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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編
というわけで番外編です。
今回は本編前の話で、やや長めになります。
少しばかり定番からは外れてるかもしれません。
思い付くままに書いたので、矛盾等あるかもしれませんが、寛大な心で読んでいただけると幸いです。

次話なんですが、ひょっとしてなくてもかなり長くなりそうです。
書きたい要素と書かなきゃいけない要素がかなりの量でして。
色々削っても、多分普段の1.5倍以上の分量に(汗)
とはいえ、筆は進んでるので次回か遅くともその次には更新できると思います。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。







 番外編


 質素な安アパートの一室。
 窓を開ければゴミ捨て場の匂いが侵入し、部屋を歩けば妙に危うい感触、
おまけに両隣の薄い壁からは隣人たちの生活音が響き渡る。
 
 ――――そんな部屋が、エミリア・クレアラントの住居だ。

 入居した時に比べれば両隣と懇切丁寧に話をしたおかげで騒音はマシになったが、
それでも劣悪と言う他ないだろう。
 一応エミリアの部屋は綺麗に掃除してあるが、それだけ。
 建物それ自体のオンボロ具合などはどうにもならない。

 もっとも、エミリアにとっては都合が良い。

 ここならば刺客が来ても何の遠慮もなく暴れられる。
 気を遣わねば容易くぶっ壊れる建物は戦術の幅を広げてくれるし、
なにより住人が多く、例外なく麻薬密売人などのろくでなしというのが良い。
 大概の攻撃に対して有効な盾が豊富という事なのだから。
  
 とはいえ、それでも室内に害虫や害獣が侵入しては安眠できない。
 周囲に来た瞬間反射的に叩き潰してしまうので実害はないが、その都度眠りが浅くなる。

 いくらなんでもこれは健康によろしくない、と思って友人に対策グッズを作ってもらったのだが、

「……いったい中身どうなってんのかしらねぇ」

 コンセントに繋ぎっぱなしの物体を見下ろし、唸る。
 
 エミリアの視線の先にあるのは、一見するとお洒落なインテリアだ。
 上品な白い円筒状の物体だが、等間隔に配された銀の円状ラインと、
数カ所あるカラフルなランプの色彩が良いアクセントになっている。 
 この狭い部屋には若干大きめなのだが、細長いせいか不思議と圧迫感を感じない。

 なのだが――――これを置いてから、ピタリと害虫も害獣もいなくなった。

 以前は朝起きると部屋の外にかさかさ動く黒い不快な物体がいたりしたのだが、
まったく見なくなった。
 他の部屋の連中の話を盗み聞きした限りでは、この部屋に限った話ではないらしい。
 どうやら、建物全域からそういった生物が消えているようだ。 
 
 さらに言えば、下のごみ置き場からも不快な臭いが消えている。
 以前は年を重ねこびりつき取れなくなった臭気に耐えられず窓を開けられなかったのだが、  
今は開けてもさほど違和感はない。

 時期的に考えて確実にこのインテリアのおかげなのだが、理由がわからない。
 あの男の事だから害虫害獣を確実に排除し、人間には聞こえない超音波を出している可能性もあるが、
それではゴミ置き場の臭いが消えた事の説明がつかない。

 他にも気になるのは、一日一回入れるように言われている洗剤と水、そして週一回捨てるように言われている排水だ。

 洗剤と水は円筒の一番上の部分に入れればいいだけなので大した手間ではないのだが、理由がわからない。
 加湿機能が付いてるようには見えないし、それにしたって洗剤を入れるのはおかしい。
 排水についてはこれらを何かに使った後に出る物なのだろうが、これもよく分からない。
 中で完結しているはずなのに、その排水は妙に汚れているのだ。
 
 非常に気になるので分解したいところなのだが――――その勇気はなかった。

 なにせ、製作者はあの『白衣の魔王』だ。
 実際は風評とはまるで違う性格なのだが、波乱に富んだ人生ゆえに色々ねじ曲がっている事は事実。
 自分の発明品に分解したら周囲一帯灰燼に帰すような物を仕掛けてわざと盗ませ、とある国家の諜報部に大打撃を与えた事もある。
 
 一応本人からは分解した場合修理も次の製作もしないからな、としか言われていないが、
その言葉の裏に修理も次の製作も必要なくなるから、という意味が含まれていないとは限らない。
 このオンボロアパートごとエミリアが消滅してしまう、そんな可能性も否定はできないのだ。

(……ま、効果はあるんだし気にしない方が良いわね。
折角最近は仲良くなって……うん、最初に比べればはるかに仲良くなってきたんだし)

 ふあ、と欠伸をしてエミリアはベッドに入る。

 明日はまた仕事なのだ。
 しかもなかなかにハードな内容なので、休んでおかねば身が持たない。

 そろそろ仕事を減らそうか、そんな事を思いながら、エミリアは眠りについた。










 エミリアが熟睡して一時間後。

 部屋の片隅にあったインテリアが静かに動き始めていた。
 一切物音を立てず最下段の銀のラインから上が内部から持ち上げられ、
下部だけが静かにスライドして外れていく。
 下部が完全に外れると、上部を持ち上げていたアームが静かにそれを床に下ろした。

 そして、パージされた断面から大量の小型ロボットが這い出た。
 全てが薄平べったく、部屋にある僅かな隙間を自由自在に行き来できる体だ。
 それらは静かに、そして迅速に整列すると、すぐさまエミリアの部屋から出ていった。

 這い出たロボット達は、すぐさまプログラムに従い、分散して移動しながらそれぞれ索敵を開始する。

 程なくして、アパートの壁を這っていた一体が敵を発見した。
 黒く、薄平べったく、時に薬剤にも強い耐性を持つ虫を。

 静かに佇んでいた虫の背後で、ロボットが音もなく武装を開始する。
 武装は、超極細のカッター。細さからは想像できない強度と想像を上回る切れ味を誇る武器だ。
 腹の中に仕込まれたそれを露出させながら、ロボットが敵に迫る。

 とはいえ、虫も野生の生物。
 危険を感じたか、すぐさま前方へと移動を開始する。
 常人では到底追いきれない、途轍もない速度で。 

 ――――が、ロボットはその速度を軽々と上回った。

 逃げる虫との距離をみるみる縮め、そのまま体をまたいで追い抜く。
 逃げていた虫を、頭から真っ二つにしながら。
 無慈悲に両断された虫は、思い出したかのように地面へと落下していく。
 
 それを確認すると、ロボットは次なる標的を求め再び索敵を開始する。





 一方で、別のロボット達が今度はネズミを発見していた。

 今度は図体が大きいため、一体で仕留めきるのは難しい。
 データからそう判断したロボットの人工知能は、すぐにこの場へ数体を集結指令を出した。
 ネズミに気付かれぬよう、あくまでも静かに、かつ遠巻きに。

 数秒後必要十分な数が集まると、ロボット達は即座に敵の殲滅を開始した。
 
 虫の時と同じように気付いたネズミも逃げようとするが、既に遅い。
 一体が、ネズミの背を斬る。ネズミが悲鳴を上げ体勢を崩した瞬間、他のロボットが追撃をかける。
 そして何カ所も切り刻まれたまらず仰け反ったネズミが首を上げた瞬間、ネズミを発見したロボットが首を切り裂いた。
 
 対象の絶命を確認すると、ロボット達は再び動き出した。
 
 多数のロボットが集まり、重なり、巨大化していく。
 やがてロボット達は一つの大きなアームとなり、ネズミの死体を掴んだ。
 そして、それをアパートの外へと放り投げる。

 アームの先のカメラで予定地点に死体が落下した事を確認すると、ロボット達は再び分裂し装備を変えた。
 再び腹が開くが、今度出てきたのは小さな洗剤付き布巾。
 ロボット達はそれでネズミの血を綺麗にふき取ると、解散してまた索敵を開始した。

 






 二時間もすると、アパートの周囲からはあらゆる害虫、害獣の命が消え去っていた。

 が、命は消え去ろうとその名残は消えない。
 具体的には、アパートの外にまき散らされた夥しい数の死体である。
 このままならば、夜が明けて人が通れば大騒ぎだろう。

 殲滅対象がいなくなったことを確認したロボット達は全個体を集結させると、
今度はアームと箒とちり取りになった。
 そのままアパートの周囲を回り全ての死骸を回収すると、近くにあったゴミ箱の中へまとめて放り込む。
 ついでに、そのあたりに落ちていたゴミもアームが拾い上げ、その上に捨てていく。
 仕上げに内蔵されている消臭剤を一帯に撒くと、ロボット達はエミリアの部屋へと帰投し、
待機施設でその全身を洗浄し、翌日の戦いに備える。
 
 ――――昨日までは、そうであった。

 が、今日はロボット達が帰投すべき部屋に何やら不審な人間二人が立っている。

 センサーで調べると、どちらも懐と腰に金属反応。銃とナイフと判断。 
 ロボット達がすぐさま待機施設兼最終防衛装置に合図を出すと、そちらはすかさずエミリアの就寝を確認。

 エミリアに敵対する者達と判断し、最終防衛装置は変形を始めた。

 下部からローラー付きの両足が、上部側面からは海人開発のカッター付きの両腕が生え、
またほかの箇所からは幾つかの小型の火器が生え、ドアへと向けられていた。
 そしてロボットは内部に蓄えられた薬剤を加熱し、ガス漏れのような臭いを発生させる。

「っ!? って、ええっ!?」

 危険な臭いにエミリアが跳ね起きると、部屋の片隅に佇む物体を見て間抜けな声を上げる。
 それと同時にロボットの火器が火を噴き、ドアへと突撃していく。

「な、なんだこれあがあああああああああっ!?」

 位置の悪かった男がドア越しにハチの巣にされ、カッターで切り刻まれる。
 脳を撃ち抜いているにもかかわらず頸動脈も切り裂く、実に念入りな殺しっぷりだ。

「ハンクッ!? よくぎゃあああああああああああっ!?」

 すかさず武器を抜こうとした相方の男だったが、相手が悪すぎた。

 ロボットはなんとカッターごと腕を飛ばし、男の首を貫いたのだ。
 近距離、それも武器を引き抜こうとした状態でそんな事をされて反応できるはずもない。
 男は銃に手を伸ばした体勢のまま、目を見開いて絶命した。

「……なるほど、こーいう装置か。となると掃除は小型ロボットかしらね……あいつ好きそうだもんねー……げっ!?」

 エミリアが友人の物騒すぎる遊び心に感心しながら外を確認すると、銃弾が飛んできた。

 一瞬しか見えなかったが、十人近い男が銃をこちらに構えていた。
 見間違いでなければ、背後にはバズーカ砲なんて代物まであった。

 念のため手鏡で窓の外を確認すると、そちらからも武装した男たち歩いてきている。

「こーなると、最終手段かしらねぇ……博打って嫌いなんだけど」

「エミリア・クレアラントの危機と思しき発言を確認。
脱出手段の持ち合わせはございますか?」

 エミリアのぼやきに、ロボットが人工音声で反応する。
 人間そのものとしか思えない自然な応答に驚く事もなく、エミリアは答えた。

「あるにはあるわよー? 海人からもらった脱出ロケットが。
タイミングトチると狙い撃ちにされるだろうけど」

「想定状況78番と認定。合図と同時に脱出ロケットで真上に飛んでください。
その間に、当機が敵をまとめて殲滅いたします」

「……ま、海人の作品なら信頼していいわよね。んじゃ、合図よろしく」

 言いながら手近な荷物をまとめると、エミリアは脱出ロケットを背負いヘルメットを被った。

 普通ならここで真上に飛ぶと確実に死ねるが、このアパートなら問題ない。
 オンボロすぎて、いつ天井が崩れてもおかしくない造りなのだ。
 海人製のヘルメットを被っていれば、余裕だろう。

「はい。では当機はこれより3秒で自爆スイッチを入れます。
0と同時に脱出を願います。カウントダウン開始。3……2」

「へ? 自ば……いいいっ!?」

「1……0」

「うにゃあああああああああああああああああああっ!?」

 脱出ロケットで上に飛んだエミリアは、直後さらに上空へと押し上げられた。
 ロボットの自爆による火力が凄まじく、余波が飛んできたのだ。

 錐揉み回転しながら、エミリアは思った。
 あの馬鹿、火力の加減間違えやがった、と。

 


   
 



 二週間ぶりに鳴った屋敷の呼び鈴の音を聞き、海人は首を傾げた。

 この屋敷の呼び鈴を鳴らす物好きなど、エミリアぐらいだ。
 他は大体不法侵入して命からがら逃げ帰るか、土に還る者達である。

 が、彼女は現在海外で一仕事終え、自分の拠点に帰っているはずだった。
 
 また何か頼み事か、と溜息を吐きながら門を開け屋敷に入れたのだが、
 
「だから拠点が跡形もなくなっちゃったからしばらく泊めてって言ってんの!」

「金は稼いでるんだからホテルでもどこでも泊まれる所はあるだろうが! なんでわざわざここに泊まる!?」

 唐突な押しかけに、海人は徹夜明けにもかかわらず猛抗議する羽目になった。

「ここが世界で一番安全だからに決まってんでしょうが!
そもそもあんだけ迎撃しやすい拠点なんてそうそう見つからないし、たまには気兼ねなくぐっすり寝たいのよ!
私がここに泊まるのにそれ以上の理由が必要かしら!?」

「私の都合どこ行った!? つーか話聞く限り私のおかげで命助かったようなもんだろうが! 少しは遠慮しろ!」

「確かにあんたのおかげで助かったわけだけどね! あんたのせいで死にかかりもしたのよ!
私だったから良かったようなものの、他の人間だったら爆発の余波に巻き込まれついでにどっかに激突してトマトジュースだったわよ!?」

「ぬ……? ああ、そうか。そういえば君にやった脱出ロケットは一つ前の型だったな。
となると、爆風に巻き込まれるのも当然……ちっ、確かに私の落ち度か」

「そーでしょう、そーでしょう―――――泊めてくれるわね?」

「……仕方あるまい。だが、条件付きだ。家事は君がやる事。それと期限は一月、それ以上は認めん」

 断固たる口調で、宣言する。

 これは海人の都合もあるが、エミリアの為でもあった。
 一月なら各国情報部をごまかす事など造作もないが、それ以上となると怪しくなり始める。
 海人の屋敷に長期滞在を許される人間などと知れれば、エミリアが狙われる頻度は桁が変わってしまう。

 海人としては、手は貸しても進んで守ってやるつもりまではないのでこれが最善だった。

「ん~……うん、十分。そんじゃ、一月よろしくね」

「ああ、よろしく。部屋は好きに使ってくれ。私は今から寝る」

 後ろ手を振ると、海人は自室へ戻っていった。
 自分が少しだけ浮き足立っている、そんな自覚はないままに。
 

コメント

海人の発明は相変わらずぶっ飛んでますねぇ。ある意味ロマンと言える自爆を備えているのは…まあ、証拠隠滅には有用ですね。同棲を開始したのは…付き合うようになる伏線かな?
こうして見るとエミリアとルミナスって共通点多いんですよね。今のところ海人の本命はルミナスのままでしょうが、エミリアと共通点が多いのがどう働くんでしょうかねぇ…。

追伸
今の時点での海人に性格改変させられた男たちの話はいかがでしょうか?
[2017/02/20 08:52] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


いろいろ新情報が出たけどまだまだ謎だなー
[2017/02/21 08:33] URL | m #- [ 編集 ]


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