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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
番外編です。
思い付きの、珍しくないような珍しいような、微妙なネタになります。
今回少々実験も兼ねてみたんですが、寛大な気分で読んでいただければと思います。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


コスモさん

あれに関しては本編に入れる程のネタではないってのが正しいです。
入れた方が良かったら無理やりでも突っ込んでます。

御質問に関しては、空間と治癒のみですね。
あとは属性特化ですが、あれは適性がない結果ですからねぇ。

 さん

ローラの過去絡みだと、ネタバレ回避でどうしても似た感じになっちゃいますね。
展開自体は一応変えてあるはずなんですが。

ロボット三等兵さん

仰る通り、ローラです。


次話ですが、やはり苦戦してます。
どうにも書いてて一気に情報出しすぎてる気がしまして。
なんとか調整しながら進めていきたいと思います。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。



 番外編




 エアウォリアーズ。
 団としての歴史は短く結成から十年にも満たないが、
その圧倒的な戦力と全ての戦場で例外なく生み出す多大な戦果により、
時に世界最強とも称される事のある傭兵団である。
 
 それだけに入団希望者は多いが、実際に入れる者は一握り。
 入団試験自体は面接と団員との試合というスタンダードな内容だが、それが難しい。

 なにしろ、エアウォリアーズの団員は例外なく精鋭。
 平団員でさえ、そこらの傭兵団なら不動のトップエースたりうる人材。
 その中でも中堅以上の人間が試験官になるのだ。
 勝利が入団条件というわけではないが、それでも好成績は滅多に出ない。
 不合格の一言と共に地に沈んだ人間の数は、他の団の人間が聞けば絶句する程だ。

 試験とは別枠の、表に出ていない裏口的な入団もあるが、これはある意味試験以上に厳しい。
 というのも、三隊長以上の地位にある者が有望と判断した場合だからだ。
 そしてその枠の数は一年に一人のみで、三隊長が採用した場合は自分の隊に組み込まなければならない。
 必然的に見る目は厳しくなり、未だに一度もこの権限を使っていない者もいる程だ。

 ゆえに、新入りなどは入団した段階で自分が強者だと思ってしまう者もいる。
 実際間違ってはおらず、一部を除けばそこらの傭兵よりは余程強い。
 
 が、エアウォリアーズの団員として強いかといえば、そうでもなかったりする。

「げぶはぁあああああああああっ!?」

 昨日入団したばかりの青年が、吹っ飛んでいく。
 転がりながら大地と情熱的なキスを幾度も交わし、もう嫌だと思っても回転が止まらない。
 それどころか、鼻の中に土が入り込んで呼吸すらままならなくなっていく。
 ようやく止まった時には、彼の全身は土に染まっていた。
 
 朦朧とする意識の中でどうにか立ち上がり、彼は冷静に現状を分析する。

 なぜ吹っ飛んだのか。
 第三部隊隊長ケルヴィン・マクギネスにぶっ飛ばされたからだ。
 直前にかろうじて見えたのが、獣人らしい毛で覆われた拳だったので間違いない。

 なぜぶっ飛ばされたのか。
 隊長格の力を肌で感じたいと、手加減抜きでの組手を頼んだからだ。
 元気の良い新人は大歓迎だ、と快く引き受けてくれたのを覚えている。

 なぜ組手なのに開始直後にぶっ飛ばされたのか。
 実力の開きが、ケルヴィンの予想以上に大きすぎたからだ。
 あれ? 今の速すぎた? と困惑した様子で狼狽え、周囲の人間の反応を窺っている。

(こ、これがエアウォリアーズの隊長格……やっぱすげぇ)

 気を抜けば遠のいていく意識をどうにか繋ぎ止め、歩き出す。

 もはや組手になどならない、そんな事は分かっている。
 気合と根性でどうにか動いてはいるが、再び拳を構えるのはほぼ不可能。
 ついでに言えば、あの狼狽えっぷりからして、ただの牽制程度の拳だった事は明白。
 開始前に先輩集団が言っていた、手加減が下手だという言葉は事実だったのだろう。
 もう一撃受ければ、本当に死にかねない。

 が、それでももう一度凄まじい拳を見てみたい。
 
 その思いだけで歩みを進めていた青年の足が――――唐突に払われた。

「はいはい、そこまでよ新入り。命あっての物種。
どーせこの先何度も見る機会あんだから、今日は大人しくしときなさい。
それに団長の拳はケルヴィンなんか目じゃないぐらい凄いからね。今死ぬのはもったいないわよ?」

 青年を抱き留めながら、穏やかに諭す黒翼の女性――――ルミナス・アークライト。
 ぞんざいな口調だが優しい言葉に青年の気が緩み、そのまま意識を失った。

 それを見届けると、ルミナスは近くの団員に彼を預け、ケルヴィンにゆっくりと詰め寄る。

「こんの筋肉馬鹿! 貴重な新入り殺しかけてんじゃないわよ!?」

「もーちっと腕が立つと思ってたんだよ!」

「しょーもない言い訳すんなお馬鹿! 軽いとこから徐々にペース上げてけって何度言われてんのよ!?」

 怒鳴り返してきたケルヴィンに、それ以上の怒声で返すルミナス。

 ケルヴィンが新人を半殺しにしたのは、今回が初めてではない。
 血の気が多い新人が入ってくると必ずと言っていいほどに、同じ事が起きている。
 態度が悪い新人ならば上下関係を叩きこむという意味ではそれも悪くないのだが、
今回のように真っ当に向上心の強い新人も同じ目に遭うのはまずい。
 
 ゆえに、これまで副団長とアンリから何度も叱責されているのだ。
 その度に超高速の刀による毛のカットで『馬鹿』『駄犬』『犬未満』などと刻まれたり、
獣よろしく鞭による調教を受けたりしているが、一向に改まらない。

 とはいえ、今まではルミナスは静観していた。
 一応死亡や退団などの実害は出ていないし、副団長とアンリ二人がかりの懲罰でも改善が見込めない以上、
ルミナスが言っても無駄だからだ。

 が、あまりに繰り返されるケルヴィンの失態に、我慢の限界を超えた。

「い、いや、手加減抜きって言われたからな。それなら男としてせめて殺さねぇギリギリの力で戦わなきゃ失れぐが!?」

 この期に及んでなお反論しようとしたケルヴィンの顎を、ルミナスの拳が打ち抜いた。
 コンパクトながらも腰が入り、ケルヴィンにさえ予備動作を感じさせない見事なアッパーである。

「そういう事はまともに手加減できるようになってからほざきなさい! んっとにこの馬鹿は毎度毎度……!」

 ケルヴィンの首の毛を両手で掴み、というか握りしめ、締め上げる。
 通常ならその程度ではビクともしないケルヴィンなのだが、   

「あ、あの、ルミナスさん……隊長が足ガックガクでふらついてるんですけど。
ってか、半分白目むいてんですけど」

「そのつもりでぶん殴ったんだから当たり前でしょ。これ以上馬鹿な言い分聞いたら私も本気で怒りそうだし。
あんだけやらかして懲りないんだから、剣抜かないだけ手緩いと思うけど?」

「ぐ、う……だ、黙って聞いてりゃ、好き放題言いやがってぇぇぇぇっ!」

 どうにか意識を引き戻し、態勢を立て直したケルヴィンが、ルミナスに掴みかかろうとする。
 当然ながら、手加減はしない。そんな事をすれば、手痛いカウンターが確定してしまう。

 が、ルミナスは冷めた目でそれを捉え、的確に対処した。

 毛を掴んだまま掴みかかってきた力に逆らわず、自分から倒れ込む。
 そしてそのままケルヴィンの真下に潜り込み、足を使って彼の体を弾き飛ばす。

 ――――そのままであれば彼の体は回転し、地面に背中から叩きつけられていただろう。 

 綺麗に投げられつつも、ケルヴィンは抗った。
 叩きつけられてなるものか、と強引に体を捻って着地しようとしたのだ。
 実際それは上手くいき、彼は両足から着地した。

 ――――悪かったのは何か。

 ケルヴィンが無駄に足掻いた事か。
 あるいはルミナスが怒りに任せて凄まじい力で掴んでいた事か。
 強いて言えば、何よりも運が悪かったのかもしれない。

 いずれにせよ、悲劇は起きた。

「あっだぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「……あ゛」

 のたうち回るケルヴィンの悲鳴に、ルミナスは冷や汗を垂らした。

 彼女の視線の先には、先程まで掴んでいた物。
 付け加えるなら、今しがた引きちぎってしまった物。
 ケルヴィンにしては割とこまめにブラッシングしたりして、手入れしている物のなれの果て。

 ――――ケルヴィンの首元の毛が、たっぷりと握りしめられていた。

「あー……ごめん」

「ごめんで済むか、あほんだらぁ!? 何てことしてくれてやがる!?
また生え揃うまでどんだけかかると思ってやがる!?」

 痛みに悶えながらも、ケルヴィンはルミナスに猛抗議する。

 引きちぎられた部分は、見事に丸ハゲ状態。 
 日頃から手入れして手触りとふわふわ感を維持している物が、一瞬で消えた。
 罰でもカットに留めた副団長を超える、無慈悲なる暴挙。 
  
 断じて許せるはずはない。

「いや、だから悪かったってば」

「それで済むわきゃねえだろ馬鹿! ったく、日頃常識人ぶってるくせにガサツな女だぜ。
今はいろんな男袖にしてるからその性格露呈してねぇだけで、付き合ったらすぐ愛想つかされて終わりだろーよ!」

 けっ、と捨て台詞を吐いたケルヴィンに、ルミナスの顔色が変わった。
 それまでの申し訳なさそうな色は消え、触れれば切れそうな鋭さが宿っている。

「……ざけてんの? 元々はあんたがやらかしたのが原因でしょうが。
やりすぎたのは悪かったけど、そこまで言われる筋合いはないわよ。
そんな事も分かんないわけ? マジで知能犬未満になったの?」

 挑発的な言葉を締めくくるように、鼻で笑うルミナス。
 それを見て、ケルヴィンの頭に完全に血が上った。

「んの野郎……上等だ! ぶっとばしてやらぁっ!」

「こっちのセリフよ!」

 怒声と共に飛びかかってきたケルヴィンに、ルミナスも迎撃に移った。

「……はっ!? ちょ、御二―――やばっ! 総員退避ぃぃぃぃぃっ!」

 非常に珍しいルミナスの激昂に呆気に取られていた周囲の団員が、即座に避難指示を飛ばす。
 程なくして、エアウォリアーズ屈指の化物二人の激戦が始まった。








 ケルヴィンに吹っ飛ばされて気絶していた青年は、周囲に響き渡った轟音で目を覚ました。
 跳ね起き、何事かと周囲を咄嗟に見回す。

「おや、起きましたか。なかなか回復早いですね」

「は、はあ……あの、何が起きてるんです? 凄い音があちこちから響いてますけど」

 感心したように目を細める先輩団員に、青年は思わず問いかけた。

 先程からあちこちで凄まじい音が響いているが、音源が見当たらない。
 何かを叩きつける音にそちらを向けば、地面に人よりも大きな穴が開いているのに、他には何もない。
 どういう事かと首を傾げていれば、直後別の所から木がへし折れる音が響く。
 人の声らしきものもひっきりなしに聞こえるのだが、そちらについては方向を特定も出来ない。

「ルミナスさんと隊長の喧嘩です。つっても、隊長が一方的にボコられてますけど。
あ、追い詰められたからって空に逃げちゃダメじゃないですか隊長……」

「……え?」

「ルミナスさんと隊長だと、地上戦でやっと互角。
本領の空中まで使われたら、そりゃ成す術ないでしょ。あ、今度は後頭部蹴られた。
しかし、隊長の頑丈さも頭おかしいですよねー。今のなんか、私だったら頭無くなってますよ」

 解説しながらひょいひょいと視線を動かす先輩団員。
 青年がよくよく周りを見てみると、他の団員も似たような動きをしていた。

「あの……先輩方は皆さん見えてらっしゃるんで?」

「これぐらい距離があればね。間近だと流石に無理です」

「……俺、ここでやってけるか自信なくなってきたんですけど」

 青年は、がっくりと肩を落とした。

 エアウォリアーズに入団出来た時は、自信があった
 憧れの団とはいえ、才能にも日々の修練量にも自負があり、
その証明として入団できたと思っていたからだ。

 が、今日一日で随分と派手にそれをぶち壊された。

 三隊長の一角に及ばぬだけならまだ想定内だが、先輩団員の足元にも及んでないというのは想定外。
 下の上ぐらいではあるだろうと思っていたのに、現状この場にいる団員の中で自分が一番弱い事は明白。
 他の団員は違う、というのは希望的観測だろう。 

 そんな彼に、先輩団員は穏やかに声をかける。

「大丈夫です。この団で1年も生き延びればこれぐらいはできますから。
私も入団したての頃は貴方と似たようなものでしたからね」

 そう言って、何やら遠くを見つめる先輩団員。
 その背には、なぜか言い知れぬ哀愁が漂っている。

 その姿に、青年は言い知れぬ嫌な予感を覚えた。

(……な、なんでだ? 一年生き延びればいいだけって言われてるのに)

 少し震え始めた体を押さえ、考え込む。

 程なくして青年は、この時の予感がこの上無く正しかった事を知る。
 一年生き延びる、それがどれほどの難行であるのかを。

 常に限界を超え続けなければ、生存すらおぼつかない。
 それこそがエアウォリアーズという団なのだと。

 一年後見事生き延びた彼は、それを達観と共に悟っていた。 
コメント

まあ、漢の理論を持ち出すには相応しくないですよね、特に今は。新人は…まあ、要訓練という事で。
しかし、団が結成して十数年ですか…海人の両親がいなくなったのもほぼ似た辺りですね。

追伸
カジノ等鉄火場ネタはいかがでしょうか?
[2017/11/27 06:56] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


更新楽しみにしています。エアウォリアーズのエピソードですか。面白いですね。
[2017/11/30 11:21] URL | ロボット三等兵 #- [ 編集 ]


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