ラノベを目指してみよう
グース・カピーこと九重十造が人様を楽しませられるレベルの文章を目指して色々書き連ねる場所です。          軽く楽しく読める話を書ければいいなと思ってます。
白衣の英雄25
 カナールを出た刹那達は森の中をゆっくりと歩きながら海人の屋敷を目指していた。
 深い森の中にあるカナールだが、人の往来が多いため町へと繋がる道は広く見通しが良く整備されている。
 おかげで森の中だというのに広い空が見える。
 しかも今日の天気は快晴で、今の時間は丁度人や馬車がいなくなる。
 つまりはこの心地良い景色を独占できる。これで気分が浮き立たないはずが無い。

 ゆっくりのんびりこの風景を楽しみながら歩く事を雫は心の底から楽しんでいた。
 だが、その姉は違った。殊更にゆっくりと歩いている妹に、溜息交じりに視線を向ける。
 
「雫、走った方が良いと思うんだがな。鍛錬になるし、何より用事が早く終わる」

「別に急がなきゃいけないわけじゃなし、ゆっくり行けばいーじゃん。
お仕事は早めに終わらせるに越した事は無いけど、たまにはゆっくりするのも大事だよ?
大体お姉ちゃんは気張りすぎてドツボに嵌まるタイプなんだし」

「む……否定はできんが、拙者の事を言えた義理か?
お前は逆にいつものんびりしすぎて後で慌てるだろうが」

「あっはっは、そりゃそうだね。でも、どーせあたしら修行以外やること無いんだし、別にいいじゃん。
楽しく生きなきゃ人生損だよ?」

「……やれやれ、ゆっくりするのは構わんが、少しは走るぞ。
体が鈍ってしまうし、なにより遅くとも明日の昼には戻ると言ってしまったからな」

「分かってるって」

 そんな会話をしつつ森を抜けると、遠くの方からなにやら騒がしい音が聞こえてきた。
 
 何事かと周囲を探ると、突如二人の視界の端に馬車が現れた。
 何やらやたらと急いでおり、ガタガタと車体を揺らし、馬が死に物狂いで走っている。
 はて、と思って少し観察していると、辺りに遠吠えが響いた。
 それと同時に馬車の少し前の地面が風で抉れ、驚いた馬の足が止まった。
 その隙に脇から三頭ほどの魔物が現れ、馬車の前に回り込んだ。

 現れた姿は艶の無い灰色の毛並みの、小柄な狼。
 そして遠吠えによって風の攻撃魔法を使い、獲物の動きを止める高い知能。
 アッシュウルフと呼ばれる魔物であった。
 魔物としては下等な部類に入るが、一般人には十分恐ろしい相手だ。
 狼達はジリ、ジリと間合いを詰め、怯える馬とその御者へと近付いていく。
 
 それを遠目に眺めながら、刹那は憂鬱そうに息を吐いた。

「……見捨てるわけにもいかん、か」

「はいはい。そんじゃ、優しいお姉ちゃんのために一働きしますか」

「無理強いはせんが、なるべく馬車を守る事に重点を置いてやれ」

「気が向いたらねー」

 暢気な声と共に、雫の姿が掻き消え、それから一瞬遅れて刹那の姿が消える。
 直後、その場所に風が吹き荒れると同時に彼女らの姿は馬車の真横に現れた。
 突然の乱入者に、狼達の動きが強張る。
 
 その瞬間、四つの銀光が奔った。

 その眩い光の軌跡に、六頭もの狼が命を絶たれた。
 四頭は各一太刀で体を両断され、残りの二頭は四肢を断ち切られた上で首を飛ばされている。
 命を絶たれた魔物達から大量にまき散らかされた鮮血が周囲を深紅に染めた。
 馬車、大地、刃の軌道上にいなかった狼達、多くが赤に塗れる中、刹那と雫は汚れ一つなく悠然と構えを取った。
 
 刹那の構えは力みが抜けた見事なまでの自然体。
 両手に携えられた二本の刀を握る力も心なしか弱く見え、ともすれば隙だらけにも見える。
 だが、彼女の立ち姿にはいっそ神々しささえ感じさせるほどに威風堂々とした風格が漂っている。
 凛とした面持ちと相まって、まさに戦女神とも言うべき威圧感を放っていた。

 一方で雫は片方の小太刀を腰だめに、もう片方の小太刀を正面に構えている。
 少しでも早く攻撃に移れるようにか、体勢がやや前傾気味である。
 姉とは対照的に彼女は周囲を魔物に囲まれている状況にありながら、楽しそうに笑っていた。
 造形としては可憐なそれだが、中には形容し難い不吉な気配が宿っている。

 そんな二人から放たれる威圧感を弾き返すかのように、二匹の狼がそれぞれに飛び掛った。

 その動きは実に俊敏。
 そこらの旅人なら反応する前に喉笛を食い千切られただろう。
 だが、今回はそうはいかなかった。
 
 雫は狼の前脚が地面から浮いた瞬間、一気に間合いを詰めた。
 その速度はまさに神速。天狗もかくやという速度でもって、雫は己が必殺の領域に敵を収めた。
 直後、無慈悲な一刀によって狼の命は散らされた。
 何が起きたかも分からぬまま、あっさりと。まるでそれが必然であるかのように。
 
 一方で、刹那に飛び掛った狼は己の最速で間合いを詰めていた。
 雫とは対照的に刹那はその場から一歩も動かなかった。
 食い殺さんと必殺の意思でもって襲い来る狼を、ただ悠然と見据えている。
 そして狼は初動から瞬き一つにも満たぬ間に刹那の間合いに入った。
 
 その瞬間――狼の首は遥か彼方へと飛翔していった。

 残された胴体が刹那の体へと突撃するが、彼女はそれを一瞥もせずに刀の峰で横に打ち払った。
 彼女の横に叩きつけられた亡骸の切り口から、思い出したかのように鮮血が噴出す。
 みるみるうちに大きな血溜まりが広がるが、それは彼女の足元まで僅かに届かなかった。

 僅かな間の圧倒的な殺戮に、狼達の警戒心が高まった。
 身を屈め、油断なく二人の敵を睨みすえる。
 対する二人は殺気を放つでもなく、ただ相手の敵意を受け流していた。 

 睨み合う事しばし。敵意を受け流され続けた末に、狼の群は一斉に大きく飛び退った。
 そしてそのまま身を翻し、彼らは一気に逃走した。 

 魔物達の姿が完全に見えなくなったところで、二人は構えを解いた。

「……引き際を弁えているか。大した知能の高さだな」

「統率力も高いみたいだし、大したもんだねー」 

 そんな話をしながら刀を納めたところで、御者の青年を押しのけて馬車から一人の老人が出てきた。
 そして二人に近寄ると、おずおずと薄い布に包まれた紙幣を差し出した。
 
「ありがとうございました。少ないですが、これを……」

「礼は不要です。ただの気まぐれですので」

 刹那は老人の言葉を遮り、差し出されたお金をきっぱりと断った。
 目の前の老人の服装は貧相で、裕福には程遠そうだ。
 しかも御者をしている青年など、農作業帰りのように薄汚れている。
 金があって困る事はないが、これを受け取るとかえって後味が悪そうだった。

「いえ、それでも助けていただいたわけですし……せめてこれを受け取ってください、私の村で取れた蜂蜜です」

 きっぱりと断られた老人は、今度は馬車の奥から大きめの瓶を持ってきた。
 中の液体は黄金色に輝き、溜息が出るほどに美しい。
 それも断ろうとした刹那だったが、老人の目に引き下がらぬ意思を感じると観念した。
 
「……では、ありがたく頂いておきます」

「はい。どうもありがとうございました」

 深々と頭を下げ、老人は馬車に戻って行った。
 それを確認すると、御者の青年が二人に一礼してから馬をゆっくりと走らせ始めた。
 次第に小さくなっていく馬車を見送ると、刹那は貰った蜂蜜入りの瓶へと視線を移した。

「ふむ、蜂蜜か。美味いかな?」

「本当にお姉ちゃんは知識に乏しいよねぇ……それはレンドリア産の蜂蜜。
瓶の底にレンドリア村って焼印押してあるはずだよ」

「……そのようだな。で、美味いのか?」

「少なくともこの国で手に入る中では最高級。
買えば一万ルンはいくし、貴族に人気でそもそも一般人には手に入らない事が多いらしいよ」

「ぶっ!?」

 妹の言葉に刹那は去って行った馬車を慌てて振り返った。
 が、既に馬車の姿は米粒ほどになっており、今から追いかけるには遠かった。
 そもそも追いかけてまで返すのか、という問題もあるが。

「ほーんと、気取ってるくせに変なトコで間抜けなんだもんねー。
我が姉ながらなんてへっぽこ……うう、雫は悲しゅうございます」

 よよよ、とわざとらしくしなを作って零れてきた涙を拭う。
 なんとも器用な事に右目からはつつー、と涙が流れているが左目はなんともない。
 姉とは対照的にとっても演技派なお嬢さんであった。

「どやかましい! あーもう! 今更返すわけにもいかんし……海人殿への手土産にでもするか」

「素直に食べれば良いと思うんだけどなー……ところでお姉ちゃん、お願いがあるんだけど」

「……ついでだし、そこの狼の肉を適当に捌いて持って行こうか。肉も無いと仰っていたしな」

 いつも以上に明るく笑っている妹から顔を逸らし、刹那は懐から短刀を取り出した。
 が、いざ狼の毛皮を剥ごうとしたところで、背後の妹は彼女の首に抱きついてきた。

「んっふふー、お姉ちゃん、分かってるくせにごまかしちゃ駄目だよー?」

 軽やかで甘く、それでいてどこかおぞましい声が、刹那の耳元で囁いた。
 それにも答えず淡々と毛皮を剥いでいると、腕の締めつけが徐々に強くなり始めた。
 流石に無視するのは難しくなったらしく、刹那は左手で妹の額目掛けてデコピンを放った。
 
 とても指先と額の衝突とは思えない轟音が響き雫の頭が仰け反るが、
彼女はその程度では怯まず、まるで甘えるかのような体勢でさらに力を加えてきた。
 やむをえず刹那は手を止め、今にも首をへし折らんばかりの力を込める妹に平坦な声をかけた。

「いくらお前でも今から追いかけるのでは時間がかかる。
明日の昼までには屋敷に行って帰ってこなければならんのだぞ?」

「だーいじょうぶ。逃げた方角からして棲家はあそこの山だろうし、
逃げられる前にリーダー格っぽいのに宝石入りの針打ち込んどいたから。
山行って魔力辿ればすぐ見つかるって」

 ニコニコと笑いながら草原の先に見える山を指差す。
 そして、一泊置いてから付け加えた。
 
「というか、お姉ちゃんだけ先に行っててもいいんだよ?」

「……そうもいかんだろうが。
人目を考えられるようになっただけ成長はしているようだが……もう少し落ち着けんのか?」

 四肢と首を断たれた狼達の亡骸を眺めながら、妹に冷たい目を向けた。
 対してそれを向けられた雫は、穏やかな笑顔を返した。
 
「無理無理、一応少しず~つ改善してるんだから許してよ」

「……別に咎める気は無い。些かあの魔物達が哀れなだけだ」

「たしかに可哀想だね。あたし相手に生きて帰っちゃうなんてねぇ?」

 真夏に咲く向日葵の如き笑顔を浮かべ、雫は少し離れた場所にある緑豊かな山を見据えた。
 それをなんとも形容し難い疲れきった顔で眺めながら、刹那はガックリと肩を落とす。

(やれやれ……狼達だけでは収まりそうにないな)

 心で嘆きつつ、刹那はすっかりお馴染みとなってしまった諦観と共に、何度目かすら覚えていない覚悟を決めていた。 



















 シェリスは早めの昼食をもしゃもしゃと頬張りながら不貞腐れていた。
 屋敷自慢の料理長によって用意されたサンドイッチで実に美味なのだが、普段なら顔を綻ばせるそれもあまり意味がなかった。
 なにせ、悲しいぐらいに体中が痛い。朝の暴走の際に部下に袋叩きにされて止められたせいだ。
 顔などの表に出る部分は掠らせもしなかったあたり実に頼もしい部下たちなのだが、
それで痛みが和らぐわけではない。
 
 とはいえ自業自得の自覚はあるし、反省もしている。
 海人のおかげで仕事が楽になるという開放感と、
実に三年ぶりのローラ特製チーズケーキの情報によって食い意地が刺激された点を差し引いても、正気を失いすぎていた。
 そもそも、あの時点で向かえば海人に相伴に与らせてもらう前にローラにズタズタにされる可能性が高かった。
 手土産のご相伴に与ろうと仕事を放り出すなど貴族にあるまじきはしたなさ、とそれはもう徹底的に自称愛の鞭で打ち据えられただろう。

 その危険を未然に防いでくれたわけだから、むしろ部下断達に礼を言っても良いぐらいだが、
どこまでもいっても体が痛いという現実は変わらない。
 
 自然、一番近くにいる部下――シャロンに恨みがましい視線が向いた。

「……まだ痛いわ」

「悪かったですから、そろそろ機嫌を直してくださいよ。
そもそも他にも面会の予定はあったんですから、抜けるわけにはいかなかったでしょう?」

「それは分かるけど、せめてお腹を避けるぐらいはしてくれても良かったと思うのだけど?」

「残念ながら、あの状況下でそこまで配慮する余裕はありませんでした。
あと一人二人いれば話は変わったんですけど……皆、忙しかったようですから」

「……まあ、いいけど。ところでどうかしたの? さっきから少し浮かない顔だけど」

「いえ、総隊長にしては帰りが遅いので、何かあったのではないかと……」

「ローラに限ってそれは無いでしょ。多分、カイトさんと少し話し込んでるんじゃないかしら。
流石に貴方達の予想が当たっているとは思えないけど、二人共気が合うのは確かなようだしね。
一応、帰ってきたらちょっと理由を聞いてみましょうか」

 シェリスは心配性な部下に苦笑しつつ、今回のローラの行動について考え始めた。

 海人に持って行った物が普通のケーキならば深読みする意味など無いのだが、チーズケーキとなると話が変わる。
 あれはローラが誰にも教えない秘密のレシピで作るのだが、完成に時間がかかる。
 本人曰く作ると睡眠時間がまた大きく削られるため、作る気にならないらしい。
 それが急に作る気になり、まして自分で食べないという前提でなど、何かあるとしか思えない。
 
 さすがに色恋沙汰だとまでは思わないが、超人同士ゆえに強い親近感を持っている可能性はある。
 それならば多少自分の負担を重くしてでも、二人の交流を深める機会を作る価値はある。
 基本的に屋敷の人間としか関わらず、年に一度あるかないかの休日も一人でコーヒーか紅茶を飲みに行く程度のローラ。
 仲の良い友人が一人出来れば、精神的な負担はかなり減るはずだ。
 
 怖い上にどうにも頭の上がらない部下ではあるが、それでも屋敷で一番働き、一番尽くしてくれている。
 現状仕事を減らしてやる事は出来ないが、出来る事があるならしてやりたいと常々思ってはいるのだ。
 
 ローラの返答次第では可能な限り手伝ってやろう、そう思っていると丁度ノックの音が響いた。
 そしてシェリスが許可を出すと、当の本人がなにやら大きな木箱を抱えて入ってきた。

「遅くなって申し訳――なんでしょうか?」

 入るなり注がれた主の視線に、ローラは軽く首を傾げた。
 部屋に来る途中で部下からチーズケーキの件で暴走したと聞いていたので、
恨み言の一つぐらいは覚悟していたのだが、主にそんな様子は見受けられない。

 むしろ若干嬉しそうに――そこまで思い至った瞬間、ローラは理由を察した。 
 奇しくもそれと同時に、主から予想通りの問いかけがなされた。 
 
「チーズケーキをカイトさんに差し上げたらしいけど、どうして?」

「――誰とは申しませんが、毎度毎度私の睡眠時間を豪快に削り取ってくださる御方からの負担を、
以後格段に軽減してくださる御方に最高の手土産を渡す事のどこが不自然なのでしょうか?」

 さらりと返ってきた辛辣な言葉に、シェリスは思わず呻き、シャロンは冷や汗を垂らした。
 
 今の毒舌に関してはこの場の誰も反論しようが無い。
 シェリスもシャロンも忙しくはあるが、それでも基本的に毎日十分な睡眠をとっている。
 主であるシェリスは毎日のように客との面会があるため隈など作るわけにはいかず、
シャロンを始めとした使用人たちはまともな睡眠時間無しでスペックを落とさないほど人間をやめていない。
 そのため必然的にローラに余剰の負担が全て圧し掛かっている。
 文句は言いつつも毎日淡々と激務をこなしているため忘れがちだが、
彼女のこなす仕事は他の人間がやれば三日で倒れる量だ。

 痛い所を突かれつつも、シェリスはどうにか気分を切り替え、さらに突っ込んだ。

「それでも普段の貴女なら仕事として請け負ってるんだから、って御礼なんか考えないでしょ?」

「日頃から好感を抱いていただけるようにしておけば、何かの折にいっそうの助力を期待できますので」

「……はあ、もういいわ」

 あまりにも淡々と答える部下に気力を削がれ、シェリスは追及を諦めた。
 シャロンの前だというのにやや喧嘩腰になっている事からして、言葉通りだとは思えないが、
この様子では真意がどうあれ答える気はなさそうだ。
 
 ならば、別の気になる事に話題を変えた方が建設的。
 そう判断し、シェリスはローラの足元に置かれた物を指差した。   

「で、その木箱はなんなの?」

「カイト様から預かって参りました。どうぞお確かめください」

 そう言ってローラは木箱を開け、主に見せた。
 シェリスはその中を一瞥すると、軽く首を傾げた。

「種やら苗木やらはともかくとして……本?」

「一通りの栽培法を記してあるそうです。書いてある内容で対処できない場合は呼んでくれ、だそうです」

「……なるほど。
できれば直に農家に教えていただきたかったのだけど……カイトさんの性格を考えると、仕方ないわね」

 嘆息しつつ、一冊を手にとって片手でパラパラと捲る。
 
 が、最初の数ページでシェリスの目が軽く見開かれた。
 そして本を正面に置き、食い入るように読み始めた。
 血走った目で読書に集中し始めた主を、キョトンとした様子で見つめる従者二人。
 
 数分、かなりの速度で読み進めたシェリスは、唐突に一つ頷いて本を閉じた。

「流石。サービス精神旺盛な上に仕事はこれ以上は望めない完璧な極上――素晴らしいわ」

 顔を伏せ、柔らかく、それでいてどこか獰猛な微笑を浮かべる。

 最高の気分だった。
 請け負ったからにはきっちりやるだろうと思ってはいたが、ここまでやってくれるとは思っていなかった。
 一読すれば手元の本に多大な労力がかけられた事は一目瞭然。
 単に仕事は完璧にこなす主義なのかシェリスへのサービスかは不明だが、いずれにせよ文句など出しようが無い出来栄えだ。
 
 難点があるとすれば唯一つ。

 ただでさえ、仕事を与える交換条件で栽培法を教えてもらうというのは海人の能力を考えればあまりに自分に有利すぎた。
 さらに教えてもらう手法がこれだけ卓越しているとなると、もはや悪魔の如き阿漕さ。
 ここまでとなると余剰分をきっちり返さなければ、己の貴族としての矜持に関わってしまう。

 どんな形でこの借りを返すか考え始めた矢先、シャロンがおずおずと問いかけてきた。

「あの、その本がどうかしたんですか?」

「う~ん、多分説明しても……いえ、そういえばシャロンの実家は農家だったわね。
ここの図書室で農業関係の文献は読んだ事ある?」

「は、はい……正直、もう一度読む気にはなりませんが」
 
「ならきっと理解できるわ。読んでごらんなさい」

 そう言ってシェリスは先程まで読んでいた本を手渡した。

 シャロンが少々困惑しつつページを開くと――色々凄まじい光景が広がっていた。

 本を開いてすぐ理解できたのは非常に読みやすい事だ。
 普通この手の書籍という物は見ているだけで頭痛がしてくるようなぎっしりとした文字の羅列だが、
これは一行ごとに適度な間隔が開けられていて、するすると読んでいける。
 説明も簡潔で分かりやすく、若干難しい部分もかなり噛み砕いて丁寧に説明してある。
 
 そして、そのまま少し読み進めるともっと珍しい光景に出くわした。

 なんと、より解説が分かりやすいように、図鑑以外ではまず見かける事の無いカラーの絵が描かれている。
 無論それは細部を見れば粗いのだが、説明用としては十分すぎる精度だ。
 それを活用してその時々の植物の状態による肥料のやり方や水のやり方、手入れの仕方に至るまで懇切丁寧に解説が行われている。
 これで出来なければ、余程の馬鹿だろうと思ってしまうほどに。

 本全体にざっと目を通し終えるとシャロンは軽く息を吐き、 

「――世の学者が腐っているのでしょうか、それともカイト様が凄すぎるのでしょうか」

 大真面目な顔で、主に問いかけた。

 この屋敷の図書室には実に様々な学問書が取り揃えられている。
 そして、そのどれもが非常に難解だ。
 一番難しいのは魔法関係の書籍だが、農業関係の本も相当理解が困難だ。
 理解できれば極めて単純な話なのだが、それが執念を感じるほどに迂遠にグダグダと書かれているのである。
 要約すれば『栽培前に土を良くするために魔法を使う』というだけの話を、延々二十ページ以上を使っている事もあった。
 しかも理屈の説明がやたらと無駄に専門用語が使ってあったりして、なんとも混乱を誘発する。

 対して手元の本は子供でも時間を掛ければ理解できそうだ。
 だからと言って単純な内容かと言えば断じて否。
 説明の手順と工夫で分かりやすくなっているだけで、内容自体はかなり高度だ。

「前者四割、後者六割ね。学者は狙ったかのように理解しづらい本を書くけど、これほどの質で書けるのはカイトさんだからこそ。
気付いたとは思うけど、この本全部カイトさんの手書きよ。多分、交渉成立した日からずっと書き続けてたんでしょうね」

「この絵もですか?」

「多分ね。前図書室をお貸しした時に魔法理論の説明してもらったんだけど、
カイトさん上位魔法でもフリーハンドで正確な術式をさらさらっと書いちゃうのよ」

「ひええ……凄いですね」

 シャロンはもはや畏怖さえ感じて、呆けざるをえなかった。 
 
 下位の魔法術式ならばどうにかシャロンでも道具を使わず正確に書く事ができる。
 だが、中位以上となると完全にお手上げである。
 相当に複雑なため記憶力は当然として、手先の器用さと書く工程を瞬時に組み立てられる頭脳が不可欠。
 上位ともなればもはやそれは人間に可能な芸当とは思えないほどに現実離れしている。

 改めて主が現在最も注意を払っているだけの事はある、などと思っていると、

「ま、カイトさんの賞賛はこの辺りにするとして――ローラ、肝心な話は何かしら?」

 いつの間にか、主の顔色が変わっていた。
 それまでの親しみやすいお嬢様の顔から、国内屈指の才女の顔へと。
 それに伴って、室内の空気も穏やかな物から身が引き締まるような厳かな物へと変化していた。

「お見通しでしたか。相変わらずのご慧眼で」

「単なる経験上の予測よ。
貴女が帰ってきてすぐさま仕事に戻らないのは、伝えるべき用件がある時だけ。
これだけならそれこそ木箱だけ渡して仕事に戻るでしょ?
ついでに言えば、さほど重要度は高くないはずね。
それだったら害にはなりえないこの事より早く話してるはずだし」

「恐れ入りました。では、話の前に一つ確認させていただきたいのですが、
今日現在この近隣に凄腕の冒険者が現れた報告はありましたか?」

「来てないわ。何かあったの?」

「私よりも先に森でエンペラー・カウを仕留めていた人間がいたようです。
五頭分ほど骨を発見しましたがどれも余計な傷が付いておらず、相当な技量の持ち主かと思われます」

 ローラの報告に、シェリスの目つきが変わった。
 
 エンペラー・カウは一匹でも簡単に仕留められる類の魔物ではない。
 二流から一流に上がったばかりの冒険者ではほぼ返り討ちになる、脅威的な魔物だ。
 この国の若手随一の冒険者であるゲイツでさえ、負けはせずとも苦戦はするだろう。
 
 それを合計五頭。それも鮮やかに倒す手練となると尋常な実力ではない。

「……おかしいわね。そもそも最近奥に入るのは大人数のパーティばかりだし、
個人でそれだけの芸当が出来る人間が近くに来ていれば流石に情報網に引っかかるはずだわ」

「無名という可能性もございますし、偽名という可能性もございます。
どのみち、あの森で出来る事はせいぜいミドガルズ鉱石の採掘程度ですので、当面害は無いかと」

「……たしかにね。
でも、いずれにせよそれだけの人材なら把握しておきたいところだわ。
カイトさんからは何か聞いた?」

「いえ。森に入る前に話の流れで昼食を御馳走になる約束をしてしまいまして。
その最中に仕事絡みの話を伺うのも非礼かと思い、伺っておりません。申し訳ありません」

「……まあ、あそこの立地からして町へ行く途中で通った可能性は低いでしょう。
聞くだけ無駄といえば無駄でしょうし、別に構わないわ。
そもそも今日渡した仕事の途中経過を確認するついでに聞いてくれば良いだけの話だしね」

「寛大なご処置、感謝いたします」

「大げさね――ところで、何を御馳走になったの?」

 話が一段落すると同時に、シェリスの雰囲気が再び柔らかくなった。
 それと同時に、張り詰めていた室内の空気も一気に緩む。
 実に切り替えの早い御令嬢であった。

「ヒノクニの御飯という物と後はステーキの付け合せの野菜と紅茶です。
肉はエンペラー・カウの肉が余っておりましたので、それを使いました。
個人的意見ですが、特に御飯は素晴らしかったです。ステーキとの相性が絶妙でした」

「……一応聞くんだけど、私の試食用に少し貰ってきてくれた?」

「……? 以前シェリス様は御飯はあまり好まれないと伺ったと思うのですが」

 少し前の事を思い返し、ローラは困惑した。
 
 彼女の不在中に一度食べたらしいのだが、不味くはないが好みではなかったと言っていた。
 食べ慣れているせいもあって、屋敷の料理長の作ったパンの方が良いと。

 だからこそ、海人に試食用を貰うなどという考えは浮かばなかったのだ。

「ええ、スカーレットの作るパンと比べれば、以前食べたお米は霞んでしまうわ。
色々苦心してこの国での栽培に成功したみたいだけど、所詮まだまともに収穫できるようになったばかりだもの。
将来的にはともかく、現段階で彼女の作ったパンに及ぶはずが無いわ。
でも貴女が食べたのは、カイトさんが、極上の素材を色々揃えているあの方が所持するお米よね?」

「……申し訳ありません。そこまで気が回りませんでした」

「いえ、仕方ないわ。迂闊な事言った私にも非があるし。
それに、仕事の経過確認のついでにそれも頼めばす……そういえば、結局いつ誰が行く事になったの?」 

「明日の朝、私が伺う予定です。
予定の変更は早い方が良いという事と、伺うなら面識が多い人間が良いだろうという事でそうなりました」

 シャロンは突然向けられた主の問いに迅速に答えた。
 先程から若干蚊帳の外だったためか、心なしか声が嬉しそうである。

「心配は無いと思うけど……じゃあ、さっきの話の質問とお米の方も忘れずお願いね」

「かしこまりました」

 主の命に、シャロンは恭しい一礼で応えた。

















 日が落ちて暗くなり始めた屋敷の中で、唯一海人の部屋だけに明かりが灯っていた。
 この部屋はかなり広い。キングサイズのベッドが部屋の奥にあるが、それが部屋を占有していないほどに。
 他に大きな机と洋服箪笥なども置いてあるのだが、それでも何も置かれていない空間の方が多いぐらいだ。
 
 が、流石に大きな木箱が幾つもおいてあると雑然とした印象は拭えない。
 まして、現在のように机の上に書類が山積みになっていれば尚の事。

「……ふう、とりあえずこれで終わり、と」

 海人はチェックを終えた書類を纏めて木箱に放り込んだ。
 念を入れ、入れ忘れた書類が無いか机の上は勿論、机の下も覗き込んでチェックする。
 無事全ての書類を処理し、元通り木箱に納めた事を確認し、海人は全ての木箱をしっかりと梱包した。

 そこまで終えてようやく海人は一息つき、思いっきり椅子にもたれかかった。

「予想外にキツかったな……彼女らは毎日こんな作業をこなした上に戦闘訓練や他の仕事もこなしとるのか、凄いな」

 天井を見上げながら、海人は感嘆の息を漏らした。

 書類処理にあたって、海人は電卓を使って計算を行った。
 計算自体は難しくなかったので暗算でも問題無いと言えば問題は無かったのだが、
やはり請け負った仕事である以上ミスの可能性は極力排除しなければならない。
 そのため電卓で計算しつつ、暗算でミスが無いか簡単に検証を行いながらの作業をしていた。
 当然ながら、全ての作業が終わった段階でもう一度検算し直してミスが無い事も確認してある。

 結局時間はかかるとはいえ、電卓を使っているという圧倒的なアドバンテージはやはり大きい。
 なにしろ、電卓は入力ミス以外には間違いが起こらない。
 確認作業を筆算で行わなければならないシェリス達と比べれば雲泥という表現ですら足りぬ差がある。
 その条件下でこれだけ苦労したという事は、シェリス達がやった場合の苦労は想像を絶する。

 シェリス達の日々の労働に敬意を抱きつつ、海人は机の脇にどけておいたケーキと紅茶を手元に引き寄せた。
 紅茶は彼が淹れた物だが、ケーキは昼にローラが持ってきてくれた物の残りだ。
 あまりに美味かったために、残りワンカット分になってしまったそれを、じっくりと噛締めながら食べ進める。 
 
「……はあ、これが創造魔法で作れればなぁ」

 名残惜しげに最後の一口を飲み下し、海人はぼやいた。
  
 創造魔法の制約として、生物は作れないという物がある。
 そのせいで肉などは作れないが、どういうわけか血液は作れる。
 
 そこで以前ルミナスの家に居候している時に、生物に分類されるが中身が液状な卵は作れるのでは無いかと思ったのだが、作れなかった。
 自分の認識が有精卵になっている可能性も考え、無精卵を作る事も試みたが、それも失敗した。
 そのおかげで何日か前に天ぷらを作った際は卵無しの衣という些か味気ない物になってしまった。
 
 チーズケーキも普通に作れば卵を使う。
 使わずとも作れない事はないが、だいたい質が落ちる。
 ローラのケーキもご多分に漏れず卵を使用していたらしく、試しにやってみた創造魔法でのコピーは失敗した。
 気に入ったので可能なら定期的に秘密のおやつに、と思っていた彼の淡い希望は見事に打ち砕かれたのである。
 
「本当に基準の分からん魔法だ……っと、んな事より防犯の事も考えなければならんか」

 ケーキの皿を脇にどけ、海人は机の引き出しから白紙の紙を取り出した。
 
 魔物は人造の建物がある地帯を襲う事はあまり無いのだが、人間は別である。
 誰も住んでいなかった先日までならともかくとして、今現在は海人が住んでおり、しかも一人暮らしだ。
 そこらの野盗がそれに気付けば、狙ってくる可能性は十分にある。
 
 しかも、ルミナス達が早めに帰ってきて何も知らずに空から直接入ってくる可能性を考えれば、
当面は元の世界で使っていた設備は使えない。
 なにしろ防空に関してもおおよそ完璧な防御システム。
 かかったが最後、現状で最も大切な友人は最悪死体も残さずあの世行きだろう。
 となると、当面は自分の部屋と地下室に重点的な防御を敷く事こそが肝要となる。

 既にこの部屋の窓ガラスとドアは全て頑丈極まりない物に取り替えているが、流石に壁までは手が回らない。
 一応ここの壁は厚く頑丈ではあるが、海人であっても多少の筋肉痛を覚悟していれば穴を開ける事も出来るはずだ。
 さらに言えば窓ガラスもドアも衝撃を劇的に吸収拡散する特殊な構造だが、ローラ級の人間であれば破れる可能性は高い。
 はっきり言って現状では防衛設備としてはかなり心許ない。
 
 そこで、少しでも補強するために部屋の内側に防御壁を張るための無属性魔法を考えようと思っていたのである。

「効果は宝石で補うとして――そういえば、結局ダイヤモンド以外は使い物にならなかったんだよなぁ……」

 ペンを手に机に向かった途端、海人は数日前の事を思い出して肩を落とした。
 
 この屋敷に来たその日に、海人はまず宝石を作れるかどうかを試した。
 ルミナスの所に居候している間は彼女らの目の毒になりそうなだけだったので作る事は無かったのだが、
宝石には魔力を貯蓄する効果と特定属性の魔法の効果を増幅する効果がある。
 今覚えている魔法で建築材料を賄う以上、魔法の効果の増幅は是非とも欲しかった。
 
 そして試した結果、ありとあらゆる宝石を無事に製作する事が出来た。
 無論、海人は喜んだ。とりあえずこれで有事に備えて魔力を溜め込む事ができる、と。

 が、いざ魔力を込めてみようとしたところで、問題が発覚した。

 まず、最初に使ったルビーに魔力が全く込められなかった。
 宝石の中に入り込むまではいいのだが、そのあとするすると抜けてしまい霧散しまったのである。
 慌てて他の宝石も試したものの、ほぼ全てが同じ結果に終わった。
 
 唯一貯蓄に成功したのがダイヤモンドだが、それも創造魔法の増幅効果まではなかった。
 増幅効果の大きさは、宝石の大きさに影響を受けるので、知っている限り一番大きなダイヤを使ったのだが、
少なくとも目に見えて分かるほどの限度を超えてはくれなかった。

 ただし、創造魔法こそ増幅の恩恵を得られなかったが、無属性魔法は強度が劇的に高まった。
 海人が改良した術式を組み合わせれば、おおよそ並大抵では破れない障壁となるはずである。

「結局最大の問題は魔力消費か。理想は消費を抑えつつ屋敷全体の防御を行う事だが……」

 ペンを走らせながら新たな術式の構成を考えつつ、海人は一口紅茶を啜った。
 
 無属性魔法は総じて魔力消費が大きい。
 その分他の魔法よりも防御力が高いのだが、おおよそ常識外れな海人の魔力で
世の魔法学者が聞いたら発狂しかねないほど高効率な術式を用いてなお、この屋敷全てを覆うことは不可能だ。
 
 本腰を入れて術式改良の研究に取り組めばできそうではあるが、時間がかかる事は間違いない。
 そして、事が防犯である以上は時間がかかるというのはそれだけで問題である。
 早急に打てる打開策は無いかと新たな術式と並行してしばし考えた末に、
 
「……駄目だな。頭が回らん。気分転換に外で運動でもするか」

 煮詰まりかかった頭をほぐすために、固まった体をほぐしながら外へと向かった。  
















 刹那達が海人の屋敷に辿り着く頃には、天高く上っていた日が沈み、空の色が茜色から黒へと変わりかけていた。
 二人は疲れきった体を引き摺りながら、一歩一歩確実に歩みを進めている。  

「……ギ、ギリギリ日が完全に暮れる前には間に合ったな。雫、少しは反省しているか?」

「左脇腹の痛みでこれ以上無いほど……あれ?」

 雫が可愛らしい顔を苦痛に歪めながら屋敷の門の方を見ると、何やら動き回っている影が見えた。
 目を凝らしてその正体を確かめる前に、刹那が口を開いた。 

「……海人殿?」

「そうみたいだねぇ……おー、頑張ってる頑張ってる」

 感心したように頷き、雫は前庭でピョンピョンと反復横跳びをしている海人を眩しそうに見つめた。
 
 その男は白衣をたなびかせながら、空中に作られた土台――三つの無属性の防御壁の上を行き来していた。

 速度は刹那達の目から見てもなかなか速い。
 体の華奢さからして、これだけの速度を出すためにはかなりの魔力が必要になる。
 一瞬ではなく常に速度を安定させている事からすると、相当な魔力量である事が窺える。
 
 ただ、やはり素人らしく速度は速いが、動きは鈍い。

 足運びに無駄が多すぎるし、体の体勢の整え方も下手。
 しまいには時折加減を間違えて真ん中の足場を飛び越えてしまっている始末。
 実戦でそれらが生み出す結果を考えれば、お世辞にも凄いとは言えない。
 
 とはいえ、それでも感心すべき点はあった。 

 遠目に見ても既に息は荒く、足がもつれかかっているが、足場を踏み外していない。
 あの疲弊具合、そしてあの高さでは無詠唱の飛翔魔法でも地面に落ちる方が早い。
 高さは低いため落ちてもまず大事には至らないだろうが、それでも落下の恐怖はあるはずだ。
 だというのに、かなり危うく無様な体勢ではあるが、一度も落ちていない。
 
 と思った矢先、ついに海人の足が完全にもつれた。
 タイミングが悪く、横に飛んだ瞬間だったため、勢い良く次に着地予定だった足場を飛び越して、
その次の足場に頭から突っ込み、大きな音と同時に落下した。
 かなり豪快な音が響いたために、刹那と雫は痛そうに顔を顰めた。
 
 が、ふと音源を見ると、頭を痛そうに押さえながら、もう一度足場によじ登り、同じ事を始めていた。
 痛みのせいか、今度はさほど時間を掛けずに足を滑らせ、地面へと落下する。
 それでも、海人はすぐさま起き上がり、同じ事を繰り返した。
 何度落下しても、ひたすら同じ事を繰り返し続けた。 
  
 陳腐といえば陳腐な光景だが、それを見ている二人の胸中には素直な感心が湧き上がった。

 どんな場合でもそうだが、痛みというものは恐怖を作り、躊躇いを生む。
 最初に落ちたときの勢いでぶつかって一瞬の逡巡もなく訓練に戻る事はかなり難しい。
 だというのに、痛みでより粗くなった動きのまま、疲弊した体でひたすら鍛錬を続けている。

 貧弱そうな外見からは想像し難い、侮れない根性である。 
 
 とはいえ、痛みを顧みていない鍛錬はかえって体を壊す。
 足がもつれる周期が短くなってきたあたりで、二人は海人へと歩み寄った。

「海人殿。素晴らしい根性ですが、それ以上はかえって良くありません。
休まれた方がよろしいでしょう」

「おや、刹那嬢と雫嬢か。何か用――」

 そこで言葉を止め、海人は二人の姿をまじまじと観察した。

 どういうわけか、二人共昨日会った時とは随分様子が異なっている。
 凛然としていた刹那は背筋は伸びているものの表情に隠しきれない疲れが見え、
快闊だった雫は豪雨にさらされた花のようにしおれている。

 なにより最大の違いは刹那の服装。どういうわけか上がサラシ一枚という寒そうな格好である。 
 さらに詳細に観察した結果、他にも違いが多数見つかった。
 
 それらの情報からしばし何があったのか考え、海人は一つ可能性の高そうな仮説を言ってみた。

「う~む、魔物か野盗の集団に襲われた後に姉妹喧嘩でもしたか?」

「――――あの、なぜそんな結論が?」

 姉妹揃ってたっぷり沈黙した後に、刹那がようやく口を開いた。

 海人の言葉は決して正解ではなかった。
 だが、正解にかなり近いところを突いている。

 疲弊した様子を見れば前半の内容は出てくるだろうが、後半はどうひっくり返しても出てくるとは思えない。
 目の前の男は人の心でも読めるのか、と刹那の視線に若干の警戒が宿った。
 
「雫嬢の服には大量の血の跡と思しき物があるし、刹那嬢の体には鋭利な刃物によるものと思しき大量の新しい傷。
雫嬢の服に付着したであろう血の量から推測すると結構な数の魔物なり野盗なりを仕留めた事だろう。
だがそれらと戦った時にできたのでは、刹那嬢の傷が説明がつかん。
多数相手にそれだけの数の浅い傷をつけられたのであれば一度は深手を負っているはずだ。
となると、刹那嬢の傷は別の要因。雫嬢が左脇腹を若干庇っている事と昨日のロゼルアード草の一件からすると、
襲われた理由が刹那嬢にあり、それに怒り狂った雫嬢を峰打ちで強引に止めたといったところかな。
だとすれば刹那嬢の上がサラシ一枚なのはその過程で上が斬られて着れなくなったか、
はたまた血で汚れてそれが落ちなかった、といったところになるか」

「……すっご……私の服の汚れはまだしも、お姉ちゃんの傷の事とかよく分かりましたねぇ……」

 雫は思わず拍手を送っていた。

 自分の服に付着した大量の返り血は、濃い色の服のせいであまり目立たない。
 着ている当人でさえ、まじまじと観察して判別がつく程度だ。
 
 これだけでも驚嘆物だが、姉の傷に関してはそれ以上に分かりにくい。
 というより、分からない。間近で必死で観察しても、全然判別がつかない。
 どこをどう見ても傷は完全に塞がっている。
 さらに言えば来る前に一度沐浴して体を洗っているため、血の跡も無い。

 もはや超能力としか思えなかった。 

「少し分かりづらいが、所々細く小さな線上に不自然な赤みがある。
刹那嬢の上がサラシ一枚だからすぐ分かったが、服を着ていたら分からなかったかもな。
で、当たりかね?」

「詳しくは内緒ですが、完全正解じゃありません。でも、かなり当たってますよー」

「ふむ……気にはなるが嫌なら詮索はすまい。それで、何か用か?」

「あ、はい。実は……」

 そう言って、刹那はリトルハピネスでのやりとりを説明し始めた。
 途中でゲイツに微妙に間抜け扱いされている気がした海人の機嫌が少し傾くなどの一幕もあったが、
用件自体は単純だったのですぐに説明は終わった。 

「……なるほど。話は分かった。近々カナールに行くつもりだったし、直接出向くとしよう」

「分かりました。その旨、きちんと伝えておきます。
っと、遅れましたが、これは手土産です。どうぞ受け取ってください」

 そう言って、刹那は肩から下げていた袋を手渡した。
 色々物騒な事はあったが、どうにか手土産用を入れていた袋は死守したのである。

「本当に貰って良いのか? 特に手土産を貰う謂れは無いと思うんだが……」

「いえいえ、昨日リトルハピネスの事を教えていただきました。
あれほど安くて美味い店は滅多にありません。どうぞ、受け取ってください」

「……では、ありがたく頂戴しよう。すまないな」

「お気になさらず。それでは、これにて失礼いたします」

「ん? どこへ行くんだ?」

 海人は一礼してすぐに揃って踵を返した姉妹に不思議そうな視線を向けた。
 問いに返ってきたのは同じく不思議そうな刹那の言葉だった。

「どこへ、と言われましても。カナールへ帰るのですが」

「……それだけ疲弊しとる女性二人に夜道を歩かせて安眠できるか。
どうせ部屋は空いてるから今日はとりあえず一泊していけ」

 嘆息しつつ、海人はそんな提案をした。

 本音を言えば今の屋敷に良く知らない人間を泊めたくは無いし、
そこらの野盗や魔物などこの二人は物ともしないとは思うのだが、
これだけ疲弊している状態でこのまま見送り、もし帰り道に何かあった場合、本気で寝覚めが悪い。

 甘い、と内心で自分を罵りつつ反応の無い二人に視線を向けると――固まっていた。

 まるで耳に届いた言葉が信じられない、とばかりに。
 数秒の硬直の末、ようやく雫の硬直が解けた。 
 
「ほ、本当に泊めていただけるんですか!? やっぱり嘘とか言ったら本気で泣きますよ!?」

「んな事言わんわい。ほれ、ついて来い」

 本当に泣きそうな顔をしている雫の頭を撫でつつ、海人は二人を屋敷の中へと案内した。












 海人に案内された部屋で、刹那と雫はなんとも満ち足りた気分になっていた。
 理由はあてがわれた客間の質。
 そこそこの大きさの屋敷の客間なので当然と言えば当然なのだが、
部屋は小奇麗で清潔感があり、設置された二台のベッドは柔らかく、気持ち良い。
 掛けられた布団もなんとも肌触りが良い。

 幼い頃は普通の民家、家を出てからは良くてオンボロな安宿、
ほとんどは野宿で過ごしている二人にとっては夢のように快適な部屋であった。
  
「ほえー……部屋広ーい、ベッド柔らかーい。いつかこんなトコに住めるようになりたいなー」

「あまりはしゃぐな。弾みで調度品壊したりしたら有り金全部消えるだけではすまんかもしれんぞ」

「あ、それは多分大丈夫だよ。どれも安物じゃないけど、多分極端に高い物じゃないから」

 姉妹揃って疲れきった体をベッドの海に沈めて休めていると、ドアがノックされた。
 どうぞー、と雫がやや緩んだ声で返事をすると、海人が台車を押して入ってきた。
 その上には温かい料理が並べられており、その良い香りは空腹の二人の腹の虫を鳴らすには十分だった。 

「夕食を持ってきたぞ」

「ゆ、夕餉までいただけるのですか?」

「いくらなんでもこっちから誘っておいて食べさせないのはありえんだろ。
どうやら二人共随分疲れているようだから体力回復に良さそうな料理を作ってみた」

 そう言って、海人は近くの机に料理を並べ始めた。

 今日の料理はニンニクやニラなどといった精のつく食材と肉をふんだんに使った、
いわゆるスタミナ料理であった。
 濃い目の味付けに対抗するため、たっぷりと白米も用意されている。

 余程空腹だったのか、刹那達は料理が並べ終わると同時に手を合わせ、一気に食べ始めた。
 それでも気を配っているらしく、まるで見苦しくは見えない。
 とはいえ、異様な速さの食べ方である事に変わりはなく、たっぷりと用意されていた料理はあっという間に消えてしまった。 

「美味しかったぁ~……昨日も思いましたけど、海人さんって凄い料理お上手なんですねえ」

「所詮素人料理ではあるが……ま、色々あって多少の腕はある」
 
「御謙遜を。素人料理、というよりは家庭料理と言うべきでしょう。
それに拙者よりは格段にお上手ですし……正直、女としては複雑な気分です」

「お願いだから、お姉ちゃんは料理の腕磨く前に常識磨こうね?
今のままだと結婚しても新婚初日で旦那さん殺しかねないから。
ぶっちゃけこの間もあたしじゃなきゃ死んでたよ?」

「うぐ……」
 
「擁護するわけではないが、ロゼルアード草の件は仕方ないと言えば仕方ないだろ。
今となっては図鑑以外ではまず見る事が無いわけだし」

 反論できずに縮こまっている刹那に、海人が助け舟を出した。
 だが、今までの刹那の前科を知らぬ彼が出した船は、見事なまでの泥舟であった。

「優しいですねー。でも、あれは序の口なんですよ。
あたし達は鍛錬の一環で常時肉体強化してるんですけど、そのおかげで大概の毒物は普通に食べられるんです。
そのおかげと無知のせいでこの馬鹿姉は毒物も平気で食材に使っちゃうんですよ。
味はそこそこ良い物になるんですけど、普通の人が食べたら八割方即死します」

 能天気な口調で海人の言葉を否定する雫。
 
 内容の恐ろしさの割に、深刻そうな様子はまったく見受けられない。
 かといって冗談を言っている様子も無い。

 目の前の少女にとっては命の危機が文字通り日常と化している事を知り驚愕するも、
海人はそれでもさらに擁護した。
 
「……あー……そもそも町で材料を買って普通に料理すればいいだけじゃないか?」

「残念ながらあたし達は家が無いんで、それもできないんですよ。
流石に調理道具一式持ち歩いて旅するのは問題ですしねー」

「おや、君らはこの国に住んでいるわけではなかったのか」

「はい。家を出て以来、修行がてら各国を放浪する生活でしたので。
この国に来たのはつい最近なのです」

「ここら辺は治安も良いですし、あたしとしてはそろそろ定住したいなーとは思うんですけどね。
てゆーか、毎回毎回安宿か野宿の生活はいい加減飽きました」

「ん? 昨日はカナールに泊まらなかったのか? 
あそこの宿はどれもそれなりに質が高いはずだが……」

「実を言うと、昨日はあそこの近くの森で野宿したんですよ。
あの辺りは魔物ほとんどいませんし、たまにいても最下等ですからゆっくり寝られるんです。
あの町が宿代高いところばっかなせいもあって、お姉ちゃんがケチケチ根性発揮しちゃったんですよ」

「一番安いところで一泊八千だぞ!? 折角の収穫も高く売れなかったし、そんな贅沢ができるはず無いだろうが!」

 ケチ呼ばわりされた刹那が半ば脊髄反射的に反論した。

 昨日売り払った収穫は、あまり高値では売れなかった。
 それでも数日は少し贅沢な外食ができるだけの額ではあるのだが、手持ちの金と合わせても大金というわけではない。
 
 値段の知識は豊富なくせに計算が大雑把な雫からすればケチに見えるだけで、
決して自分はケチではないのだ、と声には出さず、心なしか冷たい目で見ている気がする男に潤んだ瞳で訴えかける。 

「……とりあえず、君ら姉妹どちらにとっても日常が大変だという事は良く理解できた」

「御理解と同情ありがとうございまーす。
あ、そうそう、あたし達朝には報告に戻るつもりなんですけど、よければ背負って連れてきましょうか?
あたし達が全速力で突っ走れば飛翔魔法で行くよりもずっと速いですし、なんでしたら帰りも送りますよ?」

「ありがたい申し出なんだが、それは無理だ。
多分明日か明後日に一度客が来ると思うんでな。
カナールに行くのはそれが終わった後になる」

 雫の提案を、海人は若干の未練を感じつつも断った。

 シェリスの性格からして初仕事の今回は期限までに一度経過を見に来るだろうし、
なにより無用心な屋敷の中に頼まれた書類を放置して出かけるのは無責任すぎる。
 
 本当なら即座に飛びつきたい提案だが、断るしかなかった。 

「あー……それじゃ仕方ないですね」

「すまないな。せっかくの厚意を」

「いえいえ、お気になさらず」

 律儀に頭を下げる海人に、雫は軽やかな笑顔で応えた。




テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント

更新お疲れさまです。

いつものコメント返信もないところから察するに相当忙しそうですね。
定期更新は嬉しいですが生存報告いただければいくらでも待ちますので
無理をしてストレスを溜めないでくださいね。
[2010/05/17 20:10] URL | ごぼう天 #- [ 編集 ]


更新お疲れ様でした

電卓のところで「あ,こっちもチートだ」と思わず呟いてしまいました(笑)

シャロンの反応がすごいことになりそうwww
[2010/05/17 20:18] URL | さとやん #6x2ZnSGE [ 編集 ]


刹那たちもなかなかの人外っぷりだ。
というか、蜂蜜>現金だと気づけないお姉さんのお茶目っぷり吹いた。

カイトさん内政無想というか書類無双んぱねぇす。
[2010/05/17 20:29] URL | 本当にチーとです。本当にありがとうございましたwww #- [ 編集 ]


噂話や登場時からサブヒロインだと思って色々と諦めてたローラさんが、
22話あたりから完全にメインレベルの扱いに昇格してたでござるの巻w

内容だけで見れば恋愛的なイベントはほぼ皆無で、それなりな交流程度の話ばかりなのに
関わってるのがローラさんとカイトというだけでちょっと違うというか、重要度が強い印象ががが。

正直、過程をすっ飛ばして数年後のエピソードだけを予想すると互いの立場はともかくカイトの最近にいる可能性が一番高そうに思えてきます。

ただ、刹那のうっかり具合とカイトの不運補正がどつぼにはまるコンボにも結構期待してるのは否定できませんがw
[2010/05/17 21:50] URL | クルー #- [ 編集 ]


私個人としては今後、傭兵二人組、武者修行姉妹、完璧従者の修羅場を見たい気持ちでいっぱいです。
お体等お気をつけて。今後とも応援しています。
[2010/05/17 22:38] URL | fuji #viWYSvG2 [ 編集 ]

電卓はまだ甘い
お久しぶりです。

世の中にはOCRという技術がありまして……
カイトがこの技術を応用して、プログラムを組めば、
全自動を可能にできる気もします。
[2010/05/17 23:24] URL | 科蚊化 #9ODPgEpw [ 編集 ]


そういえばカイトの現在の目的って何か有るんですかね?

まあ、日常生活編というのも有りだけれども、やはり何か目標とか欲しいところですね。
物語的に。
[2010/05/18 00:25] URL | A.S #- [ 編集 ]


更新お疲れさまでーす。
珍しく日曜日の間に更新されなかったので心配しました。
大丈夫ですか?

さて、ローラ女史との想像ができない恋愛イベントもちょっとあり得ないと言い切れなくなってきましたね
いや、前々から怪しいところは多々ありましたが
最終的にどういうふうに海人は落ち着くのやら
いや、そもそもそういう落ち着き方はするのでしょうか?
ただ自分も三つ巴修羅場が見たいと思いました

今回修行姉妹の宿なしが判明しましたね
甘いのの自覚ありの海人は彼女たちを少しの間止めたりしそうです
あ、でも魔法の事や技術的なことがあるから無理くさいか?

次回更新も楽しみにしています
[2010/05/18 01:00] URL | 華羅巣 #zR7lJLBY [ 編集 ]


更新お疲れ様で。

23話の感想になると思うのですがどうしても気になったので一つ、
なぜカイトは創造魔法の中位もしくは上位魔法をおぼえないのか?
建築素材集めの非効率的な事をするより、今後のことを考えて覚えるべきではなかったのか?
必要な術式もすでに書かれた紙を見ているのだから創造魔法で作れば問題ないでしょうし。
[2010/05/18 08:12] URL | フラッシュ #FFeI7iKU [ 編集 ]


更新お疲れ様です。
やっぱり海人さんはチートってレベルじゃありませんね。
そこが大好きです。

お体大事にしてください。
無理をなさらずマイペースで続けていただけたら十分です。
次回楽しみにしています。
[2010/05/18 11:13] URL | 至玖 #vAmhhKPw [ 編集 ]


いつも楽しく読ませて頂いてます。
今回、海人が電卓を使ってましたが、ソロバンならこの世界で表に出しても問題ないんじゃないでしょうか。技術的にも。
アレも慣れれば、かなりの効率アップになると思いますし。
部下のメイドたちが覚えて効率アップすれば、ローラ女史にもっと時間が出来るのではと。
[2010/05/18 16:15] URL | Tシロー #- [ 編集 ]


更新お疲れ様です。
とりあえず電卓で計算して暗算で検算するという時点で普通の人からするとおかしいとつっこみたい。

以下自分の勝手な推測

卵は創れないけど果物は創れる。
タッパーや七輪は創れるけど魚は創れない。
このことから推測すると、生物が創れないのではなく、それをどうやれば作れるかを知らなければ創造魔法では創れないということかな?
自転車が金属でできていることは知っていても、材料を渡されて、これで自転車を作れと言われても作れる人はほとんどいないように。
だから卵は創れなかった。カルシウムでできていることは知っていても、鶏がどの器官でどういう風にして卵の黄身、白身、殻を作ってあの形にしているかを知らなかったから。
[2010/05/21 10:05] URL | 神楽 #- [ 編集 ]


毎度毎度疑問に思うんだけど、感想で作品の進行や内容、設定に影響する、
しかねない予想・提案をする人って何を考えてるんだろう?
やっぱ「(自分は頭がいいから)こう考えるんだけど当たってるでしょう?」って自慢?

頭の悪い私としては「もしそれが正解だったら作者も書きにくくなるだろうなぁ」と思うんだけど、
頭のいい人的には自分の頭の良さがアピールできれば他はどうでもいいのかな。

いや、グースさまがどう思っているかはわかりませんが、
私だったら仕込んでおいたネタを
「これはこういうことだと思うんですけどどうですか」とか
「これはこうだから次はこうしたらどうですか」とか
感想の名を借りた予想・提案されたら続きを書く気力がごっそり削られるな、と。
[2010/05/21 23:37] URL | どあら #85DRNN.. [ 編集 ]


更新お疲れ様です。

たいへん面白い作品で次回が楽しみです。

お忙しいとは思いますが、次話を期待して待っていますので、頑張ってください(^^o
[2010/05/27 23:49] URL | リプレイン #PAdImsec [ 編集 ]


毎回楽しみに読ませていただいています。
ローラさんにフラグが立つ気配?
もし二人がくっついたら最凶カップルの出来上がりですね^^

誤変換を発見しましたので、ご報告します。
"となると、当面は自分の部屋と地下室に重点的な防御を敷く事こそが寛容となる。"
の箇所ですが、
"寛容"→"肝要" かと。
[2012/03/15 23:58] URL | VIPPERな名無しさん #YUeu7SAQ [ 編集 ]


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