ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
というわけで番外編です。
定番ネタではありますが、展開が少し違います。
ぼかしてはありますが、お食事中の方は避けた方が良さそうなネタが含まれます。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


ロボット三等兵さん

一応刹那も基本的にはちゃんとしてるんですけどね。
身内相手だと色々ガードが甘くなります。

コスモさん

他に見せられたら最悪切腹騒動かも(汗)
まあ、海人の場合見せたとしても身内の女性限定でしょうけど。

海人に空間魔法はあまり凶悪でもないかもしれません。
創造魔法と同じく、改善改良が難しいですし。

necoさん

迷走は色々する予定ですね。主に女性陣が。
本編はどうしても時間かかってしまうので、すみません。
表に出る分量だけなら番外編4、5話分程度なんですけどねぇ。

ローラが拾ってた場合、は一番難しいかもしれません。
拾わず放置、が彼女の場合一番らしいっちゃらしい行動ですから。

飛べないブタさん

ええ、あんまり目立たないけど、刹那も十分反則スペックです。
良くも悪くも彼女は能力バランスが優等生すぎるんですよね(家事除く)

作者も、書いてて一番好きなのは穏やかな日常ですね。
荒んだ気分が書いてて癒されてく感じがするのです。



次話ですが、おそらく次回かその次の更新になると思います。
かなり出来上がってはいるんですが、いまだ設定を出すか悩んでる箇所があるので。
毎度遅筆ですが気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。













 番外編



 雫は、眼前の食材を前に唸っていた。
 朝から夕方まで延々探し続け、要約揃えた食材だが、いざ手にするとなんとも言えぬ気分だった。
 
 事の始まりは、今朝の事。

 いつものように美味しいお米に焼き魚、みそ汁を堪能した後の事。
 ふと、食事への情熱が以前より減っている事に気付いた。

 以前であれば、ご飯は大盛三杯は瞬く間。
 おかずの焼き魚も4、5匹を一気に平らげ、みそ汁も豪快におかわりしていた。

 それがいまや、最初に前にある料理を一気に平らげたら、粛々とおかわりを続けるのみ。
 皿は食べるなよー、主君に冗談めかして注意された程の熱は見る影もない。
  
 ――――これはいけない。そう思った。

 現在の職場に、不満はない。
 衣食住完備に加え、安くないお給金。
 特に食の充実ぶりは、まず他ではありえない。
 今まで食べた物だけでも、王侯貴族でも不可能なレベルの贅沢をしている。
 
 が、だからこそ危機感が煽られた。
 こんな贅沢に慣れ、快楽を陳腐化させていいものかと。
 
 いかなる贅沢でも、毎日続けていれば飽きる。それが普通になってしまうからだ。
 日々の生活のありがたみを再認識する意味で、一度生活を見直すべきではないか。
 
 そう考えた雫は、それを実行に移すべく朝から動き回っていたのである。

「デスリザードの腹肉、ポイズニックウルフの背骨、アッシュコリュシアンの根、
か……懐かしい食材だねぇ。よく食べたなぁ……」

 呟きながら、目尻に滲み始めた物を拭う。

 揃えたのは、どれもかつて良く食べた物。
 呪われてるのでは無いかという程に目にする機会が多かった食材である。

 ――――もしここに常識的な第三者がいれば、彼女の呟きに耳を疑っただろう。

 デスリザードは、全身が猛毒の塊だ。
 特に肝の毒性の高さは尋常ではなく、中位ドラゴンも即死する域だ。
 一応肉、特に腹肉は比較的毒が少ないが、それでも新米冒険者が知らずに食べて一時間で息絶える程度には強烈だ。
 味については過去の勇敢な食道楽達に『これを食って死ぬぐらいなら、餓死を選ぶ』と言わしめたレベルである。

 ポイズニックウルフもまた、毒の塊だ。
 肉はおろか体毛すらも毒を含み、風に舞った毛を口に含んでしまった騎士が三日三晩苦しんだなどという話もある。
 背骨を煮込むとそこそこの味のスープを作れるのだが、毒がたっぷりで普通は解毒剤を用意していなければ十分であの世行きだ。  

 アッシュコリュシアンの根も、やはり毒である。
 葉に比べれば毒性は少ないが、根を一本丸々食べると大概の人間は即死する。
 そのくせ外見では薬としても使われるホワイトコリュシアンとの区別がやや難しく、
山で見つけた素人が誤食して死亡する事故が多い。 
 味はどちらも共通で、苦さとえぐさで吐き出しそうになる味。
 唯一の美点は、根を一本食べれば一日は食わずに働けるという腹持ちの良さ。 

 つまるところ、どれも断じて食い物ではないのだが、かつての雫にとっては馴染みのある食材であった。
  
「……んじゃ、久々に作るかぁ」

 軽く袖をまくり、雫は調理に取り掛かった。

  



 




 二時間後、雫は帰路につきながら涙を流していた。

「うげえ……まだ口の中に味残ってるよぉ……」

 しかめっ面で舌を出し、泣き言を漏らす。

 以前は食えるだけマシ、と割り切っていたが、今はよくぞ食べられていたと自分に感心してしまう。
 デスリザードのステーキは、独特の脂臭さと青臭いような血生臭いような香りが入り混じり、
そのくせ肉の旨みはおろか脂の味すらほとんどしないという救いがたい味。
 アッシュコリュシアンの根は、舌に乗せた瞬間苦さとえぐさが口に広がり、飲み込んでも延々残り続ける。
 それでいて甘味とか旨味とかいった要素は、どれだけ集中しても感じ取れないという絶望的な味。
 ポイズニックウルフのスープは一応飲めたが、断じて魔力消費してまで食べたい味ではない。
 
 以前はこれで普通に腹を満たしていたのだから、つくづく悲惨な生活だったのだと実感させられる。

(でもまあ、これで当分は幸福感薄れないよね。
うん、あんなもん食ったんだから、むしろ普通の食材だって超美味く感じるはずだよ)

 そんな事を考えているうちに、屋敷の門に辿り着く。

「あ、リレイユただいまー」

 雫が軽い調子で脇にいる番ドラゴンに声をかけると『おかえりなさーい♪』というプレートが向けられた。
 律儀に、立ち上がって前足も振っている。
 
「ん……? 何この匂い?」

 門をくぐったところで、雫の鼻がぴくぴくと動いた。

 薄れていてよく分からないが、何かを焼いた匂いだ。
 不快な匂いではなく、むしろ食欲を煽られる。
 さらに進むと、その印象が余計に強まった。
 先程は気付かなかったが、どうもニンニクの類の匂いが混ざっている。
 それに上質な牛肉の焼ける臭いと、香ばしい醤油の香りが混ざり、なんとも心惹かれる香りだ。

 そうして匂いを辿った雫が匂いの元である食堂に入ると、

「お、雫おかえり。用事はすんだのか?」

「え、ええ済みましたけど……いったい何事です?」

 出迎えてくれた海人に、尋ねる。

 というのも、普段ならばここではありえない光景が広がっていたからだ。
 
 まず、人口密度が違う。
 シェリスの使用人達が複数いて、いつ最寄り格段に賑やか。
 男が海人一人なので、普通の男が聞けばさぞや羨ましがる状況だろう。  

 次いで、並んでいる料理が違う。      
 ルミナスがいる時に近いが、盛り付けが明らかに違った。
 好きな皿から各自料理を取る形式だが、取り分けられて尚美しい。
 料理自体の色彩も豊かで、見ていて飽きない。

 雫は今日授業があるとは聞いていたが、こんな宴の事は聞いていなかった。

「いや、前から試験的にこっちに一部書類を持ってきての泊まり込みをしてみたいという話があってな。
いつでもいいとは言っていたんだが、今日は丁度副料理長の休暇も重なったらしくて、授業ついでに料理を作ってくれる事になったんだ。
流石スカーレット女士の薫陶というべきか、どれも美味い。特に先程焼いてくれたステーキは文句のつけようがない美味だった」

「いやー……あんだけの食材見せられてしまっては、料理人として全力出さないわけにはいかないですからねぇ」

 海人の称賛を受け、照れくさそうに笑う女性を眺めながら、雫は倒れそうになっていた。
 
(……よ、よりにもよって今日……あんなクソ不味いもんたらふく食べてもう入らないって時に!?)

 他はともかく、アッシュコリュシアンの根を食べたのはまずかった。
 味は最悪でも腹持ちは異常に良いので、これ以上の食べ物は入らない。

「ああ、安心しろ雫。君の分はちゃんと取り分けておいた」

「肉も何枚か残してありますから、仰っていただければすぐステーキ焼きますよ?」

(ああああああああああああああああああっ! 心遣いが、その心遣いが痛い……!)

 二人から向けられる善意100%の笑顔を見て、雫の心は荒れ狂った。

 心情的には、食べたい。
 純粋に味に興味があるし、なにより先程の口直しがしたいのだ。
 
 が、胃袋的には不可能。
 それなりに時間が経過しているのに、満腹感が消える気配はない。
 いかなる食べ物であろうと、今口に入れたら乙女の尊厳に関わる事態となる。

「す、すいません、物凄く、物凄く食べたいし申し訳ないんですけど、今食べられないんです……!」

「……お、おう。なら仕方ないな。しかし、なんでまたそんな事に?」

「実は……」

 気圧されつつも問いかけてきた主君に、雫は溜息を吐きながら今日1日の説明を始めた。
 何を思い、何を考え、何をやってきたのか、全てを包み隠さず。

 それを聞き終えた海人は、気の毒そうな目を雫に向けた。

「……雫。それ、多分慣れではないぞ?」

「ほえ?」

「単に前程がっつかなくなって、じっくり味わう余裕が出来ただけじゃないか?
確かに初速は遅くなったが、食べる量自体は変わっとらんだろ?」

「……あ゛」

 かちん、と固まる雫。

 言われてみれば、確かにそうだった。
 前は美味しい美味しいと感激するばかりであまり味を詳細に分析していなかったが、今は違う。
 米の炊き具合、魚の塩加減、みそ汁のバランス、そういった物をしっかりと分析しながら食べている。
 そして、翌日はこう変えてみようと考えたりしているのだ。

 考えようによっては、むしろ以前よりも食に貪欲になっている。

「まあ、気を落とすな。明日なら食べられるだろ」

「あ、そ、その他の物は大丈夫なんですが……ステーキは持ってきた肉の熟成具合が今日に調整してあるので、明日の朝だと風味がかなり……」

「…………ちょっともう一回出てきます。すいませんけど、肉用意しといてください」

 副料理長の言葉を聞くなり、据わった目で踵を返してドアへと向かう雫。

「ま、待て雫。今度はどこに行くつもりだ?」

「途中でモルステックス草見つけたんですよ。大丈夫、全速力出して10分で戻ってきます」

 咄嗟に止めた海人を引きずりながら、雫は食堂を出ていく。

 駆け出し始めた雫にしがみつきながら、海人は困惑する。
 モルステックス草と言っていたが、それの用途は傷薬。
 煎じて裂傷などに塗ると傷の治りが早くなる薬草だ。 
 
 はて、と思ったところで、海人はモルステックス草の特殊用途を思い出した。
 効果が強烈すぎて滅多に用いられず、図鑑にすらあまり載っていない用途を。

 一転して全力で阻止にかかった海人だが、所詮貧弱男。
 力づくで雫を止められるはずもない。
 床に転がり、腰を打ち、痛そうに呻く羽目になった。

 雫は申し訳なさそうに海人を一瞥し頭を下げ――――直後、二人を追いかけてきた刹那のボディーブローにぶっ飛ばされた。
 
「愚妹が無礼を働いたようで申し訳ございません。御無事ですか?」

「いや、そりゃ私は無事だが、雫は……あー……」

 刹那の手を取りながら立ち上がった海人は、雫を見て期せずして彼女が目的を達してしまった事を知る。
 刹那のボディーブローが、余程効いたらしい。

 せめてもの情けとして海人はとりあえず目を背け、そのまま掃除用具を取りに向かった。
 あまり怒らないでやってくれ、と刹那に言い含めつつ。
 

コメント

あちゃー、雫にとって正に踏んだり蹴ったりですねぇ。まあ、こういう場合は大量のおいしい食材を用意できる海人が悪いという事で(笑)

追伸
ことわざネタはいかがでしょうか?
[2018/01/15 08:13] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


更新楽しみにしています。あの姉妹は見ていて飽きないですね。
[2018/01/16 00:15] URL | ロボット三等兵 #- [ 編集 ]


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