ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
というわけで、短めですが番外編です。
定番ネタになりますが、ほんの少しだけ展開が珍しいかもしれません。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


大黒さん

楽しんでいただけたようで何よりです。
褒められすぎてちょっと背中がこそばゆいですが、非常に励みになりました。
これからも期待を裏切らぬよう精進したいと思います。

 さん

団長副団長と海人の両親に共通項が多いのは事実ですね。
それに意味があるかないかについては、今後のお楽しみという事でお願いします。


とりあえず仕事の方が一段落したので、ようやく本格的に次話に取り掛かれます。
とはいえ意外に書き進んでいるので、おそらく次回か遅くともその次には更新できると思います。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方のご来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。








 番外編



 雫は思う。武の道とは険しいものだと。

 毎日毎日鍛錬を繰り返し、それでやっとこ力が伸びる。
 その鍛錬も、同じ内容を惰性で続けているだけでは力は伸びない。
 適度に内容を変化させ、それに慣れ始めた頃合で再び変える必要がある。
 それでいて一日サボるだけでも衰え、それを取り戻すのに三倍もの時間はかかるのだ。
 
 全ての人間に共通するであろう事柄だけでも、これ。 
 実際にはこれに指導者や才能の違いが加わる為、個々の伸びは違ってくる。

(……あたしは幸運なんだよねぇ)

 空高く打ち上げられる女性を眺めながら、そんな感想を抱く。

 雫の指導者は、主に姉である刹那。
 かつては母に小太刀二刀を習っていたが、彼女の技術全てを継承してからはそうなっている。
 得物が違う為理想的とは言い難いが、それでも雫よりはるか高みにいる武人なので、得るものは多い。
 妹が泣き叫んでも手を止めない鬼だが、手加減は上手いので上々の指導者と言えるだろう。
 
 そして雫の武才は、一般的には天賦と呼ばれる域だ。
 姉がさらに上をいく天才なので目立たなかったが、それでも幼い頃同年代に敵はなかった。
 最近では多種多様な高レベルの武人との交流が増えた為、それを存分に伸ばしている。

 最近では悪癖も落ち着いている為、その気になればどの国でも高待遇で士官できるだろう。
 もっとも、今の居場所が心地良すぎる為そんな気は毛頭ないが。  
 
(……うん、幸運だ。間違いなく超幸運だ。だからこれから不運が起きるなんてありえない。
今までのツケがまとめてふりかかってくるとか、そんな馬鹿な話あるわけがない)

 うんうんと頷き、雫はゆっくりと立ち上がる。
 自分とは違い、不運な女性が今度は壁に叩きつけられる音を聞きながら。

「どこへ行く、雫」
 
 歩き出そうとした妹の肩を掴み、刹那が止める。
 
「あっはっは、ちょっとお花を摘みにいくだけだよ」

「ならば拙者も付き合おう」

「いやー、お姉ちゃんと一緒に行くのはちょっと恥ずかしいかなー」

「どんな口実をつけようと勝手だが―――逃がすと思うか?」

「いやあああああああっ! 帰るぅぅぅぅっ! おうち帰るぅぅぅぅっ!」

 凄味のある姉の笑顔を見て、雫は思いっきり暴れ始めた。
 この場から一刻も早く離れたいが、姉の指が肩に食い込んで逃げられないのだ。
 
「馬鹿な事を。お前が言ったんだろう? 他ならもっと穏やかな鍛錬のはずだと」

「悪かったから! あたしが悪かったから許してぇぇぇぇっ!」

 自分の発言を心底後悔しながら、雫は叫んだ。

 事の発端は、昨日の朝食後。
 いつにもまして厳しかった生かさず殺さずの鍛錬を雫が愚痴った事だ。
 他ならもっと穏やかな鍛錬のはずだ、と。

 これが、前日夜なべして妹用の鍛錬メニューを考えていた刹那の怒りに触れた。
 ならば他を一度体験してみるがいい、と。

 そうして刹那が出かけて話をつけてきたのが――――シェリスの屋敷。
 
 まあ、当然の事だ。
 刹那の人脈などたかが知れている。
 まして雫に鍛錬をつけられる人間がいる場所となれば、ここ以外にはありえない。

 とはいえ、雫は当初楽観していた。
 地獄のメニューとは聞いているが、姉のそれと大差はあるまいと。

 そしてその認識は、決して間違ってはいなかった―――普段であれば。
   
 今日は、月に一度のローラとの組手が行われる日だった。
 慢心を戒め高みを知るという目的で行われるそれは、まさに地獄。
 生かさず殺さずどころか、生かされず殺してもらえずとでも言うべき蹂躙。

 抗わねば立っている事すら叶わないが、抗っても長く立っている事は出来ない。
 防御は全て容易く貫かれ、回避はそもそも不可能、ならばと攻撃しても無為に終わる。
 ローラの手が止まる事はほぼなく、それでいて意識は失えず激痛をひたすらに味わい続けるという、この世の地獄。
 
 そこに、雫は放り込まれる事になったのだ。

 ひょっとしたら話程ではないかもしれない、と一縷の望みを託して観戦していたが、
そこで繰り広げられたのは言葉では言い表せない圧倒的蹂躙。
 姉の指導が赤子の躾に思えてくる程、苛烈で容赦がなかった。
 
 あんなものを体験するなど、冗談ではない。
 そう思っての抵抗だったのだが、それも潰えた。 

「なるほど……昨日伺った通り、シズク様はいささか精神的に脆いようですね」

「……あ、あの、シャロンさんは……?」

 いつの間にか背後に立っていたローラを、雫はプルプルと震えながら振り返った。
 いつもと変わらぬ美しい無表情だが、それが恐怖をさらに強める。

「先程までと同じように、あそこに転がしております」   
 
 そう言ってローラが指差した先には、ぐったりとして動かない彼女の部下達の姿。

 数百では足りないほどの打撃を受けたにもかかわらず、なぜか打撲痕はない。
 服も乱れ汚れてはいるが破れはなく、あれだけの蹂躙の後としては綺麗なものだ。
 白目をむいて泡を吹いて痙攣してさえいなければ、遊び疲れて寝ているようにも見えたかもしれない。

 それを見た雫はすぐさま姉を引きずりながら逃げるつもりで駆けだし、

「逃げようという反応自体は悪くありませんが、体力の無駄です」 

 すかさず回り込んだローラに、足を払われ引き倒された。

「ではローラ殿、よろしくお願いいたします。容赦は不要ですので」

「承知いたしました」

「――――ええいっ! こうなりゃ自棄だ! やられる前にやってやるっ!」

「その思い切りの良さは部下にも見習わせたいところですね―――では、存分に抵抗なさってください」

 優雅に礼をすると、ローラは襲い掛かってきた雫の腕を掴み、地面に叩きつけた。

 ――――この日、雫は痛い程痛感する事となる。

 刹那の鍛錬がどれほど慈愛に満ち、緩いものであったのか。
 厳しく鬼のようではあっても、人道的ではあったのだと。
 月一で地獄巡りを強制される人々の事を考えれば、文句を言っては罰が当たる。 

 それを思い知り、以後は刹那の鍛錬に文句を言う頻度がかなり減ったという。 
 
 
コメント

これだけの目に遭っても文句が無くなるどころか減るだけというのが雫クオリティですね(笑)
…ところで、刹那が行ってもほぼ同じ目に合うという認識で良いんでしょうか?

追伸
ローラには苦手だけど弱点じゃないものがあっても良さそうですよね。例えば、絶対に表に出さないけど、納豆やオクラなどネバネバした食べ物が苦手とか(笑)
[2017/04/03 07:39] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


本編を最新話まで読み終わり、
後回しにしていた番外編セットも読んだところで読み切ったつもりでいましたが
番外編と番外編セットは別物だったのでしょうか?
番外編を幾つかまとめたものがセットになっているのだと思っていました。
一応2016年の4月辺りまで未分類の投稿を遡ってみたのですが、、、
[2017/04/06 03:28] URL | 最高にアホ #5J9Mc3vk [ 編集 ]


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