ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
すみません、本編間に合わず番外編のみになります。
内容はかつての姉妹の一幕です。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


名無しの権兵衛さん

励みになるお言葉ありがとうございます。
ちょいプレッシャーもかかりますが、素直にありがたいです。

伏線は初期からあるのに回収できてないのもあるのが難点ですね。
世界観や人物設定はぶれないよう心掛けてます(思い付きなネタ入れ時は特に)
八年……長っ!? うーむ、飽き性なのに我ながらよく続いてますね。更新頻度はともかく(汗)

スローペースなのが申し訳ないですが、これからも気長に読んでいただけると幸いです。



次話は大筋出来たんですが、現在修正中です。
読み直したら一気に情報出しすぎてる感があったので。
とはいえ、次回は本当に更新できると思います。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。






 番外編


 メルヴィナ・グラウクスは、山中を走っていた。
 わき目も降らず、ただ一心不乱に。
 
「あの、馬鹿者めっ……!」

 飛びかかってきた狼型の魔物を突き殺しながら、悪態をつく。

 妹の行方が分からないと聞かされたのは、つい一時間ほど前。
 様々な人間が方々探したが、手掛かり一つなかったという。
 目撃証言を伝って町の外に出たのは分かったが、どこに行ったのかが見当もつかない。
 
 この辺りは治安が良い風光明媚な場所が多い為、遊びに行ったなら候補地は多すぎるのだ。
 普通の子供の足ならそう遠くへは行けない為絞れるのだが、無駄に強い彼女はその限りではない。
 それどころか、普通の大人なら怖がっていかないような場所に出向いている可能性もある。

 が、メルヴィナだけは即座に見当をつけた。

 数日前兄への誕生日プレゼントを考えている時、今いる山にしか生えていない花を図鑑で見ていたのだ。
 普通なら子供は絶対に行かないような場所だが、あれなら行きかねない。
 頭は良いが、これと決めた時の行動力が凄まじい上に実力もあるので可能な範囲での無茶は躊躇わないのである。

「邪ぁぁぁぁ魔だぁぁぁぁっ!!」

 猪型の魔物の頭を石突で砕き、そのまま突き進んで鳥型の魔物数匹をまとめて薙ぎ殺す。

 仲間を殺されいきり立った魔物達がさらに襲い掛かってくるが、メルヴィナは意にも介さない。
 振り返りもせず後方に火炎魔法を放ち、背後の魔物をまとめて焼き払う。

 そのまま山頂へと向かって突き進むが、ふと不自然な風の流れを感じた。

「ちっ!」

 軽く横に跳ね、背後から突進してきた蜂型の魔物を回避する。
 狙いが外れた魔物はそのまま前方の木に針を突き刺すが、すぐさま抜き振り返った。

 ―――が、それすらもメルヴィナは直進したまま突き殺す。

 頭を貫かれた魔物は震えながら息絶えるが、メルヴィナは一瞥もくれず前方にいた熊型の魔物にそれを放り投げた。
 毒針が魔物の腕に刺さり、いまにも襲い掛かろうとしていた彼の動きが鈍る。
 そこを逃さず、メルヴィナは魔物の目玉に槍を突き出し、脳まで抉った。
 そのまま魔物の死骸を蹴り倒しつつ槍を引き抜き、走り続ける。
 
 愚直なまでにひたすら直進する彼女だったが、ふとその足が止まった。

「ええい、急いでいるというのに……!」

 舌打ちと同時に、周囲で耳障りな羽音が響き始める。
 どうやら蜂型魔物のテリトリーに入ってしまったらしく、周囲に数多の殺気が満ちていた。

 山頂までは、まだ距離がある。
 下位の爆破魔法を多重起動して使えばこの場をしのぐのは容易いが、後に響く。
 ここは魔力を節約する為、槍のみで切り抜けるべきだ。
 
 しかし、メルヴィナにそんな思考は残っていなかった。

 彼女の脳裏を占めるのは、妹の事。
 兄が喜ぶ顔を見たい、ただそれだけの為にこんな場所に突撃かましたであろう愚妹。
 才あれどまだ幼い彼女の体力では、山頂までは辿り着けても帰りが怪しい。
 弱い魔物に不覚を取る恐れもあるし、この山では少ないが強い魔物も皆無ではないのだ。

 急がねば、リスクを承知で下山を始める恐れもある。

「くらえぇぇぇっ! ≪チェイン・ボム≫! ≪チェイン・ボム≫! ≪チェイン・ボム≫!」

 下位の爆破魔法を乱射しながら、メルヴィナはひたすらに山頂への道を駆け登った。








 シリルティア・グラウクスは、山頂で途方に暮れていた。

 手元にあるのは、透き通るような黄色い花弁を持つ花。
 儚く美しい外見でありながら魔物が跋扈する山にも咲く為、地域によっては才色兼備の象徴ともされる。
 この近隣ではここの山頂に少数しか咲かず、イナテアの花屋にも出回っていない花だ。 

 兄への誕生日プレゼントにと探して摘んだまでは良かったが、
体力は大きく消耗し、魔力もそれ程余裕はない。
 しばらく休んでいた為疲労はかなり抜けているが、無事帰れるかどうかはかなり怪しかった。

 とはいえ、これ以上待っていると魔物が活性化する時間帯になってしまう。

 仕方なく彼女が腰を上げた時――――木々の隙間から魔物が飛んできた。

「へ……?」

 自分の横を通り過ぎ、地面に突っ込んだ魔物を見て、間抜けな声を上げる。

 よくよく見れば、魔物は見事に絶命している。
 頭をかち割られて中身がはみ出ているせいで、やたらグロい。
 傷からして、魔物にやられたというわけではなさそうだ。
 長物、おそらくは槍か棒による傷だろう。

 人が来たなら、安全に帰れるか、そう思ってシリルティアは顔を輝かせ―――直後、凍り付いた。

 修羅の形相で木々の隙間から現れた、姉を見て。
 槍を無造作に振るい刺さった死体を投げ捨てる様は、まるで御伽話の悪鬼のようだ。

「お、おおおおお御姉様っ!? な、なぜここに!?」

「こんの大馬鹿者がああああああああああああああああああっ!」

「ぴぃっ!?」

 山全体を揺るがさんばかりの怒声に、悲鳴を上げて竦みあがる。
 そんな妹の胸倉を掴み上げると、メルヴィナは再度怒声をぶつけた。

「この山が危ない事は知っていただろうが! いつから貴様は一人で、誰にも言わずここに来れる程強くなった!
未熟者の分際で己の力量を過信するなど言語道断だ馬鹿者がっ!」

「だ、だって、お兄様にお花を……」

「理由になるかっ! その為に貴様が死ねば兄上がどれだけ嘆き悲しむかも分からんのか!?」

「ひっ……で、でも……」

「これだけ言っても分からんか! なら体で分からせてやるしかないな!?」

 メルヴィナは妹の胸倉から手を放すと代わりにその足元を払い、脇に抱え込む。 
 そして己の眼下に晒された妹のスカートをめくると、その尻を全力で引っ叩いた。  
 
「痛っ! ごめんなさい! ごめんなさい御姉様!」

「今更遅い! たっぷり後悔しろ愚妹が!」

 許しを乞う妹の尻を、容赦なく引っ叩き続けるメルヴィナ。
 その手は、シリルティアが許しを乞えなくなるまで止まらなかった。  

 





 数十分後、シリルティアは姉の後ろを歩きながら下山していた。

「ひっく、ぐすっ……ひぃ~ん……」

 啜り泣きながら、シリルティアはとぼとぼと歩く。

 自分が悪かったのは、分かる。
 誰にも言わず一人で山に来るなど、怒られて当然だ。
 どれだけの人に迷惑をかけたか、頭が冷えた今なら分かる。

 が、だからと言ってここまでやる事はないのではないか。

 姉に引っ叩かれ続けた尻は、見事なまでに腫れ上がっている。
 当然の如くひりひりと染みるような痛みが続き、歩くのも一苦労だ。
 明日になっても、痛みが引いているかどうかは怪しい。
  
 ――――姉は、いつもこうなのだ。

 真っ当な事しか言わないが、容赦がない。
 泣いても、叫んでも、反省しても、ひたすらに許さない。
 決めた仕置きを予定通りにこなすだけで、手心は加えてくれない。

 姉に嫌われているのではないか、これまで何度も抱いた疑問が再び膨れ上がる。  
  
 兄はいつもそんな事はない、全ては君の為にやっている事だよと言うが、どうにも信じきれない。

(今だって私に視線も向けずただ歩いて……え?)

 涙の止まらぬ不貞腐れた顔で姉の背中を見て、目を瞠る。

 姉の背中の布地に、所々妙な痕跡があった。
 獣の爪で軽くひっかいたような跡が、複数。
 獣の毛と思しき物が繊維に絡みついている様子もある。
 前の方には、そんな痕跡は一切なかったというのに。

 まるで――――背中に一切気を遣わず戦い続けたかのようだ。

 そして、気付く。
 先程から視線は向けてくれないが、距離は変わらない。
 気にかけていないなら、歩幅の差で一時的にでも距離は離れそうなものなのに。

 ――――軽く小走りして、姉に追いつく。

 すぐ後ろにきた自分にちらりと視線を向けると、姉は何事もなかったかのように前を向いた。
 
 ――――おずおずと、手を伸ばして姉の手を握ってみる。

 すると再びちらりとこちらへ視線を向けた後前を向き、優しく握り返してくれた。

「……ごめんなさい、御姉様」

「……もうやるな」

 不愛想な言葉を返すと、メルヴィナは妹の手を少しだけ強く握った。   

 

 
コメント

麗しい姉妹愛ですね(笑)これが、未来にああなると思うと若干悲しくなりますが…
しかし、あの親も名を残す野心があるならば子供が冤罪をかけられたのなら、それを利用して下克上する位やればいいのに…

追伸
チーズフォンデュネタはいかがでしょうか?
[2017/05/30 09:55] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


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