ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。5/9
というわけで番外編です。
珍しくはないネタになります。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


コスモさん

ええ、元気な御老人たちです。
そこらの若手商人よりよほど活力に満ち溢れています。
海人は……まあ、折り合いつけるのは難しいでしょう。
才能有り余ってる上に家族の恩人ですから。

栄養ドリンク……体に良い、というのが難しそうですね。
美容系なら肌の調子で分かりますけど、健康系はそのドリンクのおかげか体調なのかが分かりにくい気がするので。

 さん

仰る通り、制約に引っかかってます。
トンカチとおろし金は初めて聞きました。
代用手段あるなら一度調べてみるべきかな……。



さて、珍しく連休ちゃんと執筆時間が確保できました。
寝室でGと遭遇して仕留めそこない、仕留めるまで睡眠不足に陥るなどのトラブルはありましたが(汗)
まあ、それでも前回の土日分は取り返せたと思います。
少し悩みどころがある為見通しは立ちませんが、割と順調だと思います。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。






 番外編



 とある日の早朝、海人は地下室で研究に集中していた。

 彼の前にあるモニターに映し出されているのは、複数の新たな魔法術式。
 改善改良のレベルが年々下がっており、この先は先細りしていくのみ。
 そう言われている魔法学の常識を粉砕し、下がり始める前すら軽く凌駕するレベルの改善・改良を行い、
果ては未だ見出されていない新たな効果の魔法をも生み出しているのだ。

 その内の一つでもこの世界の学者が知れば嫉妬と絶望で憤死しかねないシロモノなのだが、
海人の表情にあるのはそれにはあまりにも似つかわしくないものだった。

(ちっ……これだけ時間をかけてこの程度とはな)

 あからさまに不満そうな表情を浮かべ、海人はキーボードから手を放した。

 荒れ狂う感情ごと吐き出すかのように、息を吐く。
 一度では足りず三度四度と繰り返したものの、その甲斐あって次第に気が静まってくる。
 ほぼ完全に平静を取り戻したところで、海人は仕上げとばかりに手近にあった緑茶を一気に飲み干した。

 ――――海人にとって眼前の成果は、あまりにも物足りないものだ。    

 確かにこの世界の魔法学からすれば画期的どころか、歴史的な成果だろう。
 例えば今しがた完成した上位光攻撃魔法の術式一つ世に出すだけで、戦場の常識が大きく変わる。
 現在最高効率と言われている上位光攻撃魔法と比較しても、威力は倍、有効射程も倍、
さらにただ狙った一方向に放つだけしかできない前者に対し、その数倍の効果時間のおかげで薙ぎ払うような使い方も可能、
挙句消費魔力は半分以下と比較する事すら馬鹿馬鹿しい差があるからだ。
 若干術式は複雑だが、世の有力な戦士たちはこぞって覚えようとするだろう。    
 利便性を考えると、他属性の攻撃魔法術式の多くも過去の遺物として忘れ去られかねない。

 が、それはあくまで普通の観点から見た評価。
 かけた時間と開発者が天地海人という点を考えれば、及第点とすら呼べない。

(……この世界にはない知識、万全の機材、実証実験に快く付き合ってくれる協力者、さらに侵入者すらいない環境。
これだけの条件が揃っていながら……なんとも無様な話だ)

 がしがしと頭を掻きながら、天を仰ぐ。

 既存術式の劇的な改良は、ある程度なら海人の世界における理系の有能な学者なら出来る。
 今の海人と同じ環境が揃っているという事が前提になるが、それさえあればそう難しい話ではない。
 この世界では未だ解明されていない物理現象や発見されていない数学的理論など、攻め口はいくらでもあるのだ。
 
 これまで海人が生み出した全ての成果と同レベルとなると不可能だろうが、
先程の上位光攻撃魔法術式程度なら十年もあれば十分可能だろう。

 そう―――――たった十年だ。

 いかなる分野においても、これは自分が百年生きても生み出せなかったと多くの研究者を絶望させた海人が、
他者がたった十年で生み出せる程度の成果しか生み出していないのだ。 

 それでも絶大な差がある、確かにその通りだ。
 そもそも生み出せる数が違う、それも正しい。
 依然化物である事に変わりはない、そうなのだろう。 

 だが――――本来ならもっと先まで進めるはず。
 否、進んでいなければおかしい。その確信がある。

 それが、まるで歩みを進める足が短くなったかのように届かない。
 速度を上げるべく走ろうとしても、走り方を忘れてしまったかのように走れない。
 目指すものは見えており、歩みを進めるだけなのに、遅々として進めない。
 
 最愛の妻、そして生まれるはずだった我が子と共に消えた探究心と研究への情熱。
 物心ついてからずっと共にあったそれが無くなった影響は、あまりにも大きかった。

(大事な者は、何があっても守りたい者はいる。だが……それだけでは足りん、か)

 目を閉じ、思う。

 この世界での友人、特にルミナスやシリル、宝蔵院姉妹は海人にとって非常に大事な人間だ。
 彼の手の届く範囲で彼女らに害為す者あらば、それが何であろうと全力を持って滅する程に。
 その為に避けられぬとあらば、全ての手札を切る事も辞さないし、
新たな手札を作る為に命を削る事すら迷いはしない。

 だが、それだけでは足りないのだ。
 
 かつての海人は、良くも悪くも研究自体は心の底から楽しんでいた。
 取りかかっている最中は、意識せずとも一切の雑念が消え、純粋に研究に夢中になっていられたのだ。

 今は、それがない。

 少し前までのように研究の先を思って虚無感に襲われる事は無いが、代わりに恐怖が襲ってくる。 
 特に魔法術式を考えている時は、あの最悪の事故を、その絶望を思い出し、恐怖に慄く。
 また自分の馬鹿さ加減のせいで全てを失うのではないか、と。     
  
 そのせいで本来確認する必要すらないはずの事まで確認せずにはいられず、
結果としてそれが研究の更なる遅れを招いている。

 不甲斐ない、馬鹿げている、頭では分かっているが、止まらない。
 そもそも、あの事故の時も少しでも影響のありそうな事は入念にチェックしていたのだ。
 それで事故が起こった以上、見通しが甘かったと言わざるを得ない。
 どう考えても関係ないとしか思えない事も、逐一チェックせずには気が済まないのだ。 

 それをせずに、またあんな事が起きれば。

 刹那達が使う魔法で、何か不測の事態が起きればどうなるか。
 もしも魔法が、彼女達自身に襲い掛かるような事になればどうなるか。
 上位ドラゴンすら一撃で仕留めかねない威力が、彼女らに降りかかればどうなるか。
 それを想像し、海人の体が震えた。

 そんな彼の背に、穏やかな声が掛けられる。

「……海人殿」

「……っと、刹那か。すまん、入ってきたのに気付かなかった」

 沈んでいた表情を微笑みに変え、背後に振り向く。
 そこには、先程までの苦悩の色は一切見当たらなかった。

「そうですね。御茶をお出しした事にも気付いておられないようですし」

 頭を下げる主の手元を指差しながら、苦笑する。

 先程海人が深呼吸を繰り返していた時に飲んだ御茶は、刹那が出した物だ。
 作業の邪魔をしないよう彼の死角から手に取りやすい位置に置いたのだが、
置いた時は勿論、まだ熱かった御茶を一気に飲んだ時でさえ気付いた様子はなかった。

 だからこそ―――刹那は先程から彼がどんな表情をしていたのか、全て知っている。

「……重ね重ね、すまん」

「御気になさらず。ですが、悩みや不安があるのであれば気にせず打ち明けていただきたいところです。
もちろん、無理にとは言えませんが」

「ま、そのうちな。私も男なんで、美しい女性の前では少し見栄を張りた―――――」

 ごまかすように笑う海人の言葉を、刹那が遮った。
 彼の頭部をすっぽりとかき抱くような、優しい抱擁で。
 
 何も語らず、ただ穏やかに包む。
 それだけだが、海人の心の焦燥も不安も、それに感化されるかのように消えていく。
 あくまでも自然に、優しく、ゆっくりと。

 やがて、海人は刹那の抱擁から優しく解放された。
    
「……ふむ、刹那。私としては嬉しいが、男の顔を胸に埋めるのは少しはしたなくないかな?」

「そうかもしれませんが、必要を感じれば躊躇う理由はありません。
ところで、今日はどうされますか?」

 本当に余裕を取り戻せたらしい主のからかいを澄ました顔で軽く流し、訊ねる。
 が、海人の視界に映る彼女の頬は、朱に染まっていた。
 
「……そうだな。どうも今日は集中しきれそうにないし、カナールに美味い物でも食べに行くか。
折角だし、普段は行かないちょっと値の張る店にしよう」

 刹那の気遣いに心の中で感謝しながら、海人はそんな提案をする。
 情けない主の傷に無闇に触れぬよう、だがしっかりと支えようとしてくれる彼女に、少しでも報いる為に。

 そんな主の思いを見透かすように微笑み、刹那はゆっくりと頷いた。   
   
コメント

自分が作った物に不満を持つ話かと思えばシリアスになったかと思えばイチャイチャ(?)話になったり飽きさせない話といえばそうですね。
海人もトラウマになってるのかまだ吹っ切れていない様子。色々キツそうですねぇ。
しかし、海人が作った術式がまだまだ海人の本気にはほど遠いというのは驚きですね、ならば本気ならどんなのが作れるのかって。

追伸
質問ですが、ローラやシリル、シェリスの得意属性ってなんですか?
[2016/05/09 07:22] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]

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[2016/05/12 11:34] | # [ 編集 ]


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