ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
というわけで、番外編です。
珍しくはないネタになります。

では急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


リゼルグさん

繋がってはいます。
ネタバレ絡むので、詳しくは先をお楽しみにという事で。

 さん

能力的にはそうかもしれませんね。
ただ、海人の妻も彼に釣り合う能力だったわけではないですが。

 さん

楽しんでいただけなかったようで、残念です。私の力不足ですね。
一年後、楽しんでいただけるといいのですが。

コスモさん

綻びに関しては、ネタバレ絡むので先のお楽しみという事で。

IFに関しては、どうでしょうね。
ヒロインがいるとすれば、ローラかシャロンかも。

ロボット三等兵さん

シェリスにとっては部下、教育係、死神、若干の姉成分など、色々と複雑な感情が絡み合ってます。

並行世界さん

問題はシェリスの実態の秘匿性ですね。
それなりに信を置ける人間でないと雑務も任せられません。
粛清しても漏れた情報が洩れなかった事になるわけじゃないですから。
採用にはローラも関わるので、条件がとても厳しいです。



さて、次話ですが、このままいくと結構重めの話になりそうです。
上手く緩急つけられるよう、頑張りたいと思います。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。






 番外編



 シリルは、淹れたばかりの紅茶を一口含んだ。

 茶葉の良さを引き出しきれているとは言い難いが、それでも味わいは鮮烈。
 爽やかでほのかに甘い香気が鼻の奥に広がり、熱が口内に広がっていく。
 それを追いかけるようにじんわりと広がる味わいも、なんとも心地よい。
 
 緊張を適度にほぐすには、妥当な味わいであった。

「さて、次の手はまだですの?」

「もーちょっと待ってください。えーっと、こう動けば多分こう来るから……」

 シリルの催促を軽く流し、雫は思考を続ける。

 雫が今やっているディルステインは、シリルがいる時の遊びとしてすっかり定着していた。
 雫が一番好んでいるのは地下室でやる海人の世界のゲームだが、これもこれで気に入っている。
 ルールはそう複雑ではないが、戦略の幅広さはまさに無限大。
 相手の思考を読み、戦略的な罠を仕掛けていくのはなかなか楽しいものがある。   
 
 なにより、雫にとってはシリルが相手というのが良かった。
 未だ全敗街道を突き進んではいるが、それでも上達の実感が得られる。
 敗北を重ねるたび、僅かずつではあるがシリルに近づいている実感があるのだ。
 地下でやるゲームよりも地味だが、長期間にわたって楽しみ続けられる。
 
 とはいえ敗北は嫌なので、雫は必死で知恵を絞っていた。

 シリルの悪辣な罠を見切って逃れ、その先に罠を仕掛ける。
 それすら見切って逆用される事も考え、さらに対策を練っていく。
 始めたばかりの時期なら考えすぎと笑い飛ばしただろうが、今は違う。
 自分のお粗末な戦略だけではまず通じない、その前提で挑むべき相手だと認識していた。

「……よしっ! これでどうだ!」

「あら? 長く考えた割にはお粗末な……ああ、なるほどそういう事ですのね」

 雫の打った手を見たシリルは一瞬困惑した表情になるも、すぐさまニヤリと笑った。
 傭兵らしい獰猛さが滲み出た、凄みのある笑顔だ。 

「……ど、どういう事でしょう?」

「竜騎士を取らせ、魔法兵で騎馬を取る。これは五手以上先で効いてきますわねぇ?」

「あ、あはは、さてどうでしょう、ね……?」

 引きつりに引きつった笑顔で、シリルの問いをはぐらかす雫。
 そんな彼女に、シリルは胡散臭い事この上ない笑顔を向ける。
 
「ふふ、思惑通りにいくといいですわね?」

 言いながら、シリルは自分の駒を動かした。
 すぐさま雫も駒を動かし、シリルもそれに負けじとばかりに駒を動かす。
 時に素早く、時に熟考しながら駒を動かし、盤面を進めていく二人だが、その表情は対照的。
 シリルは鼻歌でも歌いだしそうな余裕の笑顔、対して雫の表情は苦々しさに満ちている。
  
 そうして三十手程盤面が進んだ時、雫の表情が一転した。

「ふっ――――長かったですねぇ」

「何がでしょう?」

「シリルさんに一勝するまでですよ!」

 叫びながら、雫は駒復活のルールを使った一手を打つ。

 一見どうという事はない一手だが、いやらしい配置になっていた。
 シリルの最強の駒である竜騎士の動きが、綺麗に封じられている。
 竜騎士を奪われるのを防げば、皇帝の守りに穴が開く。
 素直に切り捨てても、五手以内に穴を開けられる。
 
 現状の盤面では、もはや勝利は時間の問題だ。

「あらあら、してやられましたわね。なるほど読まれていると知った上で騎馬を取ったのも布石でしたのね。
なまじあそこから守りを固めてしまった為に、ここで隙が生まれたわけですから」

「そういう事です! さあシリルさん次の手をどうぞ! 打てるもんならですけどね!」

「では、これをここに」

 ひょいっとシリルは駒復活のルールにのっとり、一手打った。
 雫の思惑を完全にぶち壊すその一手を。
 
「…………ほえ?」

 雫が、間の抜けた声を上げる。
 
 何気ない一手だが、雫の皇帝の喉元に刃を突き付けていた。 
 次の一手で取られるわけではないが、雫が竜騎士を取れば致命的な位置に来れてしまう。
 かといって竜騎士を放置してその駒を取れば、四手以内に詰む。

 見事なまでに、一発逆転されていた。

「束の間の優越感、いかがでした?」

「最悪ですよこんちくしょぉぉぉぉぉっ!?」

 実に愉し気に嗤うシリルに、雫は絶叫した。
 追い詰められてるフリまでして罠を仕掛けたのに、いきなり覆された衝撃は大きい。

「まあ、実際成長はなさってますわ。
全ての駒が見えていて動きも決まってるディルステインならともかく、戦争で対峙するのは避けたいですわね。
貴女は勘も鋭いですから、どこでどう裏をかかれるかわかりませんもの」

 悔しがる雫に、シリルは素直の感想を述べた。

 ディルステインは、良くも悪くも盤面が全てなゲームだ。
 駒は種類ごとに決まった動きしかできず、全てがプレイヤーの前にさらされている。

 これが実際の戦争だと伏兵なぞいくらでもいるし、誤情報で駒の位置が変わる事さえ珍しくない。
 一人の敵将が一部隊薙ぎ払うなんて事もあるので、弱い駒をいくらぶつけても被害が増える可能性もある。
 常に混沌としており、どれほど綿密な戦略も前提条件から覆される事があるのが、戦争というものだ。 
 
 シリルの経験上、雫のようなタイプは戦争においては実に厄介だった。
 
 日頃から軽い態度でおちゃらけているのに、その実頭は良く計算高い。
 格上の相手に対して勝てないとは思いつつも、隙あらば躊躇なく叩き潰しに来る。
 それだけなら可愛いものだが、雫は戦闘における勘の鋭さもあるので、戦争で誘いに引っかかる可能性は低い。
 なにより余計なプライドが無い為、意地による撤退の躊躇がありえず極めてしぶとい。

 この手の手合いには、何度か手痛い反撃を受けた事があるのだ。

「ま、戦争になっても戦略面であたしが対峙する事ないですけどね。
どう考えてもうちの御主人様の方が適任です」

 軽く肩を竦め、雫は温くなった緑茶を一気に呷った。

 戦略という意味では、ディルステインだろうが戦争だろうが海人が一番恐ろしい。
 どれほど混沌とした条件下だろうと、計算が入る以上あの男はほぼ無敵である。
 雫が出張るのは海人の命が大前提なので、必然的に雫の出番は消えてしまうのだ。
 
「アレに関しては戦略立てる事自体が害になりますもの。
他の要素も考えれば……こう言っては何ですが、考えるだけ無駄ですわね」

 お手上げ、とシリルは両手を上げる。

 紛れもない、本心からの言葉だ。
 海人相手に戦略を立ててしまうと、確実に逆用され致命傷になる光景が目に浮かぶ。
 何も考えず突っ込んで海人に突貫する方が最善手なのではないかと思ってしまう程に。  

 加えて、海人が所有している武器。

 超長距離からの一撃必殺を可能とする銃、中位ドラゴンを内部から爆散させる何か。
 これに創造魔法という即時大量生産を可能とする要素が加わるのだから、それだけで洒落にならない。
 中位ドラゴンを爆散させた物体を数百発上空から落とすだけで大概の軍隊は消滅してしまうのだ。 
 エアウォリアーズですら大ダメージは免れられず、追撃を受ければ終わりの可能性が高い。 
  
 ―――――シリルが知っている限りの情報でも、この始末。   

 あの秘密主義者がどれほどの手札を隠し持っているか。
 見せた武器が彼の中でどの程度のランクにある物か。
 それを考えれば、全戦力は国家戦力を想定すべき事ぐらいは想像がつく。
 勝てないとまでは言わないが、どう考えても団存亡の危機は避けられない。

 唯一救いがあるとすれば、この国と敵対する事は必ずしも海人との敵対を意味しないという事。
 平穏な生活のみを望む彼なら、あるいは国が亡ぶような事態になっても静観する可能性はある。
 シェリス達との関係と彼の性格からして、極めて望みは薄いが。 

 一応エアウォリアーズは仕事に取り掛かる前の招集時に意見を具申できる為止める機会はあるのだが、
いかんせん説明が難しいという次元ではない。
 迂闊に海人の情報を開示してしまうと、最悪戦争以前に団消滅の危機になりかねないのだ。
 
 あまりに手が付けられない友人に、シリルは思わず頭を抱えた。

「……もし私達がこの国と敵対する時は、あの馬鹿連れて国外旅行でも行って下さいません?
最速で王都攻め滅ぼして戦争終わらせますので」

「いやー、それは難しいんじゃないですかねー」

「ですわよねぇ……」

 はぁ、とシリルは溜息を吐く。
 結局そうならないよう祈るしかない、幾度となく再確認した事実に対して。
コメント

まあ、海人を敵に回すのは確実に避けたいですよね。もしかしたら核兵器を出される可能性がありますし。

追伸
もし海人がルミナスとかとくっつくとしたら、最終章付近でしょうか?
[2018/03/12 07:22] URL | コスモ #- [ 編集 ]


更新ありがとうございます。ディルステインはチェスに近いものですか?
[2018/03/15 12:15] URL | ロボット三等兵 #- [ 編集 ]


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