。

 が、ここで誤算が生じた。
 
 いざ店の話を持ちかけたら、断られてしまったのだ。
 初対面の人間を警戒する癖がついている為、接客はかなり厳しいものがあると。
 その表情にも、嘘の色は見当たらなかった。  

 なので渋々諦めたのだが、その商才はあまりに惜しすぎると思っていたのだ。
 
 そこに、品揃えではなく店員を覚えているリピーターが現れた。
 しかもよくよく話を聞けば見舞い用に見繕ってもらった花束の色彩が気に入り、
それをここから離れた町の友人に渡すなり、自宅用に購入する為すぐに戻ってきたという。 
  
 この屋台は様々な要望に応えられるようにできているが、使いこなすのは難しい。
 多様な要望に応えられる分選択肢の幅が広く、広い知識や色彩感覚がなければ宝の持ち腐れになりかねないのだ。
 特に花束は難しい為、ハロルドは任せる前に定番の組み合わせだけを教えていたのだが、
話を聞く限り彼が売ったのは自分が教えたそれとはまるで違っていたようだった。 
 
 そして彼が臨時の代理だった事を伝え、ハロルドが言われたイメージ通りに作ってみたところ、
笑顔で買ってはくれたものの、表情にほんの僅かな陰りが見えた。
 おそらく、良いには良いが前に買った物より少し落ちる気がしたのだろう。
  
 やはり惜しい、そんな事を思っている間に同様のリピーター客がどんどんやってきて、
その度に彼の優れた手腕を思い知らされた。

(……まったく気の毒にのう……今時珍しいぐらい善良な若者だというのに)

 今朝仕入れたばかりのゼオンシュライツを眺め、視線を落とす。

 己の才を殺す。
 その虚しさが分からない程、あの青年は愚かではないだろう。
 それを重々承知の上で、彼はそれを選んでいるはずだ。

 その原因となるのは、彼の異常なまでの警戒心の強さ。

 初対面の相手を反射的に警戒してしまう。
 しかもそれで無駄に疲弊するだけと分かっていながら、緩急が付けられない。
 これは、人から狙われる事が常態化していたと見ていいだろう。
 
 それだけの恨みをかっていた悪人、と見る事も出来るが、ハロルドの見解は違った。

 娘と孫娘は、戦場と化したこの町で彼に命を救われている。
 それも娘の方は瓦礫に体を挟まれ動けなくなっていたらしいというのに。
 あの状況なら二人まとめて見捨てても仕方ないと済まされそうなものなのに、だ。 
 正直、かつて悪人であったと言われるより、逆恨みを受けすぎて心が折れた善人と見た方がしっくりくる。
 
 世界の残酷さに思いを馳せていると、見知った顔――――この町の長老の一人、イザベラがやってきた。 

「やあ、ハロルド。景気悪い顔してるねぇ」

「なんじゃ、イザベラ。宿の方はどうしたんじゃ?」

「夕食用の買い出しだよ。野草系が切れちまってねぇ……」

「ふぉっふぉ、あのイザベラが買い出しとはな。
若い頃は薬草だろうが野草だろうが自分で摘んでくればタダとか言っておったのにのぅ」

 懐かしむように、目を細める。

 思い出すのは、若かりし日のイザベラ。
 魔物に襲われ商品と馬車を失いながらも、
その気になれば商品はタダで仕入れられる、と魔物の跋扈する山に突っ込んでいったその勇ましき姿。
 冒険者も躊躇する危険地帯に年若い女商人が突貫していったあの姿は、未だに語り草になっている。
 
 あの大胆さ、というか無謀さの片鱗でも海人にあれば、と思わずにはいられない。

「この辺りにゃ良いのが生えてないんだよ。
かと言って、あるとこまで足を延ばすのはこの年じゃキツいからねぇ。
んで、何か考え事かい?」

「ああ、カイト殿の事じゃよ……やはり、勿体無くてなぁ」

「……それか。仕方ないだろ。己の才をどう使うかは結局本人次第。
確かにあまりに惜しい才覚だがね、活かすつもりがないなら諦める他ない」

「確かにそうなんじゃがな……」

「ま、私らがやれる事は、せいぜいその才を活かす気になった時、
最大限の機会を与えてやる事ぐらいだろう。
なぁに、彼はまだ若い。十年以内には変化もあるさ」

「十年か、まあそれぐらいならなんとか生きられるかの」

 ふ、と苦笑する。
 
 既に七十を越えて久しいこの身。
 十年経てば当然八十を越えてしまう。
 最近は体の衰えも顕著になり始めている。

 まだまだそこらの半端な若者に劣るつもりはないが、後十年生きられると断言はし辛かった。

「安心しな。あんたがくたばっても私はあと三十年は生きる。
あんたが死んでも、あたしが機会作るだけさ。
しかしあんた、十年は生きなきゃファニルちゃんの花嫁姿見られない可能性もあるんじゃないかい?」

「ぬっ!? た、確かにそうじゃ……! ファニルの花嫁姿を見るまでは、絶対に死ねん……!」

 イザベラの言葉に、はっとする。

 ハロルドの現在の夢は、孫娘の花嫁姿を見る事。
 可愛くてたまらない孫娘が満面の笑顔で嫁いでいくその姿を見る事こそが、夢なのだ。
 それを見ずして死んでは、確実にこの世に未練が残る。
 
 そして十年以内に寿命が来てしまうと、それが叶わない可能性は高い。

 孫娘のファニルはまだ九歳。十年後でも二十歳になっていない。
 一応法律では十六から結婚できる事になっているが、現実には二十歳を越える事が多いのだ。
 
 ならば、十年程度気合で生き延びられぬはずがあろうか。
 例え全ての筋肉が削ぎ落ち、骨と皮だけになったとしても、強引に生き延びる、生き延びてみせる。 
     
 先程までの落ち込みぶりはどこへやら、ハロルドは一気に生気を取り戻し始めた。

(ってか、オーガストの馬鹿と未だに張り合い続けてるあんたが、たった十年で死ねるわきゃないだろーに) 

 老いてなお元気いっぱいすぎる自覚がない友人に、イザベラは密かに溜息を吐いた。

 
コメント

元気な爺さんですねぇ。後十年どころか飛曾孫と遊んでそうですね。
海人については…半分諦めた方がいいでしょうが。

追伸
海人が前の世界で作った、物凄く体に良いが、恐ろしくマズい栄養ドリンクネタとかいかがでしょう?
[2016/05/02 08:19] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


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