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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編+番外編セット。
というわけで、番外編と番外編セットです。
番外編の方は珍しくはないネタになるかと思います。
というか、一度似たようなネタをやったような気が(汗)

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


コスモさん

案外現代は悪徳商人はリスク増えてるかもしれませんね。
あっという間にネットで広がる時代ですから。
先日の海外で魚料理の難しさを思い知らされました。
他の料理は美味しいか普通だったのに、魚だけは軒並み……。

ラキスケは……まあ、主人公命の危機になりますし。
刹那と雫しかいなけりゃ回避できますけど、それだと酔っ払うまで飲みそうにないですから。

通りすがりさん

楽しんでいただけたなら何よりです。
今後も楽しんでいただける話を書けるよう頑張りたいと思います。

ロボット三等兵さん

温かいお言葉ありがとうございます。
ちょい執筆の勘が狂いましたが、無事に戻ってまいりました。



次話ですが、概ね調子戻ってきたので、次回かその次には更新できると思います。
長めの話なので調整に時間かかるのが不安材料ではありますが。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。







 番外編



 雫は己の主君を前に、かつてない無力感にさらされていた。

 何をしても、通じない。
 どれほど工夫をこらしても、何事もなかったかのように流された。
 ついさっきは欠伸をかみ殺され、現在は表情がもう行っていいか、と雄弁に語っている。

 最大の能力たる知力が使えない戦いですら、この余裕。
 改めて、化物っぷりを思い知らされたと言う他ない。

「雫……いいかげん諦めてくれんか? 流石に疲れてきた」

「まだまだ! まだ勝負はこれからです! あたしの力は、こんなもんじゃありません!」

 面倒臭そうに口を開いた海人に、雫は全身全霊で反論する。

 手は尽くしたが、それでも手札が尽きたわけではない。
 今の状態で届かぬとしても、一段階進化すれば話は変わるはず。
 加えて言えば、あと二段階は進化の余地が残っているのだ。
 ここで撤退などされてはたまらない。

 が、雫のそんな必死の思いをよそに、海人は呆れ交じりの言葉を返す。

「いや、そもそもこれ勝負ですら……」

「勝負です! 紛れもなく! あたしの尊厳のかかった、人生最大の勝負と言っても過言じゃありません!」

 海人の言葉を遮り、怒鳴りつける雫。
 その目には紛れもない戦意が滾っており、今にも海人を射殺さんばかりだ。

 が、それでも海人は呆れるだけで一向に動じない。

「こんなもんに尊厳かけてどーするんだ、と反論したいんだが……」

「こんなもん!? こんなもんと言いましたか!?」

「そりゃこんなもんだろう。素質はあろうが、磨いてもいない現状では意味もない。
素質と即席の創意工夫じゃたかが知れているし、私が相手となれば尚更だ。
ついでに言えば、そもそも使う機会を与えん。
君にこんなもん使わせなきゃならんような厄介事が起きるなら、私はそれを被害度外視して物理的に消し飛ばす」

「む……そりゃ嬉しいですが、使う機会の有無は別の話です! これはあたしのプライドの問題なんです!」

 主君の言葉に一瞬頬を緩めかけるも、ごまかされんとばかりに雫は叫ぶ。
 取り付く島もない雫に海人が困り果てていると、背後に控えていた刹那が小声で耳打ちしてきた。

「……海人殿、もうお情けで負けたフリをされてはいかがでしょう?」

「聞こえてるよお姉ちゃん! お情けで勝たせてもらって嬉しいと思うの!?
ってか、海人さんが普通に負けたフリしてくれると思うわけ!?」

「あのな雫、そもそも色々お子ちゃまなお前が何をやったところで、海人殿が揺らぐはずなかろうが。
メイベル殿の誘惑ですら、片手間に受け流しておられたのを忘れたか?」

 ガルル、とはだけた服で唸る妹を、刹那は呆れ交じりに諭した。

 ――――事の発端は、風呂上がりで汗ばんでいた雫と海人が遭遇した事。

 服は変わらずとも、うっすら汗ばむ姿はそれなりの色香がある。 
 それを確信していた雫が、海人に悪戯で色仕掛けをしたのだ。
 
 そしてその結果が、誘惑するにはあと一、二年足りんな、という無慈悲かつ正直な返答。
 ついでに冷えるといかん、とタオルで子供の頭を拭くかのように首筋の汗を拭ったのも良くなかった。 

 あからさまな子供扱いに雫のプライドが刺激され、本格的な色仕掛けでの攻勢を始めたのである。
 
 それでも、相手が常人ならば大きな問題にはならなかっただろう。
 容姿は幼いとはいえ、それでも雫の年齢は十五。
 色香自体は存在し、容姿のレベルも高いので、最低でも動じさせる事は出来たはずだ。

 が――――相手は海人である。

 かつて数々のハニートラップに引っかかり、叩き潰し、受け流し、と膨大な経験を積んでいる男。
 わざわざそんな事をせずとも容姿だけで優雅に暮らせそうな女性を相手にした経験も両手では足りない。

 いかに容姿が優れているとはいえ、技巧も知識も碌にない小娘が戦える相手ではないのだ。

「ぬっがあああああああああっ! そんなもん分かってるけど条件が違うでしょぉぉぉっ!?」

 絶叫し、頭を掻きむしる雫。

 色香においてメイベルに勝てぬなど重々承知だが、対海人においては条件が違う。
 部外者である彼女とは違い、雫は海人の身内なので、警戒心という防波堤がないのだ。
 普通の人間ならともかく、海人相手ならこの差は凄まじく大きい。

 にもかかわらず、歯牙にもかけられなかった。
 これはちょっとばかり許しがたいのだ。 

「一応訂正しておくと、外見的な意味なら私はシリル嬢も許容範囲だぞ。
美しいなら見た目幼かろうがあんまり気にならん」

「なぜそこで火に油を注がれますかぁぁぁぁっ!?」

 海人に掴みかかろうとした雫を羽交い絞めにしながら、刹那が抗議する。

「いや、疲れた分遊んで楽しもうかっとぉぉっ!?」

 鼻先を掠めていった雫のつま先に冷や汗を掻く海人。
 寸前で刹那が後ろに跳んだ為免れたが、一瞬遅ければ意識を刈り取られていた。 
 
「くっお姉ちゃんが反応しなけりゃ……!」

「馬鹿者! 当たっていればいくらなんでもくすぐりは免れなかったぞ!?」

「上等! あたしのプライド守る為なら、くすぐりにだって立ち向かってやるっ!」

「冷静になった時死ぬほど後悔するに決まってるだろうがぁぁぁぁっ!」

 完全に頭に血が上っている妹を、怒鳴りつける。
 どう考えても、後で泣き叫ぶ事が目に見えているがゆえに。

「やれやれ恐ろしい事だな。ならば私も安全の為、対策を講じねばなるまい」

「ふっふっふ……今のうちに近寄ってくすぐりますか? 手が触れる前にあたしの攻撃が当たりますよ?」

 にぃぃっ、と唇を吊り上げて威嚇する雫。
 
 海人にくすぐられ始めれば地獄へノンストップ超特急だが、
指が触れる前に迎撃する事には何の問題もない。
 フェイントをかけられる可能性を踏まえても、海人が相手なら下がるよりも先に攻撃可能なタイミングがある。
 一定範囲内に手を伸ばしたその時、海人の意識は吹っ飛ばされるだろう。

 が、そんな思考は当然刹那も見透かしていた。

(……仕方あるまい、綺麗に折ってやるから許せよ)

 妹が動いた瞬間その四肢を折ると心を決め、刹那は静かにその時を待った。
 が、海人は手を伸ばすどころか、一歩も近づかず悠然と口を開く。
 
「雫、カレーのバリエーションにはカツカレーという物があってな」

「……ふ、ふん、物で釣ろうなんて甘いですね! 名前からするとカツを乗せたカレーなんでしょう?
そんなもん、今度カレーが出た時に自分で揚げて乗っけりゃいいだけです! 大した事じゃありません!」

 口元からこぼれたよだれを飛ばしながら、猛然と反論する雫。
 言葉とは裏腹に、言い終えた後も唇の端が光っている。

「ま、それでも美味いは美味いな。
とはいえ、普通のカレーでは味が強すぎてカツとのバランスが取れず、今一つだ。
カツカレー専用のルーであれば、そんな事にはならんのだがな?」

「う、うぐぐぐぐぐぐぐぐ!」

「ちなみに食感という点において、カツカレーは非常に優れている。
煮込み料理ゆえにカレーは食感がある程度決まっているから、カツの食感は新鮮だ。
揚げたての衣のザクザクとした食感も良いし、ルーを馴染ませ少ししっとりしたのもまた良い。
と言っても、これは乗せるだけでも味わえるか。十全に楽しむなら、味のバランスは大事だろうが。
まあ、別にいいというなら仕方あるまいな。一発ぐらいは殴られてやるとしよう」

「やだなーもう、あたしが海人さんに危害加えるわけないじゃないですかー。
冗談ですよ冗談。大事な大事な御主人様なんですから~」

 何をどうやったのか、瞬時に刹那の拘束を抜け出した雫は、揉み手をしながら海人に擦り寄った。
 海人はそんな雫に対し鷹揚に頷き、その頭を撫でる。

「はっはっは、分かっているとも。可愛い護衛の為だ、材料もきっちり吟味して最高のカツカレーを食べさせてやろう」

「わーい、海人さんだ~い好き~♪」

 見よ、これが真のゴマすりだ、とばかりに媚びっ媚びの笑顔で海人に抱きつく雫。
 先程までの剣幕などなかったかのように、上機嫌である。

(……だから色香が出んのではないか、雫……?)   

 食欲で容易く女のプライドとやらを投げ捨てた妹に、刹那は密かに溜息を吐いた。

コメント

一見チョロかったり手のひらをコロコロ変えて甘えてみたりするような、女の尊厳を安売りしているような状態でも女性の場合は打算などでの最初から計算どうりの場合がありますからねぇ……まあ、今回の雫は違うんでしょうがw

追伸
大食いメニューネタはいかがでしょうか?
[2018/05/21 05:52] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


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