ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編+番外編セット
というわけで番外編と番外編のセットです。
さして珍しくはないネタになります。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


 さん

雫にVR体験は危険かもしれません。
反射的に攻撃魔法使う恐れがありますので。

コスモさん

ゲイツが慢心消された事件も書きたかったりする今日この頃。
読んでる側からすると命が惜しくないのかーと言いたくなる内容になりますが。

もつ鍋……実は食べた回数が少ないんですよねぇ。
味がうまく描写できない可能性高いんで、書くとしても時間かかりそうです。


次話ですが、次回は更新できそうです。
とりあえずワンクッションぶちこんで色々弄った結果、その前よりしっくり来てるので。
後は細かい調整だけ……のはずです(汗)
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。



 番外編



 シェリス・テオドシア・フォルンは貴族である。
 それも建国時代より続く、由緒正しき公爵家の一人娘。

 その血筋に恥じぬよう、彼女は数多の労力を費やしている。
 貴族令嬢としては当たり前の礼儀作法は勿論、歌や踊りもそつなくこなす。
 教養においても当主たる父が舌を巻く程の次元で身に着け、護身術も多少心得がある。
 表向きはただの優秀な公爵令嬢で通しているが、技術の習得には並々ならぬ熱意を燃やし、
出来ない事というのはそうそうない。

 かつてはそう思っていたのだが――――現在彼女は自分の世界の狭さを痛感させられていた。

「シェリス様、違います。来る前に説明したように、ソイルスネークの処理はまず生きたまま水に漬け込む事から始めます。
そうしなければいかに捌こうと泥臭さが消えず食べられた物ではありません」

「つ、漬け込むって……容器がないでしょう?」

 淡々と窘めてくるローラに、シェリスはおずおずと反論する。

 ソイルスネークは土中を根城とするただの蛇だが、サイズが大きい。
 生きたまま水に漬け込むとなれば標準的な寸胴ぐらいの容器が必要だろう。
 生憎、この場にそんな気の利いた物はない。

 シェリスの屋敷ならともかく――――ここは人里離れた深い森の中なのだから。

「何の為の土魔法ですか。穴を掘り周囲を土魔法で固めれば、短時間なら土が溶け出さない即席容器が出来上がります。
五分ほど綺麗な水に漬け込むだけで良いのですから、ソイルスネークの処理には十分です」

 説明すると、ローラはスッと地面を指差した。
 いいからさっさと掘れと言わんばかりに。

 溜息を吐き、シェリスは穴を掘り始めた。
 肉体強化した己の指を使い、犬のように勢いよく掘り進めていく。
 当然土塗れになるが、彼女にその事を気にした様子はない。
 他の貴族令嬢が見たら悲鳴を上げそうな姿だが、この程度を気にしていてはシェリスの一日は到底終わらないのだ。 

 一分ほどして掘り終えたシェリスは、言われた通り土魔法で穴を補強する。
 すると見る見るうちに整っていなかった穴の形が整い、拳で軽く殴ってもびくともしなくなった。

「そんなところですね。ただし、余裕がある時は穴を掘るところから土魔法を使うのもいいでしょう。
若干魔力を余計に消費しますが、その分体力の消耗は抑えられます」

 淡々と解説するローラに、シェリスは頷きを返す。

 そして水魔法で穴に水を張り、その中に先ほどのソイルスネークを放り込んだ。 
 暴れるソイルスネークを眺めながら、五分待つ。

「……五分。さて、これで後は捌くだけ、と」

 呟きながらシェリスは蛇を水中から引き上げ、手に持ったナイフで首を落とし、捌き始めた。
 手つきはたどたどしいながらもナイフの切れ味は十全に発揮しており、作業速度は速い。
 今日初めて生き物を捌くとは思えない速度だ。
 
「それなりにナイフも扱えるようになったようでなによりです」

「そりゃあ、あれだけ鍛えられればね……」

 手は止めぬまま、答える。

 元々、シェリスはナイフを己の武器としていた。
 公爵令嬢という立場上誰かに狙われる可能性は低くないのに、
武器をあからさまに携帯するわけにはいかないからだ。
 その点ナイフならスカートの中に隠せるので、大概の場所に持っていける。

 実際に使うことを想定しての事だったので、当然修練も積んでいた。
 護身術としては十分だろう、そう己惚れる程度には。

 が、ローラの鍛錬が始まってその慢心は消滅させられた。

 戦闘力の基本となる身体能力の圧倒的な不足。
 それを補う為にある技量の絶望的な未熟さ。
 実際に命がかかった時に委縮を抑えられない心。

 それらを徹底的に思い知らされ、要求レベルまで強制的に届かされた。 
 今ではちょっと強い猪型の魔物が突進してきたぐらいなら落ち着いて返り討ちにできる。
 それに比べれば、ただの蛇を解体するなど大した難度ではない。

「一応申し上げておきますが、マシになったとはいえ今のシェリス様はまだ本格的な鍛錬の土台すら出来ておりません。
護身術として最低限のレベルに達するには、最低でもあと五年はかかるでしょう」

「……今でも国軍の兵士の平均レベルぐらいではあると思ってたんだけれど」

「それよりも幾分落ちます。そして仮にそうだったとしても、
そんな程度では貴女が目指す御立場はおろか、今の御立場ですら護身術としては不十分です」

「どういう意味?」

「多くの人間と関わる以上、裏切りは付きものです。
金による買収、異性による篭絡、はたまた人質を取られての裏切り、可能性はいくらでもございます。
そして護身術というのは最悪の場合に使用するものです。
つまり移動中に襲撃を受け、護衛さえも裏切ったような場合も想定する必要があります。
たかがこの国の兵士の平均程度で生き延びるなど、夢のまた夢でしょう」 
   
「……その想定は流石に過剰じゃないかしら? 
私の護衛は貴女達なわけだし、裏切られたらその時点で私の人生終わるじゃない」

 難しい顔で、唸る。

 言わんとするところは分かるのだが、ローラの言う想定は無意味に近い。
 今シェリスの護衛を務めている人間の誰か一人でも裏切れば、
そしてその時他の護衛が誰もいなければ、シェリスの命は潰える。
 足掻くだけ無駄どころか、仮に近くの騎士団なり自警団なりが助けに入ったら余計な屍が増えてしまう。 

 それならいっそ護身術など身に着けず、素直に死んだ方が被害は少なく済むだろう。

「これから実績をあげていけば、御立場上一時的に私共以外の護衛にせざるをえない事も多くなるでしょう。
主にそういった時の為の対策でございます」

「……その一環がこの野外生活、と。
まあ、呑気に調理してる間に追いつかれそうな気がするけど」

「かもしれません。ですが、食事をとらねば逃げ足も遅くなります。
また、睡眠をとらずに動けば消耗は増し、逃げ足ばかりか判断力まで損なわれます。
逃げる際にもっとも重要なのは、適切な休息とその為の場を確保する事です。
ゆえに他にも教える事は多々ございますが、今日のところは食材確保と調理だけです」

「食材確保、ね……ソイルスネークってどこにでもいるの?」

「様々なところに生息している為見つけやすいのは事実ですが、どこにでもいるわけではありません。
今日はあくまでもさわり程度であり、全体の一割にも程遠いです」

「……先、長そうねぇ」

 手を止め、天を仰ぐ。

 今日だけでも、結構覚える事は多かった。
 メインはソイルスネークだが、それに使うハーブの類も一緒に採取したのだ。
 毒草との見分け方などで結構な時間を費やしているのに、これで全体の一割に届いていないとなると、
正直終わりが全く見えなかった。
 
「はい。並行して、そもそも危機に陥りにくいようにもいたしますので、さらに時間がかかります。
十五年前後で目途はつけたいところですが」

 しれっとローラの口から語られた年数に、シェリスの意識が一瞬遠のく。

 これまででもかなり苛烈な人生なのに、これがあと十五年以上。
 成長の実感はあるとはいえ、ものすごく重々しい数字だ。

 が――――今更投げ出すという選択肢はない。

 全てはシェリスが自ら決めた事。
 己の求める未来の為に人を選び、教えを請い、突き進んでいる。
 ローラは厳しいが、それも無茶な依頼をきっちり遂行しようとしているにすぎない。
 いかに苦しくとも、投げ出すなど許されない。

 非才な自分が超人と呼ばれる域に至る事はないにしても、その手前ぐらいには必ず至って見せる。
 そんな強い決意を秘め、シェリスは再び作業に戻った。

 ――――この時のシェリスは、知らない。

 この日から十年もせず、この時の自分が超人と思っていた域に至る事を。
 王城の近衛兵がまとめて襲ってきても、生き延びるどころか返り討ちにしてしまえる域に辿り着く事を。
 野外で確保できる様々な食材やその調理法を数多会得し、あまつさえ大概の毒には耐性が出来てしまう事を。

 この時のローラが課していた鍛錬がどれほど優しく生温かったのか――――シェリスがそれを知るのはまだ先の話である。 

 

 



コメント

本編前の訓練の話ですね。
たらればは考え出すと切りがないですが、その中から可能性が高いものをチョイスしていってそれに対抗するための訓練を施して~でいけばなんとかなりますよね。…まあ、耐えられればの話ですが。

追伸
激辛料理ネタはいかがでしょうか?
[2016/10/24 12:20] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[2016/10/25 00:57] | # [ 編集 ]

更新お疲れ様です
次回更新楽しみにしてます。
ふと本編読み直して気づいたのですが、今章の問題、シリル初登場時以降幾度となく伏線が散りばめられていたのですね。
[2016/10/30 10:25] URL | 名無しの権兵衛 #y2a4lNMg [ 編集 ]


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