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ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
番外編
というわけで、番外編です。
さして珍しくはないネタだと思います。
思い付きなので矛盾などあるかもしれませんが、寛大な気持ちで読んでいただけると幸いです。
あと、最新話の誤字等の御指摘いただいたんですが、そちらの修正はちょっと時間がないので次回に回させていただきます。

では、コメント返しさせていただきます。


コスモさん

あとはクサヤなんかもネタ的に面白いかもしれませんね。
キャラ違いだと、割と賑やかになるかもしれません。

寄生虫ネタ……実は一応設定的には存在します。
いずれ本編で使う、かもしれません。


次話ですが、比較的順調ではあります。
暴走しそうなキャラが複数いるので先行きは不安ですが(汗)
何とか調整しつつ頑張って書き進めたいと思います。

では、今回も数多くの方の御来訪ありがとうございました。
気が向いた方は『続きを読む』で番外編をお楽しみください。





 番外編





 とある日の昼下がり。
 刹那は、困惑した顔でシェリスと向かい合っていた。
 つい先程シェリスの屋敷に果物を届けに来たのだが、帰ろうとしたところでメイドに引き止められたのだ。
 主が話したい事があるらしいのでお時間をいただけませんか、と。
  
 特別帰ってやる事があるわけでもなかったので承諾したのだが、先程からシェリスは話を切り出さない。
 何やら考え込みながら、茶菓子を頬張る刹那の手元をさりげなく観察しているだけだ。
 待たされているという程ではないが、シェリスにしては珍しい動きの遅さだった。

「それで、どういう御用件でしょう?」

「ああ、すみません。実は、セツナさんの雇用条件を伺ってみたかったんですよ」

「一応言っておきますが、引き抜きには応じませんよ?」

「分かっています。カイトさんがどんな条件を出したのかが気になっているだけです。
あの方の天運的に今後有能な人材が近くに来た際、掻っ攫われる可能性も否定はできませんから。
条件闘争で勝てる見込みがあるのかぐらいは知っておきたいんですよ」

「流石にその心配はないでしょう。創造魔法の事を知っている事が大前提なのですから」

 紅茶を啜りつつ、シェリスの言葉をあっさり否定する刹那。

 海人の元に客人として訪れる事は難しくないが、雇ってもらうとなれば一気に難度が上がる。 
 秘密主義ゆえに大した情報を開示せず、かつその秘密を知る人間しか受け入れる事がないからだ。 
 特に創造魔法を知っている事はほぼ絶対条件であり、滅多な事では明かす事がない。
 刹那と雫にしても、気に入られていた事と使わねば雫の命が尽きていたからこそ。

 雇用関係が成立したのは、ある意味では幸運の産物でしかない。

「だとは思いますけどね。まあ、実のところは好奇心が九割です」

「左様で。答えられる範囲の事はシェリス殿ならほぼ全て御存知か、予測がついておられると思いますが、それでも?」

「ええ、構いません。お願いできますか?」
 
「はい。まず労働時間ですが、実のところ普段は一日中ほぼ自由です。
護衛とはいえ、海人殿は御存知のように屋敷からほとんど動かれませんので」

「へ? 鍛錬の時間などは……」

「鈍らせはしないように、と言われているだけです。
無論海人殿を守りきる為、鍛錬は怠っておりませんが」

 意外そうなシェリスの表情に、苦笑を返す刹那。

 極めて甘く聞こえる条件だが、実はそうでもない。
 この条件はあくまでも相手が宝蔵院姉妹だからこそ。
 姉妹はどちらも根が真面目なので、鍛錬を怠る事はない。
 そう見極めているからこそ、海人は融通が利くよう鍛錬時間については定めなかったのだ。

 実際、雫だけなら万一を考えて明確な基準を設けたかもしれない、とも言っていた。

「不躾ですが、お給金は?」

「今は月五十万ほどいただいております。
もっとも、使う機会がほぼないので貯まる一方ですが」

「ふむ……ちなみに毎日の食事などは?」

「御存知の通り、好きなだけ美味しい物をいただいております。
創造魔法で作れる範囲の物であれば、申告すれば食べ放題ですね。
無論、ほいほい申告するほど厚かましくはなれませんが」

 ありがたい話です、と頷きながら締めくくる刹那。
 その笑顔を、シェリスは羨望を押し隠しながら見つめる。
   
 当然の話だが、シェリスの屋敷は食費も馬鹿にならない。
 人数もだが、それ以上に食べる量と質が凄まじいのだ。
 日々の過酷な鍛錬で生じる空腹、それを満たして活力とする為の美味。
 それらを料理人の腕だけで実現するのは、ほぼ不可能。

 屋敷自慢の料理長のおかげで総合的な質では勝っているはずだが、
創造魔法で作れる美味はその限りではなく、加えて海人にはカレーがある。
 料理長どころか、その師匠でさえも再現が難航し頭を抱えているという料理が。

 しかも創造魔法で食費全体が極限まで抑えられており、負担などあって無きに等しい。
 シェリスは、その食費を稼ぐ為に相当な量の仕事が必要になっているというのに。

「……装備品も支給ですよね?」

「ええ。おかげで鍛錬でも武器の負荷を気にせず色々と試せます」

 目が虚ろになってきたシェリスに気付かず、満面の笑みを向ける刹那。

 普通なら武器は一度壊れたら修繕費が高くつくか、最悪買い直しだ。
 しかも、必ずしも元の武器と同等の物になるとは限らない為、武器に負荷をかける技はなかなか試せない。
 一か八かの大博打としては、有効な一手となりうるにもかかわらず。

 が、創造魔法で同一の予備武器を大量に用意されている宝蔵院姉妹は違う。

 武器破壊される事を前提とした必殺の一手、武器を犠牲にしてでも咄嗟に致命傷を避ける為の防御、
受け流しきれずに折れた刀の刃で一か八かの逆転を狙う手法など。
 追いつめられれば使う事はありうるにもかかわらず、なかなか練習は出来ない技を好き放題試せる。
 なにより、遠慮の欠片もなく武器を使い捨てられるので、より激しい鍛錬が可能だ。

 そして、それらを彼女らが実戦で使う武器で行える。
 手に持った時の感触から何からあらゆる要素が同一の武器で。
 これは非常に大きい。

(…………今月の武器代でいくら飛んだんだったかしらね)

 あまりの羨ましさに、思わず涙がこぼれそうになるシェリス。

 この屋敷の鍛錬は非常に厳しく、当然武器の損耗も激しい。
 なので普段は本来の武器より質の劣る物を使っているのだが、その費用が大きすぎる。
 そこらの騎士団よりよっぽど上等な武器とはいえ、振るう人間もそれらを凌駕していれば同じ事。
 大体一人に付き月に一つは鍛錬用の武器が壊れ、修繕なり買い直しなりをする羽目になる。
 データを取って費用対効果の一番高い素材を選んではいるが、それでも費用は莫大。

 毎月毎月尋常ならざる出費であり、それを補う為に稼がなければならない。
 当然仕事量は増え、負担は重くなり、そして鍛錬の時間と過激さは不変。

 涙が出そうになるのも、無理なからぬ話であった。

「あとは、月に何度か海人殿の授業を受けている事でしょうか。
さして学問には興味なかったのですが、それでも海人殿の授業は楽しいですね」

(……こっちが払ってる授業料の額聞いたら、どんな顔するかしらね) 

 無邪気に微笑む刹那に、死んだ魚のような目を向けるシェリス。

 払っている授業料の額に、文句はない。
 海人の授業の価値を考えれば、むしろ安すぎるぐらいだ。
 いかなる内容でも一度の授業で確実に大きな成果が出るなど、他では絶対にありえない。

 が、出費は出費であり、それが懐にいたいのは事実である。 
 部下の給料から天引きもしているが、仕事上必要なのは事実なのでシェリスの負担分が大きい。

(――――うん。分かってはいたけど、労働条件で競ったら絶対勝てないわね。
唯一勝てるとすれば給料の額だけど、それすらも他で挽回される可能性が高い、と)

 刹那の顔を見ながら、結論を出すシェリス。

 海人が進んで身内を増やすとは思わないが、何が切っ掛けで増えてもおかしくないのがあの男だ。
 刹那と雫など、重用できそうな冒険者が増えたと内心喜んでいたところを掻っ攫われた。
 海人に護衛なしという状況は不安要素だったので好都合でもあったが、不満は残る。
 あの後、宝蔵院姉妹が冒険者のままであれば依頼したかった案件が幾つも出たのだ。

 流石にこれ以上はないと思うが、万一次があればその時は海人よりも先に確保しよう。
 シェリスは、密かにそんな決心をしていた。 
 
コメント

うむ、そう聞くとこの世界じゃ破格の労働環境ですね!まあ、資本力の差や隠し事の差や部下の戦闘力などを含めたら実はシェリスの所に普通に軍配が上がるんですけどね。

追伸
この世界にトレント系やアルラウネ系のモンスターはいますか?いるとしたらその素材は海人の魔法で出せますか?
[2019/10/07 07:10] URL | コスモ #Y2SfxCmk [ 編集 ]


更新お疲れ様です。
苦手なことに挑戦して、家財と調度品と部屋や瓦礫に変えたけど笑って許してくれた。が抜けてますね……。
まぁ総額を刹那に教えたところで卒倒するか平伏するだけで誰の得にもなりませんし、彼女にはこのまま何も知らずに生きて欲しい。
主のメンタルケアという一点において損失を補って余りあるのも事実ですし。
[2019/10/07 16:20] URL | #mHdfaKpc [ 編集 ]


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