FC2ブログ
ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
というわけで番外編です。
久しぶりなのに恐縮ですが、珍しくもないネタになります。
時系列は特に決めておりません。

では、コメント返しさせていただきます。


 さん

ええ、既にレザリアさんは嫌な予感バリバリです。
とはいえ、身近な誰かさん達のおかげで耐性あるのできっと頑張ってくれるでしょう。

防寒具に関してはシュッツブルグでは冬以外必要ないですが、存在しますし一般的な物です。


次話ですが、おそらく次回更新できると思います。
過剰に暴走気味だったキャラがようやく制御利いたので。
毎度遅筆ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。






 番外編



 シリル・メルティ。
 傭兵団エアウォリアーズ第一部隊副隊長にして、求める者の多いその地位を不動としている才女だ。
 その知謀はただでさえ高い第一部隊の力を跳ね上げ、その弓術は彼女一人で一部隊の後衛を担うなどという無茶すら可能にする。
 また、近寄られたところでルミナス仕込みの剣術と格闘術で生半可な相手は秒殺されてしまう。
 加えて、仮に敵に追い詰められ周囲を囲まれたとしても、慌てず生存の為の最適解を探す冷静さがある。

 総合的に隙が少なく、頭も回り、かつ精神面も極めて頑強。
 だからこそ第一部隊副隊長を任せられ、その地位を求める者達を鎧袖一触にしている。
 
 当然ながら、体も碌に鍛えていない一般人など相手になるはずがない――――普通ならば。

「ええい、いつもながら、いやいつも以上に大人げないぞシリル嬢!
こんな貧弱で脆弱な一般人相手に弓まで持ち出すとか恥ずかしいと思わんのか!?」

「どこの世界に私の攻撃を一時間もしのぐ貧弱で脆弱な一般人がおりますの!?
というか、一対一で格下相手に弓持ち出して五分以上仕留められないとか初めてですわよ!?」

 既に半死半生といった風情の海人に対し、怒鳴り返すシリル。

 事の切っ掛け自体は、そう目新しくはない。
 寝ぼけていた海人が足を滑らせ、それをルミナスが抱き止めただけだ。
 当然ながら彼の顔はその柔らかく豊満なバストに埋められたが、
堪能する余裕もなく妬みで襲い掛かってきたシリルから逃げ回る羽目になったのである。
 
 が、その後はかなり珍しい事になっていた。

 まず、今日の海人は障壁を活用した自滅を狙っていない。
 障壁自体は用いているが、その用途はあくまでもシリルの行動制限。
 鼻先から突っ込ませたり、脛で角を蹴らせたり、足の小指だけを器用にぶつけさせたり、
そういった定番の手段が一切なかった。

 ではいつもよりシリルが追い詰めやすかったのかと言えば、それも否。

 カウンターを狙わなくなった分今日の海人は逃亡に徹し、逃亡する範囲も通常より圧倒的に広かったのだ。
 シリルの視界から完全に消える事すら視野に入れたその行動範囲は、シリルが素手での接近を諦め弓を持ち出す程。

 が、怪我をさせない程度の牽制に計五十本程射ったところで、彼女は戦慄した。

 というのも、あらゆる射撃が全て障壁に阻まれてしまったからだ。 
 無駄に優れた動体視力と脅威的な頭脳、そして常識外れの高速で発動する防御魔法。
 これらによってシリルの射撃は全て読み切られ、一射たりとも海人にかすりもしていない。

 仕方なく、大人げないと自嘲しつつ矢で牽制しながら最高速で接近したのだ。

「とはいえ、ここまでですわね? そこまで消耗した状態でこの距離。覚悟はよろしいですわね?」

 にいっ、とシリルの唇がつり上がる。

 シリルの目の前にいる友人は、既に息も絶え絶え。
 全身汗まみれで、肩で息をしながらプルプル振るえる足でどうにか立っている。
 海人の貧弱さを考慮すればむしろここまで動き続けた事自体奇跡的だが、詰みは詰み。
 
 それを確信しながらシリルは動きを止めるべく矢筒に手を伸ばし、

「へっ……?」

「くらえっ!!」

 矢筒の上に張られた障壁にシリルが一瞬呆けた隙に、海人は彼女の腹めがけて突撃を仕掛けた。

 咄嗟にシリルが迎撃態勢を整えようとするが、それは不可能。
 それすら見越して生じた海人の障壁が、まともな迎撃態勢を取らせない。
 危険を感じて障壁から体を離し、再度構え直そうとするも僅かに遅く、海人の拳はシリルの腹に突き刺さろうとしている。

 海人の残りの体力全てを振り絞った、成否にかかわらず立てなくなる事必至の一撃。
 加えて肉体強化の限度越えもやっているので、明日は苦しみ悶える事確実。
 当然威力もそれに相応しく、そこらの傭兵なら確実に即死する域だ。 

 いかなシリルとて無事で済むはずはない。
 海人は勝利を確信し、シリルの腹めがけて拳を振り切った。 
 
「……ホント、毎度驚かされますわねぇ……?」

「……今の一撃は、流石の君も耐えられんと思ったんだが?」

 海人は握り潰さんばかりの力で己の右腕を掴むシリルに、問いかける。
 乙女にあるまじき凄絶な笑顔に気圧されつつも。

「ええ、捨て身の一撃実にお見事でしたわ。ですがカイトさん?
私とて捨て身の強化が出来ぬわけではありませんのよ? 魔力消費は多かったですけれどねぇ……」

「ぐぅぅぅ……!?」

 みしみしと不吉な音を立て始めた己の右腕に歯を食いしばりながらも、海人は活路を探し思考を巡らせる。
 
 一見シリルは平然としているように見えるが、端々に痛みを堪えている様子があった。
 流石にあの一瞬で海人の攻撃を肉体強化だけで防ぎきるのは無理があったのだろう。
 ゆえにもう一押しできれば、勝利できる可能性もないわけではない。

 が、既に腕を掴まれ下手に暴れればボキボキと小枝の如く折られそうな状況。
 行動するなら一瞬で決めなければ、最低全治二週間は覚悟する必要がある。 
 
「この期に及んで悪あがきする気満々のようですので、まずその思考能力を奪いましょうか」

「ま、待てシリル嬢。その能力の奪い方は思考というか命が無くなぁぁぁぁぁっ!?」

 頭を鷲掴みにするシリルの手を必死で叩きながら、悲鳴を上げる海人。   
 その声音にシリルは恍惚とした笑みを浮かべると、

「ああ、実に心地良い響きですわねぇ……では、おやすみなさいませ♪」

 瞬時に海人の背後へ回り、彼を抵抗する間もなく絞め落とした。    

「……興が削がれましたわね。まったく、この私で実験など良い度胸してますわ」

 ふん、と鼻を鳴らすと、シリルは海人の襟首を掴んで屋敷へと歩き始めた。
 
 一時間以上暴れ回り疲労感が出れば、シリルの頭も少しは冷える。
 事もあろうにこの男は、怒り狂う自分を実験台に新たな戦術を試したのだと気付く程度には。

 海人との喧嘩において、シリルは手加減こそするが手抜きはしない。
 というより、手抜きなぞした日にはこの化物の知略に絡めとられて瞬殺されかねないのだ。

 ゆえに、シリルに通じた手法は成功さえすれば同格の相手にも通じる。
 小技で逃げに徹していると見せかけ、機を見てとっておきの一撃叩きこむ。
 使い古されたその手法を巧みな追い詰められ方で気付かせなかったあれは、
シリルと同格の相手には高確率で決まるはずだ。

 が、いかんせん海人は根本的な身体能力が足りていない。
 シリルクラスの相手に同じ事をすれば、やはり同じ結末になる。
 
(普通はそこは易々と補えるものではありませんが……カイトさんなら容易い、と。
まったく、相変わらず恐ろしいことですわね)

 屋敷の屋根でサンドイッチ片手に待っているルミナス達を見つめながら、そんな事を思う。

 海人を良く知っているシリルでさえ、一撃叩きこまれた。
 彼を知らぬ者であれば、ほぼ間違いなく決まるだろう。
 そして海人はシリルさえ必殺しうる攻撃手段を幾つも持っている。
 生身の攻撃では防がれる可能性が高いと学習した以上、実戦では間違いなくそちらを使うだろう。

 つまり、一対一で初見の相手であれば、シリルと同格の相手すら接近戦で仕留めうる手段とその証明を手に入れたのだ。

(そしてこれは私への信頼の証でもある、と。まったく、裏切ってやりたくなりますわね)

 ぐったりしたままの海人を抱え直し、シリルは溜息を吐く。

 こんな実験が出来たのは、海人がシリルに対しまず殺される事はないと信頼しているからだ。
 さもなくば、決めの一撃をしのがれた時にあんな冷静に確認するような言葉は出てこない。
 頭に血が上ったシリルを目の当たりにして、ルミナスが絡むと普段の理性は期待できないと知っていながら、
それでもごく自然に命は大丈夫だろうと思っていたわけである。

 友人としては、それが嬉しくないと言えば嘘になる。

(まったく……自覚のない恋敵兼友人というのは、扱いに困りますわね)

 再び溜息を吐くと、シリルは海人を持ち上げつつ叩き起こし、ルミナス達に向かって放り投げた。
 少しはこっちの痛みを思い知れ、と八つ当たりを込めながら。
     
 
コメント

まあ、シリルも海人を認めているって事ですよね。渋々でしょうが(笑)
…ルミナスやシリルと刹那達がそれぞれ訓練等戦った場合、個人の勝率はどんな感じなのか…?

追伸
ポタージュネタはいかがでしょうか?
[2018/11/19 07:53] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


いや~初見とはいえ、シリル嬢と同格の相手を接近戦で倒せる保障って(汗

今は物語的に、シェリス嬢と愉快な仲間たちとの交流が主ですが、やっぱり初期の三人の組み合わせがほっこりしますね (^_^)

もちろん、刹那たちも好きですよ?
[2018/11/25 18:13] URL | 飛べないブタ #t50BOgd. [ 編集 ]


コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
http://nemuiyon.blog72.fc2.com/tb.php/661-fe0e8a95
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

九重十造

Author:九重十造
FC2ブログへようこそ!



最新記事



カテゴリ



月別アーカイブ



最新コメント



最新トラックバック



FC2カウンター



検索フォーム



RSSリンクの表示



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QRコード