ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編+番外編セット
というわけで、番外編と番外編セットです。
番外編の方は場面はともかく、展開がやや珍しいかもしれません。

では、コメント返しさせていただきます。


コスモさん

クレイアはルミナスの上位互換とはちょっと違うかもしれません。
得物が刀と剣で根本的に戦い方が違いますので。
分野は違えど卓越した技巧ゆえに、学ぶところが多いってとこでしょうか。

早めに出さざるをえなかった、というより早めに出してしまったのは最古参メイドですかね。
設定多い連中なので、もっと小分けに出すべきだったかと思ってます。



さて、次話ですがとりあえずは大筋がほぼ出来上がりました。
明日、というか今日でどれぐらい書き進められるかが勝負ですね。
書きながら大筋を変更する羽目になる事もままあるのが不安材料ですが。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。






 番外編



 海人には、酒をあまり飲まない習慣が根付いていた。

 味が嫌い、というわけではない。
 お茶の方が好きだが物の良し悪しは分かるし、それを楽しむ心も一応持ち合わせてはいる。
 執着こそないが、嫌いなわけではない。

 子供の頃に聞いた、アルコールが脳細胞を破壊するという話を信じているわけでもない。
 酒を飲み始めた頃にそんな話を気にした事はなかったし、そもそも随分前に否定された説だ。
 大量飲酒をすれば悪影響もあるだろうが、海人からするとそこまでいけば味も分からないので飲む意味がない。

 では何故かというと――――単純に、かつては飲酒している時に限って碌な事が起きなかったからだ。

 例えば友人―――のちの妻であるエミリアに連れられてバーに飲みに行った時の事。

 最初は、良かった。
 勧められて飲んだ酒はどれも美味かったし、つまみのチョイスも抜群。
 稼いだ金を惜しみなく使って美食を楽しんでいるだけの事はある、といたく感心した。
 出掛けるために面倒な手間が必要になったが、それぐらいの価値はある、そう思っていたのだ。

 が、酔いが回り始めた事に悲劇が起きた。

 とある国の諜報員――――上の命令で海人を襲撃し、悲惨な末路を迎えた男の息子が偶然そこにやってきたのである。
 そして運悪く海人に気付き、消えた父が最後に関わったはずの青年を問い詰めようとした。
 騒ぎは起こさぬよう静かに、だが懐に仕込んだ銃をちらつかせながら。

 それだけならまだ良かったのだが、続いて別の客がやってきた。

 ほんの一月前、エミリアによって壊滅させられた暴力組織の生き残り達が。
 海人にとって非常に忌々しく運のない話ではあるが、彼らが訪れたのもただの偶然。
 エミリアがいると見立てていたわけではなく、次の職場が見つからず沈んでいた気分を癒そうと入った店に、たまたま海人達がいたのだ。

 海人は出掛ける前に様々な情報操作を行って自分とエミリアの居場所が分からないようにはしていたが、
どちらか片方でも狙ってくる可能性がある人間の位置全てを把握していたわけではなかった為、偶然までは防げなかったのである。
    
 その後は、本当に酷かった。
 エミリアを見た瞬間銃を抜いた連中と国家諜報員が銃撃戦を始め、お洒落で静かなバーは地獄と化したのだ。

 綺麗に整列していた酒瓶は次々に打ち砕かれ、その中身をぶちまけていく。
 安酒、高級酒、さらにはビンテージ物の名酒さえもが平等に砕け散っていった。
 照明も店の雰囲気に合わせて厳選したであろう美しい物だったが、やはり銃弾で次々に粉々。
 年季の入ったマホガニー製のバーカウンターも弾痕まみれで見るも無惨な有様。
 客用の椅子も値が張っただろうに、どれもこれも盾に使われたり投げられたりで壊れていく始末。

 それに止めを刺したのが、ほろ酔い気分だった海人とエミリア。

 まず良い気分だったところをぶち壊されて静かに怒り狂ったエミリアが、殲滅を決意。
 そんな彼女に、同様に怒りさらにほろ酔いで微妙に気前が良くなっていた海人が自作の武器を進呈。
 それらによる爆発と銃撃の乱舞によって、二人の敵対者達だけでなくかろうじて面影を残していたバーも完全に壊滅した。

 おかげで、酔いが醒めた海人は流石に短慮だったと猛省する羽目になったのである。 
  
 唯一の救いは、泡を吹いてぶっ倒れていた店主の横に弁償代として置いてきた金の使い道。
 海人が後に調べたところ、店主はそれを使って備品を揃え店を再開したという。
 流石に申し訳なくて再度訪れる気にはならなかったが。
 
 とまあ、これは比較的規模の大きい話ではあるが、大体酔っ払う時に限って何かの揉め事が起きて大概碌な結果にならなかったので、海人はなるべく酒を飲まないようにしていたのである。  
 
 が、それはあくまでも元の世界での話。
 命どころか身柄を狙う者もいないこの異世界では、海人も深くは気にせず酒を飲んでいる。 

 友人達と飲む酒は思いのほか楽しく過ごしやすい時間なのだが―――今日は少し違った。
 
「あ、カイト、グラス空いてるじゃない。もうちょっと飲む飲む~♪」

 言うが早いか、ルミナスはなみなみと海人のグラスに赤ワインを注ぐ。
 結構酔いが回っているらしく、彼女の口調は普段より更に明るく陽気だ。

「……ありがとう。だがルミナス、もう少し離れてくれんか? ちょっと暑い」

 礼を言いつつ、海人はルミナスの肩を軽く押す。

 酒を注いでくれるのはいい。
 まだまだ本格的に酔うには遠いし、ルミナス程の美女の酌となれば酒の美味さも増すというもの。
 さらに今は元々愛嬌のある美しい顔に、ほんのり赤く染まった頬がささやかな色気を加えており、普段と違った魅力が現れている。 
 これほど酒を楽しむに良い状況はそうそうあるまい。

 が、ちょいとばかり距離が近すぎた。

 現在ルミナスの顔は、海人の真横にある。
 それもふとした拍子に頬がくっつき、気を付けねば彼女の唇が海人の頬に触れるような位置に。
 しかも何が楽しいのか、ルミナスは時折むにむにと海人の頬に自らの頬を押し付けてくる。

 それ自体は所詮酔っ払いのする事だし、感触的にはむしろ心地良いので構わないのだが、
問題はそれを見て海人にどぎつい視線を向けてくる人物が正面にいる事だ。

 今はくぴくぴと極甘口のワインを飲みながら睨みつけているだけだが、
視線に含まれる憤怒が限界に達したら左手に持ったワインの瓶で海人の頭をかち割りかねない。

 なのでとりあえず後戻りができそうな内にルミナスから距離を取ろうとしたのだが、
 
「やだ。あんた、ほっとくと一人で静かにちびちび飲んでる事あるじゃない。
折角みんなでいるんだからみんなで飲むの!」

「分かった分かった、ここから動かんから離れてくれ」

「やだ、あんたの頬っぺた結構気持ちいいんだもん。満足するまで放さな~い♪」

 むにむに~、と言いながら、再び海人の頬に自分の頬を押し付けるルミナス。
 それに伴い、海人の正面にいるシリルの形相が筆舌し難い程に歪んだ。

「ふふふ、ふふふ、うっふふふふふふふふふふふふ……!
ああ、羨ましいですわねぇカイトさん。楽しそうで何よりですわぁ?」

「あ、シリルさん、瓶に罅入ってますから変えますね~」

 この世の者とは思えぬ恐ろしい形相をしたシリルの手から雫がワイン瓶を奪い、別の瓶を渡す。
 助けて、と視線で合図する主から目を逸らしつつ。

「……その、ルミナス殿、シリル殿の頬の方が気持ちいいのでは?」

 明らかに冷や汗を掻いている主に、刹那が助け舟を出す。
 
 刹那の言葉に、海人の表情がにわかに輝いた。
 苦し紛れだったのかもしれないが、素晴らしい助け舟だと思ったのだ。
 れっきとした成人男性である海人より、二十歳でありながら子供のようなすべすべほっぺを持つシリルの方が感触は良いに決まっている。
 さらに今のルミナスをシリルに向ける事が出来れば彼女の機嫌はあっという間に改善され、超絶上機嫌になるだろう。
 今海人に抱いているであろう嫉妬心が霞んで吹っ飛ぶほどに。

 護衛の素晴らしい機転に海人は内心で喝采を上げたのだが、

「や~よ。シリルにやったらキスとかしようとするに決まってるもの」

 ルミナスの反応は、海人の期待とは真逆であった。
 それどころか、やっぱこっちよね~、とまたしても海人に頬を押し付けている。

 そして、シリルの形相はもはや幼児が見たら一生夢で魘されそうな域に達した。
 
「……貴方は良い友人でしたわ、カイトさん」

 グラスを置き、ゆっくりと立ち上がる。
 羨ましすぎる友人にその幸福と釣り合う痛みを与える為に。

 そして景気づけのように左手に持ったワイン瓶に口をつけ、一気に―――

「ぶほぅっ!? げほっ!? ごほっ!? がはっ!? く、口がぎゃぁぁぁぁあっ!?」

 飲み下そうとして、激しく咳き込み床を転げまわった。
 その衝撃の度合いを示すかのように、彼女の目からは涙が溢れ、舌が突き出されている。
 形相と相まって、もはや人間というより新種の魔物のような顔になっていた。
  
「……雫、お前シリル殿に何を飲ませた?」

「んっふっふ、雫ちゃん特製激辛酒。思いつく限りの辛い物のエキスたっぷり混ぜたんだ♪」    

「それだけか?」

「後はベースのお酒がこの間お姉ちゃんが試飲して一口で吐き出したお酒だって事かな♪」

「そこまでやるか!?」

 無邪気に悪魔のような発言をする妹に、刹那は思わず締め上げた。

 雫の言っている酒は、とんでもなく強い酒だ。
 その強さたるや刹那が一口だけ飲んでみようとして、とても嚥下できず吐き出すほど。
 なんでも、海人の世界で一番強い酒らしい。 

「シィィィズゥゥゥクゥゥゥざぁぁぁぁんっ!?」

「いや~、まさか一気するとは思ってなかったんでって危なぁあぁぁぁっ!? 
可愛いお茶目じゃないですか! 暴力反対ぃぃっ!」

 シリルが振り下ろしてきた剣を、紙一重で避けながら抗議する。
 当然ながら、聞き入れられるわけがない。 

「どぉこが可愛いお茶目ですのぉぉぉぉぉっ!?」

 憤怒を滾らせたシリルの一太刀を、雫は再び紙一重で避ける。

 このままではまずいと判断したのか、雫は脱兎のごとく部屋から逃げ出した。
 シリルもまた、逃げた彼女に一太刀浴びせようと部屋を後にする。

「……助かったわけだし、雫には後で御褒美をやるべきかな?」

「あんな物がこの場にあった事を考えれば、たまたま都合のいい標的がシリル殿だったのでしょう。
嫉妬心で注意力も散漫になっていたでしょうし」

 明らかに分かっていながら問いかける主の言葉に、律儀に答える刹那。

「だな。さてルミナス、そろそろ離れて……ん?」

「すー、すー……」

 海人の怪訝な声に返ってきたのは、ルミナスの寝息。
 彼女は気持ち良さそうに頬を緩めて寝入っている。
 
 海人は苦笑すると近くのソファにルミナスを横たえ、毛布を掛けてやった。

「……さて、刹那。もう少し飲むか?」

「是非。お注ぎいたします」

 主君の言葉に嬉しそうに頷くと、刹那は恭しく海人のグラスに酒を注いだ。
 窓の外から聞こえる妹の悲鳴を、思考の外においやりながら。

 
コメント

うむ、酒を飲んでも呑まれるなという感じですね。しかし、組織を壊滅させたって…前から思ってたんですが、海人の死んだ奥さんとルミナスは結構似てたんですね。

追伸
世界中を旅する旅芸人一座ネタはいかがでしょうか?
[2016/10/10 07:39] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


番外編セットどうもありがとうございます。

今回のが比較的規模の大きいものなら最大規模はどんな惨事やら。
ルミナス、頬擦りしたこと忘れなかったら朝に悶絶してそうですね。(笑)
[2016/10/10 11:44] URL | fuji #- [ 編集 ]

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[2016/10/14 07:51] | # [ 編集 ]


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