ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
というわけで番外編です。
定番ネタですが、ほんの少しだけ展開が違います。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


コスモさん

姉が妹の願いを最短で叶えてあげた。
これだけなら美談に聞こえますね、うん。

ことわざ……一番多くなりそうなのは生物の違いですかね。
飛んで火にいる夏の虫→知らず擬態系魔物に食われる冒険者、みたいな感じで。

ロボット三等兵さん

本編はもう少々お待ちください。
良くも悪くも極端な姉妹なので、見てる分には楽しいかもしれません。



さて、次話ですが、次回更新できると思います。
悩んでた設定開示をどうするか、ようやく決められたので。
それに伴いちょこちょこ調整してますが、多分次回は更新できるはずです。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。






 番外編




 戦場において、兵糧は最重要とも言える課題だ。
 いかなる兵も飢えてはまともに戦えず、いずれは死に至る。
 凡百の兵であろうと、一騎当千の兵であろうとそれは変わらない。
 そのくせ毎日消費され続ける為、補給がなければ瞬く間に尽き、
大規模な軍になればなるほどその速度は加速する。
 
 ゆえに奇襲により補給線が断たれるなどすれば、それはまさに致命的。
 どれほどの快進撃を繰り広げていようが、即時撤退という選択肢が生じてしまう程に。
 あと少しで敵国の喉元に刃を突きつけ、勝利が確定する。そんな状況であったとしても。
 
 とはいえ、世の中には常に例外という物が存在する。

「いやー、参ったわね。まさか後方の食糧が丸々焼かれたなんてねー」

 からからと笑いながら語るのは、ルミナス・アークライト。
 愛剣片手に、軽やかな足取りで森の中を突き進んでいる。

 もう片方の手には、これまでに仕留めた魔物の肉が入った袋。
 比較的腐りやすい肉が多いが当日食べれば問題なく、腐りにくい物は火を通してしまえばしばらく保つ。
 この先の食料としては、なかなかの収穫だ。 
 
「笑い事ではありませんわ、お姉さま。おかげで時間制限が出来てしまいましたもの」

 はあ、と物憂げに溜息を吐くシリル・メルティ。

 やられた事それ自体は、極めて単純だ。
 前線への補給を担っていた兵站地、その食糧庫が焼かれた。
 内部に入り込んでいた間者が火を放ち、それに乗じて密かに回り込んでいた敵部隊が襲い、一気に丸焼きにしたのである。
 しかも相当覚悟を決めていた連中だったらしく、消火不能になったと判断するや、即座に食糧輸送中の部隊を襲撃に向かった。
 当然ながら護送部隊に返り討ちになったが、命と引き換えに更なる食糧を削ったという。
 
 敵兵は完全に殲滅されたが、当然食料は戻らない。
 このままでは行軍速度を速めても、敵国の首都に辿り着く前に食料が尽きる。
 それも途中で一切の邪魔が入らない事が大前提だ。
 だからこそ急遽進軍を止め、食糧調達を行っている。
 到底、笑っていられる話ではない。

「時間制限は時間制限でしょ? 多少は伸ばせるし、上手くすりゃ手柄も狙える。悪かないでしょ」

「それはそうですが、正規軍の無能に足を引っ張られたというのがいただけませんわ。
どう考えても兵站地の防備が薄すぎると進言もいたしましたのに」

 頭痛を堪えるように、シリルが頭を抱える。

 伝え聞いた敵兵力からすると、本来なら食糧は守れてしかるべきだった。
 必要最小限の人員を要所に配置して巡回要員を用意していれば、
間者が行動に移った段階で発見され、抹殺されていたはずなのだ。
 その後の襲撃も、特に問題なく迎撃できていただろう。

 正規軍は、それすらしていなかった。
 こんな場所にわざわざ敵が戦力を送り込んでくるはずがない。
 送り込んできたとしても、兵站地の戦力で問題なく迎撃できると。
 常識的な最小限の人員すら配置せず、その分を前線に送ったのだ。

(……戦力的には十分でも、人格的にはあまりにも不十分だった事が分からなかったというのが、なんとも救えませんわね)

 再び、嘆息する。

 戦力面だけで考えれば、正規軍の理屈も分からなくはなかった。
 正規軍御自慢の猛将が配されており、事実彼一人でも今回の敵軍は殲滅可能だったのだ。
  
 ―――――退屈だ、と仕事中に酒を飲みすぎてさえいなければ。

 飲みすぎた挙句大いびきで眠っていれば、対処も遅れる。
 部下がやってくるまで異変に気付きもしないで眠りっぱなしだったとなれば尚更だ。 
 
 最大の責が本人にある事は当然だが、シリルからすれば彼を配した正規軍の軍師にも同等の責がある。
 何しろ、彼は個人の武勇こそ他の兵を寄せ付けないが、命令違反の常習犯で誰もが認める考えなし。
 幾度となく敵軍のあからさますぎる挑発に乗せられた挙句単身囲まれ、それを命からがら切り抜けているという経歴の持ち主である。
 最前線で暴れさせる分には使えるが、守備にはまるっきり向いていない。

 それを突っ込みすぎて討たれては士気に関わるという理由で後方、それも兵站地に配するなど正気とは思えない。
 実は軍師が敵国の間者だった、と言われれば納得できてしまう程だ。

 そのせいで堅実な戦術が取れなくなった側としては、たまったものではない。

「あんま落ち込まないの。頭数もまともに活用できてないし、そうじゃなきゃ私らの出番もなかったでしょ?」

「……確かに、まともな練兵と用兵が出来ていれば私達の出番はありませんでしたわね」

「そうそう―――――結果としては良い方に転んだみたいだしね?」

 ルミナスが笑みを深めたその刹那、彼女の手が霞んだ。
 直後、彼女の後方からどさりと重々しい音が響き、それと同時に周囲から一斉に隠れていた敵が現れた。 

「気付いていたのは見事。だが迂闊だな。現地での食料調達、その程度見抜けぬとでも思ったか?」

 指揮官と思しき壮年の男が、のそりと一歩前に出た。
 厳つい顔とがっしりとした体格、鉄皮族独特の肌の色が相まってなんとも威圧感がある。

 が、ルミナスとシリルは臆する様子もなく、先程と変わらぬ口調で答えた。

「どっちでもよかったってのが実際のとこかしらね」

「そうですわね。どちらかと言えば見抜いていただいた方が好都合でしたが」

「……どういう意味だ?」

「この森は食料豊富そうだから、見抜かれなきゃそのまま食料確保できるじゃない。
その場合、一番面倒がなくて楽チン―――――でも、兵力は削れない」

 剣を構えたルミナスがにいっ、と唇を吊り上げた。
 同時に溢れ出た威圧感に、周囲の敵が思わず身構える。

「見抜かれた場合、必然的に襲われますので面倒ですが、その分敵戦力を削れますわ」

 弓を構え、朗らかに微笑むシリル。
 しかしその笑顔には、軍人の背筋をも凍らせる凄みがある。

「そして、襲ってきたのが名のある武将だったら、絶好のチャンス。
このままただ正規軍と一緒に攻め上がっても、予定通りのお給金。
でも、有力な人間仕留めたら報奨金出るって契約になってんのよね、これが」

「それがまたなかなかの金額なんですのよねぇ……特に、貴方は。
≪不倒の勇者≫バウォード・レスタングさん?」

「……なるほど、誘いか。だが、しくじればただの愚策!
果敢なる勇気かはたまた蛮勇か、我が剣にて確かめさせてもらおう!」
 
 周辺諸国に名を馳せる豪傑は、雄々しく叫ぶと剣を抜いた。












 三十分後、ルミナスとバウォードは激しい剣戟を繰り広げていた。
 どちらも渾身の威力を乗せた斬撃を放ちあい、息を大きく切らしている。

「はぁ、はぁ……ちょーっと、計算が違った、わねぇ……!」

「こちらも、だ……! その年でこの武勇、並々ならぬ傑物よ……!」

 互いに剣を弾き、間合いを取る。

 基本的には、ルミナスが優勢。
 膂力で劣る分を剣技でそれ以上にカバーし、幾度となく斬撃を叩きこんでいる。
 その巧みな剣技がバウォードにカウンターを警戒させ、思い切った攻めをさせない。

 が、バウォードの防御力はルミナスをしても極めて厄介。

 これまで当てた斬撃は、全て防具を斬れても体で止まっている。
 火炎系の補助魔法を併用もしたが、初回は制限時間を逃げ切られ、
再発動しようとするとその度に一気呵成の攻めに転じ、集中を切られた。
 その見極めたるや見事と言う他なく、ルミナスをして素の斬撃で仕留める他ないと判断させたほどだ。

 バウォードの仲間は既にシリルが残らず射殺したが、彼女は援護に入れない。

 バウォードの巧みな立ち回りで矢による援護を制限されてしまっているのだ。
 動きを予測して射ても、生半可な読みではルミナスに誤射させられる可能性が高い。
 かといって剣で割って入ろうにも、戦いの次元が高すぎて邪魔にしかならない。

 隙を見せたら必殺せんと機会を窺ってはいるが、そこまでの隙が生じる時にはおそらくルミナスが斬っている。
 ゆえに、シリルの意識は増援に対する警戒に多くを割かれている。

 だからこそ、気配を感じさせず視界の端に見えた影に、いち早く気付いた。

「何もへっぷぁ!?」

「気付けるようになったのは進歩だし、即座に攻撃も悪手ではないけど、上司に弓向けるのはどうかしらね?」  
   
 シリルに布袋を投げつけつつ、納刀した刀を左手に提げた白髪の女性が姿を現す。
 死闘の空気をものともせず、悠々かつ堂々たる態度で。

『副団長っ!?』

 ルミナスとシリルが、同時に叫んだ。
 別行動していた彼女らの上司―――クレイア・アスガルドの出現に。

「新手か……!」

「……バウォード・レスタングか。想像していたほど、強くはなさそうね」

「戯けた事を!」

 淡々としたクレイアの言葉に激昂したバウォードが斬りかかる。
 ルミナスとの勝負を決める為に取っておいた、最大の一撃をもって。

「……まあ、こんなものか」

 いつの間にかバウォードの背後に回っていたクレイアは、そう呟くとチン、と納刀した。
 その余裕にしか見えない態度に怒りを煽られたバウォードが再度斬りかかろうとするが、

「……な、に?」

 ぼとりと落ちた自分の両腕と剣に、呆然とした。
 そしてなぜか視界が斜めに動いていく事に気付き下を見ると、そのまま景色が下に下がっていく。
 下がりながらひっくり返っていく視界に、鎧ごと両断され、斜めにズレていく自身の体が見え―――そのまま、絶命した。
 
「疲弊を計算に入れても、噂ほどじゃなかったわね。まあ、面倒が少なくて何よりだわ」

「……えらく苦戦した私の立場がないんですけど」

「実力の差ね。頑張って鍛えなさい」

 ひょい、とバウォードの首を掴むと、クレイアは布で巻いてから、先程シリルに投げつけた袋に放り込む。
 まるで大した価値のない物を扱うかのように。 

「いくわよ。他が十分な量の食料集めたから、すぐに進軍再開できるわ。
今回は短期間で攻め落とす必要が出た事だし、活躍すればボーナスを弾むわ。頑張りなさい」

『了解っ!』

 どこまでも淡々とした、だが気前のよい上司にルミナスとシリルは敬礼で応えた。 
コメント

>チン、と納刀した。
よく小説で刀が出てくる度にこういう描写があるけど、納刀時に音がなるのは留め金や鍔が緩んでる証拠なんですよ。つまりは手入れ不足。
[2018/01/22 02:02] URL | #- [ 編集 ]

承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
[2018/01/22 06:26] | # [ 編集 ]

承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
[2018/01/22 10:28] | # [ 編集 ]


すげえつよおいんですけど、この副団長。
斬鉄剣?斬鉄剣なの?

そういえば、今回の番外編はシリルが槍を持っていない事から過去の話ですか?
剣で割ってはいる、と言う描写があるから過去かな~とも思いますが。
それとも、勇者さんが現在のルミナスと同等の強さなのかな?

寒い日が続き、都心や此方でも雪が積もったりしてますが、色々と気をつけてください。
[2018/01/23 22:35] URL | 飛べないブタ #t50BOgd. [ 編集 ]


更新ありがとうございました。ルミナスさんは本当に姉御肌ですね。
[2018/01/23 23:07] URL | ロボット三等兵 #- [ 編集 ]


いつも楽しみにしてます!エアウォーリアーズの団長、副団長が出るたびに海人の両親じゃないかって思って、早く再開が見たい…本編でもカレーで繋がる筋ができてきたのでほんと楽しみです!
[2018/01/25 20:11] URL | ぷーらな #- [ 編集 ]


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