ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編+7話誤字修正。5/16
というわけで番外編と7話の誤字修正です。
番外編は珍しい、というほどではないネタになります。
7話の誤字はご指摘いただいて気付いたんですが、ガーナブレストの位置は南です。北ではありません。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


コスモさん

飽きさせない話、というよりとっ散らかった話ですね(汗)
番外編は勢いとノリで書いてますが、思いっきり悪い方に出ましたね。
海人、あれでもまだまだ本調子には程遠いです。
根幹部分がごっそりなくなってほとんど回復してないので。
温かい環境で少しずつ戻ってはいますが。

御質問の件ですが、ローラは火、シリルは水、シェリスは光です。
とはいえ、得意属性は現状あまり意味がありません。
そこまで極端な効果の差はないので。


次話ですが、早ければ次回、遅くともその次には更新できそうです。
次回というのはかなり調子が良く、私生活で問題が起きなければなので、現実的にはその次になると思います。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。












 番外編



 その日、ラバック・アズボーンは上機嫌だった。

 借りたばかりの広い部屋で、買ったばかりの高級ソファーに背をあずけながら、
先程買ってきた上物の酒を浴びるように飲み、前々から食べてみたかった極上のつまみを頬張っている。
 その周囲では彼の仲間も同様に高級な食物を食い漁っている、とまるでランクAの冒険者のような贅沢ぶりだ。

 ――――本来、こんな状況はありえない。

 彼も冒険者だが、そのランクはC。
 それも、どちらかと言えばその中でも下位のグループに入る。
 三流ではないが、十把一絡げ、掃いて捨てる程いる人間の一人だ。
 周囲の仲間も同様で、全員集まったところでランクBの冒険者にすら届かない。
 高い報酬の依頼を受ければ良くて違約金、最悪あの世行き。
 そんな程度でしかないのだ。
  
 それがこんな事が出来ている理由は、ひとえにラバックに入った臨時収入のおかげ。
 前々から仕込んでいた事が成就し、上手く大金を手に入れる事が出来たのだ。
 それも並の大金ではなく、慎ましくなら一生働かずに暮らせる額である。

 その一番の功労者である女―――サロメ・アランガルは、ラバックの隣で呆れたように肩を竦めていた。

「……ラバック、贅沢するっつっても限度があると思うわよ?」

「なーに馬鹿言ってんだ。全体から見りゃほとんど使ってねえだろうが」

「そりゃそうだけどねぇ……仲間にまで贅沢させたら、いくらお金があっても足りなくなるわよ?」

「んな心配しなくても今日限りの贅沢だし、仕事やめるわけじゃねえよ。
明日良い武器揃えたら、残りの金は貯めて普通に稼ぐんだし、大して影響ねえさ」

「良い武器ってのは高いんじゃないの? 買って元取れるわけ?」

 サロメは心配そうに訊ねる。

 一見堅実に聞こえなくもない言葉だが、冒険者が良い武器を買うというのは一種の博打だ。
 良い武器というのは総じて高価な為、元を取る為には高報酬の、
つまりは難度の高い依頼を多く受けなければならない。
 当然死のリスクは跳ね上がり、生きて帰ってこれない可能性は高くなるだろう。
 
 ランクCに長年燻っているラバック達では、元を取る前に死んでしまうとしか思えなかった。 

「当ったりめえだろうが! 俺らが長年Cランクに甘んじてんのは武器が悪いからだ!
武器さえ良いのがありゃあ、今年中にはBランクにだって昇格してやるぜ! なあ、みんな!」

 ラバックが呼びかけると、おおっ! と威勢の良い声が返ってきた。

 これまでは、安い武器で戦う他なかった。
 自分達の手が出る範囲の高級武器では定期的な専門店による手入れと慎重な取り扱いが要求され、
維持費もかかり、少しミスをしただけで武器が壊れる恐れがあり、
使い捨てのつもりで安い武器にした方が稼げたからだ。

 が、今手元にある金があれば、素晴らしい武器が買える。
 
 例えば、ドラックヴァン鋼の剣だ。
 大型の魔物の一撃を受けても折れず、曲がらず、中位ドラゴン相手に振るっても滅多に刃こぼれもしないと聞く。
 しかも重量があるため、威力も凄まじく高いという。
 そしてその強靭さゆえに、手入れも簡便で自前で手入れしているだけで一生使えるらしい。
 かの《黒翼の魔女》も愛用しており、彼女の得物は何年もそれから変わっていないと聞いている。

 それほどの武器があれば、これまでと違い武器の耐久度を気にする事無く全力で戦えるはずだ。
 余計な事に気を回さなくて良くなり、その分戦闘力だって高くなる。
 今年中にランクBというのも十分現実味があり、いずれはランクAに達する事も夢ではない。
 ラバックは、そう確信していた。

 自身に満ち溢れたラバックの姿に、サロメはほっと息を吐き、彼の胸に頭をあずける。 

「それなら私も安心だわ。頑張って稼いでね?」

「おう、任せとけ! はっはっは!」

 頼もしそうに笑うラバックにつられ、彼の仲間たちも豪快に笑い始める。
 部屋中に大きな笑い声が響き熱気が満ちていくが、、

「いやいや、それは無理っすよ?」

 突如割って入った声が、それを冷やした。

 ラバック達が慌てて声のした方向に視線を向けると、微笑みながらチーズを摘まんでいる人間の姿。
 一瞬前までそこにいなかったはずの人間が、暢気に酒とつまみを楽しんでいた。

 その姿は、控えめに言っても美しい。
 凛々しい顔立ち、穏やかな微笑み、すらりとした体躯。
 食べる仕草も洗練されており、動きの一つ一つに気品がある。
 そして軍服のような衣装が、その貴公子然とした印象をさらに強めていた。 

 町を歩いていれば女性に声を掛けられること間違いなし、そう思える姿だ。

「てめえ何者だ! いつのまに部屋に入りやがった!」

 仲間たちと共に武器を抜きながら、ラバックが問う。
 
 いくら気を抜いていたとはいえ、自分達は冒険者。
 魔物が跋扈する野外の寝泊りも日常茶飯事であり、警戒能力は高い。
 そんな人間が六人もいるのに、この男はいつのまにか部屋に入っていた。

 まともな人間であるはずがない。

「や、ふつーにそこの窓から入ってきたんっすけどね。
ま、どーでも良い事ですし、本題入らせてもらうっすね。
エアウォリアーズ第二部隊隊長、アンリエッタ・マーキュレイっす。
そこの女が盗んだ同僚の金を返してもらいましょうか?」

 言いながらくいっと残っていたグラスを一気に干すと、男―――もとい、男装の麗人はゆっくりと立ちあがった。

『っ!?』

 ラバック達の目が、思いっきり見開かれた。驚愕と、恐怖で。 

 盗んだ、それは事実だ。
 ケルヴィン・マクギネスの恋人だったサロメが、彼から預かっていた金を持ち逃げしたのである。
 彼女は随分前にラバックに心変わりしており、ケルヴィンの金をかすめ取る機会をうかがっていたのだ。

 しかし、実行したのは三日前の話である。
 当然ながら逃げる際は極力痕跡を消すようにしており、追いつく事自体が至難のはずだ。
 それがこの短期間で追いついてきたなど、到底信じられる話ではない。

 そして、追手がアンリエッタ・マーキュレイというのは最悪だ。
 《黒翼の魔女》には及ばないらしいが、それでも戦場で数多の屍を積み上げてきた超人。
 その戦闘力は並の騎士団では到底歯が立たないと言われ、性格はエアウォリアーズで最も残酷だと言われている。
   
 さらに、彼女が傭兵というのも状況を悪化させている。
 
 傭兵というのは、基本的に対人戦の専門家だ。
 魔物と戦う事の方が多い冒険者とでは、対人の経験値が圧倒的に違う。
 万が一のまぐれも期待できないだろう。

 絶望感に覆われていたラバック達だったが――――そこで気付いた。

 アンリが、丸腰である事に。
 服装こそ動き易そうなものだが、純然たる素手。
 これならば武器を持つ自分達がリーチで勝り、勝ち目もあるはず。

 そう思った彼らは目配せをすると、一斉にアンリに襲い掛かった。

「おやおや、随分と無謀っすねぇ」

 小さく肩を竦めると、アンリは手近にあったステーキナイフを手に取った。
 特に何の変哲もない普通の物で、切れ味も良くはない物である。

 ――――が、それは普通の人間が手にしていればの話。

 アンリは、剣で襲い掛かって来た男に向かってナイフを振るった。
 肉体強化で強靭化していたはずの彼の指が切断されるが、その代償のようにナイフが折れる。

 しかしアンリはすかさず握りの甘くなった剣を奪い取ると、
続いて襲いかかってきた男達に向かって振るった。

 剣が、槍が、斧が、槌が、まるで温めたバターのように切断されていく。
 あまりにもあっさりとした武器破壊に驚く間もなく、男達はすれ違いざまに打ち込まれたアンリの拳に意識を断たれた。

 最後に残ったラバックとその背後に隠れるサロメを見て、アンリは微笑む。

「とまあこんな感じで、武器がヘボでも戦い方なんていくらでもあるんっすよ。
こんぐらいのなまくらでも、腕がありゃ中位ドラゴンもギリギリやれない事はないっす」

「……何が言いてえ」

「安物の武器だから低ランクで燻ってるなんてのは違うって事っすよ。
単に腕がないから上に行けないだけ。良い武器持ったって宝の持ち腐れっすね」

「てんめぇぇぇえええっ!」

 激昂して剣で襲い掛かるラバック。
 怒りゆえか、その速度は普段の彼よりも数段速い。 

「遅すぎるっすね」

 アンリは、ぽいっと剣を捨てると拳でラバックの剣をへし折った。
 そして逆の拳ですかさず彼の顎を打ち抜き、意識を打ち砕く。

 その隙に逃げようとするサロメだったが、
その瞬間折れ飛んだラバックの剣の刀身が彼女の眼前に突き立ち、腰を抜かした。

「さーて、実行犯のあんたはどうするっすかね?」

「ひっ……!」

「まーまー、そんなに怯えなくていいっすよ。
まだ大して散財してないみたいっすから、全員の資産吐き出させて売れる物売りとばせば、
盗まれた額は全部戻ってくるっすからね」

 軽い調子で笑うアンリ。
 その態度にサロメが安堵の息を吐きかけた瞬間、

「だから、命だけは見逃してやるっす」

 ぞっとする程冷たい声と共に、サロメの意識は闇に消えた。





 一時間後、アンリは同じ町の酒場で部下と一杯やっていた。

「にしても、隊長の予想通りの結果になりましたねぇ……」

「あんだけ条件が揃っててならない方がおかしいっすね。
とはいえ前もって準備しといたおかげで結果として金銭的被害はなし、むしろプラス。
何ら問題はないっすね」

 もうけもうけ、と言いながら、グラスを傾ける。

 なかなか、上物の酒だ。
 先程の連中が開けていた酒には及ばないが、寝酒としては上等すぎる。
 取り立てた余剰分で飲んでいる酒なのだし、文句のつけようもない。

 上機嫌そうな上司に、アンリの部下は呆れ混じりの視線を向ける。

「それにしちゃあ、随分と罰が苛烈だと思うんですけど?」

「そっすかね? あの懲りないフラれ虫が毎度のように浮気されただけなら罰与える意味もあんまりないっすけど、
今回は貯金の持ち出しやらかしてるんっすよ?」 

「……まあ、確かにその通りですね。こっちの手回しで被害がなかっただけで、
連中が出そうとした被害は凄まじかったですわけですし。
命取られなかっただけマシとも言えますか」

「そーいう事っすよ。何の問題もないっしょ。
あ、このお酒もう一杯くださーい!」

 本気で気にした様子もなく、追加注文するアンリ。
 その笑顔を見ながら、アンリの部下はこの上司には逆らうまいと思いを新たにしていた。
 
 アンリが連中に与えた罰は、非常に厳しい。
 男も女も強い薬でしばらく眠りっぱなしだが、目覚めた時が地獄だ。
 なんせ治安が非常に悪い上、異性、あるいは同性に飢えている連中がうようよしている場所に、
彼らの嗜好をそそる姿にされて身動きできない状態で放り込まれるのだから。

 その気になれば官憲に窃盗犯として突き出せたのにそれをしなかった理由は、
この国だと実害がなかった事で罰が軽減される可能性が高いからだが、
そこでこれ幸いとばかりにあんな罰を下す精神性も、下せる人脈もあまりに恐ろしい。
 
(つーか、つくづくケルヴィン隊長はお気の毒だよなぁ……いやまあ自業自得の面もあるんだけど。
どうかいつかは幸せになれますように……)

 酒を飲みながら、心の中で別部隊の隊長に祈りをささげる。
 この先も色々と苦難が続くであろう彼に、幸あれかしと。
 
 ―――この上司がいる以上無理だろう、とは思いつつも。
      
 
 
コメント

更新お疲れ様です。毎週楽しみにさせていただいております。
いつか過去を受け入れ、乗り越えた海人の全力全快の能力が見られる日を楽しみにしています。

更新速度は心身が第一ですので、待っています。
ただ5年10年待つのはかなり寂しいかな




[2016/05/16 03:06] URL | あぷ #- [ 編集 ]


…とりあえず、罰の厳しさ云々はノーコメントということで。
また、見る目のない女に引っかかったものですねぇあのままケルヴィンの彼女でいた方が幸せになれると思うのに…アンリの行動がいまいち読めないんでよくわかりませんが。

追伸
海人の世界だと未発見なUMAでもこの世界では珍しいがそれだけな生き物ネタとかいかがでしょう?…逆パターンもありかもしれませんね。
[2016/05/16 08:18] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]

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[2016/05/17 20:54] | # [ 編集 ]


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