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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編。
というわけで番外編です。
時系列なしの、思い付きになります。

では、急ぎ足ですがコメント返しさせていただきます。


コスモさん

シェリスの場合、バレなきゃオッケー精神も持ち合わせています。
あの屋敷に来る人間ならバラす恐れないので、その意味ではやるかもしれません。

初めて海人に会った時の相手の心境……んー、後々使いそうなネタが多くなりそうなので難しそうです。


ようやく修正の方の目途がついたので、次話に取り掛かりました。
最新話の修正ですが、おそらく次回更新時になります。
読み直さなくとも支障はないと思いますが、情報量は増えると思います。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。





 番外編


 炎天下、という言葉がある。
 焔の如き陽光に晒される地上を表した言葉だ。
 魔法学が進んだ近年であれば、都会の店に入れば魔法による冷風があり、
それなりに快適に過ごせるが、それとて束の間の息抜き。
 仕事の為に一歩外に出れば、体が溶けて消滅するのではないかという熱気が再び襲ってくる。
 殊更にそういう日が増える夏は、まさに地獄と言えるだろう。
 
 が――――それに全力で抗い、時には楽しみに変えるのが人間のしたたかさだ。

「ん~、美味しいわねぇ~♪」

 ルミナスが翼をばたつかせながら、満面の笑みを浮かべる。

 今しがた食べたシャーベットが、なかなかの出来だったのだ。
 レモンの果汁をベースに砂糖や蜂蜜を混ぜて凍らせた、ただそれだけの物。
 その味をこの太陽を殴りに行きたくなる熱気が、極限まで高めている。

 暑い日は苦手だが、それでもこの味は格別だった。

「同感ですが……さっさと食べないとレモンジュースになりそうですわね」

 憎々しい太陽を見上げながら、シリルがぼやく。

 ルミナスとは対照的に、シリルの目には光がなかった。
 ルミナス特製のシャーベットは確かに美味いし涼やかだが、やはり暑すぎる。
 食べる端からシャーベット以上の水分が汗として流れ出ている気がするほどだ。
 
 その疲労感を倍加させているのが、現在進行形で溶けているシャーベットの姿。
 一応溶けないよう気を配ってはいたのに、既に器の底がレモンジュースと化している。
 いくら冷たい物を食べようと、暑いという現実は変わらないのだと改めて突き付けられているようだ。

 なにより、味は良くともシャーベットは見た目が寂しい。
 盛り付けはちゃんとされているのだが、いかんせん黄色一色。
 器を吟味したところで限界があり、これでは気分が盛り上がらない。
 
 シリルがそんな事を思っていると、

「あっつ……! うっわホントすごい暑さですね!?」

「だな。が、だからこそ冷たい物が美味い」

「流石にこの暑さは私としては遠慮したいが……まあ、たまにはよかろう」

 海人達主従が、揃って屋敷から出てきた。
 それぞれなにやら色々抱えて持ってきている。

「ん? カイト……なにそれ?」

 海人達が手に持つ物を見て、ルミナスが首を傾げる。

 刹那が抱えている氷は、分かる。
 この暑さで庭に出てくる以上、水分はとらねばならない。
 あの大きさの氷を水に浮かべておけば、いつでも冷たいままの水が飲める。

 雫が抱えている色とりどりの瓶も、なんらおかしくはない。
 色彩からすれば、おそらくは煮詰めて凝縮した果汁。
 冷水で割って飲めば、フルーツジュースになる。
 この炎天下なら、さぞ美味いだろう。

 一緒に抱えている大きなグラスが飲むには向かなそうだが、
デザイン性と一口当たりの大きさを追求した結果と考えれば、おかしくはない。

 が――――海人が抱えている大きな物が分からない。

 横についているハンドルや、何やら棘の付いた部分からして何らかの器具だろうが、
用途がまるで想像できなかった。

「完成してのお楽しみだ。君らの分もあるから、味見するといい」

 そう言うや否や、海人は器具をテーブルに乗せた。
 そのまま刹那から氷を受け取り、器具に固定する。
 
 そして器具の下部にグラスを設置すると――――ハンドルを回転させて、氷を削り始めた。

「あら、綺麗ですわね」

 シリルが、僅かに笑みを浮かべて呟く。

 薄く削られた氷は、さながら新雪の如き姿。
 それが積もっていく様は、冬の雪景色を思わせる。
 涼やかでもあるが、純粋に美しい光景でもあった。

 そして程なくして完成した姿は、まるで雪山。  
 そこに雫がイチゴのシロップをかけると、氷の白に引きたてられた赤が何とも映える。
 品の良いガラスの器のデザインと相まって、なかなかに美しかった。

 そして雫は、ルミナスにイチゴシロップのかき氷を差し出した。

「ささ、ルミナスさんお味見どうぞ~♪」

「良いの? んじゃ、遠慮なく……」

 かき氷を一匙食べたルミナスは、軽く目を見開いた。

 薄く削られた氷は、口に入れた途端溶けて消える。
 残るのは濃厚なシロップを程良く薄める水と冷たさのみ。
 これがなかなかいい塩梅であり、クセになる。

 シロップのかかっていない部分も、馬鹿にならなかった。
 言うまでもなく味はただの氷であり、特筆すべき点はない。
 だからこそ、味の濃いシロップの後に食べる口直しにもってこいなのだ。
 
 いつまでも食べ飽きなさそうな味わいだったが、言われたのはあくまで味見。
 名残惜しそうにルミナスがグラスを雫に返そうとすると、

「あ、そのまま食べきっちゃっていいですよ。
あたしらの分はこれから作るつもりなんで」

 言うが早いか、雫は海人と交代して氷を削り始める。
 すると先程の海人の数倍速い速度で氷が削れ、瞬く間に雪山が出来上がった。

 それに、海人達要望のシロップをかけていく。
 海人はメロン、刹那は桃、シリルはオレンジといった具合に。
 そして、自分以外の分を作り終えたところで、手を止めた。

「雫、お前の分は作らないのか?」

 刹那が、怪訝そうに問いかける。

 今日のかき氷、言い出しっぺは雫だ。
 かき氷は、夏のヒノクニでは定番の菓子。
 海人がかき氷機を作れると雑談で知り、即座におねだりしたのだ。
 広い屋敷で邪魔になる物でもない、と海人も素直に了承し、カキ氷用の準備が始まったのである。

 雫が食べないというのは、考えにくかった。 

「ふっふっふ、あたしは豪華版を準備してたんだよ、お姉ちゃん。
シロップだけなど勿体ない! あたしは贅沢に! そして豪勢なかき氷を作り上げる!」 

 高笑いしながら、雫は隠し持っていた物を取り出す。

 刹那に反対されつつも、押し通した濃厚なお茶のシロップ。
 シロップ作りの傍ら、密かに茹でておいた白玉。
 そして常備してある極上のつぶあん。

 これらが組み合わさったかき氷は――――非常に美味そうだった。

 材料による色彩の豊かさもさる事ながら、組み合わせが良い。
 お茶とつぶあん、白玉とつぶあん、氷とつぶあん、どう組み合わせても美味くないはずがない。
 ごくり、とどこからともなく生唾を飲み込む音が響く。
 海人でさえも、目を丸くしていた。

 その反応に気をよくしたように雫は胸を張り、 

「これこそ、あたしが前々から考えてた極上のかき氷! 名付けて――――」

「宇治金時か。久しぶりに見るなぁ……」

 雫の言葉の途中で、しみじみとした海人の呟きが響き渡った。
 あまりにも自然なその声音に、雫の動きがピキッと固まる。

「……か、海人殿、これを御存知で?」

「ああ、母の好物でな。そういえば久しく食べてなかったなぁ……」

 刹那の問いに、海人は懐かしむように答えた。

 かき氷の宇治金時は、海人の母である月菜の好物。
 海人が幼い頃は美味い店に連れていかれた事が何度もあった。
 かき氷じゃ満足感が足りん、とぜんざいやらあんみつやらを食べまくる父の横で、
満足そうに宇治金時を味わう母の姿は、未だに鮮明に記憶に残っている。

 そんな思い出に浸る海人をよそに、ルミナスとシリルは落ち込む雫を宥めていた。

「だ、大丈夫よシズクちゃん。自分だけで完成形考えたのは十分凄いから!」

「そ、そうですわ! カイトさんの口ぶりからして、彼の故郷では定番料理!
この形になるまでにはそれなりの年月が費やされているはずですわ!」

「ここんとこずっと考えてたのに、まさか、まさか誰かがもう考えてたなんてぇ~~~~!」

 叫びながら、羞恥心に悶え転がる雫。 
 その叫びに海人は遅まきながら自分の失敗に気付き、居心地悪げに頬を掻いた。
 

 
コメント

かき氷かぁ…いいですねぇ。もう残暑ですが、気持ちいい感じになりそうですよね。
後、お店によっては凄くふわふわなかき氷が出るとか?

追伸
質問ですが、海人とルミナスの間に子供が産まれた場合、翼はどうなるんですか?
[2019/08/26 06:11] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


更新お疲れ様です。もうすぐ9月とはいえ涼感ネタは良いですね、身に沁みます。
雫はこのあと、練乳を掛けるとさらに良いと言われて絶望しながら美味しさに震えてほしい。
そういえば海人って空調服とか気化熱やらなんやらで冷える布素材とかって開発してるんでしょうか?してるなら商材になりそうな気もしますが
[2019/08/26 09:31] URL | #mHdfaKpc [ 編集 ]


ふと思ったんですが極めてどうでもいいでしょうがなろうに投稿しないしてないならよかったですね
今某所で○○太郎というのが流行ってるから彼らの目に止まったらきっと白衣太郎とか蔑称つけられてましたよ
[2019/08/28 10:26] URL | 名無し #- [ 編集 ]


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