ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
というわけで番外編です。
流れは珍しくないですが、中身に若干珍しい内容が含まれてるかもしれません。
大丈夫だとは思いますが血生臭い描写がありますので、一応ご注意を。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


コスモさん

どちらかというと痛み分けですね。
雫は2回ダメージ受け、刹那は一度大ダメージなので。
強いて言えば無傷で楽しんだ海人が勝者でしょうか。

たこ焼き……ふむ、白衣でねじり鉢巻き巻いてひっくり返してる彼のビジュアルが浮かびました。
どこかでやるかもしれません。

 さん

ええ、現状は以前のままです。
仰る通りオーバーテクノロジーですし、あそこは来客も多いので。
海人の本音としてはウォシュレット求めてそうですが。


次話ですが、とりあえず流れは定まりました。
ここから大きな変更はしない、というかできないと思います。
おそらく、次回かその次には本編更新できると思います。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。







 番外編



 宝蔵院雫には、悪癖がある。

 それは、敵意を向けられたらそれら全てを殺し尽くさねば気が済まない事。
 それもただ殺すのではなく、真っ向から叩き潰して恐怖に慄く顔を眺めながら嬲り殺す事を好む。
 命乞いをされてもその手は止まらず、むしろ悦楽がより深まるぐらいのもの。
 そればかりか、酷い時には止めに入っただけの姉にすら本気で刃を向ける。

 そしてその時の雫には、普段の面影はない。

 蕩けるような表情で返り血を舐める様。
 恐怖の視線を浴びながら愉悦に身を震わせる様。
 断末魔の悲鳴を耳にして唇を吊り上げる様。

 まるで御伽話の女悪魔の如く、妖艶にして邪悪。
 普段の無邪気で陽気な彼女からは、想像もできない姿だ。

 海人に雇われて以来その悪癖はあまり出ていないが、決して消えたわけではない。
 
「……むう。やっぱ駄目だなぁ」

 血を拭った小太刀を納めながら、雫は溜息を吐く。

 そんな彼女の周囲には、凄惨と言う他ない光景が広がっている。

 地面は、まさに血の海。
 バラバラに刻まれた魔物の血が、大きな水溜りとなっている。
 しかもあちこちに転がる魔物のなれの果てから流れ出る血液が、その大きさを徐々に拡大させていた。

 周囲の木々も、地獄のような惨状になっていた。
 刻まれた魔物の残骸が枝の上に引っかかり、へし折れた枝先に突き刺さっている。
 そればかりか、飛び散った血が木の肌を赤で覆い隠している有様。
 時折木から滴り落ちる赤が、まるで木々の悲嘆のように見える。

 雫本人も猟奇的な風情だ。
 なにしろ、頭から足先まで満遍なく血まみれ。
 小太刀だけでなく素手での解体も行った為、指先まで真っ赤だ。
 
 が、雫はそんな些細な事はどうでもいいと言わんばかりに、その場を後にする。

(前に比べりゃずっとマシになったんだけどねぇ……)

 唇を尖らせながら、呻く。

 先程魔物と戦った際、十二匹までは殺気をぶつけられても正気を保っていた。
 全ての魔物を一太刀で仕留め、余計な愉悦に浸る事無く、対処出来ていたのだ。

 が、十三匹目から怪しくなり始めた。
 
 戦力を確実に削ぐという口実が浮かび、魔物の四肢を断ったのが始まり。
 後で狙われるよりは今仲間を潰した方が得策と、わざと仲間を呼ばせた。
 不利を悟り逃げる素振りを見せた魔物達を一匹一匹障壁に閉じ込め、一つずつ解除して嬲り殺し。
 最後の方は、もはや血の香りと殺戮の愉悦しか記憶に残っていない。
   
 無論、以前に比べればずっとマシだ。

 今日のように周囲に他の人間がいない状況なら、前は三匹目で既に怪しくなっていた。
 そして、姉の制止がない時は殺戮の果てに山の生態系を狂わせた事もある。
 
 それに比べれば、画期的な進化と言えるだろうが―――放置はできない。

 姉はすっかり慣れ、主君もあっさりと受け入れてくれてはいるが、解決すべき問題なのだ。

(……正真正銘最悪の事態になった時、博打が打てないのは、ね)

 歩みは止めず、頭を掻きながら考え込む。

 姉は確かに強く、海人からの恩恵も凄まじい。
 自分とて、あの姉の妹の名に恥じぬだけの力はある。
 
 だがそれでも、対処しきれない事態が絶対にないとはいいきれない。

 古代遺産ならば、海人が生み出した技術に及ぶ、あるいは超える可能性もある。
 それがグランベルズあたりの手に渡りでもすれば、流石に危険だ。
 それを知らぬまま敵兵に囲まれでもすれば、まさに絶体絶命。

 しかし―――――雫の持てる力全てを発揮できれば、それすらも打開できる可能性がある。

(ま、現状ただのゴミだけど。せいぜい自爆特攻しかできないもんね。
なまじあるだけに変な慢心生まれそうだし、むしろ邪魔なんだよねぇ……)

 ままならぬ己の能力を思い、天を仰ぐ。

 吸血族特有の、時間制限付き超強化。
 通常ならばそもそも使用できない手段だが、海人の血を飲めば雫も使う事はできるはずだ。

 が、現状では使えばほぼ間違いなく、雫は理性を飛ばして海人を殺してしまう。
 血を吸いつくそうとするなら対処も可能だが、一番美味な部位である首筋に食らいついたら即死だ。
 
 ゆえに使うとすれば海人から遠く離れた場所で悪党の血を吸って暴れまわるぐらいだが、実はこれも難しい。

 なにしろ、能力発動時における雫の嗅覚は凄まじい。
 安全な距離がどの程度だか全く分からず、確認しようにも確認作業で一歩間違えば大惨事だ。
 持続時間が一時間と長い上に、前回と違い海人製の魔法術式を使う恐れがあるので不安材料しかない。 
  
 とはいえ、雫の精神力が己の悪癖を御しきる程に強まれば、最後の大博打ぐらいにはなる。
 実際、以前暴走した時は極めて短時間とはいえ精神力でその暴走を抑え込んでいたのだから。
 
 なので普段は瞑想を行い、時折こうして魔物の住処に突っ込んで試しているのだが、成果は芳しくない。

 あの程度の殺戮の愉悦に負けてしまう程度の精神力、海人の血が放つ蠱惑的かつ甘美で魅力的な香りと、
それを嗅いだ瞬間に湧き起こる火山の噴火の如き衝動の前では瞬く間に飲み込まれてしまう。
  
「つってもこれ以上どーしよーもないしなー……お姉ちゃんに相談したらまた無茶苦茶やられそうだし」

 呟きながら、この屋敷に務める前に姉に相談した時の事を思い出す。 

 気休め程度だが、と提示されたのは散髪時の修練。
 それまで鋏で毛先を軽く整えていたのを、刀でやってみようと言われた。
 姉の腕前は知っている為、効果は薄そうだと思いながら受けたのだが、甘かった。

 皮膚をギリギリ掠めぬ程度に髪を通っていく刃は、当たらないと分かっていても恐ろしい。
 たとえ正面からで刃の軌跡が見えていたとしても、だ。

 後ろ髪を切る為に背後からとなれば、その恐怖は倍加する。
 しかも首筋やら耳やらに毎度刃の存在感を感じさせてくるのだ。
 恐怖に少し慣れてきた、と思ったらそれまでよりさらにギリギリを攻めてくる。
 しかも下手に動けば、精密な太刀筋だけに頭蓋骨やら首やら耳やらを斬られかねない。
 
 結果、散髪直後に精神疲労でぶっ倒れ、起きた後原因が分かっていなかった姉と大喧嘩した。

「流石にあれはもう勘弁だけど……考えとかなきゃいけないかなぁ……」

 ぼやきながら雫が歩いていると、屋敷裏手の川が見え始めてきた。
 雫は思考をとりあえず中断すると周囲の気配を探り、川が見える位置に人の気配がない事を確認する。

 そして手早く全ての服を脱ぎ、それと共に川へ飛び込んだ。
 
 みるみるうちに体や衣服に付着した血液が流れ落ち、川の色に溶け込んでいく。
 元気のいい魚が雫の体に突撃してきたりもするが、雫は気にせず洗濯を続けた。

 程なくして雫も特殊な加工を施された衣服も洗剤を使わぬまま本来の色を取り戻す。

(ま、悩んでてもしょーがないか。とりあえず、今日の昼食確保しよっと)   
 
 気分を切り替えた雫は服を岸に放り投げると、魚を取りに川の中に身を沈めた。  

 

コメント

ふむ、恐らく種族特有の血の酔い型と、本人の気質と血の好みが絶妙にマッチした結果が今の雫だと思われるんですが、これをできる限り早めに何とかするとなると、本人のど根性に期待か海人が何かしら暗示でも仕込むか……

追伸
すっぽんネタはいかがでしょうか?
[2017/10/23 07:04] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


更新、お疲れさまです。
雫の暴走、カイトによって強くなった現状では確かに問題ですね。カイトならマインドコントロールではなく、心理療法で抑えられそうですが、抑圧しても危険そうですね。
ローラが居るときなら血に馴れさせることもできそうですが、危険ですしそもそもなれるのかが問題ですね。

それでは執筆活動、頑張って下さい。
[2017/10/23 07:05] URL | ガリナオ #mQop/nM. [ 編集 ]


更新楽しみにしています。雫君は面白い娘ですね。
[2017/10/27 20:23] URL | ロボット三等兵 #- [ 編集 ]


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