FC2ブログ
ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編
というわけで番外編です。
短めの珍しくはないネタになります。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


 さん

水出しコーヒーについては、まだ秘密という事で。
美味しい物は美味しいんですよね、水出し。
……個人的にコーヒー程当たり外れが大きい飲み物って少ない気がします。

親ルミナス派さん

御指摘ありがとうございます。
99話、確かにその方が良さそうですね。
50話の魔法はシェリスの印象に強く残ってますし。
ちょい書き方考えますね。

ローラのクリームについては、金額そのままです。
物の価値に相応しい対価として支払ってます。



とりあえず、101話の修正はあと一歩です。
前回書いた通り情報量の多い場面を一つ突っ込み、他の箇所も幾つか直します。
次話については、案の定修正・削除の嵐が吹き荒れてる上に今週仕事がドタバタしてるんで、完成遅れそうです。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。






 番外編


 シェリスは、悩んでいた。
 翌日に迫った交渉において、何を使うべきかと。

 明日の交渉内容は、孤児院設立許可と土地の購入。
 失敗すれば、孤児達は勿論勤務予定の人間も路頭に迷いかねない。 
 今回は許可申請先の貴族が土地を持っている為手間は省けるが、それゆえに一発勝負で挽回が効かない。
 より正確には挽回自体は可能だが、その為の時間がかかりすぎてしまう。

 ゆえに、明日で決着をつけなければならない。なんとしてでも。
 
 困った事に、その貴族は孤児院設立の意義については理解がない。
 ある地域の身寄りのない子供を孤児院に集めるだけでも治安が良くなる傾向があるのだが、
いくら説いても放っておけば野垂れ死んで終わりと切り捨ててくる。
 それで生き延びれば盗賊、野盗になるかもしれないと説いても、ならばその時に騎士団でも派遣すればいいと断言してしまう。

 ただ、幸いにしてその貴族は美術品に目がなく、良い物を用意すれば交渉成立はほぼ確定する。
 いくら説いても無駄だというのは腹立たしかったが、優先すべきは孤児院の設立。
 物で釣れるなら安いものだろう。
 
 だからこそある程度奮発した物を用意すべき。
 それは分かっているのだが、
 
「確実なのは……オイリスティ作『女神の休息』か、スラーズベント作『天使達の遊戯』ぐらい。
エンダイク作『湖畔の歌姫』やラベルティーン作『静寂の草原』では……少し危ないわね」

 美しい髪の毛を、苛立たし気にかきむしる。

 悩む理由は、至極単純。
 今手元にある絵画に、これならばと言えるものがないのだ。
 
 確実に貴族が喜ぶ物は2つあるが、どちらももっと大きな交渉にも使える絵画。
 それこそ、使い方次第では国外の公爵クラスとの交渉にも使えるものだ。
 国内で少しばかり力を持っているだけの貴族に使うには勿体ない。

(……孤児院を作るのは何も慈善ばかりではないのに、どうして分からないのかしらね)

 ふう、と溜息を吐く。

 身寄りのない子達が哀れ、それは確かにある。
 同情心が皆無と言えば嘘になるだろう。
 
 が、孤児院を作る理由はそれだけではない。

 そもそも、この国の盗賊は孤児出身の比率が多いのだ。
 一番多いのは、幼少期に身寄りがなく食う物もないがゆえに盗みに手を染め、
そのまま長じて盗賊になるケース。
 それ以外の生き方を知らず大人になってしまった者達だ。
 それらをすべて捕らえるより、そもそもの原因を断つ方が合理的だろう。
 
 無論、孤児院が出来れば全てを防げるわけではない。
 
 努力するより人から奪う方が楽、そう思ってしまう機会はいくらでもあるし、
そこから身を持ち崩す例などごまんとあるのだから。
 
 しかし、それでも確率を減らす事は出来る。
 長期的に見れば、騎士団の増強に使うよりも余程治安維持に役立つだろう。
 それはひいては貴族の余計な出費を減らす事にも繋がり、観光事業における強みにもなる。

「……毎度ながら、目障りな貴族全部この手で片付けたくなるわね」

 天を仰ぎ、ぼやく。

 目障りな貴族を始末するだけなら、そう難しくはない。
 なにせ、シェリスの立場は社交界でひっぱりだこの公爵令嬢だ。
 暗殺の機会なぞいくらでもあるし、作れる。

 もっと言えば、この国の貴族の警護なぞこの屋敷の人間にとっては無いも同然。
 その気があれば正面から屋敷に乗り込んで皆殺しにする事も可能だ。
  
 問題は、それに伴って生じる数多の弊害。
 唐突な権力の空白は混乱を招き、それに乗じた更なる腐敗をもたらしかねない。
 爵位の継承権争いが生じる事は珍しくもないし、爵位を継承しても急な仕事の引継ぎには時間がかかる。
 加えて次の爵位継承者がまともとは限らず、そうなるとまた対策を打たねばならない。

 諸々考えると、今回のように手間をかけるのが最善なのだ。

(というか、我ながら変わり果ててるわよねぇ……昔の私が今の私見たら、なんて言うかしら)

 思わず、苦笑する。

 かつては、もう少し穏やかな思考をしていた。
 武力も知力も人脈も乏しく、やれる事はほとんどない。
 そんな中でやれる限りの事をやり、法に触れる事は避ける。

 ――――今は違う。

 武力も知力も人脈も過分な程に揃い、やれる事は多くなった。
 かつてなら救えなかった民も救う事が出来るし、国の舵取りにすら関わっている。
 この国の中に限れば極めて強力な力を持っていると言えるだろう。

 が、今のシェリスは必要ならば法を犯す。
 法を犯したなどとは誰にも知られぬように。

(……若かった、というか幼かったわよねぇ)

 昔を思い出し、肩を落とす。

 法を守る。確かに大事な事だ。
 民の規範たる貴族であれば、尚の事。

 が、それでは守れぬ者もある。

 法律はどこまでいっても文章にすぎず、完全は望めない。
 まして、制定には多くの貴族が関わっている。
 完全な物になどなるはずがない。
  
 罪をでっち上げて家族を殺した貴族を殺そうとした平民が法で裁かれて死罪になり、
当の貴族は取り巻きの偽証でなんのお咎めもなしなどという事も、珍しくはない。

 ならば法を制定できるだけの力を持てばいいと言う人間もいるだろうが、
それまでにどれほどの時間がかかり、どれほどの人間が犠牲になるか。

 シェリスには、それを容認出来るほどの意義を見出せなかった。

「ま、何はともあれ目の前の事ね。今回は確実性を重視して、候補は二つ。
とはいえ『女神の休息』も『天使達の遊戯』も市場価値としては互角。
となると判断すべきは交渉材料としての使いやすさ……今の流行りからすると『女神の休息』の方が使える相手は多い、か。
でも『天使達の遊戯』も次にまた流行りがきそうな気も……うーん……」  

 再び悩み始めるシェリス。        
 この後、彼女は書類を捌きながら実に三時間悩み続ける事となる。 

 ――――より良い解決策がすぐ近くに存在した事は、知らぬまま。

  
コメント

より良い解決策か。

正直最近のシェリスは、主人公が協力してくれるのが当たり前って考えているようにみえて少し不愉快に感じますね。

[2017/09/04 06:52] URL | シャオ #xDU5tAck [ 編集 ]


よりよい解決策に気づかぬ~って事は海人の芸術性に気付いてはいてもそれほどとは思っていなかった頃か、もしくはローラに関する事か……

追伸
質問ですが、海人の祖父母はどうなっているんでしたっけ?後、海人が今いる世界から元居た世界に転移した人はいるんでしょうか?
[2017/09/04 06:53] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


更新、お疲れさまです。
守るために法を越える、この点に限ればカイトとシェリスは一緒なのかもしれませんね。カイトにそこまで隠す気があったかは別として。
読者視点で考えると、シェリスは一度ありとあらゆる物をカイトに聞いて、現代知識等の恩恵があるか確認した方が早いと思いますが、カイトが秘密の《この世界の》どこかから来た、という認識なのだから、その発想にはいかないんでしょうね。
毎週月曜の楽しみが某少年週刊紙から、こちらのサイトになってます(笑)執筆活動、頑張って下さい。
[2017/09/04 08:10] URL | ガリナオ #mQop/nM. [ 編集 ]


こうやって番外編でシェリスサイドの話が出てくると、「あ~だからあの時、怒り狂ってたんだ~」と納得できますね。
カイトが、彼女に日本の胃薬を差し入れたら、本気で切れそうですね(笑
[2017/09/04 22:46] URL | 飛べないブタ #t50BOgd. [ 編集 ]


>挽回が効かない。

効用ではないのでは?
[2017/09/05 08:44] URL | #- [ 編集 ]


本編の更新楽しみにしています。
[2017/09/08 12:55] URL | ロボット三等兵 #- [ 編集 ]


コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
http://nemuiyon.blog72.fc2.com/tb.php/583-290b5177
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

九重十造

Author:九重十造
FC2ブログへようこそ!



最新記事



カテゴリ



月別アーカイブ



最新コメント



最新トラックバック



FC2カウンター



検索フォーム



RSSリンクの表示



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QRコード