ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
というわけで番外編です。
割と珍しいネタかもしれません。
時系列設定は特になしです。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


コスモさん

あのIFネタだと初期はああいう思い付きで作ってみた系のネタ装備になりますね。
引っ越し後は本編とあんまり大差ないです。

肉まんネタ……やるなら中華まんシリーズですかねぇ。

ロボット三等兵さん

申し訳ありませんが、本編はもう少々お待ちください。
あのもしもネタで一番違いが出るのはルミナスとシリルなんですが、まだ良いネタが出ませんねぇ。



次話ですが、次回は更新できると思います。
今週ちょい私生活がハードですが、一応最終調整中ではあるので。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。






 番外編





 刹那は、思う。
 自分は本来武しか取柄のない無骨者であると。
 
 幼き頃は洗濯をすれば衣服をボロきれに変え、掃除をすれば家が廃屋に早変わり、
挙句の果てに料理をすれば味見をした父が泡を吹いてぶっ倒れる始末。
 最近では洗濯をしても衣服は八割方無事、掃除をしても窓ガラスや花瓶が砕け散る程度、
料理にいたっては習った物であれば何事もなくまともな味の物が出来上がるが、それはひとえに主君やその友人の寛大さあってこそ。
 普通であればとうに家事を禁止されるか、莫大な借金で首も回らない状態になっている。
 
 ゆえに実家にいた頃は毎日がほぼ武で埋め尽くされていた。
 実家を出てからは多少他の事に目が向くようになったが、その九割以上は値切り関連の技術と知識。
 それら以外には、自分が恥ずかしくなるほどに疎い。

 ゆえに、困るのだ。
 所謂女性らしい話題などを振られては。

「やっぱり私、保湿クリームはボメス村産が一番良いと思うんですよ。
あそこのに変えてから肌のかさつきとかすっごい減りましたし」

「そ、そうなのですか?」

 シェリスのメイドに話を向けられ、刹那は曖昧な答えを返す。
 化粧品の話題など、まったく知らないが為に。

「いやいや、ボメスよりレメインでしょ。確かに保湿感凄いけど、ボメスはちょっとべたつくじゃない」

「あ、そ、そうなのですか……?」

 別のメイドの意見に、またしても曖昧な言葉をもらす刹那。
 その表情には、ありありと焦りじみたものが浮かんでいる。

「はっ! なーに言ってるんだか。レメイン村のは確かにべたつかないけど、六時間ぐらいしか持続しないじゃない。
単価もボメス村の方が安いし、断然ボメス村産よ」

「ふふん、甘いわね。レメイン村のはケースが小型で軽いから携帯にはもってこい。
それに、ケースのサイズは同じぐらいの物でも、レメイン村の方が器が薄いから容量あるのよ?」

 互いに意見をぶつけあい、睨み合う二人のメイド。
 それを見ながら、刹那はぎこちない笑顔を浮かべていた。

 事の発端はシェリスの屋敷に果物を届けた際、昼食に誘われた事。
 自前の弁当があるからと一度は断ったのだが、中庭での食事は気持ちいいと誘われ断り切れなかったのだ。
 海人の生徒という事も踏まえれば、関係を深めて損はないだろうとも思って。 
 
 ―――――甘かった。

 紅茶を用意する前に軽い雑談から入ったのだが、初っ端から会話についていけない。
 なにしろ、元々一番こだわっていた刹那の母でさえ山の植物から自作した化粧水のみを使うような家庭。   
 冒険者になってからの刹那と雫にいたっては、肌の手入れなど想像した事すらなかったのだ。

 結果、場を崩さぬ程度の笑顔を保つぐらいしかできる事がなかった。

「こらこら二人共、セツナ様おいてけぼりよ。申し訳ありあせん、セツナ様。
二人共、美容にはやたらこだわりが強いもので……」

 ティーセットを持ってきたメイドが、睨み合う同僚を窘めた。
 そこで二人共我に返り、刹那に頭を下げる。

「い、いえ参考になりました……」

「ところで、セツナ様はどのような美容品をお使いなのですか?
前もお綺麗でしたけど、最近さらに肌艶が増しておられるようですが」

「あー……なるほど」

 紅茶を淹れる手は止めぬまま、ずずいと身を乗り出したメイドに刹那は苦笑した。
 その横では、他のメイドもあからさまに聞き耳を立てている。
 
(妙に強く引き留められたのは、そういう事か)

 あまり接点がないはずの自分を強く引き留めた理由を察し、納得する。

 彼女が言うように、刹那の肌艶は以前よりも増していた。
 色艶も、触感も、潤い具合も全てが以前とは段違い。
 美容にこだわりの強い人間であれば、気付き探りたくなるのも無理はない。

 が、いかんせん正直に言うわけにもいかない。

 肌艶が増した理由は、海人特製美容クリーム。
 寝る前に軽く一塗りするだけでお肌の悩みが消し飛び、代わりに自慢が大量発生する逸品。
 美容には疎い刹那だがその逸脱具合は流石に分かるし、なにより海人本人が秘匿したがっている事を知っている。

 ゆえに、心苦しいながらもごまかす道を選んだ。

「実は、拙者は肌の手入れというのはあまりした事がないのです。
最近は海人殿のお側にいる手前、保湿クリームぐらいは塗るようにしているので、その違いかと」

 刹那の穏やかな言葉と微笑みは、まさに完璧。
 隠し事の気配など一切感じさせない態度だ。

 実際、嘘は言っていない。
 刹那は肌の手入れの経験が極めて少ないし、海人の美容クリームは保湿クリームも兼ねている。
 重要な情報を根こそぎ省いてはいたが。
 
 が、そんな刹那の言葉に、メイドの動きが止まった。

「え゛? あの……最初にこちらの屋敷にいらした時は……」 

「あの時は完全に手入れ0です。そもそも美容にお金を使う余裕がありませんでしたの……あの、どうかなさいましたか?」

 一斉に崩れ落ちたメイドを見て、刹那は心配そうに声をかけた。

 そんな客人の反応に、メイド達はさらに打ちひしがれる。
 最初にこの屋敷に来た時も、刹那の肌艶は良かった。
 きちんと毎日手入れして化粧もしているメイド達に匹敵するほどに。
 それが、まさかの完全なるすっぴん。
 
 世界の不条理に、崩れ落ちる他なかった。

「……よし、この話やめっ! 食事しましょう食事!」

「あ、そうですね。にしても……皆さんの昼食は随分と豪快ですね。とても美味しそうです」

 気を取り直して席に着いたメイド達の昼食を見て、刹那が感心したように頷く。

 彼女らの昼食は、サンドイッチ。
 それもかなりサイズが大きく、かぶりつく必要があるような物だ。
 中身も彩り豊かで、黒っぽいソースのかかった鳥の胸肉のソテーをメインに、
レタスを含め七種類ほどの野菜が綺麗に盛り付けられている。
 見るからにワクワクしてくるボリューム感であるにもかかわらず、
袋状の形に切られたパンのおかげでとても食べやすそうだった。

「ふふ、料理長の気合がたっぷり込められてますからね。
セツナ様のお弁当は……随分綺麗な箱ですね。それに御箸も綺麗です」

 感心したように、メイドが刹那の手元を見る。

 刹那の手元には、漆塗りの三段重。
 五面に上品な蒔絵が施され、見るからに高級感がある。
 箸はシンプルな黒い漆塗りだが、それだけに気品が滲み出ていた。

 メイド達の視線を浴びながら刹那が重箱の蓋を開けると、今度は歓声が響く。

「わ、わ、こんな沢山の種類の料理が! 盛り付けもすっごい綺麗!」

「凄っ! これだけ種類作るのってかなり手間かかりますよね!?」

 弁当の中身を見たメイド達が、思いっきり感心する。

 お重の段の中は仕切りで九つに分けられ、それぞれ別の料理が入っていた。
 卵焼き、カリカリに焼いた牛肉、魚の味噌漬け、そして野菜系各種。
 どれも丁寧に盛り付けられており、見栄えがする。

「そ、そうですね……」

 メイド達の称賛を浴びながら、刹那はなぜか居心地悪そうに視線を逸らす。
 どこか後ろめたそうな表情で、次の段も開帳していく。

「うわ、下の段はまた別の種類かぁ……これ、作るの大変だったでしょう?」

「すっごいなぁ……でも、ちょっと作ってみたいですね。今度作り方教えていただけませんか?」

 何の悪意もない、素直な称賛に満ちたメイド達の言葉。
 にもかかわらず、刹那は耐えきれなくなったかのように俯き、震え始めた。

「あ、あの、どうかなさいました?」

「その……実はこれは、海人殿が作ってくださったのです」

『ぶぅっ!?』 

 刹那の暴露に、メイド達が一斉に噴き出す。
 
「その、昨日使いっぱしりにする以上弁当ぐらいは用意させてくれと仰いまして……出かける前に持たされたのがこれなのです」

 ぷるぷる震えながら、刹那は語った。

 研究の良いアイデアを思いついた為、海人はしばらく集中したかった。
 しかし、今日はシェリスの屋敷に果物を卸しに行く必要がある。

 それで刹那が配達をする事になったのだが、海人は御駄賃代わりにと弁当を作ったのだ。
 中身は開けた時のお楽しみ、と秘されていたが、刹那もここまで手をかけた物だとは想像していなかった。 

 ありがたいやら申し訳ないやら複雑な心情を抱えながら、刹那は最後の段を開ける。

「あれ? 今度は随分とシンプルですね」

「綺麗な盛り付けですけど鮭と野菜だけじゃ飽きちゃうような……セツナ様どうなさいました!?」
 
「し、失礼……これは拙者の好物なのです。下は御飯になっているので、まず食べ飽きません」

 感動のあまり打ち震えながら天を仰いでいた刹那は、気を取り直してメイド達の疑問に答える。

 一番下の段の正体は、鮭御飯。
 御飯の上に焼いた鮭のほぐし身をたっぷりと乗せて三つ葉を軽く散らし、
中央に鮭の皮をこんがり焼いて切った物を何枚も乗せてある。 
 
 刹那が箸を入れて中が御飯である事を示すと、御飯の白が上の具材の色彩を引き立て、とても美味そうに見えた。
 我知らず、メイド達の喉が微かに鳴る。

「……よろしければ、少しずつ味見なさいますか?」

 刹那のその提案を断る者は、誰もいなかった。
 苦笑しながら、刹那は弁当箱をメイド達の前に差し出す。
 勿体ないが、喜んでくれるなら少しぐらいはいいだろう、そう思って。
 
 ――――が、刹那は程なくしてこの判断を後悔する羽目になった。

 海人製の弁当の味が思いのほか良かった為歓声が上がり、味見志願が激増したのだ。
 結局刹那の弁当は半分ほどに減り、メイド達の生命力もしょんぼりした刹那を見たローラの手で半減する事となった。


コメント

あえて言おう、自重しろメイド達(笑)
こう、色々な人の女性としてのプライドが砕けた話でしたね。何が悪いというわけではないので落ち込むしかないんですよね。

追伸
メイド服ネタはいかがでしょうか?
[2018/04/02 07:05] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


生命力半減
つまり半殺し。
いつものメイド隊の日常ですね
[2018/04/04 00:03] URL | すわ #- [ 編集 ]

更新お疲れ様です
久しぶりのコメントです。もう4月なんですね。忙しいと月日が経つのが早い……

さて感想ですが
本編の方はそろそろローラの幼少期に何があったか明らかになりそうですね。暗い話は苦手ですが、更新楽しみにしております。最新話の番外編ですが、海人も忙しい中、刹那のためにお重を作るなんて素敵ですね。肉があったので全て一から手作りなんでしょうね。まぁ残念な結果になってしまった様ですが
[2018/04/04 22:28] URL | 名無しの権兵衛 #y2a4lNMg [ 編集 ]


更新ありがとうございました。本編は焦らずに頑張ってください。
[2018/04/07 13:32] URL | ロボット三等兵 #- [ 編集 ]


よくある、弁当あるあるですね。
大体、「少しどうですか?」というとハイエナのようにもって行かれます。
最近は、弁当を買って食う事はあっても、作ってもらう事ってなくなりましたね。
[2018/04/07 21:48] URL | 飛べないブタ #t50BOgd. [ 編集 ]


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